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ネコ娘、彼の危機を知らされる

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 それから、アタイたちはしばらく飲み食いを続けたが、ルイスは戻ってこなかった。
 胸騒ぎがする。

「エルザちゃん、いるかい!?」

 急に勢いよく店のドアが開き、慌てた様子のチュウキチが店に入ってきた。
 アタイたちの姿を見つけると、速足に近づいてくる。

「どうしたんだい、チュウキチ?」

 彼も酒を飲んでいたようで顔が赤い。しかし、表情は深刻そうだ。

「ルイスがさらわれるところを見ちまった」
「何だって!?」
「そこの通りで、知らないやつらとルイスが話をしていて、そいつらが強引にルイスの身柄を拘束してどこかに連れていっちまった」
「何で止めないんだいっ!」

 アタイは思わず怒鳴ってしまった。

「しこたま飲んでたんだ。ふらついて戦えねーよ。その場に一緒にいたモウスケさんが、一撃で返り討ちにあった。俺まで気絶させられたら、通報できるやつがいなくなる。だから、助けに行けそうなやつを探しにきたんだ」
「ごめん、……分かった。どっち方面に行った!?」
「街の中央。魔導列車の駅がある方だ」

 列車で逃げられるとマズいな。急がないと……。

「私の鼻で追跡する。今日は晴れているし、あまり時間も経ってないから、分かるはずよ」

 姉ちゃんが席から立ち上がった。

「拙者も助力しよう」

 シセンも来てくれるようだ。

「アタシも行くけど、ササミはべろべろだから置いていこう」

 メリーもかなりビールを飲んでいたが、まだ動けるようだった。

「そうだね。ササミはここで待機」
「面目ないっス」

 その場にササミだけ残して、アタイたちは店を出た。

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