32 / 34
悪役令嬢と話し合いました2
しおりを挟む
暗転した意識。
私の身体は眠っている。
しかし、私の中では、2人の人物が対立していた。
「こうやって話すのは初めてだね。私は鈴木麗奈。こことは別の世界で学生をしていたよ」
レイナは私を忌々し気に見て、
「人の身体を不意打ちで乗っ取った邪魔者、あなたはここで一生おとなしくしていなさい。もう2度と主導権は渡さないわ」
と、言い放った。
彼女は、自分の身体にとつぜん憑依した私を、敵だと思っているみたいだ。
「悪気があってあなたの身体を乗っ取っていたわけじゃないの。とつぜん意識がこちらの世界にトリップしていて。特殊エリアの攻略ができたら、おそらく元の世界に戻れるわ。それまで協力してくれないかな?」
私が地球に帰れば、レイナの身体はレイナだけのものに戻るのだ。
「ふん。どうして私があなたに協力しなきゃいけないのよ。まして、あなたの仲間は私を裏切った者たちなのよ」
憎々し気にレイナが言う。
「これまでの私たちの行動を見ていたでしょ? 彼らの中身はあなたの敵とは別人よ」
「それが何? 私はあの顔を見るだけで虫唾が走るの!」
……まいったな。何を言っても拒絶される。
正面からの説得は無理かもしれない。
私がそうやって悩んでいる間に、“スリープ”の効果時間が切れて、レイナの身体が動くようになった。
だが、目覚めてすぐに再び騒いだレイナは、また“スリープ”をかけられて私の前に戻ってきた。
「……ねぇ、学習したら? レベルに5以上差があったら“スリープ”が100%決まるんだから。レイナに勝ち目はないよ?」
「うるさいわね!」
うーん。
レイナ、感情的でおバカさんみたいだな。
ゲームの設定通りなら、彼女は同情の余地のない悪役令嬢だ。ゲームのクエストは開始時にヒロイン側か公爵令嬢側か立場を選べて、プレイヤーが選択したのと逆の側が完全な悪者になっていた。
これが、公爵令嬢側の話なら、愚か者はエイトール王子たちで、公爵令嬢は被害者なんだけど。ヒロインのシナリオの場合、レイナは傲慢で残酷な悪役令嬢だ。
彼女を正論で説得するのは無理なのかなぁ。
うーん……。
そうだ! その場しのぎになるけど――
「ねえ。私や悠真君、英人君の意識を元の世界に返さない限り、あなたに勝ち目はないよ?」
「何ですって!?」
レイナが苛立った表情を私に向けた。レイナと私の顔はほぼ同じ。ということは、私、本気で怒るとこんな顔になるのか。嫌だな。
「今だって“スリープ”に手も足も出ないじゃない。それに、仮にあなたがレベル70まで上げたとしても、あちらは2人いて、どちらも廃ゲーマー。戦闘センスはあなたよりずっと上なんだよ」
「それは……」
「冷静に考えてよ。あの2人が使っているジョブは、元の世界の彼らのもの。私がレベル70まで魔導士を強化して、彼らと一緒に元の世界に帰ったら、残るのはレベル70魔導士のあなたと、レベル50台の魔法剣士と姫巫女だよ」
そう言うと、レイナはハッとして、私の話を真剣に聞きだした。……ゲンキンだなぁ。でも、コツをつかめばかえって動かしやすいのかも。
「レベル70の魔導士の本気の攻撃を、盾職でもない2人が防ぐ手はないわ。そして、お城にいる他の人たちも、みんなレベルの上限は50よ。あなたに敵う人はいなくなっている」
「…………」
私の話にレイナはだいぶん心を揺さぶられているようだった。
でも、実際には、今のパーティーで特殊エリアの攻略が終わった時には、アンジェラさんとラビリオ君もレベル70になっているはずだ。
アンジェラさんがおバカなレイナに後れを取るとは思えない。レイナの思い通りにはならないだろうけど、それは言わないでおこう。
「……いいの? そんな提案をして。私があなたに従って強くなったら、大混乱が起きるわよ」
「今も悪魔の呪いのせいで大ピンチだからね。問題は1個ずつ解決しなくちゃ」
まずは呪いを何とかする。そのために、悠真君と英人君の特殊エリア攻略を成功させるんだ。
「……いいわ。あなたの提案に乗って、しばらくおとなしくしておいてあげる」
スッとレイナの意識が後ろに引き、私に身体の主導権が戻ってくるのが分かった。
それと同時に、“スリープ”の魔法が解け、私は目を覚ました。
視界に、金箔をあしらった豪華な天井が見える。王宮に戻っているようだ。
「目が覚めた、レナちゃん?」
「……うん。麗奈だよ」
私が答えると、皆、ホッとした雰囲気になった。
「ユウマたちから、大まかなことは聞いたけど、さっき暴れていたのが、レナの中のもう1人だったのかい?」
「はい。私のもとの身体の持ち主は、公爵令嬢レイナ。彼女を説得して、身体の主導権を私に戻してもらいました」
私がアンジェラさんに答えると、
「主導権と言うが、公爵令嬢の気分次第でまた入れ替わることもあり得るのか?」
と、疑わし気に悠真君が問いただしてきた。
「うん。レベルが関係してたみたい。魔導士のレベルが上がって、私よりレイナの力が強くなってる」
「そうか。今、レナが前に出ているのは、公爵令嬢が譲歩しているからってことか?」
「うん」
周囲に緊張が走る。またいつ私が暴走してもおかしくないと思われたかな。
そんな中で、悠真君は淡々と話を続けた。
「……公爵令嬢に俺の性別は知られているか?」
「たぶん」
レイナは“スリープ”に何度も引っ掛かってたから不安になるけど、一応、私が来てからの流れは理解しているみたいだった。
「ユウナが男だということ、エイトール王子は知っていた。ユウナはエイトール王子の乳母の子で、身分は低いが王子と兄弟同然に育てられていたんだ」
「へ? エイトール王子はもともと男の子が好きだったってこと??」
それじゃあ、レイナがどんなに頑張っても厳しかっただろうと思った。
しかし、悠真君は首を左右に振る。
「違う。王子に少しでも近づく令嬢がいると、公爵令嬢が影で酷い嫌がらせをしていたから、弾避けになるためにユウナが女装して目立った標的になっていたんだ」
あれま。レイナ、しっかり悪役令嬢しすぎだよ。
「ユウナは覚悟していたから耐えられたが、それは酷い嫌がらせを受けていたぞ。身分を笠に着て、周囲への態度も悪かった。それを見て、国王も王太子も、レイナでは王太子妃に不適と判断したんだ」
悠真君の話をそこまで聞いたところで、私はまた意識が後ろに引っ張られるのを感じた。
「あ、ヤバ……。英人君、“スリープ”お願い……」
再び私の身体は眠りに落ちていった。
私の身体は眠っている。
しかし、私の中では、2人の人物が対立していた。
「こうやって話すのは初めてだね。私は鈴木麗奈。こことは別の世界で学生をしていたよ」
レイナは私を忌々し気に見て、
「人の身体を不意打ちで乗っ取った邪魔者、あなたはここで一生おとなしくしていなさい。もう2度と主導権は渡さないわ」
と、言い放った。
彼女は、自分の身体にとつぜん憑依した私を、敵だと思っているみたいだ。
「悪気があってあなたの身体を乗っ取っていたわけじゃないの。とつぜん意識がこちらの世界にトリップしていて。特殊エリアの攻略ができたら、おそらく元の世界に戻れるわ。それまで協力してくれないかな?」
私が地球に帰れば、レイナの身体はレイナだけのものに戻るのだ。
「ふん。どうして私があなたに協力しなきゃいけないのよ。まして、あなたの仲間は私を裏切った者たちなのよ」
憎々し気にレイナが言う。
「これまでの私たちの行動を見ていたでしょ? 彼らの中身はあなたの敵とは別人よ」
「それが何? 私はあの顔を見るだけで虫唾が走るの!」
……まいったな。何を言っても拒絶される。
正面からの説得は無理かもしれない。
私がそうやって悩んでいる間に、“スリープ”の効果時間が切れて、レイナの身体が動くようになった。
だが、目覚めてすぐに再び騒いだレイナは、また“スリープ”をかけられて私の前に戻ってきた。
「……ねぇ、学習したら? レベルに5以上差があったら“スリープ”が100%決まるんだから。レイナに勝ち目はないよ?」
「うるさいわね!」
うーん。
レイナ、感情的でおバカさんみたいだな。
ゲームの設定通りなら、彼女は同情の余地のない悪役令嬢だ。ゲームのクエストは開始時にヒロイン側か公爵令嬢側か立場を選べて、プレイヤーが選択したのと逆の側が完全な悪者になっていた。
これが、公爵令嬢側の話なら、愚か者はエイトール王子たちで、公爵令嬢は被害者なんだけど。ヒロインのシナリオの場合、レイナは傲慢で残酷な悪役令嬢だ。
彼女を正論で説得するのは無理なのかなぁ。
うーん……。
そうだ! その場しのぎになるけど――
「ねえ。私や悠真君、英人君の意識を元の世界に返さない限り、あなたに勝ち目はないよ?」
「何ですって!?」
レイナが苛立った表情を私に向けた。レイナと私の顔はほぼ同じ。ということは、私、本気で怒るとこんな顔になるのか。嫌だな。
「今だって“スリープ”に手も足も出ないじゃない。それに、仮にあなたがレベル70まで上げたとしても、あちらは2人いて、どちらも廃ゲーマー。戦闘センスはあなたよりずっと上なんだよ」
「それは……」
「冷静に考えてよ。あの2人が使っているジョブは、元の世界の彼らのもの。私がレベル70まで魔導士を強化して、彼らと一緒に元の世界に帰ったら、残るのはレベル70魔導士のあなたと、レベル50台の魔法剣士と姫巫女だよ」
そう言うと、レイナはハッとして、私の話を真剣に聞きだした。……ゲンキンだなぁ。でも、コツをつかめばかえって動かしやすいのかも。
「レベル70の魔導士の本気の攻撃を、盾職でもない2人が防ぐ手はないわ。そして、お城にいる他の人たちも、みんなレベルの上限は50よ。あなたに敵う人はいなくなっている」
「…………」
私の話にレイナはだいぶん心を揺さぶられているようだった。
でも、実際には、今のパーティーで特殊エリアの攻略が終わった時には、アンジェラさんとラビリオ君もレベル70になっているはずだ。
アンジェラさんがおバカなレイナに後れを取るとは思えない。レイナの思い通りにはならないだろうけど、それは言わないでおこう。
「……いいの? そんな提案をして。私があなたに従って強くなったら、大混乱が起きるわよ」
「今も悪魔の呪いのせいで大ピンチだからね。問題は1個ずつ解決しなくちゃ」
まずは呪いを何とかする。そのために、悠真君と英人君の特殊エリア攻略を成功させるんだ。
「……いいわ。あなたの提案に乗って、しばらくおとなしくしておいてあげる」
スッとレイナの意識が後ろに引き、私に身体の主導権が戻ってくるのが分かった。
それと同時に、“スリープ”の魔法が解け、私は目を覚ました。
視界に、金箔をあしらった豪華な天井が見える。王宮に戻っているようだ。
「目が覚めた、レナちゃん?」
「……うん。麗奈だよ」
私が答えると、皆、ホッとした雰囲気になった。
「ユウマたちから、大まかなことは聞いたけど、さっき暴れていたのが、レナの中のもう1人だったのかい?」
「はい。私のもとの身体の持ち主は、公爵令嬢レイナ。彼女を説得して、身体の主導権を私に戻してもらいました」
私がアンジェラさんに答えると、
「主導権と言うが、公爵令嬢の気分次第でまた入れ替わることもあり得るのか?」
と、疑わし気に悠真君が問いただしてきた。
「うん。レベルが関係してたみたい。魔導士のレベルが上がって、私よりレイナの力が強くなってる」
「そうか。今、レナが前に出ているのは、公爵令嬢が譲歩しているからってことか?」
「うん」
周囲に緊張が走る。またいつ私が暴走してもおかしくないと思われたかな。
そんな中で、悠真君は淡々と話を続けた。
「……公爵令嬢に俺の性別は知られているか?」
「たぶん」
レイナは“スリープ”に何度も引っ掛かってたから不安になるけど、一応、私が来てからの流れは理解しているみたいだった。
「ユウナが男だということ、エイトール王子は知っていた。ユウナはエイトール王子の乳母の子で、身分は低いが王子と兄弟同然に育てられていたんだ」
「へ? エイトール王子はもともと男の子が好きだったってこと??」
それじゃあ、レイナがどんなに頑張っても厳しかっただろうと思った。
しかし、悠真君は首を左右に振る。
「違う。王子に少しでも近づく令嬢がいると、公爵令嬢が影で酷い嫌がらせをしていたから、弾避けになるためにユウナが女装して目立った標的になっていたんだ」
あれま。レイナ、しっかり悪役令嬢しすぎだよ。
「ユウナは覚悟していたから耐えられたが、それは酷い嫌がらせを受けていたぞ。身分を笠に着て、周囲への態度も悪かった。それを見て、国王も王太子も、レイナでは王太子妃に不適と判断したんだ」
悠真君の話をそこまで聞いたところで、私はまた意識が後ろに引っ張られるのを感じた。
「あ、ヤバ……。英人君、“スリープ”お願い……」
再び私の身体は眠りに落ちていった。
1
お気に入りに追加
500
あなたにおすすめの小説
転生したらやられ役の悪役貴族だったので、死なないように頑張っていたらなぜかモテました
平山和人
ファンタジー
事故で死んだはずの俺は、生前やりこんでいたゲーム『エリシオンサーガ』の世界に転生していた。
しかし、転生先は不細工、クズ、無能、と負の三拍子が揃った悪役貴族、ゲルドフ・インペラートルであり、このままでは破滅は避けられない。
だが、前世の記憶とゲームの知識を活かせば、俺は『エリシオンサーガ』の世界で成り上がることができる! そう考えた俺は早速行動を開始する。
まずは強くなるために魔物を倒しまくってレベルを上げまくる。そうしていたら痩せたイケメンになり、なぜか美少女からモテまくることに。
モブ高校生と愉快なカード達〜主人公は無自覚脱モブ&チート持ちだった!カードから美少女を召喚します!強いカード程1癖2癖もあり一筋縄ではない〜
KeyBow
ファンタジー
1999年世界各地に隕石が落ち、その数年後に隕石が落ちた場所がラビリンス(迷宮)となり魔物が町に湧き出した。
各国の軍隊、日本も自衛隊によりラビリンスより外に出た魔物を駆逐した。
ラビリンスの中で魔物を倒すと稀にその個体の姿が写ったカードが落ちた。
その後、そのカードに血を掛けるとその魔物が召喚され使役できる事が判明した。
彼らは通称カーヴァント。
カーヴァントを使役する者は探索者と呼ばれた。
カーヴァントには1から10までのランクがあり、1は最弱、6で強者、7や8は最大戦力で鬼神とも呼ばれる強さだ。
しかし9と10は報告された事がない伝説級だ。
また、カードのランクはそのカードにいるカーヴァントを召喚するのに必要なコストに比例する。
探索者は各自そのラビリンスが持っているカーヴァントの召喚コスト内分しか召喚出来ない。
つまり沢山のカーヴァントを召喚したくてもコスト制限があり、強力なカーヴァントはコストが高い為に少数精鋭となる。
数を選ぶか質を選ぶかになるのだ。
月日が流れ、最初にラビリンスに入った者達の子供達が高校生〜大学生に。
彼らは二世と呼ばれ、例外なく特別な力を持っていた。
そんな中、ラビリンスに入った自衛隊員の息子である斗枡も高校生になり探索者となる。
勿論二世だ。
斗枡が持っている最大の能力はカード合成。
それは例えばゴブリンを10体合成すると10体分の力になるもカードのランクとコストは共に変わらない。
彼はその程度の認識だった。
実際は合成結果は最大でランク10の強さになるのだ。
単純な話ではないが、経験を積むとそのカーヴァントはより強力になるが、特筆すべきは合成元の生き残るカーヴァントのコストがそのままになる事だ。
つまりランク1(コスト1)の最弱扱いにも関わらず、実は伝説級であるランク10の強力な実力を持つカーヴァントを作れるチートだった。
また、探索者ギルドよりアドバイザーとして姉のような女性があてがわれる。
斗枡は平凡な容姿の為に己をモブだと思うも、周りはそうは見ず、クラスの底辺だと思っていたらトップとして周りを巻き込む事になる?
女子が自然と彼の取り巻きに!
彼はモブとしてモブではない高校生として生活を始める所から物語はスタートする。
男子中学生から女子校生になった僕
葵
大衆娯楽
僕はある日突然、母と姉に強制的に女の子として育てられる事になった。
普通に男の子として過ごしていた主人公がJKで過ごした高校3年間のお話し。
強制女装、女性と性行為、男性と性行為、羞恥、屈辱などが好きな方は是非読んでみてください!
ずっと女の子になりたかった 男の娘の私
ムーワ
BL
幼少期からどことなく男の服装をして学校に通っているのに違和感を感じていた主人公のヒデキ。
ヒデキは同級生の女の子が履いているスカートが自分でも履きたくて仕方がなかったが、母親はいつもズボンばかりでスカートは買ってくれなかった。
そんなヒデキの幼少期から大人になるまでの成長を描いたLGBT(ジェンダーレス作品)です。
異世界帰りの元勇者、日本に突然ダンジョンが出現したので「俺、バイト辞めますっ!」
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
俺、結城ミサオは異世界帰りの元勇者。
異世界では強大な力を持った魔王を倒しもてはやされていたのに、こっちの世界に戻ったら平凡なコンビニバイト。
せっかく強くなったっていうのにこれじゃ宝の持ち腐れだ。
そう思っていたら突然目の前にダンジョンが現れた。
これは天啓か。
俺は一も二もなくダンジョンへと向かっていくのだった。
痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~
ぐうのすけ
ファンタジー
主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。
食事制限とハザマ(ダンジョン)ダイエットを勧めれるが、太志は食事制限を後回しにし、ハザマダイエットを開始する。
最初は甘えていた大志だったが、人とのかかわりによって徐々に考えや行動を変えていく。
それによりスキルや人間関係が変化していき、ヒロインとの関係も変わっていくのだった。
※最初は成長メインで描かれますが、徐々にヒロインの展開が多めになっていく……予定です。
カクヨムで先行投稿中!
転生したら倉庫キャラ♀でした。
ともQ
ファンタジー
最高に楽しいオフ会をしよう。
ゲーム内いつものギルドメンバーとの会話中、そんな僕の一言からオフ会の開催が決定された。
どうしても気になってしまうのは中の人、出会う相手は男性?女性? ドキドキしながら迎えたオフ会の当日、そのささやかな夢は未曾有の大天災、隕石の落下により地球が消滅したため無念にも中止となる。
死んで目を覚ますと、僕はMMORPG "オンリー・テイル" の世界に転生していた。
「なんでメインキャラじゃなくて倉庫キャラなの?!」
鍛え上げたキャラクターとは《性別すらも正反対》完全な初期状態からのスタート。
加えて、オンリー・テイルでは不人気と名高い《ユニーク職》、パーティーには完全不向き最凶最悪ジョブ《触術師》であった。
ギルドメンバーも転生していることを祈り、倉庫に貯めまくったレアアイテムとお金、最強ゲーム知識をフルバーストしこの世界を旅することを決意する。
道中、同じプレイヤーの猫耳魔法少女を仲間に入れて冒険ライフ、その旅路はのちに《英雄の軌跡》と称される。
今、オフ会のリベンジを果たすため "オンリー・テイル" の攻略が始まった。
強さがすべての魔法学園の最下位クズ貴族に転生した俺、死にたくないからゲーム知識でランキング1位を目指したら、なぜか最強ハーレムの主となった!
こはるんるん
ファンタジー
気づいたら大好きなゲームで俺の大嫌いだったキャラ、ヴァイスに転生してしまっていた。
ヴァイスは伯爵家の跡取り息子だったが、太りやすくなる外れスキル【超重量】を授かったせいで腐り果て、全ヒロインから嫌われるセクハラ野郎と化した。
最終的には魔族に闇堕ちして、勇者に成敗されるのだ。
だが、俺は知っていた。
魔族と化したヴァイスが、作中最強クラスのキャラだったことを。
外れスキル【超重量】の真の力を。
俺は思う。
【超重量】を使って勇者の王女救出イベントを奪えば、殺されなくて済むんじゃないか?
俺は悪行をやめてゲーム知識を駆使して、強さがすべての魔法学園で1位を目指す。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる