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特殊エリア2
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特殊エリアダンジョン地下1階。レベル51の魔物が出るダンジョンだ。私のレベルは21。
不安だと悩んでいる間もなく、敵が出現した。
「“アイスマシーナ”だ。名前の通り氷属性。1階は氷系の敵ばかり出るから、レナは火魔法をひたすら打て」
「わかった」
ゲームでも5階までは行ったので、見たことのある敵だった。
メタリックな球形の敵が浮いている。
ゲームでの特殊エリアは5層ごとにアップデートされていた。最初に登場したのが地下1~5階のフロアだったのだけど、ここの敵のデザインは全部、シンプルな図形を組み合わせたものだった。そのため、実装当初は、手抜きだの予算をケチっただの、廃ゲーマー向けはただ攻撃力を上げた敵を作ればいいと思われてるだの、色々と掲示板が荒れたそうだ。私としては、グロテスクな敵が出るより良いと思うんだけどね。
最初に盾役であるラビリオ君が敵に接近すると、敵は強烈な吹雪のような魔法を放ってきた。
ゴッ……!
冷気が後衛の私にまで伝わってくる。
「なつかしいな、雪だぞ!」
ラビリオ君は自分より遥かに高いレベルの敵を相手に平然と攻撃をかわしていた。
「ラビリオは、雪ウサギだったのか」
「そうだぞ。雪と同じ白いウサギだ」
敵を前に会話しながら戦うラビリオ君や悠真君を他所に、私はひたすら火魔法を撃ち続けた。
《敵に3のダメージを与えました》
《敵に4のダメージを与えました》
頭の中にゲームと同じ情報が流れるけど、レベル差がありすぎて、弱点属性をついても全然削れなかった。でも、
「そろそろ皆、一通りバトルに貢献したかな、トドメを刺すよ、“フレームソード”」
レベル51の魔法剣士の英人君とレベル40台のアンジェラさんの攻撃は通っているので、敵を倒すのに問題はなかった。
戦闘終了と同時に、大量の経験値が流れこんでくる。1戦するだけで、私のレベルは21から24まで上がっていた。すごいな、これが寄生レベル上げ……。
「新しいスキルを1つ覚えたぞ。“朧月夜”だ」
ラビリオ君もレベルが上がったみたい。
「“朧月夜”は魔法攻撃の軽減だ。次から使ってくれると俺が楽になる」
ラビリオ君が格上相手に盾役をこなせていたのは、悠真君のバフのおかげだったみたい。
「ここで3分ほど待機する。俺のバフの再使用時間を戻さないと、まだ危ないから。できるだけ足を動かさないようにしといてくれ」
通常の敵はリポップなしで配置済みなので、出現場所が決まっているらしい。奇襲敵のみ歩数ごとに判定があるので、歩くと危ないとか。
休憩を終えて、道なりに進んでいくと、次の敵が見つかった。
今度は小さな八面体の敵が4体、宙に浮いている。
「レナは引き続き、何でもいいから火魔法を当てていけ」
そう言われて私は、全然ダメージの入らない火魔法をひたすら打ち続けた。
このステータス差。前衛で攻撃を受けるラビリオ君がすごく心配だ。でも、ラビリオ君は平気そうに、敵の攻撃を器用にひょいひょい躱していた。
悠真君は、耐久の弱いウサギさんにバフをかけ、回避不能な魔法攻撃でラビリオ君が死なないようにサポートしていた。
レベルは順調に上がり、4戦したところで私はレベル30に到達した。
「……レベル上げの効率だけはいいね」
やってて楽しいものではないけど。ゲームで運営が初心者の急速なレベル上げを制限したのも分かるな。遊びだったらこれはやらない。
「うんうん。でも、実はゲームで同じことはできないんだよ~。こっちでのレベルは力や耐久力などのステータスが伸びるだけで、持って生まれた戦闘センスやスキルになっていない技術みたいなものは、レベルに関係がないんだ」
英人君が解説してくれる。格上の敵の攻撃を、ウサギさんがひょいひょいさばいていたのは、本人の才能のおかげなのか。
戦闘が終わると、悠真君が全員に軽いヒールをかけて疲労を取り、色んなバフを重ね掛けしていった。
悠真君のジョブ、“姫巫女”はNPC専用ジョブでバッファー寄りの回復。事前に補助魔法をかけることで弱い回復力を補うようだ。
こういうジョブって、敵がどんな攻撃をしてくるかが分からないと運用しにくいから、私は苦手。でも、悠真君がやると普通のヒーラーより強い気がした。
「全員がレベル51を越えるまでこのフロアでレベル上げをする。敵のパターンは5つしかないから、すぐに慣れると思うが、奇襲があるので気を抜かないでくれ」
そうだった。レベル差ペナルティの奇襲モンスターは、パーティーメンバー1人の前に突然ランダムに出現する。そして、必ずクリティカルになる攻撃をしてくる。それが怖いんだ。
問題の奇襲は、7戦目に向かう手前で起こった。
ヒュンッ……!
奇襲のターゲットになったアンジェラさんは、ひょいって感じで、当たり前のようにモンスターの攻撃を避けてしまった。
すぐさま、ラビリオ君が壁になり、囲まれたモンスターはあっという間に倒された。
「強さはこのフロアの他の敵と変わらないね。単体だし、毎回私をターゲットしてくれるなら、楽に対処できるんだけど」
と、アンジェラさんは余裕そうだった。
「そうだな。今のパーティー構成だと、俺と英人のレベル51が一番上だから、通常の敵と強さに差はない。最初の攻撃さえ避けてしまえば問題ないな」
いや、最初を避けるのが、普通の人には無理だと思うんだけど……。
その後、奇襲を受けること数回、ラビリオ君も悠真君もひょいひょい避けていた。
英人君はまだ狙われてないけど、この感じだと彼も避けられそう。
避けられないのは私だけか。どうしよう。
なんて考えて、しばらくして……、
目が覚めて一瞬、自分がどこにいるのか分からなかった。
わずかに発光する真っ平な床。ダンジョンの中か。
「大丈夫? 麗奈ちゃん」
英人君の声。ああ、私、
「死んで蘇生された?」
「そう。大丈夫? 痛いところとかない?」
「痛いところはないかな」
英人君、心配してくれてるんだろうけど、顔が近いよ。
アンジェラさんが英人君を押しのけて、私を起こしてくれた。
「無事で良かった。すまないね。奇襲に気づいたから、攻撃を止めようと思ったんだけど、間に合わなかった」
「いえ。アンジェラさんが謝ることではないですから」
「……次は止める」
アンジェラさんの目が本気だ。
「早いうちに蘇生に慣れておけ。今回は寝かしておいたが、戦闘中に蘇生で復帰して、すぐに動けるようになってもらわないと困る」
悠真君の言動は相変わらず悠真君だった。
不安だと悩んでいる間もなく、敵が出現した。
「“アイスマシーナ”だ。名前の通り氷属性。1階は氷系の敵ばかり出るから、レナは火魔法をひたすら打て」
「わかった」
ゲームでも5階までは行ったので、見たことのある敵だった。
メタリックな球形の敵が浮いている。
ゲームでの特殊エリアは5層ごとにアップデートされていた。最初に登場したのが地下1~5階のフロアだったのだけど、ここの敵のデザインは全部、シンプルな図形を組み合わせたものだった。そのため、実装当初は、手抜きだの予算をケチっただの、廃ゲーマー向けはただ攻撃力を上げた敵を作ればいいと思われてるだの、色々と掲示板が荒れたそうだ。私としては、グロテスクな敵が出るより良いと思うんだけどね。
最初に盾役であるラビリオ君が敵に接近すると、敵は強烈な吹雪のような魔法を放ってきた。
ゴッ……!
冷気が後衛の私にまで伝わってくる。
「なつかしいな、雪だぞ!」
ラビリオ君は自分より遥かに高いレベルの敵を相手に平然と攻撃をかわしていた。
「ラビリオは、雪ウサギだったのか」
「そうだぞ。雪と同じ白いウサギだ」
敵を前に会話しながら戦うラビリオ君や悠真君を他所に、私はひたすら火魔法を撃ち続けた。
《敵に3のダメージを与えました》
《敵に4のダメージを与えました》
頭の中にゲームと同じ情報が流れるけど、レベル差がありすぎて、弱点属性をついても全然削れなかった。でも、
「そろそろ皆、一通りバトルに貢献したかな、トドメを刺すよ、“フレームソード”」
レベル51の魔法剣士の英人君とレベル40台のアンジェラさんの攻撃は通っているので、敵を倒すのに問題はなかった。
戦闘終了と同時に、大量の経験値が流れこんでくる。1戦するだけで、私のレベルは21から24まで上がっていた。すごいな、これが寄生レベル上げ……。
「新しいスキルを1つ覚えたぞ。“朧月夜”だ」
ラビリオ君もレベルが上がったみたい。
「“朧月夜”は魔法攻撃の軽減だ。次から使ってくれると俺が楽になる」
ラビリオ君が格上相手に盾役をこなせていたのは、悠真君のバフのおかげだったみたい。
「ここで3分ほど待機する。俺のバフの再使用時間を戻さないと、まだ危ないから。できるだけ足を動かさないようにしといてくれ」
通常の敵はリポップなしで配置済みなので、出現場所が決まっているらしい。奇襲敵のみ歩数ごとに判定があるので、歩くと危ないとか。
休憩を終えて、道なりに進んでいくと、次の敵が見つかった。
今度は小さな八面体の敵が4体、宙に浮いている。
「レナは引き続き、何でもいいから火魔法を当てていけ」
そう言われて私は、全然ダメージの入らない火魔法をひたすら打ち続けた。
このステータス差。前衛で攻撃を受けるラビリオ君がすごく心配だ。でも、ラビリオ君は平気そうに、敵の攻撃を器用にひょいひょい躱していた。
悠真君は、耐久の弱いウサギさんにバフをかけ、回避不能な魔法攻撃でラビリオ君が死なないようにサポートしていた。
レベルは順調に上がり、4戦したところで私はレベル30に到達した。
「……レベル上げの効率だけはいいね」
やってて楽しいものではないけど。ゲームで運営が初心者の急速なレベル上げを制限したのも分かるな。遊びだったらこれはやらない。
「うんうん。でも、実はゲームで同じことはできないんだよ~。こっちでのレベルは力や耐久力などのステータスが伸びるだけで、持って生まれた戦闘センスやスキルになっていない技術みたいなものは、レベルに関係がないんだ」
英人君が解説してくれる。格上の敵の攻撃を、ウサギさんがひょいひょいさばいていたのは、本人の才能のおかげなのか。
戦闘が終わると、悠真君が全員に軽いヒールをかけて疲労を取り、色んなバフを重ね掛けしていった。
悠真君のジョブ、“姫巫女”はNPC専用ジョブでバッファー寄りの回復。事前に補助魔法をかけることで弱い回復力を補うようだ。
こういうジョブって、敵がどんな攻撃をしてくるかが分からないと運用しにくいから、私は苦手。でも、悠真君がやると普通のヒーラーより強い気がした。
「全員がレベル51を越えるまでこのフロアでレベル上げをする。敵のパターンは5つしかないから、すぐに慣れると思うが、奇襲があるので気を抜かないでくれ」
そうだった。レベル差ペナルティの奇襲モンスターは、パーティーメンバー1人の前に突然ランダムに出現する。そして、必ずクリティカルになる攻撃をしてくる。それが怖いんだ。
問題の奇襲は、7戦目に向かう手前で起こった。
ヒュンッ……!
奇襲のターゲットになったアンジェラさんは、ひょいって感じで、当たり前のようにモンスターの攻撃を避けてしまった。
すぐさま、ラビリオ君が壁になり、囲まれたモンスターはあっという間に倒された。
「強さはこのフロアの他の敵と変わらないね。単体だし、毎回私をターゲットしてくれるなら、楽に対処できるんだけど」
と、アンジェラさんは余裕そうだった。
「そうだな。今のパーティー構成だと、俺と英人のレベル51が一番上だから、通常の敵と強さに差はない。最初の攻撃さえ避けてしまえば問題ないな」
いや、最初を避けるのが、普通の人には無理だと思うんだけど……。
その後、奇襲を受けること数回、ラビリオ君も悠真君もひょいひょい避けていた。
英人君はまだ狙われてないけど、この感じだと彼も避けられそう。
避けられないのは私だけか。どうしよう。
なんて考えて、しばらくして……、
目が覚めて一瞬、自分がどこにいるのか分からなかった。
わずかに発光する真っ平な床。ダンジョンの中か。
「大丈夫? 麗奈ちゃん」
英人君の声。ああ、私、
「死んで蘇生された?」
「そう。大丈夫? 痛いところとかない?」
「痛いところはないかな」
英人君、心配してくれてるんだろうけど、顔が近いよ。
アンジェラさんが英人君を押しのけて、私を起こしてくれた。
「無事で良かった。すまないね。奇襲に気づいたから、攻撃を止めようと思ったんだけど、間に合わなかった」
「いえ。アンジェラさんが謝ることではないですから」
「……次は止める」
アンジェラさんの目が本気だ。
「早いうちに蘇生に慣れておけ。今回は寝かしておいたが、戦闘中に蘇生で復帰して、すぐに動けるようになってもらわないと困る」
悠真君の言動は相変わらず悠真君だった。
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