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因縁の美少女に会いました2
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「帰れるの!??」
思わず私が前のめりに聞き返したところで、ちょうど、店員さんが注文したお茶とケーキを運んできてくれた。
私の前には苺のショートケーキと紅茶。アンジェラさんはコーヒーだけ。そして、ヒロインの前には、ケーキやパイなどが5つ。ドリンクまで甘いジュースだった。
彼女はそれをすごい大口でバクバクと食べていく。見た目と中身が釣り合わない子だな……。
「確証はないが、おそらく帰れる。乙女ゲームシナリオはクリアしたか?」
「してない。特殊エリアのアイテムで止まってた」
私が答えると、ヒロインはシナリオについて説明し始めた。
「あの連続クエスト、クリアするにはこの王都の大聖堂に、特殊エリアで獲得する“女神の導”というアイテムを捧げる」
「みちしるべ……」
「名前からして意味深だろ? そうすると、見られるエンディングの背景が宇宙で、地球のような星が描かれている」
「それって……」
「女神らしき人物のナレーションで、『私は見守っている。この世界も、遠く離れた貴方たちも』みたいなことを言うんだ」
私は自分の心臓の鼓動が速まるのを感じた。
帰れるかもしれない。
もとの世界に帰ることについては、わざと意識の端に追いやっていた。気が付いたときには牢の中で、下手をすれば死ぬような状況だったから、まず生きることを優先したのだ。
そして、生活の基盤を整えることに集中していると、時間はどんどん経っていた。でも、元の世界に戻れる気配は一向にないし、手掛かりもなかった。こんなゲームみたいな世界、最初は夢で、いずれ覚めるだろうと思っていたのだけど。長く続くにつれ、もう現実だと認めるしかなくなっていた。
だけど、帰るための手掛かりはあったんだ。あのゲームのシナリオの中に……。
「今は、ゲームのシナリオでいうと、どの辺りなの?」
ゲームの通りなら、悪役令嬢は牢に入れられて、数日後に悪魔にそそのかされて魂を奪われる。そうなる前に私が逃げたから、シナリオに影響が出ているかもしれない。
「お前が消えたのが、公爵家の他の奴らが消えたのと1日ズレていたから、おかしいとは思っていた。だが、牢にいた公爵家の者たちは、シナリオ通り悪魔を呼び出したよ」
「それじゃあ……」
悪魔が狙っているのは、私だけじゃなかった。レイナの家族、公爵家の一族皆、失脚して、牢に入れられていた。彼らはその恨みから、悪魔に魂を売ってしまったのか。つまり、公爵家の人たちはもう……。
「シナリオ通り悪魔は現れた。そして、王城にダンジョンの入り口が出現した」
ゲームのシナリオ通りなら、王城の地下に現れるのは、レベル50で攻略できる悪魔のダンジョンだ。ここまでは私もプレイしてクリアしていた。
「私にダンジョンの攻略を手伝えと言いに来たの?」
ヒロインが私にレベルを聞いてきたり、使える使えないとか言ったりしたのは、攻略のためだろう。
「それはいい。悪魔のダンジョンは攻略した」
「王子や、こちらの人たちと?」
「ああ」
王子とその取り巻きって、レイナと同じくらいのレベルのはずよね。悪魔のダンジョンはレベル50向け。それを1か月程度で攻略って……。ゲームで特殊エリアのアイテムも取ってたみたいだし、この子、すごいゲーマーさんだったのかな。
「だが、ダンジョン消滅と同時に、悪魔の呪いが発生した。今、王宮の奴らは呪いのせいで病に臥せっている」
シナリオ通りだ。悪魔のダンジョンをクリアすると、死の間際に悪魔が放った呪いで、王都にいる王族や貴族たちが病気になってしまう。回復させるには、特殊ダンジョンで“女神の導”を取ってきて、教会に捧げるしかない。
……このシナリオをここで放置すると、王宮の人たちがみんな病気のままで止まる。ゲームプレイに支障は出ないから放置していたけど、現実だったら酷い話だよね。
「ん? ちょっと待って。呪いは、ヒロインの力で守られて、王子とその取り巻きの貴公子たちには効かなかったはずよね」
悪魔のダンジョンを攻略できたんなら、そのままのパーティーで、特殊エリアには挑まなかったのだろうか。
「もしかして、私がレベル70であることを期待して、探していた?」
だとしたら、期待外れだったろうな。私、ライトユーザーだし。
しかし、それはヒロインによって否定された。
「いや。王子たちは別の理由で使い物にならなくなった。俺が悪魔のダンジョンを攻略したときは、ベテランの騎士団長たちと組んでいた。彼らは、呪いで今動けない」
「別の理由?」
聞き返すと、一瞬、ヒロインが遠い目をした。
「個人的なことも含む。特殊エリアの攻略に協力するなら話してやる」
「協力……」
特殊エリアは、ゲームでは死に戻り前提で攻略していくエリアだった。私が入ってレベル55まで上げた部分は、その当時、簡単になったと言われていたところだったけど、それでも私は何度も戦闘不能になりながらクリアした。それを、1度も死なずに攻略するなんて、出来るのだろうか。
もちろん、元の世界には帰りたい。もう一度家族の顔を見たいし、友達にも会いたい。
でも、死んでしまったら元も子もない。
「言っておくが、これはお前が元の世界に帰れるかどうかだけの問題じゃないぞ。今、この国の中枢部分の王族や貴族が、呪いで弱っているんだ。そんな国が、いつまでも持つと思うか?」
ハッとした。そうだ。現実に動いている世界で、王族を病気のまま放置するなんて……。
「今は弱っているなりにみんな活動して、下っ端がおとなしく命令に従っているから回っている。だが、いつまで続くか」
いずれは、クーデターが起きるか、外国に攻め込まれるか……。そうして、国が混乱したとき、私の周りの人たちは無事でいられるだろうか。
レイナの婚約破棄の件のような権力争いに明け暮れる貴族たちが正しいとは思えない。でも、もし戦争にでもなったら、みんな無事じゃ済まないんだ。
この世界で、お店を開いて、良い人にもたくさん会った。そういう人たちの平和な日常を失うわけにはいかない。
「勝算はあるの? 簡単に死ぬエリアでしょ?」
「ある。それには、プレイヤーであるお前の協力が要る」
プレイヤー限定の能力?
「詳しく……」
聞こうとしたところで、アンジェラさんに止められた。
「喫茶店でする話じゃなくなってるよ。どうやらこの子も、レナの敵ってわけじゃないみたいだね。家に呼ぼう」
アンジェラさんの指摘に、ハッとして周りを見る。こちらに聞き耳を立てている人はいなかったので、一安心。と……、ヒロインは大量にあったお菓子をいつの間にか全部平らげていた。華奢な美少女の胃がおかしい……。
思わず私が前のめりに聞き返したところで、ちょうど、店員さんが注文したお茶とケーキを運んできてくれた。
私の前には苺のショートケーキと紅茶。アンジェラさんはコーヒーだけ。そして、ヒロインの前には、ケーキやパイなどが5つ。ドリンクまで甘いジュースだった。
彼女はそれをすごい大口でバクバクと食べていく。見た目と中身が釣り合わない子だな……。
「確証はないが、おそらく帰れる。乙女ゲームシナリオはクリアしたか?」
「してない。特殊エリアのアイテムで止まってた」
私が答えると、ヒロインはシナリオについて説明し始めた。
「あの連続クエスト、クリアするにはこの王都の大聖堂に、特殊エリアで獲得する“女神の導”というアイテムを捧げる」
「みちしるべ……」
「名前からして意味深だろ? そうすると、見られるエンディングの背景が宇宙で、地球のような星が描かれている」
「それって……」
「女神らしき人物のナレーションで、『私は見守っている。この世界も、遠く離れた貴方たちも』みたいなことを言うんだ」
私は自分の心臓の鼓動が速まるのを感じた。
帰れるかもしれない。
もとの世界に帰ることについては、わざと意識の端に追いやっていた。気が付いたときには牢の中で、下手をすれば死ぬような状況だったから、まず生きることを優先したのだ。
そして、生活の基盤を整えることに集中していると、時間はどんどん経っていた。でも、元の世界に戻れる気配は一向にないし、手掛かりもなかった。こんなゲームみたいな世界、最初は夢で、いずれ覚めるだろうと思っていたのだけど。長く続くにつれ、もう現実だと認めるしかなくなっていた。
だけど、帰るための手掛かりはあったんだ。あのゲームのシナリオの中に……。
「今は、ゲームのシナリオでいうと、どの辺りなの?」
ゲームの通りなら、悪役令嬢は牢に入れられて、数日後に悪魔にそそのかされて魂を奪われる。そうなる前に私が逃げたから、シナリオに影響が出ているかもしれない。
「お前が消えたのが、公爵家の他の奴らが消えたのと1日ズレていたから、おかしいとは思っていた。だが、牢にいた公爵家の者たちは、シナリオ通り悪魔を呼び出したよ」
「それじゃあ……」
悪魔が狙っているのは、私だけじゃなかった。レイナの家族、公爵家の一族皆、失脚して、牢に入れられていた。彼らはその恨みから、悪魔に魂を売ってしまったのか。つまり、公爵家の人たちはもう……。
「シナリオ通り悪魔は現れた。そして、王城にダンジョンの入り口が出現した」
ゲームのシナリオ通りなら、王城の地下に現れるのは、レベル50で攻略できる悪魔のダンジョンだ。ここまでは私もプレイしてクリアしていた。
「私にダンジョンの攻略を手伝えと言いに来たの?」
ヒロインが私にレベルを聞いてきたり、使える使えないとか言ったりしたのは、攻略のためだろう。
「それはいい。悪魔のダンジョンは攻略した」
「王子や、こちらの人たちと?」
「ああ」
王子とその取り巻きって、レイナと同じくらいのレベルのはずよね。悪魔のダンジョンはレベル50向け。それを1か月程度で攻略って……。ゲームで特殊エリアのアイテムも取ってたみたいだし、この子、すごいゲーマーさんだったのかな。
「だが、ダンジョン消滅と同時に、悪魔の呪いが発生した。今、王宮の奴らは呪いのせいで病に臥せっている」
シナリオ通りだ。悪魔のダンジョンをクリアすると、死の間際に悪魔が放った呪いで、王都にいる王族や貴族たちが病気になってしまう。回復させるには、特殊ダンジョンで“女神の導”を取ってきて、教会に捧げるしかない。
……このシナリオをここで放置すると、王宮の人たちがみんな病気のままで止まる。ゲームプレイに支障は出ないから放置していたけど、現実だったら酷い話だよね。
「ん? ちょっと待って。呪いは、ヒロインの力で守られて、王子とその取り巻きの貴公子たちには効かなかったはずよね」
悪魔のダンジョンを攻略できたんなら、そのままのパーティーで、特殊エリアには挑まなかったのだろうか。
「もしかして、私がレベル70であることを期待して、探していた?」
だとしたら、期待外れだったろうな。私、ライトユーザーだし。
しかし、それはヒロインによって否定された。
「いや。王子たちは別の理由で使い物にならなくなった。俺が悪魔のダンジョンを攻略したときは、ベテランの騎士団長たちと組んでいた。彼らは、呪いで今動けない」
「別の理由?」
聞き返すと、一瞬、ヒロインが遠い目をした。
「個人的なことも含む。特殊エリアの攻略に協力するなら話してやる」
「協力……」
特殊エリアは、ゲームでは死に戻り前提で攻略していくエリアだった。私が入ってレベル55まで上げた部分は、その当時、簡単になったと言われていたところだったけど、それでも私は何度も戦闘不能になりながらクリアした。それを、1度も死なずに攻略するなんて、出来るのだろうか。
もちろん、元の世界には帰りたい。もう一度家族の顔を見たいし、友達にも会いたい。
でも、死んでしまったら元も子もない。
「言っておくが、これはお前が元の世界に帰れるかどうかだけの問題じゃないぞ。今、この国の中枢部分の王族や貴族が、呪いで弱っているんだ。そんな国が、いつまでも持つと思うか?」
ハッとした。そうだ。現実に動いている世界で、王族を病気のまま放置するなんて……。
「今は弱っているなりにみんな活動して、下っ端がおとなしく命令に従っているから回っている。だが、いつまで続くか」
いずれは、クーデターが起きるか、外国に攻め込まれるか……。そうして、国が混乱したとき、私の周りの人たちは無事でいられるだろうか。
レイナの婚約破棄の件のような権力争いに明け暮れる貴族たちが正しいとは思えない。でも、もし戦争にでもなったら、みんな無事じゃ済まないんだ。
この世界で、お店を開いて、良い人にもたくさん会った。そういう人たちの平和な日常を失うわけにはいかない。
「勝算はあるの? 簡単に死ぬエリアでしょ?」
「ある。それには、プレイヤーであるお前の協力が要る」
プレイヤー限定の能力?
「詳しく……」
聞こうとしたところで、アンジェラさんに止められた。
「喫茶店でする話じゃなくなってるよ。どうやらこの子も、レナの敵ってわけじゃないみたいだね。家に呼ぼう」
アンジェラさんの指摘に、ハッとして周りを見る。こちらに聞き耳を立てている人はいなかったので、一安心。と……、ヒロインは大量にあったお菓子をいつの間にか全部平らげていた。華奢な美少女の胃がおかしい……。
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