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第15章

第1話

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幸いなことに、参加高校一校につき、2チームまでの参加が認められる仕組みだ。

アイデア出しの提出期限まで、まだ一週間もある。

夕方のローカルニュースでは、見慣れているようで違和感しかない映像が流れた。

どうしてこうも、テレビ画面を通してみると、あんな狭くて汚い理科室が、こんなにも綺麗に輝いて見えるんだろうな。

俺の知る限り、初めて理科室に来た顧問が、鹿島と親しげに何かを話している。

画面ではその音声までは流れていないけど、実際の会話は、「キミは背が高いね」だ。

ロボコンと、何の関係もない。

かわいくもない女子アナウンサーが、にっこにこの笑顔で「まだまだ受付をお待ちしています!」なんて、最後にぬかしやがった。

残り一週間でのアナウンスなんて、本気で参加者つのる気があるのかよ。

俺は手に入れた参加申込書を手に、理科室に立てこもった。

山崎がいなとワイファイが使えないと言ったら、あいつは適当にバカにしてくる。

「ホントのホントに参加するんだったら、スクールネットで検索すりゃいいだろ! 先生に見られて困るものなんて、ないんだからさ!」

そう言い放って、さっさと教室から逃げ出した。

奴は今日は、理科室には来ないつもりらしい。

だけどこのまま逃がすつもりはないから、大丈夫だ。

山崎よ、安心しろ。

真っ白な企画提出用紙に負けないくらい、俺の頭も真っ白だった。

大体、谷先輩がこの話しを最初に持って来た時に……なんて、考えるのはもうやめよう。

あの時、「やります!」って言っていたら、今頃はどうなっていたんだろうな。

プリントアウトした公式ルールの紙の束を、ぱらぱらと指でめくり上げる。

こんなのに、本当に参加できれば、いいよな。

楽しいだろうし、かっこいいに決まってる。

だけど実際にやるとなると、難しいし、結局面倒くさい。

ありあまるほどのパワーを持てあまして、それをどこにつぎ込もうかなんて、人それぞれなワケで、俺が今この瞬間を何に使おうかなんて、誰にも決められるわけじゃない。

決めるのは自分だ。


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