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第12章
第2話
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俺は教室に足を踏み入れた。
全身の皮膚が溶けていくかのように、ピリピリとした痛みとかゆみが走る。
俺はその両方を振り払った。
アズラーイールと目があう。
奴はふっと笑った。
「おはよう。席につけ」
くっそ。
あの野郎、絶対天使なんかじゃない!
「珍しいじゃないか、こんな朝から、ちゃんと学校に来てるなんて」
なんとか席までたどり着いた俺は、そこに腰を下ろした。
隣の涼介は、俺に声をかける。
「昨日は、ゴメン。俺はさ、獅子丸と……」
俺は今にも押しつぶされそうな肺から、深く息を吐き出し、もう一度吸い込んだ。
「俺は、お前との契約をとるまで、帰れないからな」
「それ、まだ言ってんの?」
「俺がここに来た理由だ」
「なんだよ。じゃあ、契約がとれたら、帰るわけ?」
「当たり前だ」
俺は涼介をにらみつける。
ここにこうして座っているだけで、俺は今にも吹き飛ばされ、かき消されそうだ。
「俺に消えてほしければ、さっさと契約しろ。それであの天使と、仲良くやってればいいじゃないか。邪魔はしない。契約さえとれればな。勝手にやってろ」
「あのさ、獅子丸。いいからちょっと、話しを聞け」
「俺を騙そうとした奴の話なんか、聞けるか」
それに黙りこんだ涼介を見て、俺は笑った。
「ま、俺もお前を騙して契約させようとしてんだ。同じか」
「そこ、授業が始まるぞ、静かにしろ」
アズラーイールこと東先生がそう言うと、クラスの連中は笑った。
この俺を笑いものにするとは、許せない。
俺は教壇に立つアズラーイールをギロリと見上げると、そのまま席を立った。
教室を抜け出す。
さすがの俺でも、いきなりのあの結界に囲まれた光の中では、息が苦しい。
廊下に出て、やっと一息つく。
あの野郎、校内にも結界を張りやがった。
そのままふらふらと、壁に手をつきながら校内を歩く。
ダメだ、一度このうっとうしい光の外に出て立て直さないと、さすがにしんどい。
全身の皮膚が溶けていくかのように、ピリピリとした痛みとかゆみが走る。
俺はその両方を振り払った。
アズラーイールと目があう。
奴はふっと笑った。
「おはよう。席につけ」
くっそ。
あの野郎、絶対天使なんかじゃない!
「珍しいじゃないか、こんな朝から、ちゃんと学校に来てるなんて」
なんとか席までたどり着いた俺は、そこに腰を下ろした。
隣の涼介は、俺に声をかける。
「昨日は、ゴメン。俺はさ、獅子丸と……」
俺は今にも押しつぶされそうな肺から、深く息を吐き出し、もう一度吸い込んだ。
「俺は、お前との契約をとるまで、帰れないからな」
「それ、まだ言ってんの?」
「俺がここに来た理由だ」
「なんだよ。じゃあ、契約がとれたら、帰るわけ?」
「当たり前だ」
俺は涼介をにらみつける。
ここにこうして座っているだけで、俺は今にも吹き飛ばされ、かき消されそうだ。
「俺に消えてほしければ、さっさと契約しろ。それであの天使と、仲良くやってればいいじゃないか。邪魔はしない。契約さえとれればな。勝手にやってろ」
「あのさ、獅子丸。いいからちょっと、話しを聞け」
「俺を騙そうとした奴の話なんか、聞けるか」
それに黙りこんだ涼介を見て、俺は笑った。
「ま、俺もお前を騙して契約させようとしてんだ。同じか」
「そこ、授業が始まるぞ、静かにしろ」
アズラーイールこと東先生がそう言うと、クラスの連中は笑った。
この俺を笑いものにするとは、許せない。
俺は教壇に立つアズラーイールをギロリと見上げると、そのまま席を立った。
教室を抜け出す。
さすがの俺でも、いきなりのあの結界に囲まれた光の中では、息が苦しい。
廊下に出て、やっと一息つく。
あの野郎、校内にも結界を張りやがった。
そのままふらふらと、壁に手をつきながら校内を歩く。
ダメだ、一度このうっとうしい光の外に出て立て直さないと、さすがにしんどい。
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