たとえば僕が死んだら

草野 楓

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番外編その2:バカンスの獲物

羞恥ストリップ②

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「ヒッ!? いぃっ――ッ……!?」

 Tバックの紐一本で固定されたバイブが暴れる音が、ビーチに響き渡る。

「アッ! アァッ! はぁぁぁッ……んッ!!!」
 頭の後ろで組んだ腕をガクガクさせた椿は、
「もっ! もほぉっ……! 歩けないッ……!」
 と泣き叫ぶ。

 司が椿に指示したストリップ場所は、ビーチのど真ん中だった。
 そこまでまだ100メートルほどある。
 
「おっ、お願いッ! バイブッ! バイブッ! とめてぇっ……!」
 マイクロビキニからはみ出たチンポから、ピッ、ピッ、とガマン汁が飛び散る。
 目の前で繰り広げられるとんでもないハレンチショーに、ゲイたちはことばを失う。
 遊び慣れた彼らにとってもそれはかなりハードな調教劇だった。

「プッ……プリーズ! サー! プリーズ!(お願いします、ご主人さまぁ!)」

 公衆の面前で醜態をさらす奴隷が、ギャラリーの中に主人の姿を見つけ、泣き濡れた目で訴える。
 大きく首を振った司は、さらにバイブの強度を上げる。

「おっ! ほぉぉぉッ……!」
 もんどりうった椿が白目を剥く。
 このままでは――強度MAXで、ストリップウォーキングさせられるかもしれない。

「くっ……! ウゥッ……!」
 椿は歩き出す。
 娼婦のような赤いピンヒールを穿き、ガニ股で、バイブの突き刺さったTバックの尻をフリフリさせ、乳首のタッセルの鈴をシャンシャン鳴らしながら。
 オイルでテカテカになった肌が、その美しい肉体をよりセクシーに演出する。
 腰回りを斜めに彩るビーズがサラサラと揺れ、まるでアラビアの踊り子のように美しい。

 なまめかしいその痴態に、男たちの股間が爆発しそうなほど隆起し、誰かが口笛を鳴らした――瞬間、大きな歓声があがる。

「いいぞ!」
「もっとセクシーに歩け、おまんこ野郎!」
「胸も大きく振れ!」

(あっ……! あぁッ……!)

 恥ずかしさと興奮がない交ぜになった陶酔に頬を赤らめた椿は、突き出した胸のタッセルを大きく振る。

(おっ……おっぱいっ……! 弄りたい……!)

 ムズムズした乳首にさわりそうになり、はっと思いとどまる。
 主人の許可なしに、乳首とチンポはさわらないこと。
 それが、奴隷の絶対条件。

(うっ、うぅっ……! おっぱいもっ、おちんぽもっ……! さわりたいよう―っ……!)



「――なんか、トランスしてない、カメのやつ?」
 ――少し離れたところから見ていた統が、動画を撮っていたスマホから目を離して司に聞く。
「媚薬が回ってきたんだろ」
 と答える司。
「あのバイブは真ん中に穴が開いてて、そこにローションが入れられるようになってるんだ。そこにたっぷり、エクスタシーオイルを詰めておいたからな」


「おっ……! ほっ……! おっ! ほぉっ……ンッ♡♡♡」

 グリングリン回転するバイブのなかから滲み出したローションに、ガニ股の脚をヒクヒクさせながら、
「おっ……おまんこぉっ……! あっ、熱いでふぅッ……♡」
 赤い舌を突き出してアヘる。
 乳牛のように尖った乳首が、太陽の光を受け、汗とオイルでテラテラと光る。
 男のものとは思えない肥大化した乳首に、見物客たちのボルテージはさらに高まる。

「なんていやらしいNippleだ」
「FUCKしてくれと訴えてるみたいじゃないか」
 
 ようやく、ビーチ真ん中のストリップ地点までたどりついたときには、ギャラリーの輪が何層もできていた。


「あっ……! はぁっ……! アッ……!」
 全身から汗をしたたらせた椿は、男たちの欲望の視線を一身に浴びながら、
「い、いまから、ケツマンコ奴隷カメのおまんこショーをはじめますぅ♡」
 と英語で宣言する。
 

 ビキニの腰紐に手をかけ、
「おっ、おちんぽっ! 見てくだひゃーいっ♡♡♡」
 ヘラヘラ笑いながら、リボンをほどく。
 ビキニが砂浜に落ち――乳首ピアスと三点リードでつながれた亀頭ピアスのチンポが丸見えになる。
 ペチッ、ペチッ、と揺れて下腹部を叩くチンポの小ささに、ギャラリーからどっと失笑が漏れる。

「Oh! ……How short and small dick! (なんて情けない短小チンポだ)」

(わ――笑われてる……)
 顔を真っ赤にしてうつむく椿。
「ん? 何か紙みたいのが付いてるぞ?」
 椿のチンポのピアスに糸でくくりつけられた短冊に気付いた男が、その紙をめくる。

 
『I’m ASS HOLE SLAVE♡』

 油性マジックで書かれた――『ぼくはケツマンコ奴隷ですぅ♡』という文字。

「あっ……」
 それが合図であるように、
「アッ……アイムッ!  アスホール スレイブッ!」
 と叫んだ椿は、短冊をめくった男に、乳首とチンポをつなぐ三点リードのチェーンを差しだし、
「リードをひっぱってください!」
 と頼む。
「What ?」
  目をみはる男。
 が、
「Come On!」
「GO!」
 と周囲に手拍子され、その気になってリードを持つ。
「オッ! オォッ―――――ッ!」
 容赦なくチェーンを引かれ、手を頭の後ろで組んだ椿は、ヒールの脚でけんめいに踏んばる。

「I’m ASS HOLE SLAVE!  I’m ASS HOLE SLAVE!!!(ぼくはケツマンコ奴隷! ケツマンコ奴隷ですぅ!)」

 糸のように引き伸ばされた乳首と、めくれあがったチンポの皮。
 狂ったように腰を振り卑猥なことばを連呼するSLAVEの姿に、ゲイたちは指笛を鳴らす。

「いいぞ!」
「もっといじめてやれ!」
「短小ザコチンポ、ふりまわせ!」


「ははっ。めっちゃ盛り上がってる」
 ギャラリーから一歩下がったところで撮影していた統が、楽しそうに笑う。
「どうすんの? これから」
 ニッと笑った司が、バイブの遠隔操作のリモコンをハーフパンツのポケットから取り出す。



 その目盛りがMAXになった瞬間――椿は雷に打たれたかのように倒れ込んだ。








 
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