たとえば僕が死んだら

草野 楓

文字の大きさ
上 下
100 / 143
第四章:ケツマ〇コ奴隷カメ

暗転する蜜月

しおりを挟む



 秋が過ぎ、冬になった。
 
 椿は、マンションから一歩も出ない生活を送っていた。
 買い物は銀が買い与えてくれたスマホで注文したものが玄関先に届く。
 
 毎日、部屋をピカピカに掃除し、愛しあった名残りのついたシーツを洗濯し、銀のワイシャツにアイロンをかけ、夕方から時間をかけて手の込んだ夕食を作る。
 じっくりコトコト煮込んだシチュー。
 焦げ付かないよう鍋底をかき回しているうち銀が帰ってきて、駆け寄り、その首にしがみついておかえりなさいのキスをする。
 誰にも縛られない――夢のような安全地帯。
 

 ――夕食のあと。

「……うっ……ぅっ、んッ……」
 寝っ転がったソファの上で、絡まり合い、抱き合う。
 銀の大きな手が、椿の白いセーターの下に潜り込む。

「アッ! アッ……!」

 セーターをたくしあげられ、ピンピンに尖った乳首を音を立てて吸われる。
 のけぞる椿のパンツに手を入れ、すでに固くなっているチンポをしごく銀。

「うっ! うぅっ……!」
 あっという間にイかされ――銀の用意したティッシュの中に出す。
「……気持ちよかったか?」
「はい……」
 瞼にキスを落とされた椿は目をつむる。

 寝室に移動し、服を脱ぎ、シックスナインの体位をとる。

「……おっ――! ほっ……ハァッ……!」

 銀のペニスを、椿は口いっぱいに頬張る。
 銀のペニスは予想通り大きくて――スジがギンギンに張っていて、十分な太さもあった。
 サオを手で握り、けんめいに口で扱く。
 椿の股のあいだに顔を埋めた銀が、アナルを、ツンッ、と舌で突く。

「ひゃんっ……!」
 会陰からすぼまりまで丹念に舐められ、頬が熱くなる。
 銀と出会うまで誰からもされたことのなかった優しい愛撫。

 ……なのに――――

(うっ……もっ……もっと――激しくしてっ――!)
|
 ヒクッ、ヒクッ、と尻穴がいやらしく動いているのを感じるのに、それを《やゆ》揶揄してこない。
「可愛いな、椿のここ……」
 そっと指先でなぞり、タマ袋をチョロチョロ舐めるだけだ。

(ちがうっ! 指でおまんこグチョグチョにしてっ……ナカまで弄ってぇッ……!)

 叫び出したい思いをこらえながら、昂ってきた銀のペニスを大きくむ。
「ナカに出していいか?」
 聞かれ、咥えながらこくんとうなずく。
 椿の口からペニスを抜いた銀は、サイドテーブルの引きだしから、ラブローションを取り出し、仰向けになった椿の尻穴にそっと塗り込む。

「んっ……!」
 中指だけでほぐされ、軽く準備されてから、「入れるぞ」とペニスを挿入される。
「あっ……! アァッ……!」
 ズチュッ、ズチュッ、と突き上げてくる――リズミカルな動き。
「うっ、すげー締まる、おまえんなか……」
「はっ! あぁっ……!」
「気持ちいいか?」
「は――はい……」

 ……銀は、限りなくノーマルなセックスをする男だった。
 SMやスカトロなどするはずもなく、相互フェラのあと出して終わり――ということが多かった。
 
 椿が三浦兄弟から受けていた仕打ちについて多くは聞いてこなかったが、いちどだけ、セックスのあと「……なんでカメって呼ばれてたんだ」と聞いてきたことがある。
『ケツマンコ奴隷カメ』のネーミングの由来がずっと気になっていたようだ。

「……椿だから――」
 銀の裸の胸に身を寄せ、椿は答えた。
「椿は、英語で『Camelliaカメリア』っていうんだ。だから、その頭文字をとって、『カメ』って呼ばれてた……」
「……マジかよ」
 銀は信じられぬように目を見ひらく。
「そんなきれいな名前なのに……」
 ひでぇな、と椿の肩を抱き寄せる。
「もうぜったい、そんな名前で呼ばせないから――安心しろ。な?」
 その腕に彫られた昇り龍のタトゥーを指でなぞり、椿は、「うん……」とうなずく。
 

 ――おい。カメ。いい子にしてたか?

 ふと脳裏によみがえる。
 いたずらっぽい司の笑み。

 やっと――やっと逃げられたはず。
 なのに…………


「……うっ! んんッ……!」
 ナカに出され、ゆっくりと引き抜かれる。
 ティッシュでペニスを拭いた銀は、「腹んなか気持ちわるいだろ。シャワーで流してこいよ」と椿の髪を撫でて気遣う。
「うん……」
 薄く微笑んだ椿は、リビングの横にある浴室へと向かった。


「……はっ! アッ! アァッ……!」

 シャワーを全開で出し、バスタブに左手を突き、右手の指をアナルに突っ込む。
 指は1本から2本、3本と増え――しまいには4本の指で、グチュグチュとナカをかき回し、

「うっ、もっ、もっと……! 奥まで入れてぇっ……! ケツマンコ奴隷カメのドエロおまんこっ、めちゃくちゃにしてくださぁっ……いッ……!」
 
 叩きつけるシャワーの下で叫ぶ。


 被虐の喜びを求めて揺れ動くチンポから、涙のようなガマン汁が滲み出していった。







しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

捜査員達は木馬の上で過敏な反応を見せる

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

真・身体検査

RIKUTO
BL
とある男子高校生の身体検査。 特別に選出されたS君は保健室でどんな検査を受けるのだろうか?

塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。 そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。

身体検査

RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、 選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。

カテーテルの使い方

真城詩
BL
短編読みきりです。

処理中です...