たとえば僕が死んだら

草野 楓

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第四章:ケツマ〇コ奴隷カメ

奴隷犬①

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「……はっ……あぁっ……!」

「うわっ、すっげぇ汗! 床が汚れるじゃねぇか!」

 ――それからしばらくして。
 ようやく室内に戻ることをゆるされ、アヒル歩きでサンルームにヒョコヒョコ入ってきた椿に、弟の司は声を荒げる。

 乳首から伸びたワイヤーにつながれた手枷を頭の後ろで組まされ、電動ブジ―のぶっ刺さったチンポからソフトボール大の2個の鉄球、アナルから腸詰ソーセージをプラプラぶら下げた無様な姿の椿は、
「おっ……! もっ――! 申し訳ありませんっ……!」
 滝のように流れ落ちる汗をどうすることもできないまま、
「あ……お部屋に入れていただき……ありがとうございました……」
 兄弟に向かい、深々と頭を下げた。

 サンルームは、ガンガンに効いた冷房で冷えきっていた。
 一面ガラス張りの掃き出し窓の窓辺に並べられた、パキラやモンステラなど観葉植物の鉢。
 ハイブランドの黒いステレオスピーカー。
 L字の白いソファの前に置かれた、南国リゾート風の籐脚のガラステーブル。
 ソファの横には、ビーチサイドにあるようなデッキチェアがふたつ、並べられている。
 
 サンルームの奥にあるリビングの冷蔵庫からコーラの瓶を持ってきた司は、
「ったく。ションベンだまりみたいになってるじゃねぇか」
 椿の股の下にできた、水たまりのような汗に舌打ちし、
「汗が引くまでマットの上にいろ。スクワットポーズやめんじゃねーぞ」
 と命じる。

「は……はい……」
 サンルームの入り口にある、コルクのドアマットまでピョコピョコと戻った椿は、頭の後ろで手を組んだガニ股スクワットポーズをとりながら、司が飲んでいるコーラを穴が空くほどに凝視した。

(……の……飲みたい……)

 1時間半。炎天下を意味もなく歩かされ、死ぬほど喉が渇いていた。

(せ……せめて水でもいいから……飲みたい……)
 犬のようにハァハァしながら、コーラを見つめていると、
「……なんだよ」
 ソファに座っていた司が、椿をギロッと睨んだ。
「あっ…………」
 気を悪くさせてはいけない、と慌てて下を向く。
「飲みたいんじゃね?」
 ――と、兄のすばる
「あの暑さでずっと外にいたんだ。熱中症にでもなったら面倒くさいぜ」
「――しかたねぇな」
 立ち上がった司はリビングに向かった。
 ――もしかして、何か飲ませてもらえるのかもしれない。
 椿の胸に、一縷いちるの希望が生まれる。

 
 ――椿の伯父、三浦 薫みうら かおるの自宅は、都内の高級住宅街の高台の上にあった。
 地下室と地上二階建ての本宅は、3つの寝室、ビリヤードのできる遊戯室、シアタールーム、図書室、パーティーが開けるほど広大なリビングルームなど全部で10部屋以上ある豪勢な住まいだった。

 薫と統と司の三人は、普段は本宅の自分の部屋で暮らしていた。
 薫は、兄弟が産まれてすぐ離婚した。
 以来、家事と育児はすべて、通いの家政婦とシッターが行っていた。
 週末ごとに、高級レストランのシェフを呼び寄せ、イタリアン、中華、寿司などに舌鼓を打つこともあった。
 
 一方、椿は、本宅から中庭を挟んで建てられた、平屋建ての小さな別宅で暮らしていた。
 別宅は、通いの家政婦も立ち入ることができない。
 もとは、薫の死んだ母が趣味で作らせた茶室のいおりだったものを、椿が来たあと、洋風に建て直したものだった。
 別宅は、兄弟が幼いころ遊んだ広大な芝生の庭に面していた。
 高台にあるため、裸で庭に放りだしても近所に見つかることもない。

 14歳で三浦家に引き取られてからずっと、椿は、この別宅で、性の道具にされていた。
 2年前、兄弟が揃ってイギリスに留学してからも、休みで帰省するたび奴隷のように扱われた。
 自分たちが留学しているあいだ、闇ルートを使って椿を売春させてくれと父の薫にお願いしたのも兄弟だ。

『おれたちがいないあいだ、こんなスケベなおまんこが空きっぱなしじゃもったいないだろ』

 その売春で殺人事件に巻き込まれるとはよもや予想してもいなかったが――
 丹下組と紳士クラブでの性奴隷調教を経て、より色気を増して戻ってきた椿は、夏休みで日本に帰国した兄弟にとって、いたぶりがいのある格好の獲物だった。

 ――2つ口のIHコンロと冷蔵庫のあるミニキッチン。
 白い無垢材のフローリングに置かれた、ソファとダイニングテーブル。
 背の高い天井からは、大きなシーリングファンが涼やかな音を立てて回っている。
 洒落た南国風リゾートのようなリビングの一角にある犬用ケージのなかには、ボロボロに汚れた毛布と、犬用のトイレがあった。
 ケージの横に置かれたペット用シーツの袋と、ステンレスのエサ入れ。

 エサ入れの近くに転がっていたハンディタイプの給水器に水道の水を入れて戻ってきた司は、
「ほらよ」
 椿の目の前にウォーターボトルを突き付ける。
 真ん中のボタンを押すことで、上部分のペットボトルに入った水をシャベル型のウォーターカップに送り込むそれは、犬の散歩用の水飲み器だった。

 




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