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第三章:肉便器の恋
出張レイプ⑨
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素っ裸で庭に放り出された椿は途方に暮れた。
白い縁石の敷きつめられた日本庭園。
椿やモミジなどの緑と、苔の生えた石臼の水面を叩く竹の鹿威し。
夜間にライトアップされる灯篭。
本棟とつながった渡り廊下に面した部分は、竹塀で覆われている。
だが、庭の向こう――本棟の客室側は、ときおり客が縁側に出て庭園を眺めることがあったため、目隠しがなかった。
縁側の先にある個室の襖はいまはすべて閉じられ、人のいる気配はない。
でも、もしもそこに――誰か来てしまったら……
椿は慌てて身を隠すところを探した。だが、思うような場所がない。
(あっ……あぁっ……!)
――一方、部屋の中では、縁側に集った西村と幹部たちが、雪見障子の下のガラス窓から椿の様子を眺めていた。
「ははっ、手でチンポ隠してウロウロしてやがる」
「うずくまって何かしてますよ……どうやら茂みに隠れようとしてるらしい」
「葉っぱのあいだから恥ずかしいケツ穴が丸見えだ」
「頭隠して尻穴隠さず、やな」
わははっ……と笑いあう男たち。
若頭の安生 京児は、そんな男たちを、一歩下がったところからタバコを吸いながら見ていた。
安生も、銀と同じで、このような凌辱劇に積極的に参加するタイプではない。
安生は、銀が組に入ったときからずっと銀に目をかけていた。
現在、銀は28。
安生は38歳。
銀が組に入ったのは18のとき。
そこらへんのチンピラとは一線を画す、地獄の底を覗いてきたような鋭い眼光が印象的な美少年だった。
銀は射撃の腕もピカイチだった。
なんのためらいもなく銃を構え、ターゲットを一瞬で殺る。
丹下組の組長、丹下 昇造も、銀の才能を買っていた。
だが、3年前に丹下が刑務所に入り、代理で組長の座に就いた西村は、銀を目の敵にした。
おそらく――これは安生の想像だが――西村は銀の美しい容姿が気に入らないのだ。
……西村は、片目が義眼だった。
そのため、黒い度付きの眼鏡をいつもかけている。
一方、ハーフである銀の目は、翡翠のように美しい碧色だ。
その目に見つめられた者はたいてい、銀に恋をしてしまう。
まるで魔法にかけられたかのように。
だが、銀自身は、誰かに執着することがほとんどない。
付き合う女を切らしたことはないものの、心底惚れた女はいないようだ。
もしも銀が誰かに惚れるとしたら、どんなふうになるのか――見当がつかなかった。
(……西村の親父は、三浦椿が銀に惹かれてるのが気にいらないんだろう――)
タバコの煙を吐き出しながら、安生は思った。
自分の醜い目とはまるで違う――美しいエメラルドグリーンの目を持った男への逆恨み。
(……にしても、ずいぶんとひどい仕置きだな――この寒空の下、いつまで裸で外に出しておくんだ?)
一方、外では――――
(……さ……寒い……)
椿は、ガタガタとふるえていた。
昼間でも気温が3度にも届かない寒さに、ピューッと強く吹く北風。
外に出されて10分経過したころには、全身の震えが止まらなくなっていた。
モミジの木の根元の茂みに背中を丸めてうずくまり、ときどきどこからか聞こえてくる物音にびくっとする。
こんな情けない姿を誰かに見られたら――
……そのうち、さらなる試練が椿を襲った。
あまりの冷えに、おしっこがしたくなったのだ。
(もっ……漏れちゃうっ……)
股間をおさえ、もじもじと脚を揺らす。
このまま――こっそり出してしまおうか。
だが、椿は、部屋の中から組の男たちが見ているのに気づいていた。
もしも勝手に小便をしたことで、さらに罰が追加されたら――
覚悟を決めた椿は、茂みの陰から飛び出し、障子を外から叩いた。
「……あっ……! どっ――どうかっ……! どうかっ……!」
激しい尿意に、カラダをくねらせ、
「な――なんでもしますっ……しますからっ! お願いっ……トイレに――行かせてくださいッ……!」
と哀願する。
窓の外をドンドン叩く椿に、
「ん? なんや?」
「またクソしたくなったんか?」
男たちは首をかしげる。
「……開けてやれ」
西村の言葉に、舎弟たちがガラガラと障子を開ける。
縁石の下にうずくまり、両手でチンポをおさえながらふるえる椿を、西村は冷たい目で見下ろす。
「なんや騒々しい――」
「あっ……」
小鹿のようによろよろと立ち上がった椿は、「お――お願いしますッ……トイレに行かせてくださいッ……」
と頭を下げる。
「あ? ションベンか? だったらそこにすればいいやろ。奴隷のくせにトイレ使いたいとか贅沢ぬかすな、このアホが」
「あ……でっ……でも……」
椿は、チラチラ後ろを見る。
「お――お願いです、せめて――せめて――部屋のなかで……」
(ははーん……)
誰かに見られるのをおそれているのだと悟った西村は、
「部屋のどこにシッコ出すんや。飯がまずくなるやろ。ダメや、外でしい」
と冷たくいい放つ。
「そやなぁ……ワン公みたいに片足あげてションベンせい。ただし、ワシが、よし、というまで出したらアカンぞ」
「そ……そんな……」
「それがイヤやったら、ずっとそこでチンポおさえて突っ立ってろ。わしらはなかにいるやけ――」
「あっ……! まっ、まってっ……!」
ふたたび障子を閉めようとした西村の足にすがりつき、「……わ――わかりました……」ガタガタとふるえながら、椿はお願いする。
「ど……どうか……外で――犬みたいに――おしっこさせてください……」
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