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第三章:肉便器の恋
出張レイプ①
しおりを挟む年が明け、1月になった。
年末の過酷なショーのあと、高熱を出した椿は寝込んでいた。
1月3日。
椿のもとにある男がやってきた。
丹下組の若頭補佐、橘 銀一郎だった。
橘 銀一郎――通称、銀は、丹下組で性奴隷調教を受けた椿を紳士クラブに送り込んだ人物だった。
10月にクラブに売られてから3カ月。
ときおり様子を見にくる銀は、椿に指一本触れなかった。
シルバーグレーに染めたツーブロックの短髪に洒落たダブルのスーツを身に着けた、ヤクザというより人気俳優のような美貌の銀は、
「……年末はずいぶんひどいことをされたみたいだな」
椿に聞く。
「まだ傷は痛むのか?」
椿はベッドに横たわったまま、うつろな目で銀を見上げた。
なぜいまさらそんなことを聞くのだろうと思った。
須長を殺したとき、銀は椿も殺そうとした。
連れ去った椿を性奴隷として飼い、あげくのはてに、このクラブに売りとばした。
椿の人生の歯車をすべて狂わせたのはすべて銀だ。
いっそ、あのとき、須長と一緒に殺してくれていたら、こんな苦しみを味わうこともなかったはずだ。
何も言わない椿の額にそっと触れ、
「……熱は下がったみたいだな」
銀は、椿の目をじっと覗き込む。
まるで湖のように美しい、エメラルドグリーンの瞳。
その瞳に魅了され、動けなくなった椿に、
「……明日また来る。久しぶりの外出だ。まぁおまえにとってはつらいものになるかもしれないが――休めるときに休んでおけよ」
と言い残し、部屋を出て行った。
銀が出ていったとたん、隣のベッドにいたミキが、
「ちょっとつーちゃん! なにいまのぉ?」
うさぎのようにぴょんぴょん跳ねて飛んでくる。
『おチンポミルク搾り隊』でトップの人気を誇るミキは、椿のことを「つーちゃん」と呼ぶ、人懐っこいギャルのような性格だった。
「なーんかすごくいい雰囲気じゃなかった? つーちゃんもしかして……あのヤクザさんとシた?」
「……まさか」
「えー、うっそぉ~! もったいなーい。あの人、すっごいイケメンじゃない。ミキならぜったいユーワクしちゃうなぁ♡」
「…………」
「あ、でもミキはねぇ、イケメンもいいけど、熊みたいなもっさりしたタイプもけっこう好きなの。ほら、イケメンって浮気するし、最後は女選んだりするじゃない? でも熊みたいなタイプはわりと一途だし――あ、でも、どっちでも、粗チンはぜったいムリ。入ってるか入ってないのか、わかんないんだモン。
……ミキの彼も、すっごくおチンポおっきかったんだぁ♡ 毎日ガンガンエッチしてくれて――借金してヤクザにつかまっちゃったけど――全部お金返せたら、ミキのことかならず迎えに来るっていってくれたから――」
……ちがう。
ミキの男は、借金のカタにミキを売ったのだ。
だけどミキは、借金がチャラになれば、ここから出られると信じている。
男がミキのクラブの給料を担保に、さらにギャンブルを繰り返しているとも知らず――――
「ね、つーちゃんの元カレはどんな人?」
「……え?」
「いたんでしょ? カレシ。そんなに可愛いんだもん、モテないわけないよ~ね、やっぱり年上?」
「……そんな――」
ベッドの上に起き上がった椿は、膝のあいだに顔をうずめ、
「そんなこと――したこと……ない」
とつぶやく。
「ええっ? ウソ~!? ……未経験でここに来たのぉ?」
「未経験っていうか……セ――セックスとか、ひどいことはたくさん経験したけど――誰かと付き合ったりしたことは……ない」
「ほんとうに?」
「……うん」
椿のベッドに腰かけたミキは、
「つーちゃん。だったら、恋しなよ」
真剣な表情を見せた。
「あんなモブじじぃたちの相手でせっかくの若さをムダにしちゃだめだよ。いつかここを出たら、ぜったいステキな相手を見つけるんだよ」
「そんな――」
「できるよ。つーちゃんならきっと。……あっ、さっきのヤクザさんはどう? 恋人になったら身受けしてくれるかもよ」
「そんな……むりだよ」
「なんでよぉ?」
「だって……」
――銀は自分のことをたんなる金儲けの道具としか思っていないだろう。
「ミキはね、ぜったいここを出て、カレシのところに行くんだ。そのためにいまはがんばって働いてお金貯めるの」
自分のベッドに戻ったミキは、鏡台にあった化粧水を顔に塗った。
「最近すごく乾燥してるよねぇ~。ちゃんとケアしないとお肌が荒れちゃう」
ハンドミラーを見ながら、顎の下で切りそろえた艶のある黒髪を櫛でとかす。
男の娘というのだろうか。
ミキは、おしゃれや化粧が大好きな子だった。
まだけだるさの残っていた椿は、ベッドに横になり、天井を見上げた。
――恋。
三浦家に引き取られ、叔父や従兄弟たちに嬲りものにされてきた椿は、まともな青春を知らなかった。
痛みが快感になるまで調教され――高校生になると、売春まで強いられるようになった。
そんな自分が、恋なんてできるわけない。
ましてや銀のような――誰もが見惚れるような美しい男となど――――
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