たとえば僕が死んだら

草野 楓

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第二章:地下室の奴隷たち

地下室の奴隷たち③

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 紳士クラブは、まるで古代の洞窟のような雰囲気だった。

 白いごつごつした岩の壁。
 打ちっぱなしのコンクリートの床。
 蛍光灯はなく、ほのかな蝋燭ろうそくの明かりが壁際で揺れているだけ。
 赤い緞帳どんちょうに囲まれたステージの前に、丸いガラステーブルが5つ並んでいる。
 入ってすぐのバーカウンターでシェイカーを振るバーテンダー。


 一見、洒落た洞窟バーのようだが――よく見るとそこは、地獄のように狂った世界だった。


 まず、あかりの蝋燭はすべて、4人の少年のアナルに突き刺さっていた。
 彼らは、鎖枷で両足首と両手首を拘束され、脚をV字に開き、天井から逆さに吊るされていた。
 ポトポトと落ちるロウで、腹や胸には、無数の水脹れができている。
 貞操帯で固定されたチンポ。
 乳首に穿たれたニップルクリップは、口のボールギャグと連結しており、唇の端から唾液が垂れている。

 彼らは、「人間蝋燭」としての任務を負わされていた。
 
「椅子」から立ち上がった客が、蝋燭のひとりに近づき、床に置いてあった責め道具箱から電マを取り出した。

「もう少しおっぱいを大きくしてやるか」
 少年の乳首に押し当てられる電マ。


 ブブブブブブッ……! と乳首を潰された少年は、不自由なからだをジタバタさせて悶絶する。揺れた蝋燭から、大きなロウが垂れてもう片方の乳首にヒットし、嵌められたボールギャグのなかで泣き叫ぶ。

「こらこら。あまり暴れると火が消えるじゃないか。そんなことしたら、蝋燭2本刺しの罰だぞ。わかってるのか?」

 少年の乳首から電マを離した男は、

「どれどれ、少しは大きくなったかな」
 クリップの挟まった少年の乳首をつまんで、ビーン、と引き伸ばす。

「…………ッ! ……ッ!!!」

「うーん、もう少し刺激しておくか」
 箱の中からガムテープを取り出し、ピンクローターを押し当て、テープで固定する。
「今夜はずっとこうしていろ」
 ピンクローターのスイッチが入り、少年の乳首が容赦なく潰される。

「んっ……! んぐっ……! フッ……! ゥゥッ――――ッ……!」
 ガクガク蝋燭を揺らす少年を尻目に、満足した男はテーブルに戻り、「椅子」にドスッと腰を下ろした。
 「椅子」役の少年は、腹に力を入れて、男の全体重をけんめいに受け止める。
 
 ――5つのテーブルに、客はそれぞれ4人。
 
 このクラブが一度に収容できる人数は、全部で20人。
 さっきの客が「ワシで最後か」といったのはそのためだ。

 ……紳士クラブは会員制で、客のほとんどは、経営者や政治家、宗教の教祖など、桁違いの金持ちだった。
 クラブでサーブされるのは、酒と、クラッカーやチーズなどの簡単なつまみだけ。
 だが、それに文句をいう客はいない。
 このクラブの目的は美食ではない。
 他にはない非日常の変態プレイ――美少年奴隷を道具やモノのように扱い、好き放題いたぶりながら酒を飲み、鬼畜なスレイブショーを鑑賞する。

 表の世界ではけして出せない、究極のサディズムと変態性欲。
 そんな倒錯した欲望を満たすためにやってくるのだ。

 

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