上 下
10 / 20

4、ケンカはマウントをとったほうが有利の法則(1)

しおりを挟む
 ノルンの舌の動きは躊躇いがちだ。先端が私の舌にかすめた途端、熱いものに触れたかのようにびくりとなった。私から舌を差し入れて、内側の歯の生え際をねっとり舐めてやる。甘いものばっかり食べていてもきれいな歯をしているんだっけ、と思い出しながら。

「う……」

 くぐもった声まで呑み込んでやる。上顎のわずかに凸凹したところや、舌の根っこの部分をくすぐってやると、ノルンの吐息の温度があがる。息継ぎに口を離し、ついでにノルンの手を引き寄せた。硬い甲が胸に当たる。

「想像通り硬かった?」

 仕事のときと違って、薄手のシャツにパンツという格好だ。感触は十分伝わってる。

 ノルンは遠慮がちに手をひっくり返して、そっと私の胸を包み込んだ。騎士団では小柄な彼も、剣を持って戦う仕事をしているだけあって、手はゴツゴツしていて大きい。握力だってきっと私とは比較にならないほど強いはず。その無骨な手が、壊れ物に触れるみたいに慎重に形を確かめ、優しく撫でる。
 シャツのすべすべの生地をさすっていた親指が、不意に乳首の上を通過した。

「んっ」

 私が声を上げたのに驚いたように、一度ノルンは手を止めたが、好奇心が湧いたのか、三呼吸置くと、繰り返しシャツの上を爪で掻いた。かすかな快感が胸の先に走って、私は身じろぐ。

「なあ、せっかくだから生で見せてくれよ」

 緊張した面持ちで、ノルンが小さくねだる。どの段階で拒否されるか、心配しているのかな。ここまでしてるんだから、だめだなんていうわけないのに。

「いいよ」

 シャツの裾を引っ張り出され、たくし上げられた。下着は、肌の白さを際立たせる黒いやつ。仕事上、顔は手入れしても日焼けがちだけど、鎧の下にしまわれている体は本来の肌の色を保っている。

 ノルンが、谷間に指を差し込み、胸を覆っていた下着を一気に引き上げた。いや、ちょっときついって。そういう苦情は呑み込んで、自由にさせてあげる。
 ぷるんと胸が揺れたのが、自分でもわかった。

「うわ」

 うわ、なんだというのか。それっきり黙ってしまったノルンは、青い目でまじまじと私の胸を凝視している。視線がくすぐったい。形と色には自信があるが、それにしても見すぎでは。

「触らないの?」

 あまり大きくはないが、保湿も気をつけているから触り心地だって悪くないはず。

「いいのかよ」
「いいよ。こうなった責任はとるよ」

 こう、と言いながら、懲りずに硬くなったノルンの股間を膝で押した。

「ふ……不用意にさわんな!」
「はいはい。下着汚したら、いくら自室まですぐでも、困るもんね」
「もう一個俺にトラウマこさえさせる気かよ」

 ノルンの手が直に触れた。温かくて硬い手のひら。なぜだろう、ちょっとほっとする。

「やわらけ……」
「ふっふっふ。そうだろうとも。私のおっぱいが硬いだなんて、触ったことない男の当てこすりだってすぐにわかるんだから」
「これは癒やされる」

 私の自慢なんか聞いちゃいない様子で、ノルンは胸を揉む。真ん中にギュッと寄せてみたり、揺らして震える様子を確かめてみたりと、忙しい。そして、目につくだろう赤く色づき立ち上がった乳首をきゅっとつまんだ。
 
「あ」

 触られまくったせいか、さっきより快感が強くて、甘い声が漏れてしまった。ノルンと目が合う。喘ぎ声聞かれるの、さすがに気まずい。

「なあ、今の、もう一回聞かせて」
「そういうのはあんたが努力するもんでしょ」
「……なるほど」

 神妙な顔でうなずいたと思ったら、ノルンが私の胸に顔をうずめた。温かい息があたって、ぞくりとする。硬い髪の毛が、肌にちくちくした。
 背中に回された腕に誘導され、長椅子の上で上下が逆転する。狭い座面上から、脚がずり落ちそうになった。

 伸ばした舌でべろりと乳首を舐められる。犬か。気持ちいいと言うよりくすぐったくて笑ってしまった。ノルンの舌は遠慮なく、胸を舐め回しみぞおちを下って、へそまでたどりついた。

 パンツの前ボタンを外されて、そのままさらに降ろうとするノルンの頭を、危ないところで掴んで止めた。

「待って。何する気?」
「なにするって、お前がさっき俺にしたこと」
「いや、それはちょっと」
「なんでだよ。舐められるの嫌いなのか」

 そういうわけじゃないが、状況が。
 レースのカーテンが引かれた窓からは、午後の柔らかな日差しが降り注いでいる。いい天気だ。この状況で脱いだら、隅々まで丸見えになること間違いなし、である。

 なんだか、見られるのが恥ずかしいと申告することが急に恥ずかしくなってきて、口ごもってしまう。

 無骨な手が、私のパンツを下着ごと引きずり下ろした。靴も脱がされて、手の届かない部屋の端っこに放り投げられた。

「あ、こら」

 膝を掴まれて躊躇なく左右に開かれた。
 間一髪、手で隠す。ノルンが舌なめずりしそうな様子で、視線を注いでいるそこを。

「隠す姿がよけいいやらしいぞ。ここは潔くすぱっと俺に拝ませろよ」
「すけべ、変態。もっとありがたがって。童貞のくせに余裕ぶってるの腹立つ」

 相変わらずのぞんざいな扱いに頭にきたので、スネでノルンの股間をぐりと押してやった。これ以上近づけないように。硬くなっていて、なんだったら、さっき、発散させてやったときより張り詰めているような気がする。

 ノルンが低く呻いた。
 その隙に私はずりずりと後退し、長椅子の端っこに小さくなる。ノルンと距離をとるためにそうしたのに、奴は椅子から降りてにじにじと膝立ちでにじりより、私の膝に手を置いた。私はその手を掴んで動きを制する。

「じゅうぶんありがたがってる。正直、諦めてたからな、お前に振り向いてもらうのは」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

月の後宮~孤高の皇帝の寵姫~

真木
恋愛
新皇帝セルヴィウスが即位の日に閨に引きずり込んだのは、まだ十三歳の皇妹セシルだった。大好きだった兄皇帝の突然の行為に混乱し、心を閉ざすセシル。それから十年後、セシルの心が見えないまま、セルヴィウスはある決断をすることになるのだが……。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

とある高校の淫らで背徳的な日常

神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。 クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。 後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。 ノクターンとかにもある お気に入りをしてくれると喜ぶ。 感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。 してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

処理中です...