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完結1周年番外編
花火は残響だけを置いて(後)
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俺は数日ぶりにミシカの住んでいたマンションへ赴いた。
鍵を受け取ったとき、管理会社の人間が「入室は、あまりおすすめできませんよ」と言っていた。仕事柄、こういう事故物件の後片付けの手配をするのだそうだが、現場に踏み込んだとき遺族は大きなショックを受けるのだとか。
だからといって、縁のない人間にミシカの身の回りの品を預けるなんてできなかった。
それに、見るべきだと思ったのだ。彼女がどういう最期を迎えたのか。自分のミスがなにを招いたのか、逃げるなんて許されないと。
鍵を開ける時、手が震えた。あの日、マンションに駆けつけた俺は、警察の張った規制線の中に入ることができず、この部屋から運ばれてくる、シートに包まれた担架を遠巻きに見つめるしかなかった。先に駆けつけていた警察官を強引に押しのけ、数人に取り押さえられたという。そのとき、ひとりの警察官を突き飛ばして軽症を負わせたらしいが、まったく記憶になかった。事情を考慮して不問に付すと、警察側が配慮してくれたのだが――ありがたいという感謝の念すら湧いてこなかった。今は、なにを考えるにも頭が霧がかったように鈍くなっている。負の感情の霧だ。
ドアを開けると、澱んだ湿度の高い空気と独特のにおいが鼻についた。
室内はひどい有様だった。警察に検められたからなのか、事件の痕跡なのか判断できないが、きちんと片付いていた部屋のものが、無造作に床に放り出され荒らされている。
薄暗いキッチンの板張りの床を見て、息が詰まった。弾痕があったのだ。
ミシカの命を奪ったのは、頭部への銃の一撃だったらしいが、確実に仕留めるためか、あの伊丹という男はまず彼女の胸と腹部を撃ち、それから頭部を撃ったという。そして自ら、銃で頭を撃ち抜いて死んだ。
思わず、その床の痕に指で触れた。がりがりと板のささくれが指にひっかかる。
こんな、硬く冷たく薄暗い床の上で、身体を暴かれて、殺された。怯えて電話口で助けを求めるミシカの声が脳裏に蘇る。あの涙声に誓った約束は守ることができなかった。
握りしめた手の平に爪が食い込む。奥歯をいくら噛み締めたところで、なにも変わらない。わかっているのに、俺はどうしてもそこから動けなかった。目の奥が沸騰したように熱くて、めまいがした。
硬直が解けたのは、しばらく経ってからだった。
夕方には鍵を返却する約束になっている。それを思い出して、なんとか立ち上がった。
ドアを開け放ち、居室を改めて見る。細々した荷物から、お菓子や衣類までごちゃごちゃと投げ置かれている。伊丹にやられたのか、それとも現場検証のときのままなのか、下着類までその荷物の山に紛れ込んでいて、怒りがこみ上げてきた。尊厳なんてかけらも見られない。彼女がこんな目に遭うに足る理由があったのか?
しゃがみこみ、鏡が割れてしまった化粧品のケースを退けた。薄いオレンジ色の粉にまみれた、ミシカのハンカチを手にとる。これは業者に任せてもいい。個人情報が載っているものを含めてミシカのプライバシーにかかわるもの、彼女が大事にしていたものはこちらでなんとかしたい。
無理やり手を動かし始めると、ゆっくりだが機械的に作業は進んでいった。
処分を業者に任せるものと、任せたくないもの、手元に残したいものに大別する。ごちゃごちゃに置かれていると嵩があるように見えた荷物も、分類してみるとさほどではなかった。もともと荷物の少ない彼女の部屋で、さらにはそこから様々なものが警察に押収されているのだから当然だった。
期待はしていなかったが、やはり彼女の使用していたスマートフォンや身分証のたぐいは残ってなかった。警察に押収されたのだろうから、おそらくは戻ってこないだろう。
どうせ捨てられるとわかっているのに、ぐちゃぐちゃになってしまったベッドを整えるのは止められなかった。ここで初めて触れたとき、ミシカは不安げに、そして健気に、俺を受け入れてくれた。すべてが終わって、おずおずと気恥ずかしそうに身体を擦り寄せてきた彼女は、俺との距離を詰めていいのか迷いながらも、身を預けたいと思ってくれていた。そう解釈するのは、自分がミシカに必要とされていたのだと思いたいからだろうか。
今は自分のことを考えている暇はない。そう気持ちを切り替え、作業に戻る。
中途半端に開いたカーテンから、西日が差し込んできて、部屋はかなりの暑さになっていた。背中に汗が浮く。
強い日差しは濃い影を生む。部屋の隅に寄せられた小さな棚は、そんな暗がりにあった。これも中身を検められたのか、収納されていたらしい冊子のたぐいはその前に出ていたり、上に乗せられたりしていた。
ざっと見たところ、気になるものはない。たとえば彼女が大好きだと言った本があれば残しておきたかったが――。積まれた本の背表紙を指でなぞっていると、ある冊子に気がついた。上下のハードカバーの本が張り出しているので発見しづらかったそれは、A5くらいのサイズの何の変哲もない手帳だ。ウィークリータイプで、一番うしろのページには地下鉄の路線図がある。ぱらぱらページをめくったところ、ミシカの字で紙面になにか記録されていた。彼女の字は、少し右肩上がりで細身だ。
読んでみたところ、体調の記録とメモだった。病院で指導を受けて体調の変化を残していたのだろう。気温や天気、服用した薬や体温などが記録されていて、まれに一言コメントが記されている。警察と病院がこれを見て押収しなかったのはなぜだろう。ほぼ体調の記録だけなうえ、日記というほど詳細に日々の出来事を記載しているわけではないから、参考にはならないとお目溢しされたのだろうか。あるいは他にちゃんとした手帳や日記があったのかもしれない。
記録自体は、ミシカが病院の管轄下に収まったころから始まっていて、はじめのころは不安定だった体調や気持ちが、少しずつ安定していくさまが読み取れた。薬が減ったり、不安が解消されたりといいことがあったとき、彼女は一言だけ、淡々とした記録の下にそれを書き連ねている。
たとえば『7月3日 晴れ、気温34℃、体温36.4℃ 体調良好 ・検査の結果異常なし、よかった』なんて感じで。事務的な記録は、なんだか彼女の人柄が現れているようで、苦笑してしまった。花丸や星をつけたりしないのがミシカらしいな、と。
片付けのときにアルバムを見てはいけないという鉄則を、あえて忘れたふりをして、俺はページを繰った。
一緒に花火を見た日には『なかなか寝付けなかった』と一言。意味深に感じるのは俺のただの願望か。ミシカの秘密を暴いているようで後ろめたく思うと同時に、自分が彼女の生活に何かしら影響を与えていたのではないかという、つまらない充足感を味わいたいがため、ページを繰る。
初めて彼女を抱いた日は、記録自体がなかった。翌日に『昨日は記録忘れ。色々あったけれど、元気』となっていた。この日あたりから伊丹のことがあったはずなのだが、その先にもそんなことを匂わせる記録はなかった。『睡眠不足』だとか『朝がつらい』とか書かれている日は、思い返してみればたいてい遅くまでミシカと連絡をとっていた日だ。あの日彼女と俺はたしかに繋がっていたのだと、記述を読むたびに、胸の奥がぎゅっと締め付けられる。
そして、事件の日。朝の体温の記録だけが残っていて、気温やら天気の記載はまだなかった。
俺は、目をつぶって、大きく息を吐いた。
この先は、白紙だ。そうわかっているのに、どうしても次のページをめくってしまった。
ないはずの記録があった。いや、メモか。日付に丸が付けられて『明日は記録忘れないように』と注意書きがあった。その日付をじっと睨んで、思い出した。その翌日、ミシカと会う約束をしていた。ああ、一度俺と会った日に記録を忘れたから注意喚起のつもりだったのか。
ミシカの真面目さにくすりとしたはずが、喉が詰まった感じがして笑声をもらすこともできなかった。
その日会ったら、一緒に暮らす気はないかと持ちかけるつもりだった。喜ぶだろうか、それとも戸惑うだろうか。そんな風に彼女の反応を想像するのが楽しかった。八割は喜んでくれると思いこんでいた。だからサプライズのつもりで、その日まで話題にしないようにしていたのだ。実際は、基地の外で暮らすことの許可はもう得ていて、彼女が一緒に暮らすかどうか確認するだけというところまできていたのだ。
明日、という彼女の文字が滲んでしまった。ペンのインクが耐水性でなかったらしい。
ミシカが言っていた、繰り返しの妄想、あれがせめて現実であってくれないだろうか。彼女の魂はまだ、どこか別の時間を生きている。
こんな終わりなんて認められない。
次は必ず幸せになってくれ。たとえ、その手を引くのが俺でなくても構わない。誰か、彼女を抱きしめて、辛かったなと言ってやってほしい。いつかミシカが花火を見て、誰かとくだらない話をしながら、ぼんやりと、あのとき俺とキスをしたっけなんて遠く思い出して……。そんなささやかな、そして穏やかな日が彼女に訪れてくれたら。
これは、自分の罪悪感を軽くしたいだけの逃避に違いない。
だが、そうでも思わないとやっていられない。なんて情けないと自分を罵っても、今はまだ寂しくて立ち上がれそうにない。
「ミシカ」
返事はないとわかっているのに、呼び掛けずにはいられない。
鍵を受け取ったとき、管理会社の人間が「入室は、あまりおすすめできませんよ」と言っていた。仕事柄、こういう事故物件の後片付けの手配をするのだそうだが、現場に踏み込んだとき遺族は大きなショックを受けるのだとか。
だからといって、縁のない人間にミシカの身の回りの品を預けるなんてできなかった。
それに、見るべきだと思ったのだ。彼女がどういう最期を迎えたのか。自分のミスがなにを招いたのか、逃げるなんて許されないと。
鍵を開ける時、手が震えた。あの日、マンションに駆けつけた俺は、警察の張った規制線の中に入ることができず、この部屋から運ばれてくる、シートに包まれた担架を遠巻きに見つめるしかなかった。先に駆けつけていた警察官を強引に押しのけ、数人に取り押さえられたという。そのとき、ひとりの警察官を突き飛ばして軽症を負わせたらしいが、まったく記憶になかった。事情を考慮して不問に付すと、警察側が配慮してくれたのだが――ありがたいという感謝の念すら湧いてこなかった。今は、なにを考えるにも頭が霧がかったように鈍くなっている。負の感情の霧だ。
ドアを開けると、澱んだ湿度の高い空気と独特のにおいが鼻についた。
室内はひどい有様だった。警察に検められたからなのか、事件の痕跡なのか判断できないが、きちんと片付いていた部屋のものが、無造作に床に放り出され荒らされている。
薄暗いキッチンの板張りの床を見て、息が詰まった。弾痕があったのだ。
ミシカの命を奪ったのは、頭部への銃の一撃だったらしいが、確実に仕留めるためか、あの伊丹という男はまず彼女の胸と腹部を撃ち、それから頭部を撃ったという。そして自ら、銃で頭を撃ち抜いて死んだ。
思わず、その床の痕に指で触れた。がりがりと板のささくれが指にひっかかる。
こんな、硬く冷たく薄暗い床の上で、身体を暴かれて、殺された。怯えて電話口で助けを求めるミシカの声が脳裏に蘇る。あの涙声に誓った約束は守ることができなかった。
握りしめた手の平に爪が食い込む。奥歯をいくら噛み締めたところで、なにも変わらない。わかっているのに、俺はどうしてもそこから動けなかった。目の奥が沸騰したように熱くて、めまいがした。
硬直が解けたのは、しばらく経ってからだった。
夕方には鍵を返却する約束になっている。それを思い出して、なんとか立ち上がった。
ドアを開け放ち、居室を改めて見る。細々した荷物から、お菓子や衣類までごちゃごちゃと投げ置かれている。伊丹にやられたのか、それとも現場検証のときのままなのか、下着類までその荷物の山に紛れ込んでいて、怒りがこみ上げてきた。尊厳なんてかけらも見られない。彼女がこんな目に遭うに足る理由があったのか?
しゃがみこみ、鏡が割れてしまった化粧品のケースを退けた。薄いオレンジ色の粉にまみれた、ミシカのハンカチを手にとる。これは業者に任せてもいい。個人情報が載っているものを含めてミシカのプライバシーにかかわるもの、彼女が大事にしていたものはこちらでなんとかしたい。
無理やり手を動かし始めると、ゆっくりだが機械的に作業は進んでいった。
処分を業者に任せるものと、任せたくないもの、手元に残したいものに大別する。ごちゃごちゃに置かれていると嵩があるように見えた荷物も、分類してみるとさほどではなかった。もともと荷物の少ない彼女の部屋で、さらにはそこから様々なものが警察に押収されているのだから当然だった。
期待はしていなかったが、やはり彼女の使用していたスマートフォンや身分証のたぐいは残ってなかった。警察に押収されたのだろうから、おそらくは戻ってこないだろう。
どうせ捨てられるとわかっているのに、ぐちゃぐちゃになってしまったベッドを整えるのは止められなかった。ここで初めて触れたとき、ミシカは不安げに、そして健気に、俺を受け入れてくれた。すべてが終わって、おずおずと気恥ずかしそうに身体を擦り寄せてきた彼女は、俺との距離を詰めていいのか迷いながらも、身を預けたいと思ってくれていた。そう解釈するのは、自分がミシカに必要とされていたのだと思いたいからだろうか。
今は自分のことを考えている暇はない。そう気持ちを切り替え、作業に戻る。
中途半端に開いたカーテンから、西日が差し込んできて、部屋はかなりの暑さになっていた。背中に汗が浮く。
強い日差しは濃い影を生む。部屋の隅に寄せられた小さな棚は、そんな暗がりにあった。これも中身を検められたのか、収納されていたらしい冊子のたぐいはその前に出ていたり、上に乗せられたりしていた。
ざっと見たところ、気になるものはない。たとえば彼女が大好きだと言った本があれば残しておきたかったが――。積まれた本の背表紙を指でなぞっていると、ある冊子に気がついた。上下のハードカバーの本が張り出しているので発見しづらかったそれは、A5くらいのサイズの何の変哲もない手帳だ。ウィークリータイプで、一番うしろのページには地下鉄の路線図がある。ぱらぱらページをめくったところ、ミシカの字で紙面になにか記録されていた。彼女の字は、少し右肩上がりで細身だ。
読んでみたところ、体調の記録とメモだった。病院で指導を受けて体調の変化を残していたのだろう。気温や天気、服用した薬や体温などが記録されていて、まれに一言コメントが記されている。警察と病院がこれを見て押収しなかったのはなぜだろう。ほぼ体調の記録だけなうえ、日記というほど詳細に日々の出来事を記載しているわけではないから、参考にはならないとお目溢しされたのだろうか。あるいは他にちゃんとした手帳や日記があったのかもしれない。
記録自体は、ミシカが病院の管轄下に収まったころから始まっていて、はじめのころは不安定だった体調や気持ちが、少しずつ安定していくさまが読み取れた。薬が減ったり、不安が解消されたりといいことがあったとき、彼女は一言だけ、淡々とした記録の下にそれを書き連ねている。
たとえば『7月3日 晴れ、気温34℃、体温36.4℃ 体調良好 ・検査の結果異常なし、よかった』なんて感じで。事務的な記録は、なんだか彼女の人柄が現れているようで、苦笑してしまった。花丸や星をつけたりしないのがミシカらしいな、と。
片付けのときにアルバムを見てはいけないという鉄則を、あえて忘れたふりをして、俺はページを繰った。
一緒に花火を見た日には『なかなか寝付けなかった』と一言。意味深に感じるのは俺のただの願望か。ミシカの秘密を暴いているようで後ろめたく思うと同時に、自分が彼女の生活に何かしら影響を与えていたのではないかという、つまらない充足感を味わいたいがため、ページを繰る。
初めて彼女を抱いた日は、記録自体がなかった。翌日に『昨日は記録忘れ。色々あったけれど、元気』となっていた。この日あたりから伊丹のことがあったはずなのだが、その先にもそんなことを匂わせる記録はなかった。『睡眠不足』だとか『朝がつらい』とか書かれている日は、思い返してみればたいてい遅くまでミシカと連絡をとっていた日だ。あの日彼女と俺はたしかに繋がっていたのだと、記述を読むたびに、胸の奥がぎゅっと締め付けられる。
そして、事件の日。朝の体温の記録だけが残っていて、気温やら天気の記載はまだなかった。
俺は、目をつぶって、大きく息を吐いた。
この先は、白紙だ。そうわかっているのに、どうしても次のページをめくってしまった。
ないはずの記録があった。いや、メモか。日付に丸が付けられて『明日は記録忘れないように』と注意書きがあった。その日付をじっと睨んで、思い出した。その翌日、ミシカと会う約束をしていた。ああ、一度俺と会った日に記録を忘れたから注意喚起のつもりだったのか。
ミシカの真面目さにくすりとしたはずが、喉が詰まった感じがして笑声をもらすこともできなかった。
その日会ったら、一緒に暮らす気はないかと持ちかけるつもりだった。喜ぶだろうか、それとも戸惑うだろうか。そんな風に彼女の反応を想像するのが楽しかった。八割は喜んでくれると思いこんでいた。だからサプライズのつもりで、その日まで話題にしないようにしていたのだ。実際は、基地の外で暮らすことの許可はもう得ていて、彼女が一緒に暮らすかどうか確認するだけというところまできていたのだ。
明日、という彼女の文字が滲んでしまった。ペンのインクが耐水性でなかったらしい。
ミシカが言っていた、繰り返しの妄想、あれがせめて現実であってくれないだろうか。彼女の魂はまだ、どこか別の時間を生きている。
こんな終わりなんて認められない。
次は必ず幸せになってくれ。たとえ、その手を引くのが俺でなくても構わない。誰か、彼女を抱きしめて、辛かったなと言ってやってほしい。いつかミシカが花火を見て、誰かとくだらない話をしながら、ぼんやりと、あのとき俺とキスをしたっけなんて遠く思い出して……。そんなささやかな、そして穏やかな日が彼女に訪れてくれたら。
これは、自分の罪悪感を軽くしたいだけの逃避に違いない。
だが、そうでも思わないとやっていられない。なんて情けないと自分を罵っても、今はまだ寂しくて立ち上がれそうにない。
「ミシカ」
返事はないとわかっているのに、呼び掛けずにはいられない。
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