【R18】Overkilled me

薊野ざわり

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本編

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 荒々しい運転でバスは指定の場所へ向かっていた。その指定のポイントがどこなのか、私にはわからない。
 ただ、兵士たちが発砲し、追いすがる感染者の大群と距離が開いていく。
 窓からその様子が見えて、ほっと胸をなで下ろした。

 爆撃にあったような音と、ガラスの砕ける音、タイヤの鳴る音。
 それらが同時に鼓膜を震わせ、私はバスの座席に、強かに側頭部を打ち付けた。


74、

「しっかりしろ、ミシカ」

 頬を叩かれて、一瞬飛んでいた意識が戻ってくる。全身が痛い。もはや、いつの負傷かもわからないほど、あちこちを打ち付けている。
 リアンに抱き起こされて、異変に気付いた。天井に窓がある、座席がある。タラップさえも、天井に。

「痛むところは」

 わからない、と口を開こうとすると、耳鳴りを伴う頭痛に襲われて、私は歯を食いしばった。ちかちか明滅する視界に将棋倒しになった兵士たち姿が映った。呻いてよろめきながら、意識のある者から身を起こしていく。

「バスが横転した。ビルから飛び降りた感染者が、フロントガラスに直撃したみたいだ」

 リアンの説明もどこか遠い。彼は私を担ぐようにして、立ち上がった。

「……まずいな」

 彼の視線の先にいるは、アクリル板に隔離された後部座席の感染者たちだった。私は瞬きをする。人数が増えているように見えた。いや、増えている。
 バスの背面のドアが開いていた。感染者を直接後部座席に乗せる時に使っていたドアだ。追いついて来た感染者たちが、そこから入ってきていた。

「退避しろ! 急げ! 天井に上がれ!」

 アルバートの声がした。兵士たちが、緩慢な動きで起き上がり、今は天井になったタラップに飛びつく。
 それを合図に、どっと後ろのドアから感染者たちが押し寄せて来た。車体の前後を分けるアクリル板に激しく衝突して、車体を軋ませる。

「おい、しっかりしろ!」

 空いている方の手で、鼻血を流して朦朧としている茶髪の衛生兵の襟首を掴んで引きずりながら、リアンもタラップに向かう。
 ようやく意識がクリアになってきて、私は彼の肩に担がれたまま、頭を振った。
 足下に、救おうとして救えなかった負傷兵の二人が倒れている。運転席には、運転手が突っ伏しており、その上には飛び降りてきた感染者が、関節の限度を超えた角度で腕を曲げて折り重なっていた。ふたりとも、絶命している。

「手を!」

 先に車内から出た兵士が、私に向かって手を差し出した。それにしがみつき、壁を蹴る。下からリアンが押し上げてくれて、なんとか外に顔をだせた。憎らしい程の晴天が待っていた。
 続いて、茶髪の青年がよじ上って出てくる。

「リアン!」

 車内に向けて呼びかけるのと、リアンが腕を突っ張って一息に車外に出てくるのは一緒だった。そして、車内に固定する金具ごとアクリル板を押し出して、感染者たちが押し寄せてくるのは。
 足首を掴まれたリアンを、兵士たちが引っ張りあげ、車内に向けて発砲する。まるで海の泡のように次々と、感染者たちがせり上がってくる。
 後ずさりして、ぎくりとした。バスの四方もとっくに囲まれて、よじ上ろうとする感染者たちの手が、あわよくば私たちを引きずり降ろそうと蠢いていた。

「まさに八方ふさがりだな」

 アルバートが言った。その口調はおちゃらけていたが、声に余裕がない。
 海に浮かぶ島のように、感染者の群がるバスの上で、私たちは背中合わせになった。近寄ってくる感染者を蹴り落とすしかなかった。だが、これもいつまで持つか。
 感染者たちはどこに潜伏していたのか、通りのあちこちから顔をだして、徐々に人数を増やしている。
 上がってきた感染者の頭を蹴り飛ばしたとき、横から掴み掛かられて、私は体勢を崩した。足首を掴まれて、恐慌状態に陥りそうになる。

「下がっていろ!」
 怒鳴って、私の脚を拘束する腕を引き離したのは、アルバートだった。
「アルバート、救助要請は」
 リアンが問う。
「すでにしてある。だがいつ到着するか。途中で通信が切れたんだ」
「……ガソリンの臭いがする。発砲するな!」
「発砲するな! 引火する!」

 リアンに次いで、アルバートが叫んだ。しかし、聞こえないのか恐慌状態に陥っているのか、発砲音が止まない。引きつった悲鳴を上げながら、マシンガンを乱射しているのは、あの茶髪の青年だった。寄ってくる感染者に向けて、闇雲に撃つ。

「よせ、発砲するな!」

 アルバートが叫ぶ。同時に、リアンが、飛び降りろと叫んだ。わけがわからないうちに、私はリアンに襟首を掴まれて持ち上げられ、頭を抱えられる。言葉を発する暇も与えられず、次の瞬間には、感染者の蠢く地面に叩き付けられていた。アスファルトであちこちを擦りむき、リアンの下敷きになって息が詰まる。あっという間に群がった感染者たちにもみくちゃにされて、リアンの腕から引き離される。

 悲鳴をあげた、つもりだった。
 耳を聾する音と衝撃、熱風に襲われて、私はさらにアスファルトを転がった。
 全身への衝撃で、しばらく身動きが取れない。スタングレネードを使った時のように高い耳鳴りに聴覚を支配される。

 ようやく、腕が動かせるようになった。震える手を突っ張って、身を起こす。背後から打ち寄せる熱風に、本能的にここから逃げなければと思う。
 背後で、黒煙を上げてバスが炎上していた。周りには、感染者たちが折り重なって倒れている。彼らの中で動ける者は相変わらずこちらに向かってきていたが、無傷な人はいそうになかった。幸か不幸か、おそらく私は彼らが盾になって、致命傷を避けられたのだ。
 少し離れたところに、アルバートが倒れ伏していた。その先に別の兵士が一人。誰も動かない。

 荒い呼吸をしながら、辺りを見回す。炎の間近に、ぴくりともしないリアンがうつ伏しているのを見付けて、這い寄った。

「リアン、起きて、ねえ」

 肩を揺する。だが、動かない。
 手が震える。
 彼の背中が、あまりにも酷い状態だったからだ。ガラスが刺さり、爆風で衣服が裂けて出血している。ただ血が出ているだけではなくて、火傷も負っているようだった。裂けた衣服の端は焦げている。

「リアン、ねえってば」

 声も震えた。だが、そこに立ちすくんでいるわけにはいかない。
 私は彼を死に物狂いで仰向けにすると、脇の下に手を差し入れて、全力で引く。ここから離れないと、また爆発するかもしれない。
 爆風で一度は吹き飛ばされた感染者たちが、じりじりとまた戻って来ている。あれに捕まるわけにはいかない。
 だというのに、私は、全力で挑んでも、彼を引きずって逃げ回るには力不足だった。

 どうしよう、どうすればいい。焦燥に、心臓が悲鳴をあげる。頭が真っ白だった。

「誰か! お願い、助けて!」

 叫ばずにいられなかった。誰も答えてくれはしない。
 痛みなんて、と思っても、ふくらはぎには力が入らない。無様に尻餅をついて、また立ち上がる。

「誰か!」

 後ろから肩を叩かれて振り返り、横面を張り飛ばされてよろめいた。スカートが焦げたオフィスカジュアルの、中年女性だった。血走った目をぎょろつかせて、返す手で私の目に向かって爪を突き出される。ぎりぎりのところでその手を掴む。体勢を崩して、アスファルトに押し倒された。
 女性とは思えない腕力で、彼女は跨った私の目を抉ろうとしてくる。彼女の胸元は夥しい血がついていて、それが彼女のものかそれとも他人のものかはわからなかった。

「退いて……!」

 私は彼女の頭をめがけて頭突きを繰り出した。瞼を彼女の爪が掠って、かすかな痛みを覚えたが、それどころじゃない。手加減なしに頭をぶつけ、目の奥が赤く明滅した。
 二度、三度。彼女の力が緩むまで、何度でも。
 脱力した女性を自分の上から蹴って退かす。
 立ち上がろうとしたら、腹部を蹴り飛ばされた。今度はサラリーマンか、くそったれ。反吐を吐きながら、私は、自分を横から蹴り飛ばした男を睨んだ。アスファルトに這いつくばった私の頭に、男の足が振り下ろされる。
 衝撃に備えて顔を背けたが、痛みの代わりにどすんという重たい音が降って来た。

「……無事、か?」

 喘鳴をこぼしながら、感染者の足首を捻り上げたのはリアンだ。

「リアン!」

 彼は転倒してもがく感染者に這い寄るとその背に肘を落として黙らせる。負傷者とは思えない重たい一撃で、嫌な音が私にまで聞こえる。痙攣して、感染者は足をばたつかせた。
 吐瀉物まみれの口元を拭って、私はリアンを抱き起こそうとした。苦痛に顔を歪めて、彼は身を起こし、よろよろと立ち上がる。彼の視線が、アスファルトに転がったマシンガンに向いていることに気付いて、私はそれを拾い上げ、リアンに手渡した。
 リアンの脇に、自分の肩を差し入れる。不格好な二人三脚でのろのろとバスから離れた。

「ミシカ、怪我は」

 焦点の危うい目でリアンが問うてくるので、私は首を横に振った。リアン程ではない。
 彼の背に回した腕が、ぐっしょり濡れていて、泣きたくなってくる。
 なんでこんな。どうして、いつも。誰か、早く助けにきて、お願いだから。

 足をもつれさせながら、道路を渡りきった。近付いてくる感染者を撃った反動で、リアンが体勢を崩し、私もつられてたたらを踏む。

「とにかく、どこか隠れないと」
「あそこへ」

 リアンが指し示したのは、銀行のATMコーナーだった。独立した箱形のそれで、火事場泥棒にでもあったのか、ガラスが割れて、もう骨組みだけのように見える。

「シャッター、を、下ろせば、少しは……耐えられる。狭いが、……救助がくるまでなら、もつだろう」

 たぶん、苦しいんだ。リアンはときおり喘ぐように、ぜえぜえと嫌な呼吸をする。早く休ませてあげなければ。

 なんとかATMコーナーにたどり着いて、リアンを機械に寄りかからせて座らせた。負傷している背中を庇って、体側たいそくを機械に寄りかからせたせいで、不安定に体が傾いでいる。

「いらっしゃいませ、画面をタッチしてください」

 ATM機ののんきなアナウンスに、心底腹が立った。
 壁をあちこち探しまわって、ようやく、シャッターの昇降ボタンを発見した。
 寄って来た感染者を、リアンが一人撃ち倒す。
 じりじりした動きでようやくシャッターが降りると、狭い空間はほとんど完全に遮光された。足下の僅かな隙間からだけ光が入ってくる。
 がしゃんと音がした。リアンが銃を床に取り落としたのだ。

 私は彼の横にしゃがみこんだ。
「どう、……どうしたらいい? 手当て、なにか」
 上手く言葉が出て来ない。
 リアンの呼吸が浅くて速い。それに不安を煽られる。
「息が、苦しい」
「息? 人工呼吸する? 背中をさする? でも、怪我が」
「いや、キスしてくれ」

 真面目に言ったのに笑われてからかわれて、頭にきた。

「ちゃんと指示して。頼むから」
「ああ、だから、キスしてくれ。こういうとき、は、精神的に、折れたら、いけない」

 なら、何度だってしてやる。彼の頬を包み込んで、唇をふさぐ。苦しそうに呼吸を繰り返しているので、軽く触れるだけの口づけ。すると、リアンは小さく笑った。

「爆風で、どうやら、喉を、やられたようだ。間抜けだ。こういうとき、酸素の、消費が大きい、……筋肉が、多いと」
「だったら黙っていて、ねえ。救助、きっとすぐ来るから」
「姿勢が、……辛いんだ。肩を、貸して……くれないか」

 言われるがままに、私はリアンの脇腹に腕を差し入れて、肩に彼の頭を寄りかからせた。重たい。ぐったりしているから、余計に。彼が小刻みに震えていることに気付いて、心臓がぎゅっと苦しくなった。
 投げ出されている大きな手を握りしめる。握り返す力が弱い。

「なんで、……さっきバスから飛び降りた時、どうして庇ったの。こんな大怪我して。死んじゃったら、どうするつもり。ああ、だめ、答えなくていいから」
「たしかに、……死にたくは、ないが。咄嗟に」
「私なら、大丈夫だったのに」
「君が、そんなに、運動能力に……自信があったとは」
「――私なら、もし死んでも」

 ごつんと頭を耳にぶつけられて、私は悲鳴をあげた。

「痛い」
「怒るぞ」
「私だって怒ってる。さっき、あなたが目を開けなかったとき、心臓が止まるかと思った」
「君がもし、死んだら……また、ひとりで、無茶するだろう」
「……うん。だから、絶対に、手を離さないで」

 リアンは、長くて細い溜息をついて、小さく笑った。

「ミランダに、……捨てられたとき」
「ストップ」

 今度は私がリアンの頭に頭突きをいれる。

「このタイミングで思い出話なんてやめて。しかも、別の女の人の話とか、酷すぎる」
「それは、……君が言えた、立場じゃ、ないだろう。……まあ、聞け」

 途切れ途切れに、吐息まじりにそう言われて、今すぐ口を塞いでやりたいのを、必死にこらえる。これで彼の気が紛れるなら、朝までも、何日間でも話を聞く。
 リアンは軽く咳き込んで、言葉を続けた。

「ミランダを、幸せにするのが、……俺じゃなかった、……と、諦めることに、した。最高に、しんどかった」

 うん、と返すことしかできない。その出来事がなければ、私はリアンとこうして出会っていなかったかもしれないからだ。まだ見ぬ――そして多分、将来にわたって顔をあわせることもないミランダに、嫉妬と感謝の複雑な気持ちがこみ上げてくる。

「君と、別の、……俺の話を聞いたとき、……そっちの俺は、残念だが、……君を幸せにしてやる、巡りあわせに、……いなかったんだろうと思った。代わりに、……俺がと、勝手に思っていたんだが……、もしかすると、また、違うのかもな」

 怪我人だということも忘れて、私は思わず彼の頬を張っていた。
 体勢を維持できなくて、ふたりしてひっくり返る。リアンの背中を庇い、自分が下になり、彼の頭を胸に抱えこむ形になった。床に後頭部がついて、散らばっていたガラスが髪の毛の下でじゃりっと鳴った。刺さらなくてよかった、なんてどこか冷静な頭で思った。
 また泣いていると指摘されたくなくて、私はリアンの頭を抱え込んだ右手はそのままに、左手で自分の目を覆った。しかし、いつになっても彼の指摘は無い。

 恐る恐る彼が息をしているか確かめる。顔を手でなでると、たしかに、苦しそうではあるが、呼吸はしていた。
 だが、その頬が濡れていて、私はぎょっとした。思わず、自分の涙が引っ込むくらい。
 おろおろしてしまう。子供にするように、背中をなでようとして、怪我を思い出して、手を引っ込める。その手を、おもむろに掴まれた。
 リアンの手が、すがりつくように私の手を握る。
 冷たい。

「他人のように、……君が別の、俺の話をする度、……別人のように、思っていた。君を失って、……気の毒にと。他人ごとだったせいで……罰があたったな」

 私は、首を横に振った。暗い中だし、彼の首の角度からは、見えないだろうけれど。
 しいっ、と子供に言い聞かせるように、息を吐いて。いつか彼がしてくれたように。

「リアン、疲れているからそんなことを思うのよ。少し休んで。目が覚めたらきっと、救助が来てる」

 あやすように、彼の頭をゆっくりとなでる。

「私はどこにもいかない。あなたと一緒に暮らしてみたいし、あなたに見守っていてもらわないと無茶してしまうから。それに、また、抱いてもらう約束だし」
「……それは、約束、……したかな」
「した。ええ、したわ。私を幸せにって、ちょっとでも思うなら、今は少し、休んで」
「そうだ、なあ。約束は、守らないと」

 子供を寝かしつけるように。そっと、リズミカルに、彼の肩を叩く。胸の上で、かすかな呼吸を繰り返す彼の重みを感じる。
 遠くから、ばらばらと、ヘリコプターの羽根の音が聞こえてくるまで、私はずっとそうしていた。
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