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本編
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かすかな振動でまどろみから浮上する。顔を上げると、棚に背を預けたリアンが舟を漕いでいた。私はその胸に頭を預けてうとうとしていたようだ。
姿勢を変え、打撲傷の痛みと倦怠感に襲われる。動きが鈍くなるが、不快ではなかった。
よっぽど疲れているのか、リアンは私が少し動いても目を覚まさない。
その唇に自分のものを重ねようとして――やめた。恋人の真似事なんかしてあとで辛くなる。
倉庫の天井近くにある窓から差し込んできた明け方の光が、床を照らしている。
71、
リアンの呼吸に耳を澄ませて、鼓動を感じる。少し寒くて、ふるりと肩が震えた。
どのくらい、そうしていただろうか。リアンが目を開け、数回瞬きして、眉根を寄せたあと、大きなため息をついた。
「……しまった」
あまりにその嘆き方が大げさだったので、私は彼から身を離して、床にぺたりと座り込んだ。熱源から離れると寒い。
「後先考えなかったのは、まずかったな。酷い状況だ」
「ああ……」
言われて私も顔を顰めた。
床に広げていた服は、気づかぬうちにぐちゃぐちゃに丸まっているし、そのそばには昨晩の残骸が。お互いシャワーも浴びられていないせいで、嫌な臭いがする……気がする。服をたぐり寄せてみれば、ちゃんと広げていなかったからか、生乾きだし、特有の臭いがする。
「今ここに救助が来ても、外に出られないわ」
「まったくだ」
そうは言ってもこのままではいられない。
嫌々ながら、湿った衣服を身に着けて、ぐしゃぐしゃになった髪を手で梳いた。
振り返ると、下着姿のリアンが、床をその辺にあっただろうウエスで擦っていた。手間取っている。大きな背中を丸めた後ろ姿が哀愁を感じさせた。
「なんか、……ごめんなさい」
「謝るな」
私は倉庫の端にあったゴミ箱の近くから、梱包に使うためのものらしい新聞紙を見つけて来て、彼に渡した。彼は肩を落としたままそれを受け取って、ゴミを包んで、少し悩んだ後、ゴミ箱の奥の方にぐいぐいと押し込んだ。生ものが入っているのか、ゴミ箱の蓋が開くたびにかすかな悪臭がする。
生乾きの服を着る時も、リアンはため息をついた。気持ちはわかる。装備を整えて彼は時計を見る。
「今、六時半だ。これから移動しようと思うが、脚は大丈夫か」
「痛むけれど歩ける」
「無理はするなよ」
シャッターを叩く音は止んでいた。だが、万が一を考えて、私たちは裏にあった窓から外へ出ることにした。
顔の高さの窓によじ上るのは、私にはかなりの重労働だった。先に窓を乗り越えたリアンに引っ張り上げられて、降りる時は手を貸してもらう。
晴天だった。昨晩の雨で湿気はあるものの、空には雲一つない。あれだけ追いかけて来た感染者たちもどこへ行ったのか、影すら無かった。
アスファルトには、ガラス片や血痕が散っていたり、踏み荒らされて折れた植え込みの植物が落ちている。ときには靴や、バッグなどもあった。
濡れた路面でガラス片が太陽光を反射して煌く様子は綺麗だったが、少しでも顔を上げると、建物や道路の破壊の痕が目につく。
「どこかで銃を入手できればいいんだがな」
そう言うリアンは素手だった。昨日のショットガンが最後の武器だったのだ。私にしても、彼から預かった拳銃はルーフから転げ落ちた時に紛失した。今、感染者の大群に襲われたらひとたまりも無い。
警戒しながら、先行するリアンを追いかける。体重をかけるとふくらはぎが鋭く痛むので、それを庇って変な歩き方になる。おまけに、怪我をした方の足の靴が無いから、歩きづらいことこの上なかった。
「無理するなと言っただろう。脚が痛いなら、負ぶって欲しいと言えばいい」
リアンが戻って来た。腰に手をあてて、呆れた顔。
「……自分から言いづらいでしょ」
「君は照れるポイントがずれてないか」
言外に昨晩のことを言われているのだと気付いた。
「それとこれとは別よ」
昨晩は色々勢いづいていた。思い出すと気まずいが、本当に必死だったのだ。羞恥心がいまごろになって戻ってきて、そわそわしてしまう。
それに、私を背負っていたせいで咄嗟の反応ができなかったなんてことになったら、困る。
「早く行かないと、回収してもらえなくなる」
背中を向けてしゃがみ込まれ、私は渋々リアンの背にしがみ付いた。彼には背負われてばかりだ。
「肩を貸してくれればいいのに」
「身長差があって、歩けないだろ」
私は黙り込む。リアンも何も言わずに、黙々と歩く。その間、急に襲われたりしないように、周囲を警戒して見回すことに注力した。
無事救助してもらったら、また、私はキャリアとして保護されるのだろう。そして、新しい身分を得て、新しい生活を始める。
そのとき、リアンは傍にいてくれるだろうか。
前を向いて、律動的に歩く彼の表情は見えない。今、何を考えているのか、わからない。
勢いで肌を重ねたことを、後悔しているだろうか。だから、昨晩のことについてなにも言わないのか。そうであれば、この先も一緒にいてくれるなんて、望み薄だった。
悲観的なことを考えると、頭の中がそればかりになりそうだ。昨晩は受け入れてもらえただけで、幸運だったと思おう。
しばらく進むと、記憶にある奇妙なオブジェが見えてくる。三角形をくっつけて、空に向けて高く延ばした銀色の塔。斜めに切られた円柱形の青い建物に、茶色のタイルが敷き詰められた広大な土地。公共ホールだ。
「やっぱり気になる。あのオブジェはなんなんだろう……」
「美術的な素養がない俺に聞かないでくれ」
独り言に返されて、私は思わず笑ってしまった。
「私も最高でBだったわ、学校の美術は」
「俺はCプラスだな」
「どちらかといえば、国語が苦手で」
「ああ、だから言葉が足りないのか」
くつくつ笑われた。彼の背中が振動する。
むっとするより、なんだか空しくなって黙り込んだ。タイムリミットが近いと思うと、何を話せばいいのかわからない。
「もう少しだ」
私が黙り込んだせいか、リアンはそう言うと、また無言になった。
とりあえず、建物の前まで行って私はタイルの上に腰を降ろした。
「ありがとう」
降ろしてもらうときにそう言うと、彼は、ああ、と小さく頷いて隣に腰を下ろした。
朝の爽やかな風が、肌をなでて行く。生乾きの服のせいで少し寒いが、かえってそれが心地よいくらいだった。
膝を抱えたまま、ちらりとリアンの顔を盗み見る。朝の光に光る、薄い緑色の瞳は遠くを見ていた。やや伸びた無精髭。それに触れたいと思う。けれど、手を伸ばすことはできなかった。
このまま、……できれば今しばらく、このままでいたい。
そんなことを考えてしまう。
ここを出たら、もう会うことも無い――昨晩、須賀と私に言った彼の言葉が、頭の中に蘇る。
指に力が入って、立てた膝をぎゅっと握った。それを悟られたくなくて、顎を乗せて待ち草臥れたように振る舞う。
◆
「……おかしいな」
「今、何時?」
「もう七時二十分だ」
腕時計を確認して、リアンが周りを見回す。迎えが来る気配はない。
「確認だが、本当にここに七時に迎えが来るんだろう?」
「ええ、前回はそうだった。ヘリで迎えに来た兵士に、あなたが確認して。私たちはそれに乗れなくて、翌日――つまり今日だけど、ここで七時に拾ってもらった。迎えにきたのは、大きなバスだった」
「ヘリで迎えに来た兵士?」
「前回は、ヘリが墜落しなかったから、リーサやホセはそれに乗って脱出したのよ」
リアンは私の説明を聞いて、困惑したように眉根を寄せた。
「嘘じゃない」
「別に、君の言葉の真偽を疑っているわけじゃない。ただ、条件が変わったんじゃないか」
「条件?」
「ああ、そうだ。ヘリが墜落して、軍は救助部隊の派遣の計画を変えた。計画自体を取りやめたか、展開するポイントを変えたか。あれだけの事故があったわけだから、あり得ることだ。あの病院付近は、迂闊に通過できないだろう」
「……そんな」
次に続ける言葉が見つからなくて、私は口をつぐんだ。
「ここで救助を待っても来ない可能性が高い」
リアンは立ち上がると、私に向かって手を差し伸べた。
「だが、他の部隊が街に来ている可能性はある。合流できるかもしれない。そうじゃなくても、まだ朝だ。夜よりは安全に行動できる。いざとなったら、別の方法で脱出すればいい」
私は、彼の顔を見たまま、手を取るのを躊躇った。
罰が当たったような気がした。このままでいたいだなんて思ったから、こんなことになったのか。それがただの妄想だというのはわかっているが、後ろめたさに自分を責める気持ちが生まれる。
「ミシカ」
「うん……」
促されて、私はおずおずとリアンの手を取った。
「とりあえず、ゲートのそばへ行こう。運がよければ、救助部隊が出入りするときに行き会える可能性がある。ここからならそんなに時間もかからない」
彼に再び背負われる。
「途中で補給できるといいんだがな。なにかよさそうなものを見つけたら、教えてくれ。いい加減、喉も乾いたし空腹だ」
「わかった」
頷いて、私はそっと目を伏せた。
姿勢を変え、打撲傷の痛みと倦怠感に襲われる。動きが鈍くなるが、不快ではなかった。
よっぽど疲れているのか、リアンは私が少し動いても目を覚まさない。
その唇に自分のものを重ねようとして――やめた。恋人の真似事なんかしてあとで辛くなる。
倉庫の天井近くにある窓から差し込んできた明け方の光が、床を照らしている。
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リアンの呼吸に耳を澄ませて、鼓動を感じる。少し寒くて、ふるりと肩が震えた。
どのくらい、そうしていただろうか。リアンが目を開け、数回瞬きして、眉根を寄せたあと、大きなため息をついた。
「……しまった」
あまりにその嘆き方が大げさだったので、私は彼から身を離して、床にぺたりと座り込んだ。熱源から離れると寒い。
「後先考えなかったのは、まずかったな。酷い状況だ」
「ああ……」
言われて私も顔を顰めた。
床に広げていた服は、気づかぬうちにぐちゃぐちゃに丸まっているし、そのそばには昨晩の残骸が。お互いシャワーも浴びられていないせいで、嫌な臭いがする……気がする。服をたぐり寄せてみれば、ちゃんと広げていなかったからか、生乾きだし、特有の臭いがする。
「今ここに救助が来ても、外に出られないわ」
「まったくだ」
そうは言ってもこのままではいられない。
嫌々ながら、湿った衣服を身に着けて、ぐしゃぐしゃになった髪を手で梳いた。
振り返ると、下着姿のリアンが、床をその辺にあっただろうウエスで擦っていた。手間取っている。大きな背中を丸めた後ろ姿が哀愁を感じさせた。
「なんか、……ごめんなさい」
「謝るな」
私は倉庫の端にあったゴミ箱の近くから、梱包に使うためのものらしい新聞紙を見つけて来て、彼に渡した。彼は肩を落としたままそれを受け取って、ゴミを包んで、少し悩んだ後、ゴミ箱の奥の方にぐいぐいと押し込んだ。生ものが入っているのか、ゴミ箱の蓋が開くたびにかすかな悪臭がする。
生乾きの服を着る時も、リアンはため息をついた。気持ちはわかる。装備を整えて彼は時計を見る。
「今、六時半だ。これから移動しようと思うが、脚は大丈夫か」
「痛むけれど歩ける」
「無理はするなよ」
シャッターを叩く音は止んでいた。だが、万が一を考えて、私たちは裏にあった窓から外へ出ることにした。
顔の高さの窓によじ上るのは、私にはかなりの重労働だった。先に窓を乗り越えたリアンに引っ張り上げられて、降りる時は手を貸してもらう。
晴天だった。昨晩の雨で湿気はあるものの、空には雲一つない。あれだけ追いかけて来た感染者たちもどこへ行ったのか、影すら無かった。
アスファルトには、ガラス片や血痕が散っていたり、踏み荒らされて折れた植え込みの植物が落ちている。ときには靴や、バッグなどもあった。
濡れた路面でガラス片が太陽光を反射して煌く様子は綺麗だったが、少しでも顔を上げると、建物や道路の破壊の痕が目につく。
「どこかで銃を入手できればいいんだがな」
そう言うリアンは素手だった。昨日のショットガンが最後の武器だったのだ。私にしても、彼から預かった拳銃はルーフから転げ落ちた時に紛失した。今、感染者の大群に襲われたらひとたまりも無い。
警戒しながら、先行するリアンを追いかける。体重をかけるとふくらはぎが鋭く痛むので、それを庇って変な歩き方になる。おまけに、怪我をした方の足の靴が無いから、歩きづらいことこの上なかった。
「無理するなと言っただろう。脚が痛いなら、負ぶって欲しいと言えばいい」
リアンが戻って来た。腰に手をあてて、呆れた顔。
「……自分から言いづらいでしょ」
「君は照れるポイントがずれてないか」
言外に昨晩のことを言われているのだと気付いた。
「それとこれとは別よ」
昨晩は色々勢いづいていた。思い出すと気まずいが、本当に必死だったのだ。羞恥心がいまごろになって戻ってきて、そわそわしてしまう。
それに、私を背負っていたせいで咄嗟の反応ができなかったなんてことになったら、困る。
「早く行かないと、回収してもらえなくなる」
背中を向けてしゃがみ込まれ、私は渋々リアンの背にしがみ付いた。彼には背負われてばかりだ。
「肩を貸してくれればいいのに」
「身長差があって、歩けないだろ」
私は黙り込む。リアンも何も言わずに、黙々と歩く。その間、急に襲われたりしないように、周囲を警戒して見回すことに注力した。
無事救助してもらったら、また、私はキャリアとして保護されるのだろう。そして、新しい身分を得て、新しい生活を始める。
そのとき、リアンは傍にいてくれるだろうか。
前を向いて、律動的に歩く彼の表情は見えない。今、何を考えているのか、わからない。
勢いで肌を重ねたことを、後悔しているだろうか。だから、昨晩のことについてなにも言わないのか。そうであれば、この先も一緒にいてくれるなんて、望み薄だった。
悲観的なことを考えると、頭の中がそればかりになりそうだ。昨晩は受け入れてもらえただけで、幸運だったと思おう。
しばらく進むと、記憶にある奇妙なオブジェが見えてくる。三角形をくっつけて、空に向けて高く延ばした銀色の塔。斜めに切られた円柱形の青い建物に、茶色のタイルが敷き詰められた広大な土地。公共ホールだ。
「やっぱり気になる。あのオブジェはなんなんだろう……」
「美術的な素養がない俺に聞かないでくれ」
独り言に返されて、私は思わず笑ってしまった。
「私も最高でBだったわ、学校の美術は」
「俺はCプラスだな」
「どちらかといえば、国語が苦手で」
「ああ、だから言葉が足りないのか」
くつくつ笑われた。彼の背中が振動する。
むっとするより、なんだか空しくなって黙り込んだ。タイムリミットが近いと思うと、何を話せばいいのかわからない。
「もう少しだ」
私が黙り込んだせいか、リアンはそう言うと、また無言になった。
とりあえず、建物の前まで行って私はタイルの上に腰を降ろした。
「ありがとう」
降ろしてもらうときにそう言うと、彼は、ああ、と小さく頷いて隣に腰を下ろした。
朝の爽やかな風が、肌をなでて行く。生乾きの服のせいで少し寒いが、かえってそれが心地よいくらいだった。
膝を抱えたまま、ちらりとリアンの顔を盗み見る。朝の光に光る、薄い緑色の瞳は遠くを見ていた。やや伸びた無精髭。それに触れたいと思う。けれど、手を伸ばすことはできなかった。
このまま、……できれば今しばらく、このままでいたい。
そんなことを考えてしまう。
ここを出たら、もう会うことも無い――昨晩、須賀と私に言った彼の言葉が、頭の中に蘇る。
指に力が入って、立てた膝をぎゅっと握った。それを悟られたくなくて、顎を乗せて待ち草臥れたように振る舞う。
◆
「……おかしいな」
「今、何時?」
「もう七時二十分だ」
腕時計を確認して、リアンが周りを見回す。迎えが来る気配はない。
「確認だが、本当にここに七時に迎えが来るんだろう?」
「ええ、前回はそうだった。ヘリで迎えに来た兵士に、あなたが確認して。私たちはそれに乗れなくて、翌日――つまり今日だけど、ここで七時に拾ってもらった。迎えにきたのは、大きなバスだった」
「ヘリで迎えに来た兵士?」
「前回は、ヘリが墜落しなかったから、リーサやホセはそれに乗って脱出したのよ」
リアンは私の説明を聞いて、困惑したように眉根を寄せた。
「嘘じゃない」
「別に、君の言葉の真偽を疑っているわけじゃない。ただ、条件が変わったんじゃないか」
「条件?」
「ああ、そうだ。ヘリが墜落して、軍は救助部隊の派遣の計画を変えた。計画自体を取りやめたか、展開するポイントを変えたか。あれだけの事故があったわけだから、あり得ることだ。あの病院付近は、迂闊に通過できないだろう」
「……そんな」
次に続ける言葉が見つからなくて、私は口をつぐんだ。
「ここで救助を待っても来ない可能性が高い」
リアンは立ち上がると、私に向かって手を差し伸べた。
「だが、他の部隊が街に来ている可能性はある。合流できるかもしれない。そうじゃなくても、まだ朝だ。夜よりは安全に行動できる。いざとなったら、別の方法で脱出すればいい」
私は、彼の顔を見たまま、手を取るのを躊躇った。
罰が当たったような気がした。このままでいたいだなんて思ったから、こんなことになったのか。それがただの妄想だというのはわかっているが、後ろめたさに自分を責める気持ちが生まれる。
「ミシカ」
「うん……」
促されて、私はおずおずとリアンの手を取った。
「とりあえず、ゲートのそばへ行こう。運がよければ、救助部隊が出入りするときに行き会える可能性がある。ここからならそんなに時間もかからない」
彼に再び背負われる。
「途中で補給できるといいんだがな。なにかよさそうなものを見つけたら、教えてくれ。いい加減、喉も乾いたし空腹だ」
「わかった」
頷いて、私はそっと目を伏せた。
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