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本編
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感染者も、遭難者も等しく眠りについている――そう錯覚させる程、静かだった。
車はほどなくして、二番目の目的地にさしかかった。
間隔を空けて設置された、オレンジ色の街灯が照らす夜道の向こうには、ぼんやり光を反射する金属製の柵が、見上げてなお視界に収まらない程の高さまで反り立っていた。
65、
これはよじ上れない。特殊な技能がないかぎり不可能だ。
初めて見る、敷地を囲う柵の高さと、その堅牢さを伺わせる金属の棒の太さに、私は瞬きをした。
夜だと視認しづらいため、リアンに声をかけられるまで、柵が見えていることに気付かなかった。もし昼間だったなら、自分が動物園の檻に閉じ込められたように感じたはず。
柵の向こう離れたところには、球場のように大きくて明るい照明が設置されている。そして照明の少し手前、柵から三十メートルくらい先に金網が設置されているのも、なんとか視認できた。
敷地を囲む柵と違って、金網は急ごしらえのように見えた。金網の向こうには、ヘッドライトをつけた車の影が見える。ここからだとかなり小さく見えるが、実際はバスくらいある大型車だろう。
設置された照明は、柵と金網の中間にある、雑草が生えている空き地部分を重点的に照らし出していた。
「あれは? 救助の人たち?」
声がかすれて、私は咳払いをした。
「いや。……あれを見ろ」
リアンが顎をしゃくった方を見て、私は息を飲んだ。
車から二十メートルほど向こうの地点。沢山の人が、砂糖に群がる蟻のように柵の一カ所に集まって、鉄の棒にしがみついていた。互いを踏みつけあい、柵をよじ上る。尋常じゃない様子だ。
「あれは、感染者……?」
「ああ、おそらく」
下の方にいる人たちは、圧死してもおかしくない。そんな状態で、他人を踏み台にしてなんとか天辺に辿り着いた人間がいた。その人は、柵の向こう側に飛び降りた。5メートルを超える高さがある柵だ。私は思わず目をつぶる。
おそるおそる目を開けると、飛び降りた人がよろよろと体を起こし、四つん這いで進みだす。生きてはいたが、立ち上がれないのだろう。
しかし、次の瞬間、その人は弾かれたように横に吹き飛んで、完全に動かなくなった。
「……撃たれた?」
音は聞こえなかったが、そう見えた。
「感染者を市街に出すわけに行かないからな、警告を聞かなければああなる」
「それじゃあ私たちも……」
「場合によってはな。ちゃんと警告に従うか、ゲートを通れば、おそらくは大丈夫だろう」
たしかに、ゲートを通ったときは、ああいう警戒網はなかった。感染者たちが、容易にゲートを突破できないと踏んでのことだろうが……。
私は、新しく頂点に到達しようともがく人たちの小山を見つめる。まるで、クモの糸に群がる地獄の罪人たちみたいだ。
「あれに見つかったら面倒だな」
「あんなに密集しているの、初めて見た」
リアンが車を低速で出発させる。ゲートはもう少し先のようだった。
「大学付近なんかは、あんな感じだった。道という道からわっと寄って来て、車を横転させられた」
「数は脅威ね」
「まったくその通り」
すぐにゲートが見えてくる。ゲートは地下道にあったものよりさらに上に延びていた。左開きと右開きの、二重になった鉄の門の前には二台の車があった。両方とも門に激突している。事故なのか、無理に突破しようとしたのかはわからないが、どちらもゲートを開けられなかったようだ。
リアンが舌打ちした。
ゲート前にある車が邪魔で、こちらの車が通れない。たとえば以前の方法でゲートを開けられても、塩野を背負って歩いていかなければならないだろう。
前回ゲートを開けたときにも鳴った、強烈なサイレンの音や、ゲート自体の動作音がさらに問題だった。あの音で確実に近くの感染者たちに気付かれる。もし追いかけられたら――さきほどの重なり合った感染者の群れが押し寄せたら、逃げるどころではない。
それにゲートが開くのにも時間がかかる。たぶん、開ききる前にあの感染者たちに捕まってしまう。
「どうしよう」
リアンは何も言わない。考えているのか、何も思いつかないのか。
この柵を越えて、三十メートル先に行けば助かるというのに。もどかしさに私は唇を噛む。隣の塩野は先ほどからずっと目を覚まさない。彼の額に珠の汗が浮いているのをガーゼで再び拭う。早く彼を治療してあげないとまずいのに。
「磯波さん」
私は瞬きをした。苗字で呼ばれて、一瞬反応できなかったのだ。
リアンが、ヘッドレストに手を突いて、私を振り返る。決意の宿った目をして。
「君は車を運転できるか?」
「……一応、免許は持っているけれど、ペーパードライバーよ。左ハンドルは運転したこともない」
なぜか、彼が言うことが予想できて、予防線を張るような言い方をしてしまう。
「俺があいつらの気を引く間に、君はゲートを開けて、向こうの隙間から脱出してくれ」
彼の指差す方を見ると、門に食らいついている車同士の間のことのようだった。
「警告されたら停止するんだ」
「それでも撃たれるかも。……というか、どう見ても、あの隙間は通れないわ」
車幅より狭いだろう、二台の車の隙間を、どうやって通ればいいというのか。
リアンは首を横に振った。
「スピードを上げて突っ込めば、あるいは」
「映画じゃないのよ。それに私がゲートを開ける自信がない。別のゲートへ向かわないの」
「他のゲートも同じ状態だったら? 君がやるしかない。彼を助けるのに、協力してくれ」
強い調子でそう言われれば、私は黙るしかない。先ほどから目を覚まさない塩野が、かなり悪い状態で――一刻を争う状態だということは、言われなくてもわかってる。
上手く行けば、たしかに脱出できるだろう。一番危険の高いおとり役は、リアン自身が引き受けると言っている。
「……決まりだな」
言うが早いか、リアンは自分の装備を整えていく。銃を持ち、ライトを持ち、手榴弾のようなものまでベルトにぶら下げて行く。
そして、自分の懐に手を突っ込むと、首からかけていたIDカードを外して、私に押し付けた。彼の体温を吸って、カードはほのかに温かかった。リアンの大きな手が、私の手を包み込む。
「いいか、あのゲートの左右の監視小屋の中に、ゲートを開けるための装置がある。装置はカードリーダーになっている。俺のIDは、開門もできるように設定されているから、まずは小屋に入って、カードリーダーを作動させるんだ。そして、カードを読み込ませて、ゲートを開ける。ゲートが開いたら、車で――」
「それは、私じゃなくてあなたがやるべきでしょう」
私は、カードを押し返した。
「なに?」
「わかってるでしょ。より難易度が高い役をあなたがやるべき。危険度ではなくて。本当に、塩野さんを助ける気があるならね。私がもしゲートを開くのに手間どれば、みんな死ぬ。車を上手く運転できなかったらやっぱり、みんな死ぬ。もし車が動かなくなったら、私じゃ彼を担いでここを出られない」
私はリアンの顔を正面から見た。彼の薄い緑色の目が、オレンジ色の光を反射して、金色に見える。
「だから、私がおとりをやるわ」
「危険だ。そんなことはさせられない」
「でも、全員生き残れる可能性は、そちらの方が高いって、あなたも分かってるでしょう」
リアンは答えない。だが、それがなによりの肯定だった。
「大丈夫。いい加減、この状況にも慣れて来てるし、明日になれば、救助が公共ホールに来ることも知ってる。多分、上手く立ち回れると思う」
「本気で言っているのか? 死ぬかもしれないのがわかってるのか?」
「たぶん、あなたよりよくわかってる」
喧嘩腰になるのは、ただの八つ当たりだと分かってる。それでも、一度勢いがついてしまうと、自分を止められなかった。
「もう他人に死に方を決められるのはたくさん。いつもいつも、奪われるばかりで、うんざりよ。自分で命を張るタイミングを決める自由くらい、私にもあってもいいはず」
そう吐き捨てて私は手を出した。
「銃を。ショットガンは、あそこのドアを開けるのに使うでしょうから、小さいのでいい」
私の顔をじっと見つめていたリアンは、何かを――たぶん、怒りを押し殺すように一度目を伏せて、それから自分の拳銃を私の手のひらに乗せた。ずっしりとしてやや冷えた、硬いものの感触。
「これも持って行け」
リアンは、銃弾と手榴弾のようなものを私に差し出した。手榴弾のようなものは、音と光で相手を無力化させるものだという。使い方の説明を受けて、私はショートパンツのポケットにそれを二つ捩じ込む。予備の弾倉もくれた。
「ありがとう。……それじゃあ」
ドアを開けて足を地面に降ろそうとしたが、不意に二の腕を強く掴まれて、成し得なかった。
「いいか、無理はするな」
無理するなって方が無理だ。軽口を返そうと思ったけれど、リアンの真剣な顔に、口をつぐむ。
代わりに、私は「あなたも」と言って、笑った。幾分不格好な笑顔になってしまっただろう。
リアンの手の力が緩んで、私は車を降り小走りにその場を離れた。
霧雨に肌が濡れる。ひやりとした空気の中、彼が掴んだ腕の部分だけが、少しだけ温かい。
振り返ったら、彼がこちらを見ているかもしれない。そう思うと、振り返れなかった。足を止めるわけにはいかないからだ。
車はほどなくして、二番目の目的地にさしかかった。
間隔を空けて設置された、オレンジ色の街灯が照らす夜道の向こうには、ぼんやり光を反射する金属製の柵が、見上げてなお視界に収まらない程の高さまで反り立っていた。
65、
これはよじ上れない。特殊な技能がないかぎり不可能だ。
初めて見る、敷地を囲う柵の高さと、その堅牢さを伺わせる金属の棒の太さに、私は瞬きをした。
夜だと視認しづらいため、リアンに声をかけられるまで、柵が見えていることに気付かなかった。もし昼間だったなら、自分が動物園の檻に閉じ込められたように感じたはず。
柵の向こう離れたところには、球場のように大きくて明るい照明が設置されている。そして照明の少し手前、柵から三十メートルくらい先に金網が設置されているのも、なんとか視認できた。
敷地を囲む柵と違って、金網は急ごしらえのように見えた。金網の向こうには、ヘッドライトをつけた車の影が見える。ここからだとかなり小さく見えるが、実際はバスくらいある大型車だろう。
設置された照明は、柵と金網の中間にある、雑草が生えている空き地部分を重点的に照らし出していた。
「あれは? 救助の人たち?」
声がかすれて、私は咳払いをした。
「いや。……あれを見ろ」
リアンが顎をしゃくった方を見て、私は息を飲んだ。
車から二十メートルほど向こうの地点。沢山の人が、砂糖に群がる蟻のように柵の一カ所に集まって、鉄の棒にしがみついていた。互いを踏みつけあい、柵をよじ上る。尋常じゃない様子だ。
「あれは、感染者……?」
「ああ、おそらく」
下の方にいる人たちは、圧死してもおかしくない。そんな状態で、他人を踏み台にしてなんとか天辺に辿り着いた人間がいた。その人は、柵の向こう側に飛び降りた。5メートルを超える高さがある柵だ。私は思わず目をつぶる。
おそるおそる目を開けると、飛び降りた人がよろよろと体を起こし、四つん這いで進みだす。生きてはいたが、立ち上がれないのだろう。
しかし、次の瞬間、その人は弾かれたように横に吹き飛んで、完全に動かなくなった。
「……撃たれた?」
音は聞こえなかったが、そう見えた。
「感染者を市街に出すわけに行かないからな、警告を聞かなければああなる」
「それじゃあ私たちも……」
「場合によってはな。ちゃんと警告に従うか、ゲートを通れば、おそらくは大丈夫だろう」
たしかに、ゲートを通ったときは、ああいう警戒網はなかった。感染者たちが、容易にゲートを突破できないと踏んでのことだろうが……。
私は、新しく頂点に到達しようともがく人たちの小山を見つめる。まるで、クモの糸に群がる地獄の罪人たちみたいだ。
「あれに見つかったら面倒だな」
「あんなに密集しているの、初めて見た」
リアンが車を低速で出発させる。ゲートはもう少し先のようだった。
「大学付近なんかは、あんな感じだった。道という道からわっと寄って来て、車を横転させられた」
「数は脅威ね」
「まったくその通り」
すぐにゲートが見えてくる。ゲートは地下道にあったものよりさらに上に延びていた。左開きと右開きの、二重になった鉄の門の前には二台の車があった。両方とも門に激突している。事故なのか、無理に突破しようとしたのかはわからないが、どちらもゲートを開けられなかったようだ。
リアンが舌打ちした。
ゲート前にある車が邪魔で、こちらの車が通れない。たとえば以前の方法でゲートを開けられても、塩野を背負って歩いていかなければならないだろう。
前回ゲートを開けたときにも鳴った、強烈なサイレンの音や、ゲート自体の動作音がさらに問題だった。あの音で確実に近くの感染者たちに気付かれる。もし追いかけられたら――さきほどの重なり合った感染者の群れが押し寄せたら、逃げるどころではない。
それにゲートが開くのにも時間がかかる。たぶん、開ききる前にあの感染者たちに捕まってしまう。
「どうしよう」
リアンは何も言わない。考えているのか、何も思いつかないのか。
この柵を越えて、三十メートル先に行けば助かるというのに。もどかしさに私は唇を噛む。隣の塩野は先ほどからずっと目を覚まさない。彼の額に珠の汗が浮いているのをガーゼで再び拭う。早く彼を治療してあげないとまずいのに。
「磯波さん」
私は瞬きをした。苗字で呼ばれて、一瞬反応できなかったのだ。
リアンが、ヘッドレストに手を突いて、私を振り返る。決意の宿った目をして。
「君は車を運転できるか?」
「……一応、免許は持っているけれど、ペーパードライバーよ。左ハンドルは運転したこともない」
なぜか、彼が言うことが予想できて、予防線を張るような言い方をしてしまう。
「俺があいつらの気を引く間に、君はゲートを開けて、向こうの隙間から脱出してくれ」
彼の指差す方を見ると、門に食らいついている車同士の間のことのようだった。
「警告されたら停止するんだ」
「それでも撃たれるかも。……というか、どう見ても、あの隙間は通れないわ」
車幅より狭いだろう、二台の車の隙間を、どうやって通ればいいというのか。
リアンは首を横に振った。
「スピードを上げて突っ込めば、あるいは」
「映画じゃないのよ。それに私がゲートを開ける自信がない。別のゲートへ向かわないの」
「他のゲートも同じ状態だったら? 君がやるしかない。彼を助けるのに、協力してくれ」
強い調子でそう言われれば、私は黙るしかない。先ほどから目を覚まさない塩野が、かなり悪い状態で――一刻を争う状態だということは、言われなくてもわかってる。
上手く行けば、たしかに脱出できるだろう。一番危険の高いおとり役は、リアン自身が引き受けると言っている。
「……決まりだな」
言うが早いか、リアンは自分の装備を整えていく。銃を持ち、ライトを持ち、手榴弾のようなものまでベルトにぶら下げて行く。
そして、自分の懐に手を突っ込むと、首からかけていたIDカードを外して、私に押し付けた。彼の体温を吸って、カードはほのかに温かかった。リアンの大きな手が、私の手を包み込む。
「いいか、あのゲートの左右の監視小屋の中に、ゲートを開けるための装置がある。装置はカードリーダーになっている。俺のIDは、開門もできるように設定されているから、まずは小屋に入って、カードリーダーを作動させるんだ。そして、カードを読み込ませて、ゲートを開ける。ゲートが開いたら、車で――」
「それは、私じゃなくてあなたがやるべきでしょう」
私は、カードを押し返した。
「なに?」
「わかってるでしょ。より難易度が高い役をあなたがやるべき。危険度ではなくて。本当に、塩野さんを助ける気があるならね。私がもしゲートを開くのに手間どれば、みんな死ぬ。車を上手く運転できなかったらやっぱり、みんな死ぬ。もし車が動かなくなったら、私じゃ彼を担いでここを出られない」
私はリアンの顔を正面から見た。彼の薄い緑色の目が、オレンジ色の光を反射して、金色に見える。
「だから、私がおとりをやるわ」
「危険だ。そんなことはさせられない」
「でも、全員生き残れる可能性は、そちらの方が高いって、あなたも分かってるでしょう」
リアンは答えない。だが、それがなによりの肯定だった。
「大丈夫。いい加減、この状況にも慣れて来てるし、明日になれば、救助が公共ホールに来ることも知ってる。多分、上手く立ち回れると思う」
「本気で言っているのか? 死ぬかもしれないのがわかってるのか?」
「たぶん、あなたよりよくわかってる」
喧嘩腰になるのは、ただの八つ当たりだと分かってる。それでも、一度勢いがついてしまうと、自分を止められなかった。
「もう他人に死に方を決められるのはたくさん。いつもいつも、奪われるばかりで、うんざりよ。自分で命を張るタイミングを決める自由くらい、私にもあってもいいはず」
そう吐き捨てて私は手を出した。
「銃を。ショットガンは、あそこのドアを開けるのに使うでしょうから、小さいのでいい」
私の顔をじっと見つめていたリアンは、何かを――たぶん、怒りを押し殺すように一度目を伏せて、それから自分の拳銃を私の手のひらに乗せた。ずっしりとしてやや冷えた、硬いものの感触。
「これも持って行け」
リアンは、銃弾と手榴弾のようなものを私に差し出した。手榴弾のようなものは、音と光で相手を無力化させるものだという。使い方の説明を受けて、私はショートパンツのポケットにそれを二つ捩じ込む。予備の弾倉もくれた。
「ありがとう。……それじゃあ」
ドアを開けて足を地面に降ろそうとしたが、不意に二の腕を強く掴まれて、成し得なかった。
「いいか、無理はするな」
無理するなって方が無理だ。軽口を返そうと思ったけれど、リアンの真剣な顔に、口をつぐむ。
代わりに、私は「あなたも」と言って、笑った。幾分不格好な笑顔になってしまっただろう。
リアンの手の力が緩んで、私は車を降り小走りにその場を離れた。
霧雨に肌が濡れる。ひやりとした空気の中、彼が掴んだ腕の部分だけが、少しだけ温かい。
振り返ったら、彼がこちらを見ているかもしれない。そう思うと、振り返れなかった。足を止めるわけにはいかないからだ。
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