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本編
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この三日間で私の身に起きた変化のうちでは、処方されていた薬が一つ減ったことが一番大きかっただろうか。もともと、精神安定のために処方されていた薬が頓服含めて三種あったのだが、そのうち、毎日飲む薬の一つを、一旦止めてみることになったのだった。精神的に落ち着いてきたという医師の判断があったようだ。その薬は離脱症状などが少ないものだということなので、説明を聞いて私は素直に喜んだ。
自分が、今の状況に適応できてきているということだから。
48、
病院の中にあるカフェに来ていた。今日は午後、別の検査があるので、昼食は病院で摂ることにしたのだ。外へ行けば何件か飲食店もあるが、真夏日の今日、外出はなるべく避けたかった。
カフェは、アメリカ本土に本社のあるチェーン店で、珍しいものはないが、軽食をとるには十分のメニューを揃えていた。
隅のカウンター席に腰をかけ、私はリアンにメールをした。薬が減ったことを報告したかった。嬉しいことを話したい相手がいるというのは、三ヶ月前――いや、もう四ヶ月前になるが、あの水戸の街をかけずり回っていたことには想像もできなかったことだ。
水滴を纏ったアイスコーヒーのグラスを倒さないよう奥に退けて、私はサンドイッチを頬張った。オリーブと生ハムの入ったサンドイッチは塩辛いが、汗をかく夏には丁度よい。
カフェにはカウンター席の他に、二人用の席が複数あり、八割が埋まっている状態だった。
次の検査は午後二時から、今は十二時四十分。これから一時間以上ある。しばらくここで時間をつぶしていてもいいだろう。
長丁場に備えて用意しておいた本を取り出した。書店でおすすめのポップがつけられていたサスペンス長編だ。本の厚みは三センチ近くあり、読み応えは十分ありそうだ。
スマートフォンは、サイレントモードのままカウンターの上に置いておく。リアンは夜までメールを見る余裕はないし、私に連絡して来る人はいないのだが、なんとなく、癖だった。
柿山と話してから三日が経ち、すでに木曜日。あれから、一度も伊丹から連絡はきていない。柿山がうまく伊丹をコントロールしてくれたのだろう。人から連絡がこないことを喜ぶことになるのは、なんとも言えない気持ちだが。
忘れないうちに、柿山にメッセージを送っておいた。簡潔に今回の件のお礼を。
あれから一度もアクセスしていなかったサバイバーの会のサイトを覗いてみると、柿山は、あの日曜日の前に投稿したあと、なにも記事を書いていないようだった。
◆
血を定期的に抜かれるのを繰り返しているせいで、左の肘の内側は鬱血してしまっている。採血のあと、止血のパッチを指で押さえると、鈍い痛みがある。
残る会計と、薬の受け取りで今日の全工程が終了だ。会計受付を済ませ待合室のソファに腰を下ろした。
待合室は座れる程度の混み具合だったが、空いているとはいえなかった。
テレビが備え付けられていて、州営放送がかけられている。ニュース番組が始まり、都内の動物園で夏の催しが行われていることを、笑顔のアナウンサーが伝えている。
私はカフェで五分の一ほど読み進めた本をとりだし、栞を挟んだページを開いた。序盤の展開は、人物の関係を覚えたり、考えたりしなければいけないことが多くて、なかなか進まなかった。だが、これを通り過ぎれば、きっと一気に読みたくなるような展開が待っている――はずだ。
産業スパイを疑われた中年男性が、そのせいで追い込まれて行く描写が丁寧に描かれている。仲のよかった友人も疑義を抱くことなく主人公に背を向け、やがて主人公は孤立していく。まわりがすべて敵のように見えて精神的に弱っていく。味方になってくれる人はいない。
……読んでいて、不快になるよう不快になるよう計算された物語だという印象だった。実際に追いつめられる経験はなるべくしたくない――もう二度と。この主人公のように、精神的社会的な追いつめられ方ではなくても、やはり人生余裕が必要だ。その余裕や楽しみを感じるための娯楽で、こうして擬似的に危機的状況を演出するというのはなかなか皮肉だ、と余計なことを考える。
『続いてのニュースです。今日未明、茨城県水戸市で、男性の遺体が発見されました』
私は本から顔をあげて、テレビを見た。水戸市という地名に反射的にした行為だった。真剣な顔をした若い女性のアナウンサーが、ニュースを読みあげていく。
『男性は所持品から、土浦市在住の医師、柿山省吾さんと判明しました。
柿山さんの遺体が発見されたのは、水戸駅近くの市営駐車場内で、異臭がするという通報を受けて警察が確認すると、車のトランクに柿山さんの遺体があったということです。
柿山さんは喉と胸を複数回刺されており、死因は失血死と見られています。車は柿山さんのもので、入庫履歴から日曜日の深夜に駐車場に入庫し、その後、一度も出庫した様子がないということです。また、三日前から、柿山さんの親族から、連絡が取れないと警察に捜索願が提出されていたということでした。警察は、殺人事件を視野に入れ捜査を始めると発表しました』
ばさ、と栞を挟んでいない本が閉じた。テレビに気を取られて手を離してしまったのだ。だが、そのページを探し出して栞を挟み直すという行為を思いつきもせず、私はテレビを凝視していた。
すでに、ニュースは別の内容になっていた。だが、私は、記憶の中で先程のニュースの内容を、何度も反芻していた。
被害者の写真はたしかに、日曜日に水戸で会ったあの男の顔だった。名前も、居住地も一致している。本人だ。
柿山が、死んだ。殺された。
心臓が、早鐘のように鳴りだす。
私は、――疑っていた。彼が殺された場所も、そのタイミングも。頭の中では、それらすべてが繋がって一つの流れを作っていた。
いや、憶測でものを考えてはいけない。落ち着くべきだ。
久々に感じる、堪え難い程の焦燥感を味わいながら、私は震える手で本をバッグにしまった。
それから、時間にして十五分程、長い長い待ち時間のあと、会計を済ませた私は、薬を受け取って、病院をあとにした。薬の袋が一つ減ったことなんて、もはやなんの喜びにもならなかった。
病院を出ると、すぐにリアンに電話をかけた。当然、何度コールしても、留守番電話に繋がって相手は出なかった。一瞬、基地に連絡することも考えたが、それこそ動転して正常な判断ができていない人間の行動だと自分を戒めた。気持ちは、すぐにでも彼と話をしたかったが、それは飲み込む。
深呼吸を、三度。少しだけ、頭がクリアになった気がした。温んだ風を受けながら、早足に帰路を進む。
午後五時半。まだリアンと連絡がつく時間には遠い。そうであれば、自分で警察に相談すべきだ。たとえ、それが全く無関係の情報でも、私はもしかすると、柿山と最後に連絡をとった人間なのかもしれないのだ。
暑さのせいだけではない嫌な汗が噴き出すのを感じながら、もはや駆け出すほどのスピードで、私は道路を進んだ。少しヒールのある靴を選んだせいで、踵が痛む。来週リアンと会えるときに履くために慣らそうと思った新しいパンプスが、こんなところで裏目に出るなんて。
マンションに着いて、いつもは確認する集合ポストも素通りして、部屋に向かう。
小走りを続けたせいで、息が上がっている。
部屋に戻ったら、身分証を持って警察に行こう。あるいは、呼べば来てくれるのだろうか。とにかく靴を履き替えて――。
そもそも、なぜ直接警察署に行かず、私は自宅に戻ってきたんだろう。自宅のドアの前にたどり着いた時、ふと目が覚めた気がした。動揺を抑えるように意識したのに、まったく平常心ではない。
あの市内から脱出して既に四ヶ月。もうあの時の緊張に対する耐性は薄らいでしまっていたのか。
ため息のような深呼吸をして、私は鍵を鍵穴に差し込んだ。
左に回して解錠しようとするが、手応えがなかった。間違えた、と思って逆に回し、ドアノブを引くが、鍵がかかっていた。
つまり、私は鍵をかけずに部屋を出たということか。
――いや、今日は確実に鍵をかけたはず。一度、財布を忘れて部屋に戻り、面倒だなと思いながら鍵をかけ直したことを覚えている。
私は後ずさった。
目の前に火花が散った。右の側頭部に焼けるような痛みが走り、仰け反った勢いで尻餅をつく。
ドアが勢いよく開いて、それに頭をぶつけたのだと、一瞬遅れて気付いた。頭がくらくらするなか、身を起こそうとする。それより早く前髪を掴まれ顔を無理矢理持ち上げられると、口に何かを押し込まれ部屋に引きずり込まれた。頭痛と眩暈のせいで、声を上げることもできず床に転がされる。
背後でドアが閉まる音がして、続いて鍵を掛ける音がした。
脳震盪を起こしかけているのかもしれない。そう思う程、体がうまく動かない。
額が切れているようで、目に血が入った。眩暈と、血による視界の悪さで、自分を覗き込む相手の顔が、至近距離だというのにぼやけて見える。
床に這いつくばったまま、見上げた相手は、顔の詳細がわからなくても、大方、予想できた。
「お帰り、バンビちゃん。迎えに来たよ」
うっとりした口調のその声は、伊丹のものだった。
自分が、今の状況に適応できてきているということだから。
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病院の中にあるカフェに来ていた。今日は午後、別の検査があるので、昼食は病院で摂ることにしたのだ。外へ行けば何件か飲食店もあるが、真夏日の今日、外出はなるべく避けたかった。
カフェは、アメリカ本土に本社のあるチェーン店で、珍しいものはないが、軽食をとるには十分のメニューを揃えていた。
隅のカウンター席に腰をかけ、私はリアンにメールをした。薬が減ったことを報告したかった。嬉しいことを話したい相手がいるというのは、三ヶ月前――いや、もう四ヶ月前になるが、あの水戸の街をかけずり回っていたことには想像もできなかったことだ。
水滴を纏ったアイスコーヒーのグラスを倒さないよう奥に退けて、私はサンドイッチを頬張った。オリーブと生ハムの入ったサンドイッチは塩辛いが、汗をかく夏には丁度よい。
カフェにはカウンター席の他に、二人用の席が複数あり、八割が埋まっている状態だった。
次の検査は午後二時から、今は十二時四十分。これから一時間以上ある。しばらくここで時間をつぶしていてもいいだろう。
長丁場に備えて用意しておいた本を取り出した。書店でおすすめのポップがつけられていたサスペンス長編だ。本の厚みは三センチ近くあり、読み応えは十分ありそうだ。
スマートフォンは、サイレントモードのままカウンターの上に置いておく。リアンは夜までメールを見る余裕はないし、私に連絡して来る人はいないのだが、なんとなく、癖だった。
柿山と話してから三日が経ち、すでに木曜日。あれから、一度も伊丹から連絡はきていない。柿山がうまく伊丹をコントロールしてくれたのだろう。人から連絡がこないことを喜ぶことになるのは、なんとも言えない気持ちだが。
忘れないうちに、柿山にメッセージを送っておいた。簡潔に今回の件のお礼を。
あれから一度もアクセスしていなかったサバイバーの会のサイトを覗いてみると、柿山は、あの日曜日の前に投稿したあと、なにも記事を書いていないようだった。
◆
血を定期的に抜かれるのを繰り返しているせいで、左の肘の内側は鬱血してしまっている。採血のあと、止血のパッチを指で押さえると、鈍い痛みがある。
残る会計と、薬の受け取りで今日の全工程が終了だ。会計受付を済ませ待合室のソファに腰を下ろした。
待合室は座れる程度の混み具合だったが、空いているとはいえなかった。
テレビが備え付けられていて、州営放送がかけられている。ニュース番組が始まり、都内の動物園で夏の催しが行われていることを、笑顔のアナウンサーが伝えている。
私はカフェで五分の一ほど読み進めた本をとりだし、栞を挟んだページを開いた。序盤の展開は、人物の関係を覚えたり、考えたりしなければいけないことが多くて、なかなか進まなかった。だが、これを通り過ぎれば、きっと一気に読みたくなるような展開が待っている――はずだ。
産業スパイを疑われた中年男性が、そのせいで追い込まれて行く描写が丁寧に描かれている。仲のよかった友人も疑義を抱くことなく主人公に背を向け、やがて主人公は孤立していく。まわりがすべて敵のように見えて精神的に弱っていく。味方になってくれる人はいない。
……読んでいて、不快になるよう不快になるよう計算された物語だという印象だった。実際に追いつめられる経験はなるべくしたくない――もう二度と。この主人公のように、精神的社会的な追いつめられ方ではなくても、やはり人生余裕が必要だ。その余裕や楽しみを感じるための娯楽で、こうして擬似的に危機的状況を演出するというのはなかなか皮肉だ、と余計なことを考える。
『続いてのニュースです。今日未明、茨城県水戸市で、男性の遺体が発見されました』
私は本から顔をあげて、テレビを見た。水戸市という地名に反射的にした行為だった。真剣な顔をした若い女性のアナウンサーが、ニュースを読みあげていく。
『男性は所持品から、土浦市在住の医師、柿山省吾さんと判明しました。
柿山さんの遺体が発見されたのは、水戸駅近くの市営駐車場内で、異臭がするという通報を受けて警察が確認すると、車のトランクに柿山さんの遺体があったということです。
柿山さんは喉と胸を複数回刺されており、死因は失血死と見られています。車は柿山さんのもので、入庫履歴から日曜日の深夜に駐車場に入庫し、その後、一度も出庫した様子がないということです。また、三日前から、柿山さんの親族から、連絡が取れないと警察に捜索願が提出されていたということでした。警察は、殺人事件を視野に入れ捜査を始めると発表しました』
ばさ、と栞を挟んでいない本が閉じた。テレビに気を取られて手を離してしまったのだ。だが、そのページを探し出して栞を挟み直すという行為を思いつきもせず、私はテレビを凝視していた。
すでに、ニュースは別の内容になっていた。だが、私は、記憶の中で先程のニュースの内容を、何度も反芻していた。
被害者の写真はたしかに、日曜日に水戸で会ったあの男の顔だった。名前も、居住地も一致している。本人だ。
柿山が、死んだ。殺された。
心臓が、早鐘のように鳴りだす。
私は、――疑っていた。彼が殺された場所も、そのタイミングも。頭の中では、それらすべてが繋がって一つの流れを作っていた。
いや、憶測でものを考えてはいけない。落ち着くべきだ。
久々に感じる、堪え難い程の焦燥感を味わいながら、私は震える手で本をバッグにしまった。
それから、時間にして十五分程、長い長い待ち時間のあと、会計を済ませた私は、薬を受け取って、病院をあとにした。薬の袋が一つ減ったことなんて、もはやなんの喜びにもならなかった。
病院を出ると、すぐにリアンに電話をかけた。当然、何度コールしても、留守番電話に繋がって相手は出なかった。一瞬、基地に連絡することも考えたが、それこそ動転して正常な判断ができていない人間の行動だと自分を戒めた。気持ちは、すぐにでも彼と話をしたかったが、それは飲み込む。
深呼吸を、三度。少しだけ、頭がクリアになった気がした。温んだ風を受けながら、早足に帰路を進む。
午後五時半。まだリアンと連絡がつく時間には遠い。そうであれば、自分で警察に相談すべきだ。たとえ、それが全く無関係の情報でも、私はもしかすると、柿山と最後に連絡をとった人間なのかもしれないのだ。
暑さのせいだけではない嫌な汗が噴き出すのを感じながら、もはや駆け出すほどのスピードで、私は道路を進んだ。少しヒールのある靴を選んだせいで、踵が痛む。来週リアンと会えるときに履くために慣らそうと思った新しいパンプスが、こんなところで裏目に出るなんて。
マンションに着いて、いつもは確認する集合ポストも素通りして、部屋に向かう。
小走りを続けたせいで、息が上がっている。
部屋に戻ったら、身分証を持って警察に行こう。あるいは、呼べば来てくれるのだろうか。とにかく靴を履き替えて――。
そもそも、なぜ直接警察署に行かず、私は自宅に戻ってきたんだろう。自宅のドアの前にたどり着いた時、ふと目が覚めた気がした。動揺を抑えるように意識したのに、まったく平常心ではない。
あの市内から脱出して既に四ヶ月。もうあの時の緊張に対する耐性は薄らいでしまっていたのか。
ため息のような深呼吸をして、私は鍵を鍵穴に差し込んだ。
左に回して解錠しようとするが、手応えがなかった。間違えた、と思って逆に回し、ドアノブを引くが、鍵がかかっていた。
つまり、私は鍵をかけずに部屋を出たということか。
――いや、今日は確実に鍵をかけたはず。一度、財布を忘れて部屋に戻り、面倒だなと思いながら鍵をかけ直したことを覚えている。
私は後ずさった。
目の前に火花が散った。右の側頭部に焼けるような痛みが走り、仰け反った勢いで尻餅をつく。
ドアが勢いよく開いて、それに頭をぶつけたのだと、一瞬遅れて気付いた。頭がくらくらするなか、身を起こそうとする。それより早く前髪を掴まれ顔を無理矢理持ち上げられると、口に何かを押し込まれ部屋に引きずり込まれた。頭痛と眩暈のせいで、声を上げることもできず床に転がされる。
背後でドアが閉まる音がして、続いて鍵を掛ける音がした。
脳震盪を起こしかけているのかもしれない。そう思う程、体がうまく動かない。
額が切れているようで、目に血が入った。眩暈と、血による視界の悪さで、自分を覗き込む相手の顔が、至近距離だというのにぼやけて見える。
床に這いつくばったまま、見上げた相手は、顔の詳細がわからなくても、大方、予想できた。
「お帰り、バンビちゃん。迎えに来たよ」
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