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本編
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二十一時四十三分、車は地下道入り口までたどり着いた。オレンジ色の街灯の光が、霧雨の粒をきらきらと照らしている。その下に、『水戸駅地下行地下道』と日本語と英語で書かれた、地下への入り口がある。よく市街にある、地下駐車場の入り口のような感じだ。地下道の中は電気が灯っていて明るい。
柏田が舌打ちした。入り口は横転したバスに塞がれていて、先に進めない。
16、
柏田は車を降りて、様子を確認しにいく。ハンディライトを点灯し、バスの周辺の様子を調べていく。私もそれに続いた。雨を避けるため、柏田が濃緑色のポンチョを貸してくれた。フードつきのそれを被る。
このバスを踏み越えていくのはなかなか骨が折れそうだ。間違いなく、車では通れない。
バスは普通の路線バスと様子が違っていた。カラーリングが濃緑で、広告記事や運営会社のロゴもない。窓枠に太い格子が嵌め込まれており、ガラスが派手に割れているのはフロント付近のみだ。
タイヤ痕を目で追うと、蛇行したあと、曲がりきれずに地下道の入り口に衝突し、横転したように見えた。もっとも、私も事故現場の検証などしたことがないから、憶測に過ぎない。
柏田が横倒しになった車体の横腹――今は天井になっている――に乗り、中をライトで照らす。
「運転手と六人、死亡している」
彼はそう言うと、胸の前で十字をきった。クリスチャンだったのか。私は悩んだ後、合掌した。無宗教だけれど、それが一番自然だと思ったのだ。
「いろいろ荷物が散乱している。この様子だと、何人かは逃げ出したのかもしれない」
中を覗き込もうと近寄って、顔をしかめることになった。吐き気を誘う血の臭いが立ち込めている。蒸したようなきつい臭いだ。乗客たちが絶命してしばらく経っているのだろうか。
「これは軍用車両だ。俺が担当した場所ではない救助ポイントから出発した班だろう。フロントガラス付近を見るとわかるが、襲われたようだ」
たしかに、両の前のほうの板金に大きな陥没が見られた。コイン大の穴が密集している。
「ショットガンで撃たれたな」
「どうしよう。これを乗り越えて、進む?」
「先に進んでゲートの外へ出られるか確認してみよう。もし出られたら、おそらくだが、非常時に地上に出るための、避難口があるはずだ。そこから脱出できる」
彼は言うが早いか、身軽にバスから飛び降りて、車の中の荷物を取ってくる。
「体調はどうだ。痛むか」
「まあ、少しは。でも大丈夫」
本当は、泣いたせいで頭がものすごく痛いが、それは病気でも怪我でもないから、報告しない。
柏田は、自分でバスを再び登ると、私に向けて手を差し出した。左手でそれを掴むと、驚くほどの力強さで引き上げられる。
乗り上げたバスからは、いっそう強い臭いがして、私は思わず鼻と口を手で覆った。
街灯の明かりだけでは詳細は見えないが、車内は横転したせいで、いろいろなものが散らばっていた。救助された人の私物だろうハンドバックや靴、携帯端末など。そして、壊れたマネキンのように不自然な角度で絡み合って、動かない人影がいくらか。詳細が見えないことに感謝するほどの臭気だ。いつか、誰かが彼らを弔ってくれることがあるのだろうか。
先に向こう側に降りた柏田が、再び手を差し出した。だが、……両手だ。飛び込めと? いくらなんでもそれはハードルが高い。
「大丈夫、ひとりで降りられるから」
一度端に腰を下ろし降りようと体を前に倒して、失敗した。窓の格子に、カットソーの裾が思いっきり引っかかってしまったらしく、派手な音がした。
「……あー」
右腕は怪我の治療のために肩からばっさり袖を落としてしまっているし、血染めだし、背中は大きく裂けているし、もはや服の体を成さない状態。これは酷い。
私が天を仰ぐと、柏田が小さく噴出した。睨んだら、彼は片手を上げて謝る。顔はまだ笑っているが。
「脱出したら、まずは服を要求するわ」
「病院で検査や治療のために着替えることになる。とりあえず、そのポンチョを着ておけ」
なんの慰めにもならない言葉を吐いて、彼は先導する。
地下道の入り口は、深さをとるためか、カーブを繰り返して潜っていく形になっているようだ。いびつな螺旋を描いているみたい。そのせいで見通しが悪い。明かりは壁面に備え付けられたライトで、そこそこ足りているのに。
「この先にゲートがあるの?」
柏田は拳銃を両手で持ち、やや警戒した様子で答えた。
「この坂を下りきった後にある」
「ちょっと疑問なんだけど、もし坂を下りきって、そこでなんかの理由で通行不許可になったら、Uターンして地上に戻るの大変じゃない?」
「あえて、の構造だろう。さっき入り口に、防災シャッターがあったのに気づいたか?」
「ぜんぜん……バスばっかり見ていたから」
「ゲートで問題が起きたとき、防災シャッターを閉じて、該当者を閉じ込められる構造だな」
「えっ。そんなのありなの? いろいろ問題じゃない?」
少なくとも、そんな構造のショッピングモールとかがあったら、相当バッシングされる。私だって行きたくない。
「軍用施設が密集している場所だ、そういうこともある」
「軍用?」
聞き返すと、柏田が瞬きした。
「そうだ。この学園都市の六割の施設が、軍になんらかの技術を提供している。きわめて機密度合いの高いものを扱っている施設も、少なくない。非常時にそういう対応をされるのは、やむを得ない。……まさか、知らないのか?」
知らないのになぜここに? 何の用が? という顔をして、彼は足を止めて、まじまじと顔を覗き込んでくる。
「記憶が、一部欠損しているみたい。気が付いたら、あの病院にいたの。この街にどうやって来たのかとかも、まったくわからない」
「身分証の類は携帯していないのか?」
「気付いたとき、なにも持ってなかった」
その上拘束されていたことは黙っておく。ややこしいことになるのは避けたい。
柏田の視線が痛い。仕方がない。私は身元が不確かな不審者だ。しかも、ここはテロ事件の現場。疑わしいだろう。
ややあって、柏田は肩をすくめた。
「病院で見てもらうときに、その症状も報告したほうがいいな」
「……私のこと、不審に思わないの」
「思う」
はっきり言われて言葉に詰まる。
柏田はだが、いつもの調子で淡々と続けた。歩みを再開して。
「不審には思うが、今は君の身分や過去を確認する術はないし、君が俺に危害を加えるようには見えない。入場履歴は、あとからゲートのデータを確認してもらえばわかるだろう。だから今騒いでもなんの意味もないことだ」
「もし私が嘘をついていたら、どうするの」
「さあな。でもそんな、迷子みたいな顔で言われても、ぴんとこない」
からかうように言われた。そんな、情けない顔をしていただろうか。
どんどん先に行ってしまう彼を追って、私は小走りになる。
合理的な判断。けれど、情にも厚い。そうじゃなければ、今の時点で私のことを切り捨ててもおかしくないんじゃないだろうか。この極限といってもいい状況で、お荷物にしかならない不審な女だもの。
ありがたい反面、申し訳なくも思う。一緒にいることで、彼を危険に晒しているのは確実だからだ。
今だって私に合わせて、きっと歩調を緩めてくれている。
「ありがとう、柏田さん」
彼の横に並んで、私は目を伏せた。
「リアンって呼んでくれ。ファーストネームの方がしっくりくる。本土暮らしが長かったからな」
「それで円滑なコミュニケーションが期待できるなら」
「なんだ、意外と理屈っぽいな、君は」
口の端で彼は笑う。
「リアンには負ける」
わき腹を小突かれた。一撃が重い。
ぐるぐると長かった下り坂を終えると、ようやく平坦な直線の道に出た。
一定間隔に設置された明かりのオレンジ色の光に照らされ、件のゲートが眼前に現れた。これは……、乗り越えられるのかしら。
想定より、ずっと高い気がする。この地下に入るとき、高さ制限の表示をよく見なかったけれど、十トントラックは通行できるだろう高さに天井がある。その天井までいっぱいに、太い鉄の棒がはまった柵が二重になって、行く手を阻んでいる。柵は、手前が縦、奥が横の向きに鉄棒が渡されていて、天井と左側の壁に引き込むようなつくりになっていた。格子の手前側には右手に、奥には左手に、監視が入れる小屋があり、通行の確認をしていたんだろうと予測できた。
コインパーキングなんかにあるような入出ゲートの、赤と白のバーなんかまったく問題にならない堅牢さ。本当に、軍関連の施設があるということなんだろう。
「これ、どうにかなるかしら」
「とりあえず、そこの管理室に入ろう」
リアンはゲート手前の管理用の小屋のドアのノブに手をかけた。が、ひねってもドアが開く気配はない。
「やっぱり、鍵がかかっているみたいね」
「少し離れていろ」
リアンは、ショットガンを構えると、ドアのノブと鍵めがけて、発砲した。耳ざわりな金属音とともに、ドアノブがひしゃげる。彼が引っ張ると、ドアは軋むような金属音を立てて外向きに開いた。
心の中で、ガッツポーズをしたときだった。けたたましいサイレンの音が地下道に鳴り響く。
「なにこれ!」
「おそらく、正規の方法でない開錠をしたから、警報が鳴っているんじゃないか」
「大丈夫なの?!」
「わからん」
彼は慌てる様子もなく、銃を構えたまま室内に入る。
背後で、ずん、と重い音が聞こえた気がする。もしや外のシャッターが閉まったのか。
私は慌てて、リアンの背中を追いかけ室内に踏み込んだ。
柏田が舌打ちした。入り口は横転したバスに塞がれていて、先に進めない。
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柏田は車を降りて、様子を確認しにいく。ハンディライトを点灯し、バスの周辺の様子を調べていく。私もそれに続いた。雨を避けるため、柏田が濃緑色のポンチョを貸してくれた。フードつきのそれを被る。
このバスを踏み越えていくのはなかなか骨が折れそうだ。間違いなく、車では通れない。
バスは普通の路線バスと様子が違っていた。カラーリングが濃緑で、広告記事や運営会社のロゴもない。窓枠に太い格子が嵌め込まれており、ガラスが派手に割れているのはフロント付近のみだ。
タイヤ痕を目で追うと、蛇行したあと、曲がりきれずに地下道の入り口に衝突し、横転したように見えた。もっとも、私も事故現場の検証などしたことがないから、憶測に過ぎない。
柏田が横倒しになった車体の横腹――今は天井になっている――に乗り、中をライトで照らす。
「運転手と六人、死亡している」
彼はそう言うと、胸の前で十字をきった。クリスチャンだったのか。私は悩んだ後、合掌した。無宗教だけれど、それが一番自然だと思ったのだ。
「いろいろ荷物が散乱している。この様子だと、何人かは逃げ出したのかもしれない」
中を覗き込もうと近寄って、顔をしかめることになった。吐き気を誘う血の臭いが立ち込めている。蒸したようなきつい臭いだ。乗客たちが絶命してしばらく経っているのだろうか。
「これは軍用車両だ。俺が担当した場所ではない救助ポイントから出発した班だろう。フロントガラス付近を見るとわかるが、襲われたようだ」
たしかに、両の前のほうの板金に大きな陥没が見られた。コイン大の穴が密集している。
「ショットガンで撃たれたな」
「どうしよう。これを乗り越えて、進む?」
「先に進んでゲートの外へ出られるか確認してみよう。もし出られたら、おそらくだが、非常時に地上に出るための、避難口があるはずだ。そこから脱出できる」
彼は言うが早いか、身軽にバスから飛び降りて、車の中の荷物を取ってくる。
「体調はどうだ。痛むか」
「まあ、少しは。でも大丈夫」
本当は、泣いたせいで頭がものすごく痛いが、それは病気でも怪我でもないから、報告しない。
柏田は、自分でバスを再び登ると、私に向けて手を差し出した。左手でそれを掴むと、驚くほどの力強さで引き上げられる。
乗り上げたバスからは、いっそう強い臭いがして、私は思わず鼻と口を手で覆った。
街灯の明かりだけでは詳細は見えないが、車内は横転したせいで、いろいろなものが散らばっていた。救助された人の私物だろうハンドバックや靴、携帯端末など。そして、壊れたマネキンのように不自然な角度で絡み合って、動かない人影がいくらか。詳細が見えないことに感謝するほどの臭気だ。いつか、誰かが彼らを弔ってくれることがあるのだろうか。
先に向こう側に降りた柏田が、再び手を差し出した。だが、……両手だ。飛び込めと? いくらなんでもそれはハードルが高い。
「大丈夫、ひとりで降りられるから」
一度端に腰を下ろし降りようと体を前に倒して、失敗した。窓の格子に、カットソーの裾が思いっきり引っかかってしまったらしく、派手な音がした。
「……あー」
右腕は怪我の治療のために肩からばっさり袖を落としてしまっているし、血染めだし、背中は大きく裂けているし、もはや服の体を成さない状態。これは酷い。
私が天を仰ぐと、柏田が小さく噴出した。睨んだら、彼は片手を上げて謝る。顔はまだ笑っているが。
「脱出したら、まずは服を要求するわ」
「病院で検査や治療のために着替えることになる。とりあえず、そのポンチョを着ておけ」
なんの慰めにもならない言葉を吐いて、彼は先導する。
地下道の入り口は、深さをとるためか、カーブを繰り返して潜っていく形になっているようだ。いびつな螺旋を描いているみたい。そのせいで見通しが悪い。明かりは壁面に備え付けられたライトで、そこそこ足りているのに。
「この先にゲートがあるの?」
柏田は拳銃を両手で持ち、やや警戒した様子で答えた。
「この坂を下りきった後にある」
「ちょっと疑問なんだけど、もし坂を下りきって、そこでなんかの理由で通行不許可になったら、Uターンして地上に戻るの大変じゃない?」
「あえて、の構造だろう。さっき入り口に、防災シャッターがあったのに気づいたか?」
「ぜんぜん……バスばっかり見ていたから」
「ゲートで問題が起きたとき、防災シャッターを閉じて、該当者を閉じ込められる構造だな」
「えっ。そんなのありなの? いろいろ問題じゃない?」
少なくとも、そんな構造のショッピングモールとかがあったら、相当バッシングされる。私だって行きたくない。
「軍用施設が密集している場所だ、そういうこともある」
「軍用?」
聞き返すと、柏田が瞬きした。
「そうだ。この学園都市の六割の施設が、軍になんらかの技術を提供している。きわめて機密度合いの高いものを扱っている施設も、少なくない。非常時にそういう対応をされるのは、やむを得ない。……まさか、知らないのか?」
知らないのになぜここに? 何の用が? という顔をして、彼は足を止めて、まじまじと顔を覗き込んでくる。
「記憶が、一部欠損しているみたい。気が付いたら、あの病院にいたの。この街にどうやって来たのかとかも、まったくわからない」
「身分証の類は携帯していないのか?」
「気付いたとき、なにも持ってなかった」
その上拘束されていたことは黙っておく。ややこしいことになるのは避けたい。
柏田の視線が痛い。仕方がない。私は身元が不確かな不審者だ。しかも、ここはテロ事件の現場。疑わしいだろう。
ややあって、柏田は肩をすくめた。
「病院で見てもらうときに、その症状も報告したほうがいいな」
「……私のこと、不審に思わないの」
「思う」
はっきり言われて言葉に詰まる。
柏田はだが、いつもの調子で淡々と続けた。歩みを再開して。
「不審には思うが、今は君の身分や過去を確認する術はないし、君が俺に危害を加えるようには見えない。入場履歴は、あとからゲートのデータを確認してもらえばわかるだろう。だから今騒いでもなんの意味もないことだ」
「もし私が嘘をついていたら、どうするの」
「さあな。でもそんな、迷子みたいな顔で言われても、ぴんとこない」
からかうように言われた。そんな、情けない顔をしていただろうか。
どんどん先に行ってしまう彼を追って、私は小走りになる。
合理的な判断。けれど、情にも厚い。そうじゃなければ、今の時点で私のことを切り捨ててもおかしくないんじゃないだろうか。この極限といってもいい状況で、お荷物にしかならない不審な女だもの。
ありがたい反面、申し訳なくも思う。一緒にいることで、彼を危険に晒しているのは確実だからだ。
今だって私に合わせて、きっと歩調を緩めてくれている。
「ありがとう、柏田さん」
彼の横に並んで、私は目を伏せた。
「リアンって呼んでくれ。ファーストネームの方がしっくりくる。本土暮らしが長かったからな」
「それで円滑なコミュニケーションが期待できるなら」
「なんだ、意外と理屈っぽいな、君は」
口の端で彼は笑う。
「リアンには負ける」
わき腹を小突かれた。一撃が重い。
ぐるぐると長かった下り坂を終えると、ようやく平坦な直線の道に出た。
一定間隔に設置された明かりのオレンジ色の光に照らされ、件のゲートが眼前に現れた。これは……、乗り越えられるのかしら。
想定より、ずっと高い気がする。この地下に入るとき、高さ制限の表示をよく見なかったけれど、十トントラックは通行できるだろう高さに天井がある。その天井までいっぱいに、太い鉄の棒がはまった柵が二重になって、行く手を阻んでいる。柵は、手前が縦、奥が横の向きに鉄棒が渡されていて、天井と左側の壁に引き込むようなつくりになっていた。格子の手前側には右手に、奥には左手に、監視が入れる小屋があり、通行の確認をしていたんだろうと予測できた。
コインパーキングなんかにあるような入出ゲートの、赤と白のバーなんかまったく問題にならない堅牢さ。本当に、軍関連の施設があるということなんだろう。
「これ、どうにかなるかしら」
「とりあえず、そこの管理室に入ろう」
リアンはゲート手前の管理用の小屋のドアのノブに手をかけた。が、ひねってもドアが開く気配はない。
「やっぱり、鍵がかかっているみたいね」
「少し離れていろ」
リアンは、ショットガンを構えると、ドアのノブと鍵めがけて、発砲した。耳ざわりな金属音とともに、ドアノブがひしゃげる。彼が引っ張ると、ドアは軋むような金属音を立てて外向きに開いた。
心の中で、ガッツポーズをしたときだった。けたたましいサイレンの音が地下道に鳴り響く。
「なにこれ!」
「おそらく、正規の方法でない開錠をしたから、警報が鳴っているんじゃないか」
「大丈夫なの?!」
「わからん」
彼は慌てる様子もなく、銃を構えたまま室内に入る。
背後で、ずん、と重い音が聞こえた気がする。もしや外のシャッターが閉まったのか。
私は慌てて、リアンの背中を追いかけ室内に踏み込んだ。
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