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本編
13
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「ミスはミスだ、仕方がない。君にその気がなかったとはいえ、怪我をさせたことは変わらない」
「訴えられるかもしれないって? そんなの酷すぎる。ぼ、僕は、彼女が感染者だと思って……」
「彼女からしたら、理由はともあれ攻撃されたのだから。悪意がなかったなら、それこそ、彼女にしっかり謝るところからじゃないのか」
ふっと意識が浮上すると、向こうの方で、男たちが言い争いしている声が聞こえてきた。
13、
手当をしてもらって、そのまま眠ってしまったようだ。腕はあまり痛くないが、眩暈がする。そして、倦怠感が全身を蝕んでいる。
塩野が嘆く声が聞こえた。
「ああ、もう最悪だ。ヘリの時間は過ぎちゃったし、加害者だなんて。僕、どうしたらいいんだ」
「君は自分のことばかりだな」
「なんだって。僕は彼女のことを考えてここに残ったんだよ、ヘリは諦めて。そこまで言われる筋合いはないよ、自分の仕事もちゃんと全うできなかった君に」
「塩野。自己保身は結構だが、俺に八つ当たりしても意味はない」
「君たちがきちんと救助してくれなかったから、僕はこうしてこんなゴーストタウンみたいなところを逃げ回ってるんじゃないか!」
「そんなにヘリに搭乗したければ、行けばよかった」
「そうしたら、問題なんでしょう?」
「訴えられる可能性はあるというだけで、君がなにを問題と捉えるか俺は知らない。彼女に怪我をさせたことか、訴えられることか」
「どっちも大問題だよ! なんなんだよ、この状況は!」
「冷静になれ。君はパニック状態だ。騒いでどうにかなる問題じゃない、事態が悪化するだけだ」
「冷静になんか、なれるか!」
だん、という大きな音がした。
「ねえ……、大丈夫?」
身を起こした私の目に飛び込んできたのは、スチール製のドクターズキャビネットを殴った塩野と、少し苛ついた様子で腕を組む柏田の姿だった。
塩野は複雑そうな顔をして、そっぽを向いた。
歩み寄ってきた柏田が、私の首に手を当てる。大きく少し冷たい手の感触に、背筋がびくりと震えてしまった。
「脈は少し速い。怪我のせいだと思う、熱がある。気分は」
「だるいけれど大丈夫。手当、ありがとう」
「いや、すまなかった。勘違いがあったんだ」
「わかってるから。あのあなたは……」
立ちすくんでいた塩野が、はっとする。
「塩野はじめです」
「塩野さん……事故だと思っているから。訴えるだなんて面倒なこと考えないわ。ここから出られれば、それでいい」
本心からの言葉を伝えると、塩野は腰を深く曲げ頭を下げた。
「本当に、申し訳ない」
「頭を上げてよ、……塩野さん」
名前を呼ぶのには、まだ抵抗があった。でも呼びかけないと、彼はそのまま土下座しそうな勢いだった。
悪気があったんじゃないというのは、わかっている。逃げたりせずにここに残ったのは、彼なりに責任を感じているからだ。むしろ、責任を感じすぎて、さきほどの保身的な言動に繋がってしまったんじゃないだろうか。
別に、もう塩野に特別好意的に接する必要はないとはわかっている。だが、これから脱出するのに、仲間の士気が下がってしまったら困る。例えば、私を撃ったのが柏田だったとしても、同じ対応をしただろう。
怪我したことにまったく腹が立たないというわけではない。理性で捌けることだ。それこそ、彼のリングの件なんかより、ずっと簡単に。
塩野はようやく顔を上げたと思うと、そっぽを向いてしまう。
その顔を歪ませたのは、きっと、後悔――。
「改めて俺は柏田だ。よろしく。ここから脱出する手段があるんだが君も同行しないか」
「そうさせてもらえるなら、助かる」
足手纏いにならないようにする、と言おうと思ってやめた。怪我のことを持ち出すのは、どうやっても塩野に対する嫌みに思えてしまう。あまりギスギスしたくない。
私の腕は、包帯を巻かれ、プラスチックのような硬いものを当てられていた。添え木の代わりなんだろうけれど、見たことのないものだった。ギプスではないようだ。軍で使われる応急処置用の資材だろうか。
衛生兵ということは、彼は応急処置のプロフェッショナル――なのか。不幸中の幸いというのを、身を以て経験したらしい。
「俺と塩野は、今日の十六時にこの病院の屋上で、ヘリで救助される予定だった。時間が過ぎてしまったので、その経路では脱出できないと思う」
「外部への救助の連絡はどうやるの? 新しく救助要請をした方が、闇雲に逃げ回るよりいいんじゃない」
「前回はメールで行った。ジャミングがかかっているようで、無線は無理だ。有線につながっているパソコンを使用して、救助を要請するしかない」
「ジャミング……」
物騒な言葉がでてきた。
「君の携帯端末なんかも、使えないだろう?」
「無くしたの。でも、どうせ使えないなら仕方ない。前回はどこでパソコンを使ったの?」
「水戸大学内だ。だが、あそこに戻るのは骨が折れる。ここよりずっと感染者が多いからな」
それに、怪我人もいる。となると、連絡は別の場所でパソコンを探さないといけないのか。もしくは、別の手段を考えるか。
柏田も同じことを考えたのだろう。バックパックから取り出した紙を広げる。それは学園都市の地図だった。私がコンビニで見つけたものより、この敷地内については詳しく載っている。赤でバツ印がついているのが、彼が最初に救助活動を行っていたバス停だ。
紙の地図なんてアナログな、と思った所で、そういえばジャミングされているので携帯端末からオンラインの地図は参照できないんだった、と思い至る。
「別の手段を考えよう。救助よりも脱出の方法を。君の怪我を考えると、はやく医療機関できちんとした手当を受けるべきだ」
「方法はあるの?」
「この学園都市は、敷地の周りに高さ16フィートの柵があり、東西南北のゲートと水戸駅と水戸南インターチェンジ直通の地下道路が外部との出入り口になっている。地下道路にももちろんゲートがあって、今は全部封鎖されている。君ももちろん、いずれかのゲートで、身分証の提示を求められただろう? あのゲートを、どうにかして開けないとならない」
彼は順にゲートを指差していく。
フィートで言われるとピンと来ないけれど、だいたい1メートルが3.3フィートだから、5メートル弱ということか。柵がどんな形状なのか知らないが、上るのは骨が折れるし、今の私には強行突破は不可能だ。
ふと、思う。
前回、私は駐車場から外へ出ればなんとかなると思ったけれど、そんな障害があるなら、もう詰んでいたのでは。
「とりあえず、ゲートまで行ってみてはどう。車をどこかで調達できれば――この病院では難しいかもしれないけれど」
「そうだな。それがいいだろう」
「塩野さんもそれでいい?」
一切会話に入って来なかった彼は、うん、と生返事。……怪我をしている私より、彼の方が大丈夫じゃない気がする。
柏田はその様子に何も言わず、地図を指差した。
「この病院のそばに、公営駐車場がある。そこで車が調達できないか、確認する。俺が行って来よう」
病院から南に二ブロック先に、第三公営駐車場があった。
「車、あるかしら。というか、どうやってエンジンを?」
「車を置いて逃げた人も多い。感染者のものもある。エンジンは……まあ、あまりよくない方法だが、なんとかする」
「……バール、使う? なんなら、地下の倉庫にいろいろあったから、工具が必要ならそこからいくらか持って行ったら」
ストレッチャーに立てかけられたバールを目で示すと、柏田は頷いた。彼がバールを持つと、私が持っているのとは迫力が違った。残弾を気にしなきゃいけない銃器より安定した武器になりそうな。
「一人で大丈夫?」
「一人の方がいい。君たちはこの部屋に鍵をかけて、俺がノックするまで決して外に出ないでくれ。いいな。塩野、彼女を頼んだぞ」
柏田は手早く装備を整えると、塩野の肩を叩き、部屋を出て行った。すれ違い様、塩野になにか呟いたが、内容は聞こえなかった。塩野が鋭い目をした。……気まずいじゃないの。
「鍵かけるね」
大きなため息をついた塩野が、ドアの鍵を閉める。
部屋がしんとした。ブラインドが降りた窓の外は薄暗い。雨音がしなくなっているのは、いつの間にか豪雨が弱まっていたからだろう。
塩野は、部屋の隅っこにある椅子に腰をかけて、じっと床を見つめている。その状態で柏田が来るのを待つつもりなんだろうか。
なにか声をかけた方がいいか。むしろその方が負担になるか。肌を重ねるきっかけは、参っている様子の彼をなんとか慰めてあげたいと思ったから。彼が繊細なのはそのときから知っていたけれど、ここまで繊細だとこちらもどうしたらいいかわからない。……私、やっぱりがさつなのかしら。
「ちょっと休んでもいい? だるくて」
無理に雑談するより、そっちの方がいいだろう。
彼も、目を伏せて「どうぞ」と、特に難色を示しもしなかったので、私はそのままストレッチャーの上で丸くなった。
だるいのは本当だし、余計なことを考えて消耗するより、少しでも体力を回復させた方がいい。
目を瞑ると、すぐに眠気がやってきた。
どのくらい眠っていたのか、間近に人の気配を感じて、眠りから覚める。
柏田が帰ってきたのか。
倦怠感はさらに強まっているし吐き気まで感じる。
目を開けて、ぎょっとした。
塩野が私を跨いで、膝立ちしていた。
「訴えられるかもしれないって? そんなの酷すぎる。ぼ、僕は、彼女が感染者だと思って……」
「彼女からしたら、理由はともあれ攻撃されたのだから。悪意がなかったなら、それこそ、彼女にしっかり謝るところからじゃないのか」
ふっと意識が浮上すると、向こうの方で、男たちが言い争いしている声が聞こえてきた。
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手当をしてもらって、そのまま眠ってしまったようだ。腕はあまり痛くないが、眩暈がする。そして、倦怠感が全身を蝕んでいる。
塩野が嘆く声が聞こえた。
「ああ、もう最悪だ。ヘリの時間は過ぎちゃったし、加害者だなんて。僕、どうしたらいいんだ」
「君は自分のことばかりだな」
「なんだって。僕は彼女のことを考えてここに残ったんだよ、ヘリは諦めて。そこまで言われる筋合いはないよ、自分の仕事もちゃんと全うできなかった君に」
「塩野。自己保身は結構だが、俺に八つ当たりしても意味はない」
「君たちがきちんと救助してくれなかったから、僕はこうしてこんなゴーストタウンみたいなところを逃げ回ってるんじゃないか!」
「そんなにヘリに搭乗したければ、行けばよかった」
「そうしたら、問題なんでしょう?」
「訴えられる可能性はあるというだけで、君がなにを問題と捉えるか俺は知らない。彼女に怪我をさせたことか、訴えられることか」
「どっちも大問題だよ! なんなんだよ、この状況は!」
「冷静になれ。君はパニック状態だ。騒いでどうにかなる問題じゃない、事態が悪化するだけだ」
「冷静になんか、なれるか!」
だん、という大きな音がした。
「ねえ……、大丈夫?」
身を起こした私の目に飛び込んできたのは、スチール製のドクターズキャビネットを殴った塩野と、少し苛ついた様子で腕を組む柏田の姿だった。
塩野は複雑そうな顔をして、そっぽを向いた。
歩み寄ってきた柏田が、私の首に手を当てる。大きく少し冷たい手の感触に、背筋がびくりと震えてしまった。
「脈は少し速い。怪我のせいだと思う、熱がある。気分は」
「だるいけれど大丈夫。手当、ありがとう」
「いや、すまなかった。勘違いがあったんだ」
「わかってるから。あのあなたは……」
立ちすくんでいた塩野が、はっとする。
「塩野はじめです」
「塩野さん……事故だと思っているから。訴えるだなんて面倒なこと考えないわ。ここから出られれば、それでいい」
本心からの言葉を伝えると、塩野は腰を深く曲げ頭を下げた。
「本当に、申し訳ない」
「頭を上げてよ、……塩野さん」
名前を呼ぶのには、まだ抵抗があった。でも呼びかけないと、彼はそのまま土下座しそうな勢いだった。
悪気があったんじゃないというのは、わかっている。逃げたりせずにここに残ったのは、彼なりに責任を感じているからだ。むしろ、責任を感じすぎて、さきほどの保身的な言動に繋がってしまったんじゃないだろうか。
別に、もう塩野に特別好意的に接する必要はないとはわかっている。だが、これから脱出するのに、仲間の士気が下がってしまったら困る。例えば、私を撃ったのが柏田だったとしても、同じ対応をしただろう。
怪我したことにまったく腹が立たないというわけではない。理性で捌けることだ。それこそ、彼のリングの件なんかより、ずっと簡単に。
塩野はようやく顔を上げたと思うと、そっぽを向いてしまう。
その顔を歪ませたのは、きっと、後悔――。
「改めて俺は柏田だ。よろしく。ここから脱出する手段があるんだが君も同行しないか」
「そうさせてもらえるなら、助かる」
足手纏いにならないようにする、と言おうと思ってやめた。怪我のことを持ち出すのは、どうやっても塩野に対する嫌みに思えてしまう。あまりギスギスしたくない。
私の腕は、包帯を巻かれ、プラスチックのような硬いものを当てられていた。添え木の代わりなんだろうけれど、見たことのないものだった。ギプスではないようだ。軍で使われる応急処置用の資材だろうか。
衛生兵ということは、彼は応急処置のプロフェッショナル――なのか。不幸中の幸いというのを、身を以て経験したらしい。
「俺と塩野は、今日の十六時にこの病院の屋上で、ヘリで救助される予定だった。時間が過ぎてしまったので、その経路では脱出できないと思う」
「外部への救助の連絡はどうやるの? 新しく救助要請をした方が、闇雲に逃げ回るよりいいんじゃない」
「前回はメールで行った。ジャミングがかかっているようで、無線は無理だ。有線につながっているパソコンを使用して、救助を要請するしかない」
「ジャミング……」
物騒な言葉がでてきた。
「君の携帯端末なんかも、使えないだろう?」
「無くしたの。でも、どうせ使えないなら仕方ない。前回はどこでパソコンを使ったの?」
「水戸大学内だ。だが、あそこに戻るのは骨が折れる。ここよりずっと感染者が多いからな」
それに、怪我人もいる。となると、連絡は別の場所でパソコンを探さないといけないのか。もしくは、別の手段を考えるか。
柏田も同じことを考えたのだろう。バックパックから取り出した紙を広げる。それは学園都市の地図だった。私がコンビニで見つけたものより、この敷地内については詳しく載っている。赤でバツ印がついているのが、彼が最初に救助活動を行っていたバス停だ。
紙の地図なんてアナログな、と思った所で、そういえばジャミングされているので携帯端末からオンラインの地図は参照できないんだった、と思い至る。
「別の手段を考えよう。救助よりも脱出の方法を。君の怪我を考えると、はやく医療機関できちんとした手当を受けるべきだ」
「方法はあるの?」
「この学園都市は、敷地の周りに高さ16フィートの柵があり、東西南北のゲートと水戸駅と水戸南インターチェンジ直通の地下道路が外部との出入り口になっている。地下道路にももちろんゲートがあって、今は全部封鎖されている。君ももちろん、いずれかのゲートで、身分証の提示を求められただろう? あのゲートを、どうにかして開けないとならない」
彼は順にゲートを指差していく。
フィートで言われるとピンと来ないけれど、だいたい1メートルが3.3フィートだから、5メートル弱ということか。柵がどんな形状なのか知らないが、上るのは骨が折れるし、今の私には強行突破は不可能だ。
ふと、思う。
前回、私は駐車場から外へ出ればなんとかなると思ったけれど、そんな障害があるなら、もう詰んでいたのでは。
「とりあえず、ゲートまで行ってみてはどう。車をどこかで調達できれば――この病院では難しいかもしれないけれど」
「そうだな。それがいいだろう」
「塩野さんもそれでいい?」
一切会話に入って来なかった彼は、うん、と生返事。……怪我をしている私より、彼の方が大丈夫じゃない気がする。
柏田はその様子に何も言わず、地図を指差した。
「この病院のそばに、公営駐車場がある。そこで車が調達できないか、確認する。俺が行って来よう」
病院から南に二ブロック先に、第三公営駐車場があった。
「車、あるかしら。というか、どうやってエンジンを?」
「車を置いて逃げた人も多い。感染者のものもある。エンジンは……まあ、あまりよくない方法だが、なんとかする」
「……バール、使う? なんなら、地下の倉庫にいろいろあったから、工具が必要ならそこからいくらか持って行ったら」
ストレッチャーに立てかけられたバールを目で示すと、柏田は頷いた。彼がバールを持つと、私が持っているのとは迫力が違った。残弾を気にしなきゃいけない銃器より安定した武器になりそうな。
「一人で大丈夫?」
「一人の方がいい。君たちはこの部屋に鍵をかけて、俺がノックするまで決して外に出ないでくれ。いいな。塩野、彼女を頼んだぞ」
柏田は手早く装備を整えると、塩野の肩を叩き、部屋を出て行った。すれ違い様、塩野になにか呟いたが、内容は聞こえなかった。塩野が鋭い目をした。……気まずいじゃないの。
「鍵かけるね」
大きなため息をついた塩野が、ドアの鍵を閉める。
部屋がしんとした。ブラインドが降りた窓の外は薄暗い。雨音がしなくなっているのは、いつの間にか豪雨が弱まっていたからだろう。
塩野は、部屋の隅っこにある椅子に腰をかけて、じっと床を見つめている。その状態で柏田が来るのを待つつもりなんだろうか。
なにか声をかけた方がいいか。むしろその方が負担になるか。肌を重ねるきっかけは、参っている様子の彼をなんとか慰めてあげたいと思ったから。彼が繊細なのはそのときから知っていたけれど、ここまで繊細だとこちらもどうしたらいいかわからない。……私、やっぱりがさつなのかしら。
「ちょっと休んでもいい? だるくて」
無理に雑談するより、そっちの方がいいだろう。
彼も、目を伏せて「どうぞ」と、特に難色を示しもしなかったので、私はそのままストレッチャーの上で丸くなった。
だるいのは本当だし、余計なことを考えて消耗するより、少しでも体力を回復させた方がいい。
目を瞑ると、すぐに眠気がやってきた。
どのくらい眠っていたのか、間近に人の気配を感じて、眠りから覚める。
柏田が帰ってきたのか。
倦怠感はさらに強まっているし吐き気まで感じる。
目を開けて、ぎょっとした。
塩野が私を跨いで、膝立ちしていた。
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