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本編
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よくよく考えれば、変な話だ。この病院は廃墟となって久しいはず。だというのに、エレベーターには人がいて、塩野と柏田もいる。あの少女もいたし、さらに私もここにいる。
一体なんで。疑問には思うけれど、聞けない。
なにせ、私がエレベーターで死んだことを、彼らにどう説明すればいいのかわからないから。
7、
「エレベーターはやめたほうがいいと思う」
先行している二人が足を止めた。塩野は驚いた顔をして、柏田はいつもと同じ無表情。
「え? なんで? 屋上まで階段で行くってこと?」
「そう……なる」
頷くと、塩野は心底嫌そうな顔をつくった。
「どうして、そう思う?」
柏田の問いに、私は躊躇いながら答える。
「危険じゃないかな、と思って。もし不測の事態があってエレベーターが止まったら困るし……感染した人が乗ってたらと思うと、怖い」
「一理あるな。だが、他のルートも安全とは言えない」
彼は手にした拳銃――私が渡したものではない、彼のサブウェポン――を降ろす。
「内階段を上るとして、各階を通り過ぎる。その際、感染者に遭遇する可能性はなくはない。どのくらいの人数がいるのかもわからない。それに、外の非常口だが、あそこは通れない」
「なぜ?」
「撃たれる。俺たちはこの建物に運良く逃げ込めたが、一緒に行動していた別の二人が撃たれて死んだ。撃ってきた相手は誰だかわからない。凶器はおそらくライフルだ。感染者がライフルを入手しているのかもしれない」
私は瞬きを繰り返した。おそらく、以前私を撃ち殺したのは、その狙撃手だとは思うけれど。
「感染した人って、銃を扱えるの? 手当たり次第、殴り掛かってくるんじゃないの?」
「個人差があるようだ。まるで獣のようになりふり構わず攻撃して来るものも入れば、武器を使用するものもいる。脳の破壊状態によるのかもしれないが、それも推測にすぎない。だが、複数人でまとまっているとき、不思議だが、彼ら自身でけんかにはならないようだ」
頭が痛くなってきた。そりゃあ、普通の人間だって、個人差はあるけれど、感染した人の症状もそうだなんて言われたら、困る。理性が残っている人がいたら……どう、対応すればいいの。
ただ、難しいことを考えていても、事態は変わらない。
「どちらにしても、エレベーターが一番安全ではないか。もちろん、君の言う通り、感染者が乗っている可能性もある。用心する」
彼は持っていたショットガンに持ち替えた。
「ショットガンならストッピングパワーは十分だ」
昔聞いたことがある。散弾銃で怪我をすると、治療はかなり大変だという。弾が体内で散ってしまうからだ。
あらゆる銃器が、十分殺人の凶器足り得るとわかっているけれど、こうも攻撃的なものを構えられると、改めてぎょっとする。
それ以上何も言わず、私は彼らに着いて再びエレベーター前までやってきた。エレベーターのボタンを押すと、やはり四階から降下してくる。
簡単に使い方を聞いただけの銃を、ドアに向かって構えた。すでに柏田はそうしており、塩野は私の様子を見て、ようやく構えた。
到着を知らせる音がして、エレベーターのドアが開く。
「下がれ……動くな!」
最初の言葉は私たちに。次の言葉は、ドアの中にだ。だが、声と同時に、ドアの中から四人の男女が勢い良く駆け出てきた。彼らは見開いた目をぎょろぎょろさせて殺到する。
制止の声なんて、聞こえていない。
最初の一発を放ったのは、私だった。恐怖心に負け、引き金を引いてしまった。
腕が抜けそうな衝撃がきて、後ずさる。音と同時に目を瞑ってしまう。
発砲音が、立て続けに二回。一度は、聞いたことがある拳銃の発砲音より低く大きかった。
目を開けるとことは終わっていた。血を流した四人の男女が、ばらばらと倒れている。真ん中に倒れた男たちは腹部に広範囲の怪我を負っていて、これは散弾銃で柏田がやったんだとわかった。散弾銃らしき銃声は一発だったから、まとめてやったのかもしれない。
「私の、当たった……?」
「当たってたよ、あの女の人に。でも、撃ってからあんまり目を瞑らない方がいいよ、危ないから」
「ええ」
塩野の忠告に頷いて、そっと、倒れた女の人を覗き込む。初めて撃ったのに、ラッキーだったのか、彼女の喉に穴が開いていた。
……人を殺して、ラッキーだと思う日がくるとは。
考えると頭が破裂しそうになる。これは正当防衛だ、こうしなければ自分が殺されると、言い訳を頭の中で並べ立てる。――そうすれば自分が落ち着くとわかるほどには冷静で、自分のなかでいろいろなことが鈍化してきている気がした。
「医療従事者か」
柏田が倒れ伏した人たちを見て、何かを考えるそぶりを見せた。
たしかに、落ち着いて見てみると、皆、服装に若干の違いはあるものの、アイボリー色のユニフォームや、白衣、濃い赤のユニフォームなど、よく病院で目にする医療関係者の格好をしていた。
妙にひっかかるものがあったけれど、二人に促され、私はエレベーターに乗る。
「七階でいいよね」
階数ボタンの横には、その階になにがあるか書かれていた。一階はロビー・内科・循環器科、二階は形成外科・耳鼻科、三階から六階までは病室、七階は……スタッフオンリーと。
塩野がボタンを押すと、たしかに反応があり、エレベーターは動き始めた。
静かな稼働音の中、私は気付いた。地下への行き先ボタンがある。
地下は駐車場になっているようだ。でも、私のいた地下の部屋から、駐車場に行ける道なんかあったかしら。
「さあ、つくぞ」
あっという間に、七階に差し掛かっていた。
油断なく柏田が銃を構える。私も、塩野も同じく、開き始めたドアに向けて銃を構えた。
七階は、エレベーターの目の前にゲートが設置されていた。この先、スタッフのみ侵入可能ということだろう。
ゲートは駅の改札なんかにあるような形をしていて、乗り越えるのはそう難しくなかった。
スタッフ向けのフロアーだからか、案内図などはない。平面図にしたら、フロア自体の形はさほど一階と変わらない形をしているのだろうけれど、部屋の区割りなどがずいぶん違うようだった。
すでに点いていた廊下の明かりははっきりとしていて、まぶしいくらい。白っぽいグレーの床材は、下のロビーとは少し違うデザインで、無機質な感じが強い。
銃を構えたまま先導する柏田に続いて、私、塩野の順番で進む。
ここも人の気配はない。
「ここ……あんまり汚れてないね」
塩野の言う通りだった。
床は、経年の劣化が見られるけれど、埃は積もっていない。
まるで、つい最近まで掃除されていたみたい。
十字になっている廊下の、曲がり角まで来た。
全方位をぐるりと見回すと、右手の方に階段があった。
「こっちだ!」
塩野が走りだす。
階段の前にもゲートがあり、そこを越えると上下につながる階段があった。
「ひとりで行くな!」
柏田が制止しても、塩野の歩調は緩まるどころか、速まる。
よくない。屋上に出られることに夢中になって、話を聞いてない。嫌な予感がして、塩野を追う柏田を小走りに追いかけた。
「鍵、開いてるよ!」
駆け上った階段の先に扉があった。観音開きの大きな金属のドア。それを体当たりするように、塩野が開けた。
「塩野!」
柏田の声を打ち消すように、音が響いた。
発砲音。
そして、まるで泳ぐようにゆっくりと、塩野が倒れてきた。後ろむきに、ふわりと。
じわじわその腹部に赤いシミが浮いて来る。
「しっかり! 深呼吸して!」
私は塩野の腹部を手で押さえた。血はどんどん吹き出て来る。塩野は、はっはっと短く荒い息を繰り返していて、目の焦点が定まっていない。
傷口を押さえる私の手を、塩野の手が掴む。とても弱々しく。
さっき、あの少女から私を助けてくれたあと、身を起こすのに差し伸べてくれたときは、あんなにしっかりしていた彼の手が、今はこんな……。
「どうしよう、ねえ、どうしよう……!」
自分が襲われたときとも、感染者が目の前で殺されたときとも違う焦燥感が、私の声を震わせた。
ところが、柏田は静かな顔で、銃を構えていた。私の方へ銃口を向けて。
「磯波さん、ゆっくり、下がるんだ」
彼の声が緊張している。
顔を上げ、目が合った。屋上へのドアから、見知らぬ男が顔を出していた。ひげ面の、体格のいい中年の男。そのうつろな目――感染者だ。
私の手を掴んでいた手がふと力を失い、床に落ちた。
あ、と思って、視線を外したそのタイミングで、とても重たいものがぶつかってきて、私は後ろ向きに倒れた。
反射的に手を後ろに突こうとしたのに、そこには床がなかった――そういえば、背後は階段だった。
ふわりと、みぞおちが浮くような奇妙な感覚ののち、後ろ頭に衝撃を感じて、視界が白に染まる。
痛みは、なかった。
一体なんで。疑問には思うけれど、聞けない。
なにせ、私がエレベーターで死んだことを、彼らにどう説明すればいいのかわからないから。
7、
「エレベーターはやめたほうがいいと思う」
先行している二人が足を止めた。塩野は驚いた顔をして、柏田はいつもと同じ無表情。
「え? なんで? 屋上まで階段で行くってこと?」
「そう……なる」
頷くと、塩野は心底嫌そうな顔をつくった。
「どうして、そう思う?」
柏田の問いに、私は躊躇いながら答える。
「危険じゃないかな、と思って。もし不測の事態があってエレベーターが止まったら困るし……感染した人が乗ってたらと思うと、怖い」
「一理あるな。だが、他のルートも安全とは言えない」
彼は手にした拳銃――私が渡したものではない、彼のサブウェポン――を降ろす。
「内階段を上るとして、各階を通り過ぎる。その際、感染者に遭遇する可能性はなくはない。どのくらいの人数がいるのかもわからない。それに、外の非常口だが、あそこは通れない」
「なぜ?」
「撃たれる。俺たちはこの建物に運良く逃げ込めたが、一緒に行動していた別の二人が撃たれて死んだ。撃ってきた相手は誰だかわからない。凶器はおそらくライフルだ。感染者がライフルを入手しているのかもしれない」
私は瞬きを繰り返した。おそらく、以前私を撃ち殺したのは、その狙撃手だとは思うけれど。
「感染した人って、銃を扱えるの? 手当たり次第、殴り掛かってくるんじゃないの?」
「個人差があるようだ。まるで獣のようになりふり構わず攻撃して来るものも入れば、武器を使用するものもいる。脳の破壊状態によるのかもしれないが、それも推測にすぎない。だが、複数人でまとまっているとき、不思議だが、彼ら自身でけんかにはならないようだ」
頭が痛くなってきた。そりゃあ、普通の人間だって、個人差はあるけれど、感染した人の症状もそうだなんて言われたら、困る。理性が残っている人がいたら……どう、対応すればいいの。
ただ、難しいことを考えていても、事態は変わらない。
「どちらにしても、エレベーターが一番安全ではないか。もちろん、君の言う通り、感染者が乗っている可能性もある。用心する」
彼は持っていたショットガンに持ち替えた。
「ショットガンならストッピングパワーは十分だ」
昔聞いたことがある。散弾銃で怪我をすると、治療はかなり大変だという。弾が体内で散ってしまうからだ。
あらゆる銃器が、十分殺人の凶器足り得るとわかっているけれど、こうも攻撃的なものを構えられると、改めてぎょっとする。
それ以上何も言わず、私は彼らに着いて再びエレベーター前までやってきた。エレベーターのボタンを押すと、やはり四階から降下してくる。
簡単に使い方を聞いただけの銃を、ドアに向かって構えた。すでに柏田はそうしており、塩野は私の様子を見て、ようやく構えた。
到着を知らせる音がして、エレベーターのドアが開く。
「下がれ……動くな!」
最初の言葉は私たちに。次の言葉は、ドアの中にだ。だが、声と同時に、ドアの中から四人の男女が勢い良く駆け出てきた。彼らは見開いた目をぎょろぎょろさせて殺到する。
制止の声なんて、聞こえていない。
最初の一発を放ったのは、私だった。恐怖心に負け、引き金を引いてしまった。
腕が抜けそうな衝撃がきて、後ずさる。音と同時に目を瞑ってしまう。
発砲音が、立て続けに二回。一度は、聞いたことがある拳銃の発砲音より低く大きかった。
目を開けるとことは終わっていた。血を流した四人の男女が、ばらばらと倒れている。真ん中に倒れた男たちは腹部に広範囲の怪我を負っていて、これは散弾銃で柏田がやったんだとわかった。散弾銃らしき銃声は一発だったから、まとめてやったのかもしれない。
「私の、当たった……?」
「当たってたよ、あの女の人に。でも、撃ってからあんまり目を瞑らない方がいいよ、危ないから」
「ええ」
塩野の忠告に頷いて、そっと、倒れた女の人を覗き込む。初めて撃ったのに、ラッキーだったのか、彼女の喉に穴が開いていた。
……人を殺して、ラッキーだと思う日がくるとは。
考えると頭が破裂しそうになる。これは正当防衛だ、こうしなければ自分が殺されると、言い訳を頭の中で並べ立てる。――そうすれば自分が落ち着くとわかるほどには冷静で、自分のなかでいろいろなことが鈍化してきている気がした。
「医療従事者か」
柏田が倒れ伏した人たちを見て、何かを考えるそぶりを見せた。
たしかに、落ち着いて見てみると、皆、服装に若干の違いはあるものの、アイボリー色のユニフォームや、白衣、濃い赤のユニフォームなど、よく病院で目にする医療関係者の格好をしていた。
妙にひっかかるものがあったけれど、二人に促され、私はエレベーターに乗る。
「七階でいいよね」
階数ボタンの横には、その階になにがあるか書かれていた。一階はロビー・内科・循環器科、二階は形成外科・耳鼻科、三階から六階までは病室、七階は……スタッフオンリーと。
塩野がボタンを押すと、たしかに反応があり、エレベーターは動き始めた。
静かな稼働音の中、私は気付いた。地下への行き先ボタンがある。
地下は駐車場になっているようだ。でも、私のいた地下の部屋から、駐車場に行ける道なんかあったかしら。
「さあ、つくぞ」
あっという間に、七階に差し掛かっていた。
油断なく柏田が銃を構える。私も、塩野も同じく、開き始めたドアに向けて銃を構えた。
七階は、エレベーターの目の前にゲートが設置されていた。この先、スタッフのみ侵入可能ということだろう。
ゲートは駅の改札なんかにあるような形をしていて、乗り越えるのはそう難しくなかった。
スタッフ向けのフロアーだからか、案内図などはない。平面図にしたら、フロア自体の形はさほど一階と変わらない形をしているのだろうけれど、部屋の区割りなどがずいぶん違うようだった。
すでに点いていた廊下の明かりははっきりとしていて、まぶしいくらい。白っぽいグレーの床材は、下のロビーとは少し違うデザインで、無機質な感じが強い。
銃を構えたまま先導する柏田に続いて、私、塩野の順番で進む。
ここも人の気配はない。
「ここ……あんまり汚れてないね」
塩野の言う通りだった。
床は、経年の劣化が見られるけれど、埃は積もっていない。
まるで、つい最近まで掃除されていたみたい。
十字になっている廊下の、曲がり角まで来た。
全方位をぐるりと見回すと、右手の方に階段があった。
「こっちだ!」
塩野が走りだす。
階段の前にもゲートがあり、そこを越えると上下につながる階段があった。
「ひとりで行くな!」
柏田が制止しても、塩野の歩調は緩まるどころか、速まる。
よくない。屋上に出られることに夢中になって、話を聞いてない。嫌な予感がして、塩野を追う柏田を小走りに追いかけた。
「鍵、開いてるよ!」
駆け上った階段の先に扉があった。観音開きの大きな金属のドア。それを体当たりするように、塩野が開けた。
「塩野!」
柏田の声を打ち消すように、音が響いた。
発砲音。
そして、まるで泳ぐようにゆっくりと、塩野が倒れてきた。後ろむきに、ふわりと。
じわじわその腹部に赤いシミが浮いて来る。
「しっかり! 深呼吸して!」
私は塩野の腹部を手で押さえた。血はどんどん吹き出て来る。塩野は、はっはっと短く荒い息を繰り返していて、目の焦点が定まっていない。
傷口を押さえる私の手を、塩野の手が掴む。とても弱々しく。
さっき、あの少女から私を助けてくれたあと、身を起こすのに差し伸べてくれたときは、あんなにしっかりしていた彼の手が、今はこんな……。
「どうしよう、ねえ、どうしよう……!」
自分が襲われたときとも、感染者が目の前で殺されたときとも違う焦燥感が、私の声を震わせた。
ところが、柏田は静かな顔で、銃を構えていた。私の方へ銃口を向けて。
「磯波さん、ゆっくり、下がるんだ」
彼の声が緊張している。
顔を上げ、目が合った。屋上へのドアから、見知らぬ男が顔を出していた。ひげ面の、体格のいい中年の男。そのうつろな目――感染者だ。
私の手を掴んでいた手がふと力を失い、床に落ちた。
あ、と思って、視線を外したそのタイミングで、とても重たいものがぶつかってきて、私は後ろ向きに倒れた。
反射的に手を後ろに突こうとしたのに、そこには床がなかった――そういえば、背後は階段だった。
ふわりと、みぞおちが浮くような奇妙な感覚ののち、後ろ頭に衝撃を感じて、視界が白に染まる。
痛みは、なかった。
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