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しおりを挟む「君を愛することはない。俺の最愛の人はルシアだ」
「左様でございますか」
「今後は決して顔を見せないように。ルシアに何かしたら許さない」
というやり取りを最後に、ヘルミーナは夫であるアルフォンス二世に会っていない。
アスター王国、首都ベリン。その中央に位置する白亜の白薔薇宮殿――の離宮に蟄居、というか軟禁状態にされ、以来三年。
「今日も暇ですわねー」
という状況である。
最初のうちはカンカンに怒っていた侍女たちも、最近は口数も少なく落ち込みぎみだ。
何せすることが、ない。朝起きて髪を結いドレスに着替え、あとは日光浴をして、読書なり刺繍なりをして、味気ない食事をして時間が過ぎていく。
そのドレスも糸も故郷フォース国から持ってきた三年前のもので、着古したドレスをほどいて刺繍糸をとる始末。
とても一国の王女が受ける扱いではないが、ヘルミーナは残念ながら夫に抗議することができないでいた。
彼女はフォース国第十八王女。父たる国王アーサー三世の十一番目の側室が産んだ、ただ王の血を引いているというだけの女である。
まあアルフォンスの憤りも、わかる。
せっかく大国フォース国とつながりができたと思ったのに、あってないような縁でしかなかったのだ。
だからといってヘルミーナを放置して、平民から取り立てた愛人ルシアと仲睦まじくするのも子供じみた行いではあるが。
ルシアはまだ若く、アルフォンスとの関係はすでに八年目にさしかかる。
現状、王太子に指名されている子は彼女の子だし、彼以外にも子供をポコポコ産んでいる。
つまりヘルミーナは完全に能無しの問題外の名ばかり正妃なのだった。
穏やかで静かで退屈な日々だった。
こんなふうにして老いていくのも、悪いばかりでもないだろう。
ヘルミーナの心配ごとは、故郷からついてきてくれた侍女たちのことである。
彼女たちは若く、身分の低い母親から生まれたヘルミーナにもよく付き従ってくれた。親兄弟から離れ他国にまでついてきてくれただけでも心細くて心配だったろうに、こんな状況に追い込まれるなんてどれほど辛く悲しいだろう。
ヘルミーナは、いいのだ。
元々、あってないようなあやふやな立場と身分の出身だ。
でも彼女たちは、中級とはいえれっきとした貴族のお嬢さんたちなのだ。
ちゃんとした人生を届けてやりたい、とヘルミーナは思っている。
彼女たちにまともな縁談を取り次いでくれるよう、アルフォンスに嘆願書を書いている。目下、突き返されるばかりでおそらく中身を見てくれていないだろうが。
それでもこればかりは続けよう、と思うのだった。
さて、そんな離宮の庭にぽとりと鳩が落ちてきたのは冬の最中のこと。
白くもなければ黒くもない、いたって普通の、鳩柄の鳩だった。弱り切って翼が凍り、飛べなくなったらしい。
ヘルミーナは哀れがって鳩を部屋に入れ、温めてやった。幸い、鳩はすぐに息を吹き返し天井付近を飛び回るようになった。
「かわいいですわねえ」
「本当に。元気になってよかった」
「鳴き声も聞けば愛らしいこと」
和気あいあい、侍女たちと鳩を取り囲んでちやほやする。
皆、張り合いのない毎日に疲れていたのだった。
鳩は持てないままの自分の子供、故郷に置いてきた飼い犬、弟妹、あるいは未来そのもののように愛された。
やがて鳩は弱った。まだ冬の寒さは厳しく、どんなに温めてもどうにもならなかった。
「鳩や、鳩……あああ」
ヘルミーナの膝の上、手の中で鳩はこときれた。彼女は嘆いた。心がしくしく痛み、それは久しぶりに感じた感情だった。
と、鳩の死体がふくれた。
「えっ」
パン、と音を立て、風船が割れるように鳩の死体ははじけた。
びちゃびちゃと赤黒い血と臓物のかけらがあたりに飛び散る。侍女たちは悲鳴を上げる。
ヘルミーナのぽかんと開いた口に、鳩の死体から飛び上がった何かが飛び込んだ。
白く丸い、何か。びっくりするほどまずい。鉄と、何か粉っぽい薬のような味がする。
彼女は唖然として、とりあえず口をゆすぐため洗面台に立った。
***
ヘルミーナの腹はみるみるうちに膨れ上がり、さすがに国王側の巡回の衛兵に気づかれて、怒りのあまり湯気を立てそうなアルフォンス二世がはじめて離宮を訪れた。
「やってくれたな! 我が妃の座をルシアから奪っただけでなく、下賤の男を引き込みまぐあったのか! おのれ、この屈辱は倍にして返すぞ! 姦通罪にて絞首刑にしてくれる!」
目が白目になりかけている。これほど怒った人間というものをヘルミーナは見たことがなかったから、足がすくみ身体は震えたけれども、
(怒り、ってこういうことなのね……)
とむしろ感心するところの方が大きかったと言える。
フォース国では後宮の片隅で息を殺して。
アスター王国ではこの離宮でつくねんと生きて。
誰にも真剣に向き合ってもらうこともなく、侍女たちだけを頼りにしてきた。
そこに喜怒哀楽が入り込む余裕はなかった。互いに気を遣いあう、鳥の和毛のように暖かく柔らかい静かな友情の檻の中。
アルフォンスはヘルミーナの髪を掴み、強引に引きずっていこうとする。彼女は足を踏ん張ってこらえようとした、侍女たちは国王の腕に取り縋って慈悲を乞うた。
男の腕力はそんな女たちの努力などないもののように粉砕し、ヘルミーナはとうとう膝をついた。
反射的に、腹を庇った。
ありえないほど膨らんだ腹を。
母親の出産を何度も手伝ったという侍女に言わせれば、もう半年か七か月ほどの大きさに膨らんでいるという。
「――待ってェ、アルううう!」
と叫び声、軽快な足音がしたのはそのときである。
嘘のように国王の手から力が抜けた。国王は晴れやかな笑顔で後ろを振り返った。
「ルシア」
走り込んできた美しい少女は、目が覚めるような金の巻き毛、空のように青い目、白い肌をしていた。大きく膨らんだ白いレースのドレスと相まって、花嫁のようだ。
ヘルミーナは床につっぷしたまま、少女と国王を見上げる。
(なんて美しい……)
と、素直に感嘆せざるを得なかった。それほどまでに彼らは美しい、一対の連れ合い同士だった。
「あのっ、あのねえ? ヘルミーナ様はきっとお寂しかったと思うのです。あたし、よくわかるわ。生まれた家で冷遇されてたとき、あたしもとっても寂しかったから」
「おお、ルシア。こんな女を見るんじゃない。目が潰れてしまうぞ」
「あたし、ヘルミーナ様を許しますわ!」
「ルシア、そなたはなんて心優しい乙女なんだ!」
「だからアルも、ヘルミーナ様を許してあげて!」
「おお……」
国王は深い溜息をつくと、渋々頷いた。ルシアのまろやかな頬を撫で、唇にキスをする。
忌々し気にヘルミーナを睨みつけたあと、抱き上げたルシアを守るように後ろに追いやった。
「フォース国の女狐め。我が愛するルシアに感謝しろ」
「……はい。ありがとうございます、ルシア様」
「それだけか?」
ヘルミーナはヨタヨタとルシアに向かって這いつくばると、土下座の体勢に頭を下げた。腹がつっかえて嘔吐しそうで気が気でない。
「本当にありがとうございます、麗しきルシア様。アスター王国の星、アルフォンス二世ともども、とこしえに栄がありますよう」
「いいんですよ。あたし、あなたの寂しさわかってあげられますから。あたしもねえ、アルが助けてくれるまで、とっても悲しくて辛かったんです。でも助けてもらったから、もういいの。ヘルミーナ様、いい子を産んでね」
それで、そういうことになった。
ヘルミーナの腹の子は、生まれ次第養子に出されることになった、という――
国王と愛人が引き上げたあと、ヘルミーナはぐったりソファに横たわる。
「ヘルミーナ様、ヘルミーナ様、お気を確かに」
「ああ、水を……使えるカップはないの?」
「さっきの騒動で割れてしまいました」
「おお王女様、おいたわしい」
四方八方から手が伸びてきて、甲斐甲斐しく世話を焼いてくれた。ありがたさに涙が滲んだ。ヘルミーナは言った。
「我が子が生きられるとは思えないわ。言い訳もさせてもらえなかったんだもの。養子と偽って連れていき、殺されるのだと思う」
一番年嵩の侍女、これは死んだ乳母やの親友だった女だが、それが涙ながらに頷いて、
「なんとかしてみましょう。この身に代えても、王女様とお子様をなんとか……」
「なんともできませんよう」
まだ幼さを残した侍女が呆けたように呟く。
「家族に手紙さえ送れないんだもの。なんでこんなとこ来ちゃったんだろう――」
「そもそも王女様は男など引き込んでおられません。こうなったのも全部、あの鳩のせいです。あの鳩。ああ、あんなもの拾わなければよかったんだわ!」
***
ほどなくして、ヘルミーナは産気づいた。
国王が派遣してきた侍従と侍女が一人ずつ、その誕生を部屋の外で待っている。侍女たちは殺気立って彼らを入れないように踏ん張る者と、ヘルミーナを介助する者に分かれる。
凄まじい難産だった。
ヘルミーナは雄叫びを上げた。絶叫した。悲鳴を上げた。もう許してと泣いた。助けてと手を伸ばした。
何度も気を失い、血はシーツを染め上げるほどに出た。彼女はもはや礼儀も人の言葉も忘れてのたうち回る。握りしめた手の爪が割れ、食いしばった歯の感覚がなくなり、髪の毛を束で引き毟った。
侍女たちももはや人間の様相ではなかった。主の死が間近に見えて、誰も冷静ではいられなかった。
三日三晩。気絶と、いきみと、力尽きるのとを繰り返し。痛みの波のあわいにヘルミーナは神の慈悲を乞うた。
そして血と羊水と汗と涙と涎と垢にまみれて竜が生まれた。
完璧に揃った黒いうろこ。鳥に似たおとがい。額の上にそびえ立つ山羊のような日本の角。山鳥の尾より猫のしっぽより長くしゅるんと優美な尾。眼球を覆う膜。開いたその瞳の色は黄金色。
ヘルミーナの体内を引っかきつくして流血させた鉤爪のついた手足を振り回し、彼は鳴いた。
「ぴゅわーん」
ヘルミーナはその禍々しい生き物を抱きしめた。
血は刻一刻と失われ、彼女は死にかけていたが心は喜びに満ちていた。
これまでなんの価値もなかったヘルミーナに、はじめて価値ができた瞬間だった。
彼女は竜の母親だった。
侍女たちは固まり、寄り添いあってひとつの群体のように息を殺していた。だがやがて、勇気を振り絞った者から順番に動き、ヘルミーナの手当をした。
あの監視役たちが消えていることに気づかなかったのは彼女たちの落ち度である。こんなことだからこんな離宮に軟禁されるのだ。
足音も高らかにアルフォンス二世が走り込んできた。
「竜!」
ヘルミーナの抱く竜を見て、喜色満面になる。
「おお、ヘルミーナ! そなただったのか、アスター王国を救ってくれる聖女は!」
ヘルミーナの心は死んだ。
国王はつらつらと語った。
いわく、アスター王国は常に竜に守られた国であり、国の危機に際して必ずや竜が訪れるのだと。建国王も、中興の祖も、あの王もこの王もそうだった。
すべて初耳である。誰もヘルミーナに必要な情報も教養も授けてくれなかったので、彼女は実のところ、フォース国とアスター王国の地理関係さえよくわかっていないのだ。そういう意味では平民出身の麗しきルシアの方がよっぽど賢い。
「俺はこの竜を戦場に連れていき、フォース国の奴らを蹴散らすのだ――おお、なぜ文献に竜の入手方法が書かれていないのか、やっとわかった。竜は、産むものだったのだな。探すものではなく。やはり神はこの国を見捨てていなかったのだ。こうして正妃に竜を授けてくれたのだから」
そうではない。そうではない。
ヘルミーナが竜を産んだのは、鳩のせいだ。ヘルミーナは聖女ではなく、フォース国の王女でもなく、ましてやアスター王国の正妃などではない。断じて。
彼女は竜を抱きしめる。夫は、国王は、満面の笑みで、見たことがないほど慈愛のまなざしでヘルミーナを見つめる。両手を差し出し、当たり前の、決まりきったことを言う調子で、
「さあ、そいつを渡せ。俺はこれを兵士どもに見せてやるのだ。士気が上がるように」
そうか、この国は戦争中だったのか。
そんなことさえ、愚かなヘルミーナは気づかなかった。
ずっと離宮にいて、時が止まったままで。
「お腹が空いているのね?」
彼女は竜の仕草の意味に気づいて、その頭を撫でる。角の付け根をかかれるのが気持ちいいのか、竜はくるると喉を鳴らす。
「ほら、お肉よ」
と彼女は国王を指さした。
「お腹いっぱいお食べ」
竜は喜び勇んで国王に飛びつき、あの強い腕力をものともせずに組み伏せた。
大きな口を開けて、かぶりつく。悲鳴が上がった。血が噴水のように吹き出す。竜はまだ人間の弱点がよくわかっていないらしい、ここかな? あそこかな? どうすれば動かなくなるんだろう? 考えながら、殺している。
国王の側近らしい、見たことがあるような男たちが剣で斬りかかったりしてみるものの、黒いうろこは金属をすべて弾いた。
それならとヘルミーナや侍女に向かった者は竜の逆鱗に触れ、ただちにしっぽで殴打された。頭蓋骨が骨折する音、悲鳴、呼吸音、ぐちゃぐちゃと肉が食われる音、喘鳴、祈り、ぱきんぽきんと咀嚼される軟骨の音。
――すべて私が味わった出産の足元にも及ばぬ痛みだろう。
人の肉を取り込むごとに、竜は強く、大きくなるようだった。彼の身体は熱く、うろこはなめらかで美しかった。
人によっては存在さえ知られていなかった正妃ヘルミーナを背中に乗せて王城を闊歩する黒い竜は、使用人、貴族の別なく目についた人間をひといきに飲み込み、噛み砕き、押し潰し、引き潰し、食べた。
その後ろには侍女たちの一団が従っていた。誰かが言った。
「死神だ」
「違う、戦女神と戦乙女だ――」
「悪魔だ」
「助けて」
「きゃー」
「誰か」
言葉は断片的すぎて、ヘルミーナには聞き取れない。ここは高すぎて、人を見るには見下ろすしかない。
竜はいつしか炎を吐くことを覚えた、いや違う――思い出した。
彼の身体にあらかじめ備わったこと。歩き方、鉤爪の振るい方、後ろから切りかかってくる騎士を見ないまましっぽで吹っ飛ばす方法、子供は丸のみに、大人はこんがり焼いてから食べた方がおいしいこと。
そして、飛び方。
竜の、我が子の考えていることが手に取るようにわかるのは、ヘルミーナにとって愉快だった。
いつしか中庭らしい、噴水がある綺麗な花園に迷い出て、そこには腰を抜かしたルシアがいた。
「ひ、ひいいいいい……」
「およしなさい、お腹を壊すわよ」
竜がルシアを食べようとしたので、ヘルミーナは諫めた。
見れば、噴水の影や木々の裏、花壇の花の垣根の間にも人間がちらほらいる。大人と子供。
ルシアは自分の侍女も子供も、守るでもなく庇うでもなく、ただ震えている。か細い悲鳴を上げながら、尻もち付いた体勢でお尻と腕で後ろに下がろうとする。
ヘルミーナはふっと笑った。
「もうお腹いっぱい? じゃあ、お空を飛びましょう」
彼女は天を指さした。
満天の星。輝く満月。竜の目が、黄色く光る。彼の好奇心がヘルミーナの全身に共鳴し、ざわざわする。
王城のあちこちから火の手が上がり始めた。竜が面白半分に吐いた火が元だから、水をかけても消せまい。
侍女たちが苦労しながら彼のしっぽをよじ登り、全員、ヘルミーナの後ろの背中のくぼみに収まった。それを確認して彼女は優しく竜の頭を撫でる。
「いいわ、行って」
そうして黒い竜は夜空へ飛び立った。
それは人知を超えた、この世のあらゆるしがらみと制約を放棄した、美しい飛行だった。
竜。その生き物の、翼! 全身の躍動があらわす優美!
月明りの元に、黒曜石のかけらのようなきらめきが一筋の光明となって流れ去る――
のちの世の子供たちを怖がらせる、黒竜の魔女とその手下の魔女たちの童謡はここから始まる。
アスター王国には阿鼻叫喚が残された。
国王が死んでしまったので、人々はルシアに指示を仰いだ。そして彼女が愛人以上の能力を持たない女だと思い知った。
統率をとれる者がなんとか火を消し、怪我人を保護し、瓦礫を片付けた。
誰かが言った。
「誰のせいだ?」
「こんなことになったのは」
アスター王国には竜の神話があった。
「竜は俺たちを助けてくれる生き物じゃなかったのか?」
人々はヘルミーナが冷遇されているのを見て見ぬふりをしていたし、そうしている自分というものを意識の外に追いやっていたから、国の守護者である竜と国王を同時に失ってしまった原因がまさか自分たちにあるとは思いもよらない。
「誰のせいだ?」
「誰のせいだ?」
「ふざけるなよ、その死体は俺の友達だったんだぞ――」
「いやああ、あなた、あなた」
「おい、弟を見なかったか?」
「あたしの坊やはどこ? 小姓として奥の間にいたのよ」
「……」
不貞の罪のせいだ。
そうだ。
あの女は愛人で、お妃様じゃなかった。
お妃様じゃないくせにふんぞり返った女がいた。そのせいで神様と竜様は怒って、この国を見捨てたのだ。
そうに決まっている。
それから。
ルシアがどうなったのかは誰も知らない。
子供たちも、少なくとも間違いなく国王アルフォンス二世の子供だったのだけれど、誰も知らない。
だから最初からそんな人たちはいなかった、ということになっている。
国王アルフォンス二世は正式な葬式を出してもらえたが、その肉体は千々に細切れになって拾えなかったので、王冠が葬られたという。
アスター王国は信仰してきたフォース国に併合された。冬が終わって春のことだった。
そのときになってもなお、王城の残り火は燃えていたという。
黒竜の魔女と黒竜、それから手下の魔女たちはそれからあらゆる時代のあらゆる場所に目撃された。
人を助け、ときに食い散らし、感謝され恐れられ祀られた。
名前を忘れ去られても、時代の波に揉まれて存在が消え失せても、彼と彼女らの絆が確かにそこにあったことは消えない。
ヘルミーナは自由を手に入れたのだ。
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