旧知の名家ホテル王は懐妊した斜陽旅館令嬢を人生を賭けて愛し尽くす

烏兎 美々子

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優雅に娶られる

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 「…最高に格好よくなったね、麟斗君。」

 今でも、私は華奢で小さくて、彼は逞しくて大きいまま。差は開きっぱなし。
 しんみりしてしまって、瞳がなんでかな、潤んできた。
 言葉に出来ない感情が込み上げてくる。
 こうして麟斗君に寄り添ってると、『この先は絶対に大丈夫』って、わかるんだもの。
 私じゃ旅館のこと、どうにもできなかったけど。
 麟斗君の胸元に添えていた手で、彼にしがみついた。

 「ありがとう。凛子がそう言ってくれて、この先頑張れそうだ。」
 麟斗君が、私の頭を子供を慰めるように優しく撫でる。
 私は、彼の優しさに甘えて抱きしめてもらった。
 「この時間、俺は好きだな。」
 急に落胆してしまった、気まぐれなお嬢様を赦してくれる。
 やはり大人な彼は、素敵だなと思った。
 何時までもこのまま、麟斗君に甘えじゃれていたいな………ーーー。
 子猫みたいな淡い気持ちは、車の目的地到着と共に崩れ去った。
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