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第二十七話
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ユーゴはミリエール工房から出ると、自宅へと戻って行く。
今回の目的である魔石は手に入れられたため、家でそれを試そうと考えるが、ふと別の案が思い浮かぶ。
「――家の中でやってもいいけど、気分転換に森に行ってみるか」
気分転換と言いつつも、ユーゴはあることが気になっていた。
魔物たちに与えた魔力放出器がどうなっているか? アレがなんらかの影響を魔物たちに与えているか?
それを確認したい気持ちが強かった。
もしかしたら、別の魔物と取り合いになって怪我でもしていたりしないか? もめごとに巻き込まれていないか? ――今になってそんな心配をしていた。
「大したものじゃないが、あんなものでも欲しがるやつがいるかもしれないからな」
そう呟くと、ユーゴの歩く速度はどんどん速くなっていき、気づけば走り出していた。
「ガウガウ!」
三体の魔物の住処に近づいてくると、狼が威嚇するように吠える声が聞こえてくる。
「っ……まさか!」
あの三体に何か問題があるのかと速度をあげて急ぐユーゴは魔法を駆使してさらに駆けていく。
「大丈夫か!?」
それまで目にもとまらぬスピードで走っていたユーゴはその速さが嘘のように目的地に着いた途端静止し、気にかけていた3匹に慌てて声をかける。
「……ピー?」
「……ガウ?」
「……ブル?」
そこにいたのは、焦っているユーゴに対して首を傾げる三体の魔物の姿だった。
「あれ?」
狼の鳴き声を聞いて緊急性があると思っていたが、どうやら何も起きていないようだった。
「何か揉めていたわけじゃないのか……それで、そいつらは何者なんだ? そして、これは一体どういう状況なんだ?」
毛玉と狼と猪の前には例の魔力放出器が置いてある。
加えてその前に、何体かの魔物が列を作っていた。
「ピーピピー。ピピーピ、ピーピピ」
もふもふの毛玉がぴょんぴょんはねながら何やら必死に説明しようとしている。
「???」
ユーゴは全くわからずに首を傾げる。
「ガウガウ」
「ブルブル」
補足するために、狼と猪が実際に魔力放出器の前に並ぶ。そして、先頭にいる狼がボタンを押して五秒程度魔力を放出させて、再び停止させる。
狼が移動すると、次は猪が同じように魔力放出器のボタンを押して、魔力を放出させてその後停止させる。
それを終えると、狼と猪はドヤ顔でユーゴのことを見ていた。
毛玉に視線を向けると、同様にドヤ顔でユーゴを見ている。
「えーっと、多分だけど魔力放出器を自分たちだけで独占しないで他の魔物にも使わせてやってるってことでいいのか?」
状況から察した結果を口にすると、三体は何度も頷いていた。
「はーっ、それはなんというか心の広いことだな。普通は隠しておいたり、他のやつに使わせないと思うんだけど、容量には限りがあるわけだし」
内包されている魔力が全て出し切ってしまえば、ユーゴがチャージしない限りは放出されることはない。
「ピーピー」
「ガウン」
「ブルブルン」
三体とも首を横に振る。その表情を見る限り、それは構わないんだと言っているようだった。
「そうか……この森で最初に仲良くなったのがお前たちでよかったよ」
他の魔物たちのことを考え動ける毛玉たちにユーゴは感動を覚えていた。
満更でもない様子で照れ臭そうにする三体。
「さて、少し話をしたいんだが……終わるまで待とう」
列を作っている魔物はユーゴたちが話しているのを静かに待っており、列を崩さずにいた。
それを見てしまっては、乱入した側であるユーゴの用事を優先させるのは悪いと思い彼らの魔力吸収が終わるのを離れた場所で座って待つことにした。
魔物の数が少なかったため、数分程度でそれは終了する。
魔力を吸収した魔物たちは散り散りになり、残ったのはいつもの三体だった。
「終わったか、お疲れ様。もういいのか?」
他にもやることがあるのかを確認するユーゴ。
「ピーピピー」
大丈夫だと返事をしているように見える毛玉。
「それなら少し話をしよう。他の魔物たちも近くにはいないようだな……」
ユーゴは周囲の気配を確認する。
三体はユーゴの前に集まってくる。
「お前たち……っていうのもなんだな、せっかくだから名前をつけてやりたいんだけど、いいか?」
「ピーピピピー!!」
「ガウガウ!!」
「ブルルルルル!!」
ユーゴの言葉を聞いた三体は、大きな声をだし、その場で飛び跳ねて身体全体で喜びを表していた。
「お、おおう、思ってた以上の反応だな」
想像の三倍以上の大きな反応に、ユーゴは驚き身じろいでしまう。
「ガウガウガーウ!」
特に狼の食いつきが良く、早く名前をつけてくれとユーゴに縋り付いていた。
「ピーピピーピー!」
「ブル、ブルルルルル!」
すると、他の二体も負けじとユーゴに名前をねだっていく。
「わ、わかった、わかったから待てって! ちゃんと考えるから待ってくれ!」
と言ったものの何も考えておらず、ユーゴはそこから数時間の間目を瞑り、唸りながら考えることとなる。
数時間後
「わかった、決めたぞ!」
ユーゴは目を開くと、そこには待ち疲れて眠ってしまった三体の姿があった。
ポリポリと頭を掻くユーゴ。
「さすがに待たせすぎたか……」
気持ちよさそうに寝息を立てる毛玉、狼、猪をユーゴは順番に抱きかかえて住処に運んでいく。
待たせておいたのに、そのままというわけにもいかないだろうとユーゴは住処に柔らかに布を敷き詰めて寝やすいようにする。
「悪いな、また明日来るよ。こいつには魔力をためておくからな」
魔力放出器を手にして、魔力を込めていく。
それを魔物たちの枕元に置くと、ユーゴは自分の小屋に戻って行く。
小屋に戻ったユーゴは外で魔力を枯渇させるための結界張りを行うことにする。
「ただ厚くするだけじゃなく、滑らかにして、隠蔽の付与もかけて……」
魔力容量に余裕ができてきたため、ただの結界ではなく色々と試していく。手を加えているため、多くの魔力を必要とする。それゆえに……。
「これは、何度やっても、結構、きついな……」
魔力がほとんどなくなってきた身体を無理やり奮い立たせてユーゴは小屋に戻って行った。
今回の目的である魔石は手に入れられたため、家でそれを試そうと考えるが、ふと別の案が思い浮かぶ。
「――家の中でやってもいいけど、気分転換に森に行ってみるか」
気分転換と言いつつも、ユーゴはあることが気になっていた。
魔物たちに与えた魔力放出器がどうなっているか? アレがなんらかの影響を魔物たちに与えているか?
それを確認したい気持ちが強かった。
もしかしたら、別の魔物と取り合いになって怪我でもしていたりしないか? もめごとに巻き込まれていないか? ――今になってそんな心配をしていた。
「大したものじゃないが、あんなものでも欲しがるやつがいるかもしれないからな」
そう呟くと、ユーゴの歩く速度はどんどん速くなっていき、気づけば走り出していた。
「ガウガウ!」
三体の魔物の住処に近づいてくると、狼が威嚇するように吠える声が聞こえてくる。
「っ……まさか!」
あの三体に何か問題があるのかと速度をあげて急ぐユーゴは魔法を駆使してさらに駆けていく。
「大丈夫か!?」
それまで目にもとまらぬスピードで走っていたユーゴはその速さが嘘のように目的地に着いた途端静止し、気にかけていた3匹に慌てて声をかける。
「……ピー?」
「……ガウ?」
「……ブル?」
そこにいたのは、焦っているユーゴに対して首を傾げる三体の魔物の姿だった。
「あれ?」
狼の鳴き声を聞いて緊急性があると思っていたが、どうやら何も起きていないようだった。
「何か揉めていたわけじゃないのか……それで、そいつらは何者なんだ? そして、これは一体どういう状況なんだ?」
毛玉と狼と猪の前には例の魔力放出器が置いてある。
加えてその前に、何体かの魔物が列を作っていた。
「ピーピピー。ピピーピ、ピーピピ」
もふもふの毛玉がぴょんぴょんはねながら何やら必死に説明しようとしている。
「???」
ユーゴは全くわからずに首を傾げる。
「ガウガウ」
「ブルブル」
補足するために、狼と猪が実際に魔力放出器の前に並ぶ。そして、先頭にいる狼がボタンを押して五秒程度魔力を放出させて、再び停止させる。
狼が移動すると、次は猪が同じように魔力放出器のボタンを押して、魔力を放出させてその後停止させる。
それを終えると、狼と猪はドヤ顔でユーゴのことを見ていた。
毛玉に視線を向けると、同様にドヤ顔でユーゴを見ている。
「えーっと、多分だけど魔力放出器を自分たちだけで独占しないで他の魔物にも使わせてやってるってことでいいのか?」
状況から察した結果を口にすると、三体は何度も頷いていた。
「はーっ、それはなんというか心の広いことだな。普通は隠しておいたり、他のやつに使わせないと思うんだけど、容量には限りがあるわけだし」
内包されている魔力が全て出し切ってしまえば、ユーゴがチャージしない限りは放出されることはない。
「ピーピー」
「ガウン」
「ブルブルン」
三体とも首を横に振る。その表情を見る限り、それは構わないんだと言っているようだった。
「そうか……この森で最初に仲良くなったのがお前たちでよかったよ」
他の魔物たちのことを考え動ける毛玉たちにユーゴは感動を覚えていた。
満更でもない様子で照れ臭そうにする三体。
「さて、少し話をしたいんだが……終わるまで待とう」
列を作っている魔物はユーゴたちが話しているのを静かに待っており、列を崩さずにいた。
それを見てしまっては、乱入した側であるユーゴの用事を優先させるのは悪いと思い彼らの魔力吸収が終わるのを離れた場所で座って待つことにした。
魔物の数が少なかったため、数分程度でそれは終了する。
魔力を吸収した魔物たちは散り散りになり、残ったのはいつもの三体だった。
「終わったか、お疲れ様。もういいのか?」
他にもやることがあるのかを確認するユーゴ。
「ピーピピー」
大丈夫だと返事をしているように見える毛玉。
「それなら少し話をしよう。他の魔物たちも近くにはいないようだな……」
ユーゴは周囲の気配を確認する。
三体はユーゴの前に集まってくる。
「お前たち……っていうのもなんだな、せっかくだから名前をつけてやりたいんだけど、いいか?」
「ピーピピピー!!」
「ガウガウ!!」
「ブルルルルル!!」
ユーゴの言葉を聞いた三体は、大きな声をだし、その場で飛び跳ねて身体全体で喜びを表していた。
「お、おおう、思ってた以上の反応だな」
想像の三倍以上の大きな反応に、ユーゴは驚き身じろいでしまう。
「ガウガウガーウ!」
特に狼の食いつきが良く、早く名前をつけてくれとユーゴに縋り付いていた。
「ピーピピーピー!」
「ブル、ブルルルルル!」
すると、他の二体も負けじとユーゴに名前をねだっていく。
「わ、わかった、わかったから待てって! ちゃんと考えるから待ってくれ!」
と言ったものの何も考えておらず、ユーゴはそこから数時間の間目を瞑り、唸りながら考えることとなる。
数時間後
「わかった、決めたぞ!」
ユーゴは目を開くと、そこには待ち疲れて眠ってしまった三体の姿があった。
ポリポリと頭を掻くユーゴ。
「さすがに待たせすぎたか……」
気持ちよさそうに寝息を立てる毛玉、狼、猪をユーゴは順番に抱きかかえて住処に運んでいく。
待たせておいたのに、そのままというわけにもいかないだろうとユーゴは住処に柔らかに布を敷き詰めて寝やすいようにする。
「悪いな、また明日来るよ。こいつには魔力をためておくからな」
魔力放出器を手にして、魔力を込めていく。
それを魔物たちの枕元に置くと、ユーゴは自分の小屋に戻って行く。
小屋に戻ったユーゴは外で魔力を枯渇させるための結界張りを行うことにする。
「ただ厚くするだけじゃなく、滑らかにして、隠蔽の付与もかけて……」
魔力容量に余裕ができてきたため、ただの結界ではなく色々と試していく。手を加えているため、多くの魔力を必要とする。それゆえに……。
「これは、何度やっても、結構、きついな……」
魔力がほとんどなくなってきた身体を無理やり奮い立たせてユーゴは小屋に戻って行った。
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