兄ちゃん、これって普通?

ジャム

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とんでもなくイイ夢を見た朝。
俺は全身を寝違えてしまったような痛みに襲われ、ノロノロと起き上がった。
と、そこはリビングで。
しかも上半身をソファーの上につっぷして寝てたもんだからそりゃ体が痛いのも頷けた。
ただ有り難い事に、俺の体には毛布が掛けられていたおかげで風邪を引くことはなかったようだ。

これは・・もしかしてダイキか?

そんな事を想像して思わず口元が緩んだ。

18年と3ヶ月。
俺の人生の中でいきなり起こった実の弟への衝動は、自分自身のアイデンティティを根底から覆す程の威力を持って、俺を打ち砕いた。

たまたま通りがかった弟の部屋の前。
部屋のドアが少しだけ開いてた。
ベッドの上で壁に寄り掛かり片膝を立てた足を抱えたダイキが、顔を仄かに赤らめて、閉じた目から涙を溢れさせていた。
今まで、そんなもんに惹かれた事なんて無い。
だいたい、人の泣き顔をマジマジ見つめるなんて、悪趣味だと思ってた。
なのに。
なぜか、静かに涙を流すダイキの姿に目が離せない。
胸が締め付けられて、心臓が馬鹿みたいに大きく鳴り出し、体中の血液が沸騰した。
顔が熱い。
頭に血が上って、思わず体がよろめいた。
これが世にいう、恋に落ちたって瞬間だったのかも知れない。
よろめいた体を数歩後ずさりすると、体はすぐに狭い廊下の壁にぶつかった。
マズイ!
俺は慌てて、ダイキの部屋の前から離れ、階段を降りた。
部屋を覗いてたのがバレたから、急いだ訳じゃない。
顔を真っ赤にして狼狽えてる自分を、ダイキに見られたくなかった、ただそれだけ。

なんだって・・こんな・・!?

鳴り響く心臓の音を早く鎮めたくて、深呼吸する。
だけど、ドキドキはなかなか収まらない。
目を閉じるとダイキの無防備な泣き顔が浮かんで、頭から離れなかった。

その日から、ダイキの顔が気になって仕方がない。
あの泣き顔をもう一度見たくて、ついつい顔を覗き見るようになってしまう。
そうしてる内に、こいつこんな顔するんだな・・という日常的な表情にまで惹かれるようになっていた。
そんな自分自身に、ショックを受け、打ち拉がれたことは言うまでもない。
が、弟に対して卑猥な感情を持っていると自覚した瞬間が一番衝撃だった。

まだ季節は秋で、少し暑い頃だった。
リビングで居眠りしてたアイツの、毛の薄い足が短く捲った短パンから長く伸び出ていた。
何の気無しに足の付け根へと視線が誘われた。
少し膝を曲げて横向きの姿勢だ。
普段日にさらされる事の無い内腿の白さに、何か見てはいけないものを見てしまったような罪悪感が生まれる。
が、別に視線を逸らす気は全く無かった。
すると、薄目をぼんやりと開けたダイキが一言『・・兄貴?』と言った後、「起こすな」と言わんばかりに寝返りを打った。
それも、寝返りを打つと同時に自分の短パンの中へと両手を突っ込んで。
それから、モゾモゾと動いた後、再び寝息を立て始めた。
たったそれだけ。
それだけで。
下着の中が熱く蠢き出す。
それは酷く簡単だった。
エッチな画像を見たってすぐに起つもんじゃない。
ムラムラ来たってもう少し後押しがいる。
なのに。
ダイキがただ寝返りして両手を短パンの中に突っ込んでモゾモゾしてたの見ただけで、触れもしていない俺の性器は7割勃ち。
この衝撃に、痛感する。
勃起する程・・・俺は、ダイキが好きだって事に。
実の弟に欲情するという事実に、自分という人間が存在する事実に、目の前が真っ暗になるようなショックを受けた。
が、葛藤は長く続かなかった。
身体が示す素直な反応には、苦笑いするしかなかった。
どんなに、我慢しようとしても、ダイキを前に胸はざわつき、欲望が募る。

ダイキに触りたかった。
肌に、髪に、唇に。
抱き寄せて、腕の中に包み込んで、ダイキの身体中、見えるとこも見えないとこも全部、触ってみたかった。
その抑え難い衝動に打ち勝つ術を、俺は持ち合わせちゃいない。
それが、間違った答えだったとしても、俺が不正解だったとしても、俺は俺でしかなくて、ここに生きてて、こうしてダイキの隣にいるんだから。
だから。
俺は。

「兄ちゃん?」
ダイキの声に俺は顔を上げた。
「すげえ顔してる。具合ワリいの?」
眠そうに目を擦りながら、ピョンと寝癖のついた髪に、ぶかぶかのスウェットを腰履きしたダイキが、リビングへと入ってくる。
「牛乳飲む?あっためる?」
「あー、あっためて」
「了解。パンは?焼く?」
「焼く」
「マーガリンでいい?」
「ああ」
いつも通り。
本当に、いつも通りの朝の一場面。
それがどことなく悲しく思える。
昨日、あんなにキスしてエロい事一杯したのに。
ダイキは平然と俺に話掛けて来て、果てはマーガリンをパンに塗るかどうかなんて、どうでもいい事まで聞いてくる。
まるで『なかったこと』みたいなダイキの態度。
それが悲しい以外の、なんだってんだ?
再び、膝の間へ視線を落とすと、ダイキの声が近づいて来る。
「兄ちゃん・・大丈夫?」
手にはホットミルクを二つ持ち、俺の顔を窺うように体を前に折り、膝をついて座ろうとしたダイキ、に。
「零すなよ」
そう一言、忠告する。
俺はダイキの体には触れずに、顔だけをダイキに寄せて、その唇を合わせた。
一瞬怯んだダイキの体が揺れたが、手に持ったカップが気になり、動きが止まる。
その隙を狙って俺は意地悪くダイキのスウェットを引きずり下ろす。
「ちょ!!」
慌ててダイキが体勢を崩しながらもローテーブルにカップを置くと、俺の頭を髪ごと鷲掴みにした。
それもその筈。
下着こそずり下げてないが、俺はダイキのふにゃチンに布越しに齧りついたのだから。
「このっド変態・・っ!どこの家にこんなことする兄貴がいるんだよ!放せっこのヤロっ」
俺はダイキの抵抗をガン無視して唇と舌でダイキの玉と棒を愛撫する。
どんなにダイキに髪を引っ張られて、ソコから引き剥がされそうになっても、布越しでも、ダイキの熱がソコに集まってくるのがわかるからヤメられなかった。
「ちょ・・っマジで・・にいちゃっ」
完全に弱り切ったダイキが俺の髪を引っ張るのを止め、小刻みに腿を震えさせている。
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