白薔薇を唇に2

ジャム

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体力増強

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『擬態』という言葉がある。
その意味は、自分を何かに似せて見せること。
つまり、弱い者、補食される側の者が自分の姿を、その回りの景色に溶け込ませ、目立たないようにカモフラージュする事で、外敵から自分を護る術の事。


その考え方に、蘭は激しく同意する。
まさしく自分は、その生き方を目指し、制服を着ている時は、教室の中でも外でも、極めて目立たないようにしてきたつもりだ。

が、しかし、フランス人形のように憂いを乗せた瞼に、濃く反り返った睫毛と、整った輪郭に細い顎、そしてピンク色の上唇という、蘭の秀でた容姿は誰の目にも隠しようがなく、否が応にも人の目を惹き付けてしまう。


つまり、どんなに頑張って回りに合わせようとしても、無理なのだ。
こんなに極上に可愛い顔に生まれてしまった蘭を無視出来る人間など、この世にいる筈もない。


華がある、とは、まさしく蘭の事。


そこにいるだけで、いつだってクラスの注目の的で、異性からも同性からも羨望の眼差しを受けているのだが、そんな事に蘭はイマイチ気づいていない。

とにかく、
大人しく!
静かに!
そして真面目に!
していれば、平穏無事に暮らせると信じているのだが、そうは周りの人間が許してはくれない。

とは言え、『極道』の肩書きを持つ蘭に、そうそう気軽に声を掛けられる猛者もいないので、蘭にとっては、それが、自分が大人しくしている効果・・だと思っている。


全く、そんな訳はないのだが。



「あれ、坊ちゃん今日も稽古ですか?」
「稽古じゃない。スポーツクラブ」
「ああ、ボクシング・・」
「違うってば・・。スパーリングはするけど・・足も使うし・・。あ、車はいいよ。矢島と一緒だから」
「はい。お気をつけて、いってらっしゃいまし!」



玄関ドアを開けた所で、出掛けにばったり顔を合わせた大水(オオミズ)が深々と腰を折る。
スキンヘッドに、一重の三白眼。


矢島の舎弟の一人で、矢島の部屋の隣に、常に舎弟達は数人ずつ詰めていて、蘭に何かあれば、いつでも駆けつけられるようにしてある。

見るからにいかつい容貌は、蘭にとって、ある意味羨ましくもある。

あんな風に生まれていれば、自分も胸を張って生きていけたんじゃないだろうか。

蘭は成長期真っ盛りの16歳だが、蘭の身長は去年から1cmも変わっていない。
食も同年代の友達に比べれば、それほど多くないし、体重も外見通りの軽量だ。

しかも、矢島と同棲するようになって、つい寝過ごすと、一食食いっ逸れる事もザラで、その度に体重が落ちていた。


そして、それに気づいた矢島は、出来るだけ蘭の食生活を気遣い、どんなに蘭がクタクタになり眠くても、無理やり起こして、ご飯を食べさせるようになった。



しかし。
これが、とても辛い・・。



眠いのに、口を開けろと無理やり食べ物を口に押し込まれるのだ。

最悪、目を瞑ったままの自分を、矢島が背後から抱き起こして、スプーンを口に入れられてしまうのだが、何かわからない物を食べるというのは、味もよくわからないし、本当は恐い。

それでも、矢島が相手だから信頼して口を開け(させられ)るのだが、何の予告もなしにスープを飲まされたりすると、びっくりしてしまう。

思わず、口の端から飲み切れなかったスープを零してしまい、慌てて、寄り掛かっていた矢島の体から自分の体を起こそうとしたら、逆に肩を掴まれて引き戻された。

矢島の胸に抱き寄せられて、顎を上げさせられ、矢島の舌に首筋から唇までをベロリと舐められてしまう。


「ンンァ・・!」


思わず、鼻にかかった声を上げると、矢島が首筋だけではなく、更に唇を嬲ってくる。

こういう時の食事は、大概が甘い物で、果物やヨーグルト、サンドイッチなどの軽食なのだが、全部を食べ切るまで、矢島は絶対に離してくれない。



そのくせーーー、こうやってイタズラを仕掛けてくる。



質が悪くて、意地悪で、すごくエッチだから、時々困る。

矢島にキスされて、ビクビクと体が感じてるのに、桃だの苺だのを次々に食べさせてくる。

それも、イタズラに指で掬ったヨーグルトを口の中に入れられたり、口の中をその指で掻き回されたり、背筋が奮えるような事をしてくるのだ。

イタズラはそれだけではない。

体の際どい所を撫で回され、首筋にも何度も噛みつかれ、皿が空になる頃には、服が擦れるだけで痛む程、両胸の乳首を捏ねられていた。

もう抵抗のしようもない。

自分は、下腹を勃起から滴る蜜で汚し、食べ物なんかより、矢島が欲しくて堪らなくなっている。
矢島が皿をサイドボードの上に置いたのを合図に、蘭は矢島に飛び掛かった。

舌舐めずりしながら、矢島のスウェットのズボンを引き下げる。

すると、下着をつけていない矢島のモノがヌッと姿を現す。

少しだけ充血している矢島の肉塊に両手を伸ばし、先端に口付けした。

ビクンッと躍動し手の中の欲棒が太くなる。

先端を飴のように四方から嘗め回し、口に咥えてチュパチュパと吸付いた。

見る見る大きくなるそれが嬉しくて、一生懸命舌を這わせていたら、急に肩を押されて、体を、矢島の胸の高さへ引き上げられてしまう。


「え・・なんで・・」


「ダメですよ。『これ』は、いくら坊ちゃんでも食べさせてあげられません。そんなにお腹が減ってるなら、もっと果物を食べて下さい。今、取って来ますよ」


そう言われて、蘭の顔は耳まで真っ赤になった。


「もうお腹なんか空いてない!」

「だとしても、食べてすぐに運動はダメです。消化に悪い」



そう言って止められると、逆にシたくなるから不思議だ。



いつもなら、襲われる方は自分で、どんなに嫌だと抵抗しても聞かない男が、自分を諫めてくる。


それが、どうしても許せない。


なんだよ・・っ
いつも、オレがヤダって言っても、絶対、抱くくせに・・!
泣いても叫んでも、絶対最後までするくせに・・!





「矢島・・シたい」



矢島の肩に掴まり、キスを強請る。

口の中に這入ってきた矢島の唾液が、口の端から零れていくのも構わず、矢島の唇にむしゃぶりつき、矢島の上で腰を妖しくくねらせた。

お互いの充溢を擦り合わせるように、蘭が腰を揺らす。

これでもまだ手を出さないつもりかと、蘭が矢島を濡れた目で煽る。

それでも、矢島は目をやや細めて、自分の上で腰を揺らす蘭の痴態を眺めていた。


「矢島・・ずるいよ・・お前」


目を潤ませて熱い吐息を吐き出し、羞恥に駆られながらも、ついに蘭は、前が窮屈になったボクサーパンツを自分で引き下げ、足首から脱ぎ落とした。

矢島の腰を挟んで膝立ちになった蘭が、真っ赤な顔で矢島を睨みつける。

その両手が後ろに回った。



まるで胸を突き出すような格好で、蘭は唇を噛み締めた。

白いTシャツの中で勃ち上がっている屹立の先端からは、おびただしい量の蜜が滴り、それが茎を伝い、矢島の下腹にポタリポタリと雫を落としている。

恥ずかしくて堪らないが、ここまできてヤメる事も出来ず、蘭は必死に自分の蕾を指で広げた。

自分の中に指を挿れるのも勇気がいるが、それを広げるのも本当は恐い。

自分で触って驚く程に、そこはキュッと閉じていて、とても矢島の性器がここに這入っていたとは思えない狭さだ。



でも、確かに数時間前、矢島はここで何度も果てていた。



一番太い根元まで、これ以上は這入らないくらい腹の奥を犯され、蘭は体内奥深くで爆ぜる矢島を受け止めたのだ。

その飛沫の温度を思い出すと、体の深い場所がキュンと疼いてくる。

自分の人差し指をやっとで中に入れる事が出来た蘭は、溜め息を吐いて、俯かせていた顔を少し上げた。

上気した視線の先には、未だ顔色一つ変えない、矢島の冷静な瞳。

自分ばかりがこんな状態になっている事に、酷く裏切られた気分になり、蘭は泣きたくなってきた。




こんなに、好きなのに・・っ
オレばっか・・好きなのかよ・・っ
矢島・・っ




そう思ったら、目尻に溜まっていた雫がポロリと落ちた。



その瞬間、矢島の目が見開かれた。



次いで、腕を引かれ、腰を抱かれると一気に視界が回った。

背中からベッドに倒され、立ち位置が逆転する。
大きく開いた足の間に矢島が陣取り、性器の下に曝け出された蘭の蕾の緋肉を、矢島の舌が犯す。


「ア、アア・・・ッ矢島・・っだめ、いっちゃう・・!」



そう泣き声を上げたが、矢島の耳にそれが届いていたのかわからない。

既に、先走りの粘液をタラタラと流していた蘭の欲棒は、矢島に直接触られてもいないのに、パンパンに硬く張り詰めていて、それが大きく奮えた瞬間、ドクリ、ドクリ、と、白くねっとりとした精が断続的に吐き出された。


「あ、ああ・・ああ・・っ」


大きく拓かされた股の間で、矢島の舌を身体の中に受け入れながら、蘭が達する。

ビクビクと震えながら自分の名前を呼ぶ蘭に、矢島は気が狂いそうになる。



「どうして、あなたはこう・・・、オレの言う事を聞かないんだ・・?」

後で後悔するのは、オレなのに。



そう愚痴ると同時に、矢島は蘭の尻の狭間へ赤黒く光る肉棒の先端を押し当て、どう見ても蘭の後蕾の大きさと比重の合わない肉塊を腰を使って押し込んだ。



「ンアッアアッアアッッ・・あ、あ、や、じまぁ・・や、じま・・」



目を真っ赤にして自分に手を伸ばす蘭の腕を引き寄せ、矢島は蘭の身体を腿の上に乗せる。

自重で腰が落ち、一気に矢島のモノを深く咥えさせられた蘭は、腰が砕けたように矢島の身体に撓垂れ掛かった。

ぐったりと力の這入らない身体を、矢島に抱き締められる。



「ほら見ろ。だから止めとけって言ったろうが・・。昨日だって、あれだけヤッたんだ。お前は、自分の体力もわからないのか」



そう叱りながら、矢島が蘭の腰を小刻みに突き上げて来る。




ヒドい・・。
煽ったの自分のくせに・・。
結局・・挿れたくせに・・。




そう心の中で、蘭は矢島に文句を言いつつも、顔がニヤけてしまう。



だいたい、矢島が先にイタズラしてきたのが事の発端だというのに、当の本人はシレっとしたものだ。
それでも、自分の中で硬く張り詰めている矢島のモノを感じると、蘭は嬉しくて、全部どうでもよくなってしまった。



「坊ちゃん・・何笑ってんですか・・?意外と、オレが思ってたより余裕があるみたいですね」



矢島の目の奥が昏く光る。



「え、笑ってない!笑ってないってば・・っ」
「その顔が笑ってるって言うんですよ・・」
「あ、ヤ、ヤダ・・!矢島、待って・・ウ、ア、あ・・!」








矢島の呼吸が少しずつ荒くなり、腰の振りが大きくなる。


「あ、あ、矢島・・っやじ、ま・・っあ、ハア、ハア、アアッダメ・・壊れちゃう・・壊れちゃう・・っ」


グッチャグッチャと身体の奥を掻き回され、蘭は無射精の絶頂を繰り返し、声が嗄れる程悲鳴を上げさせられた。

身体の奥で矢島が弾け、やっと終りを迎える頃には、蘭は腕を上げるのも億劫な程疲れ切ってしまっていた。

そして、蘭はベッドの中から出ていく矢島の背中を見て、実感する。

自分は殆ど動いていないのに、ずっと自分を揺さぶっていた矢島の方が全然元気だという事。




体力、増強・・しないと・・・・ダメだ・・。




そんな訳で、週末は、いつもの格闘技のトレーニングに付け加え、ジムに通う事にした蘭に付き添い、矢島も一緒に汗を流す事になった。
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