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七夕
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「暑い」
背中にワイシャツがひっついて、動くのもイヤになる。
コレを着てる姿だって相当マヌケだろう。
汗ビッショリって事実が、もうオレのレベルを下げている。
レベル?
どーせね。
オレなんてね。
クラスの女子にどう思われてたって、ね!
ショセン、犬とヤッちゃうような男なんだよ、オレは!
心の中で叫んで、オレは机に突っ伏した。
「・・ヒーンッ・・」
ついでにちょっと泣いてみた。
すごく惨めだ。
犬に、毎日みたいにヤラれてるオレ。
なんで、なんで、アイツ犬なんだよ・・!(実際はオオカミ)
犬じゃなかったら・・、すんげえカッコイイお兄さんって感じで、甘えん坊で、オレにしか懐いてないみたいな優越感とかもあって、結構お洒落で、車なんか運転しちゃう、結構気に入ってる、・・本当言うとマジで好きになっちゃってて・・だけど。
だけど・・。
なんで。
なんで、アイツは・・・・Hの時、犬になっちゃうんだよォォォ!!
すっかり犬のチンポを突っ込まれる事にも慣れた今日この頃。
イヌもすっかり、人間の姿でヤル努力をする気も無くなっている。
オレをうつ伏せにした時なんかはもう挿れる前から、犬に戻ってて、ケモノバージョン丸出しで突っ込んでくる。
その長さがたぶん30cmはある。
計ってネエケド。
そして、犬のチンポの恐ろしさは、射精直前だ。
根元までをオレの中深く埋め込み、ドクドクと肉棒を膨らませてくる。
その根元の大きさなんて見た事も無いから、どんな太さになってるかなんて知らない。
だけど、オレの中から犬のチンポが抜けないように、完全にオレの中で射精するために、犬のチンポの根元に、瘤が出来るらしい。
それが、ギチギチにオレの中で膨らむと、オレの身体はもうどうしようもなく崩れてしまう。
も、もう、好きにしろよぉ・・っついてけないっつーの・・!!
絶対に抜けない事を知ってる犬は、そこからが本番ってわけで、抜けないのをいいことに、ガンガンに突き上げまくって、オレの背中に涎とか垂らして、ハッハッ言いながらイク。
そのイッてる間、犬はオレの身体中をペロペロ舐めてきて、器用にオレの身体を仰向けると、そのザラついたベロで乳首を転がしてくる。
舌の動きが早いから、ホントに乳首が取れちゃうんじゃないかと思って、オレはその顔押しのけるんだけど、しっかり結合して、オレに跨ってる犬はびくともしない。
「も、やだぁっ」
犬が動くたび、その体毛がオレの身体中を刺激する。
触れる場所全てが擽られて、内股なんか、タマンナイ!!
もし、チンポが這入ってなかったら、笑い転げてHどころじゃないと思う。
だけど、コイツは前戯までは、立派なヒトの姿ので、それがまたスゲエ色っぽくてイヤんなる。
キスされて、抱き締められて、なんか抵抗出来なくなるんだよ。
で、オレもシたいって気持ちになって、イヌがオレの足を広げて。
熱い感触がして。
「イヌ・・」
って、見るとイヌは、犬になってる。
ワザとじゃねえの・・コイツ!!
「シアン、次は一緒にイこうな」
「つ・・ぎ・・?うそ、ムリ・・・ウゥ!!」
犬が、オレの中でまた出す。
身体がブルッて震える。
身体の中が擦られて熱い。
その中へまたさらに熱いモノを掛けられる。
それが上へ上へと這い上がってくる。
「苦し・・いっ早く抜いてっ抜いてっ」
これ以上、中で出されたら破けるっ
オレの悲鳴を聞いた犬が、腰をグイッと動かした。
「ンンーーーー!!」
「シアン。まだ抜けない。まだ出る」
「うっそぉぉぉ~~~!!!ああ、苦しい、よぉっイヌ、苦しいっ苦しいよぉっ中がっ熱っ・・!」
「シアン頑張れ、昨日しなかったからだ。少し量が溜まってる。シアン、頑張れ。シアン、好きだ。全部出したい。全部シアンの中で」
こ、コイツ・・・!!鬼!!
「シアン、今日七夕祭行こうぜ」
「ナンパ、ナンパ~!」
顔を上げると、キシネとタダが立っていた。
オレが苦悶してる間にHRは終っていた。
「タナバタ・・・」
「そうそうナカヒロ公園とこ」
一週間程前から公園は飾りつけられ、夜店が並んでいる。
今日がその最後で、花火も上がるらしい。
そっか・・タナバタかぁ・・・。
イヌと行きたい。
素直にそう思いついた。
「ゴメン、オレもしかしたら親戚と行くかも」
咄嗟だったとは言え、オレはアホな事を言った。
今時の高校生が、親戚って。
どんな親戚だ。
「ああ、同棲してる相手だろ、ソレ」
キシネがサラっと言った。
「ああ、・・あの背高けえオニイサンか」
タダも言った。
そして、またキシネが言う。
「そうそう、たまにセルシオ校門に横付けしてんじゃん。あのヒトだろ」
二人が全部知ってるんだぜって顔で口角を上げる。
「な、な、な、何言って・・?オレはマジ親戚と」
オレの右肩をキシネが、左肩をタダがポンポンと叩いた。
「じゃ、帰ろうぜぇ」
「おう」
ムダだった。
弁明の余地無し。
オレはたぶん顔真っ赤にして、俯いて二人の後を歩いた。
なぁ・・・こういうのって、オレ、本当ならスゲ言い訳して、釈明して、違うから、違うからって言うとこじゃないのかな・・?
言っといた方がいいんじゃないのかな・・!?
「き、キシネ、タダ!」
二人が振り向く。
「オレ、別にサ。ソイツと付き合ってるとか、エッチな事してるとか、ゼッッンゼンッそんな事ないからッあの、ただ、一緒に、な?住んでるってだけで」
「うん。わかってる。うん。な、コーラ買ってやるから。な?」
「う、うん」
それでオレはキシネに頭撫でられた。
いいこ、いいこ。
うん、オレ、完全に見透かされてる。
もう、どうしようもなく落ち込みそうだった。
だって、コイツら全部、どこまでかわかんないけど、全部知ってるって顔なんだもん!!
汗が止まらない。
誰も犬とセックスしてるなんて思わないだろうけど、男とセックスしてるとは、思われてるんだろうな・・・っどんどん顔が下がってって、そしたらタダが。
「今度紹介しろよ?シアン」
って笑った。
「・・・・うん」
オレは小さく、ほんのちょっと頷いた。
ああ、オレ穴があったら這入りたいっってヤツだ!!
教訓。
あんまり堂々と送り迎えとかしてもらっちゃダメだな。
ちょっとオレ甘えてた。
アイツ何でもいいよっていうから。
マンションに入るのも、きっと別々とかにした方がいいのかも・・・。
「シアン。痛い事されたら、オレらに言うんだぞ?」
キシネがオレの顔を覗き込んで、また頭を撫でた。
「うん・・・。大丈夫・・」
「それだけが心配だったんだよナ、オレら」
タダもオレの髪をくしゃってやる。
コイツら・・・オレを心配してくれてたんだ・・・。
って、涙出そうになったのに。
「あ、ヤル前にはジェル使ってもらえよ?」
「よっく洗ってもらってからな」
コイツら、サイアク・・・!!
で、オレはコイツらから走って逃げた。
ううっ明日からの毎日が戦争だ・・!
マンションに帰ると、イヌがシーツに包まってた。
まるで朝からずっとそのまんまで居たみたい。
ま、確かに犬ってずっと寝てる気がするけど・・・。
オオカミもそうなのかな?
「イヌー、七夕祭行こうよ」
キングサイズのベッドの上、膝立ちで近づくとイヌがムクっと起き上がった。
シーツが肩から落ちる。
「シアン、おかえり」
イヌがオレの腕を引っ張って、オレの顔を舌で舐めた。
「な、舐めるなよっ」
「シアン、今夜は一歩も外に出るな。オレと居ろ」
イヌがオレをすっぽり抱き締めた。
「え。なんで」
無理に上を向いてイヌの顔を見ようとした。
そしたら、唇をぺろって舐められて。
数回舐めた後に、イヌの舌がオレの口の中に這入ってきた。
「んー・・」
「今日はオレとずっと一緒にいろ。シアン、オレが好きだろ?」
「す、スキだ、けど・・。今日はお祭なんだよ・・?行かねーの?オレ、イヌと行きたいから、友達断ったのに」
「彦が来るんだ」
「・・・誰それ」
っていうか、イヌの知り合いみたいの、初めて聞く。
「天の川の使いだ。ここ最近姿を見せてる。オレの所へ今日、挨拶に来る」
「ふーん・・・お客さんか。って!彦星とか言うんじゃねーだろうな!?」
「・・・・」
「・・・・付き合いきれネエぞ、オレは。オレ、友達とお祭行ってこよー」
オレはイヌの腕がまきついたまま、携帯を取り出し、キシネの番号を呼び出した。
その時。
イヌの手が、それを奪うと、ポイッと部屋の壁へ投げつけた。
ガンッと、重たい音が壁と床で一回ずつ鳴った。
「て、テンメー・・!オレの携帯!!」
「今日だけはここにいろ。祭には行くな。オレから離れるな」
「ウルサイッ!オレは行くっつったら行くんだよ!!離せ!このケダモノ!!犬!!淫獣!!」
オレは滅茶苦茶に暴れて蹴って、シーツぐちゃぐちゃにして、最後。
イヌの腕に噛み付いた。
「イッ」
オレの肩に回したイヌの腕から、力が抜ける。
その隙に、オレはベッドから駆け下りて、そのまま玄関を飛び出した。
「シアン!!」
扉を閉じたのに、その呼び声が近くて、オレは慌てて階段を駆け下りた。
駆け下りてく途中で、このまま下りてったら、イヌがもしエレベーターを使ってたら鉢合わせる、と気づいて、3階の踊り場で足を止めた。
早くここから逃げたいのに、逃げられない。
焦る気持ちから、そこでウロウロしていると、後ろから声を掛けられた。
「何やってんだ?」
振り向くと、いつの間にか、日焼けした男が上の階から下りて来ていた。
背が高く、色黒で筋肉質。
髪は白っぽいような金髪で、目は鋭い吊り目。
ノースリーブのシャツに重なるように見える金色の鎖(ネックレス)。
なんか・・ガテン系・・サーファーかな・・強そう。
「や、休んでる」
「ふーん。・・・な、ヒマ?」
チャリンって音がして、見ると、両手に皮製のベルト。
そこに切れた鎖が繋がってる。
オッシャレー・・。なのか・・?
「なぁ、お祭やってんの、見に行かねえ?」
って笑った顔は、意外にも怖くなかった。
その手がオレに差し出されて、でもオレが迷ってると、男の反対の手が伸びて、オレの手を掴んで、自分の差し出してる手と繋がせた。
で、よしよしって笑ってる。
なんか、・・面白い。
携帯も壊されちゃったし。
このヒトと行っても、いっか。
本当は、少しだけ、イヌが追っかけてきてくれるの待っていたかったけど。
でも、どうせアイツは行く気なんかないんだし。
帰ったらセックスなんだろうし。
そうだ、と思って聞いてみた。
「ここに住んでる人?」
「いや、誘いに来て振られた」
「フーン。勿体無い」
って笑ったら、彼も、「だろ?」って笑った。
だけど、次の瞬間オレは真っ青になる。
「オレ、彦。お前は?」
・・彦?今、彦って言った・・?
『彦がくる』
イヌの声を思い出した。
喉がゴクリと鳴る。
イヌは、イヤな顔してた。
彦がくるって。
「名前くらい教えるもんだろ・・?なあ、シアン?」
オレは目を見開いて、彦を見た。
彦の手が、オレの目の前を覆った。
顔を大きな掌で掴まれて、オレはフッと意識を失った。
次に気がつくと、空は夜になってた。
真っ黒な視界に、幾千万の星の輝き。
そのど真ん中に淡い霧のようなものが流れている。
あ、アレ、天の川・・だ。
「目が覚めたな」
「誰・・?」
「彦さ」
その名前を聞いて、自分が何かまずい状況になっている事を自覚した。
「・・・ここ、どこ?」
辺りは見渡す限りの砂と石だらけの世界。
「オレの秘密の場所」
「あー、落ち込んだ時とか、来るやつだ」
って、出来るだけバカっぽく答えたのに。
「オンナとヤルための場所だよ」
って、彦はなんでもないように答えた。
・・オレが、今、一番聞きたくなかった台詞を、コイツ・・!
イヤな予感しかしない・・!
「帰る。帰りたい」
「まあ、待て、これから星が散る。綺麗だぞ。どれからいくか・・・お前に選ばせてやろうか?」
彦が空に霧のようにかかる星を指差した。
「・・・何のこと?」
オレは肘を捕まれ、引き止められた。
「お祭さ。年に一度だけオンナを抱く日だ。今年はお前に決めた。お前が今年のオレのオンナな?」
オンナな?って。
おい・・っ
「・・・ここ、どこ?」
「月だよ。お前達が言うとこの」
「うそ・・だろ?」
「ホント。真っ暗だろ?」
彦はにっこりと微笑んだ。
それから、素早くオレの顎を取って。
唇が。
唇に。
なんでオレ・・・抵抗出来ないんだろ・・?
彦の舌が、オレの口の中でくちゅくちゃ言ってる。
キモチいー・・。
オレ、どうしちゃったんだろう・・。
イヌじゃない相手に・・。
そうだよ・・。
イヌじゃないのに・・。
好きにさせて・・・、オレ、ヤなのに・・。
身体が・・動かない・・。
砂まみれの制服を脱がされてく。
釦が外されて、胸を肌蹴られて、彦の手がオレの乳首を摘んだ。
「ん」
その間も、彦はキスを止めない。
唾液が溢れて、目が眩んだ。
「そこまでにしとけ」
その声に、オレの身体がビクッとなった。
だって、その声は。
イヌ・・・!!
黒いスーツの前を開けて、イヌがコッチへ歩いてくる。
「マジ来やがった。人狼め」
「オレのテリトリーで随分派手に遊んでくれたな。この淫魔ヤローっ・・シアンおいで。もう大丈夫だ」
「イヌ・・・」
彦と、キスしてるとこ見られた・・?
オレ、何やってんだろ・・!!
何気持ち良くなってんだろう!?
自分がどんな顔してんのかわかんなくて、恥ずかしくてオレはイヌから顔を背けた。
「イヌ!?イヌって呼ばしてんのか?お前が!地の神様だろお前!蒼狼様だろうが!」
彦が大笑いする。
「そ、イヌだ。オレはシアンのイヌ。シアン、ゴメンな。キスされたな?コッチも触られたのか・・。悪かった、遅くなって」
イヌがオレの横に膝をついて、オレの脇に手を入れると自分の膝の上へ抱き上げた。
途端に泣きたくなった。
オレはイヌの首にしがみついた。
「月まで逃げるなんて、お前も相当ヒマだな。オレのシアンはダメだって言っただろう。可哀想に、シアン。シアン?大丈夫か?」
彦が呆れて、砂の上に寝転ぶ。
「バカバカしい。甘やかしすぎだろお前。ちょっとカワイイくらいのガキじゃねえか」
イヌの目が細くなる。
「ヤキモチか?」
イヌが、オレの髪にキスをする。
「イヌ・・っ」
彦が舌打ちした。
「何だよ、もう正気に戻ったのか。淫魔の面子丸つぶれだぜ・・」
「もし挿れてたら、お前を食い殺してたとこだ。そうすれば、どこぞの馬鹿が、お前の鎖を外す必要もなくなるな」
「誘惑に乗る方が悪いんだ」
「100年経ったら相手をしてやる。もうオレの所へ来るなよ」
「なんだよ、匿ってくれねえのかよ」
「もう潮時だろ。どんなオンナか知らないが、食ってやれ」
二人がクスクスと笑い合ってる。
それで、イヌがオレを抱き上げた。
「帰ろう。帰って、シャワーを浴びてキレイに砂を流してやる。そしたら、今日はちゃんと人の姿でシよう、シアン」
そう言って、イヌがオレのおでこにキスをした。
思わず、ギュッと目を閉じたら、涙が零れた。
「イヌ・・・っごめんっごめんねっ」
言う事、聞いてれば良かった・・っ・・イヌ・・助けに来てくれたんだよな・・?
「オレの悪友だ。もう二度と会わせないけどな。シアン、もう一度目を閉じろ。次に目を開いたら、オレ達の部屋だ」
「ん」
イヌの唇が、オレの瞼に落ちた。
オレは、目を閉じた。
目を閉じながら、身体がフワフワした物に包まれるのを感じた。
きっとイヌだ。
狼の姿に戻ったんだ。
なんだよ・・・人の姿でシよって言ったくせに・・。
そこまで思って、後はもう何も考えられなくなってた。
目が覚める。
部屋はもう明るくなってた。
あれ?・・・裸だ。
隣にはぐっすり眠るイヌの姿・・。
イヌは、ヒトの姿だった。
「・・・・・」
えーと・・?
オレも裸。
コイツも裸。
で、今は朝。
・・・・・。
寝てるうちに・・・マサカ・・ヤッたとか言わないよな・・!?
「シアン?もう朝か?よく起きられたな」
よく、オキラレタナ?
オキラレナイような事したって意味か?ソレは・・!!
「イヌーーーーーー!!!!」
テメー!!オレ何にも覚えてねえぞ!?
本当にヒト型で、シたのかよ!?・・・悔しい!!
オレはイヌの上に跨ってその胸を、グーでポコポコと叩いた。
「かわいいな、シアンは」
イヌが笑って、オレを抱き締める。
「もうカミ様ってつくとこ(祭)には行くなよ?」
イヌの恐いくらいに優しい笑顔に、オレは素直に「はい」と頷いて、イヌの腕の中に収まった。
神様なんて、一人でいい。
オレは、こいつ一人愛するだけで手一杯だもん。
「シアン、オレから離れるな。ずっとそばにいろ、シアン」
その台詞に、なぜか懐かしい気持ちになる。
胸の奥にジワリと熱いものが込み上げてきて、オレはイヌに気づかれないよう、こっそりと涙を流した。
ずっと、傍にいるよ・・オレの蒼狼様。
背中にワイシャツがひっついて、動くのもイヤになる。
コレを着てる姿だって相当マヌケだろう。
汗ビッショリって事実が、もうオレのレベルを下げている。
レベル?
どーせね。
オレなんてね。
クラスの女子にどう思われてたって、ね!
ショセン、犬とヤッちゃうような男なんだよ、オレは!
心の中で叫んで、オレは机に突っ伏した。
「・・ヒーンッ・・」
ついでにちょっと泣いてみた。
すごく惨めだ。
犬に、毎日みたいにヤラれてるオレ。
なんで、なんで、アイツ犬なんだよ・・!(実際はオオカミ)
犬じゃなかったら・・、すんげえカッコイイお兄さんって感じで、甘えん坊で、オレにしか懐いてないみたいな優越感とかもあって、結構お洒落で、車なんか運転しちゃう、結構気に入ってる、・・本当言うとマジで好きになっちゃってて・・だけど。
だけど・・。
なんで。
なんで、アイツは・・・・Hの時、犬になっちゃうんだよォォォ!!
すっかり犬のチンポを突っ込まれる事にも慣れた今日この頃。
イヌもすっかり、人間の姿でヤル努力をする気も無くなっている。
オレをうつ伏せにした時なんかはもう挿れる前から、犬に戻ってて、ケモノバージョン丸出しで突っ込んでくる。
その長さがたぶん30cmはある。
計ってネエケド。
そして、犬のチンポの恐ろしさは、射精直前だ。
根元までをオレの中深く埋め込み、ドクドクと肉棒を膨らませてくる。
その根元の大きさなんて見た事も無いから、どんな太さになってるかなんて知らない。
だけど、オレの中から犬のチンポが抜けないように、完全にオレの中で射精するために、犬のチンポの根元に、瘤が出来るらしい。
それが、ギチギチにオレの中で膨らむと、オレの身体はもうどうしようもなく崩れてしまう。
も、もう、好きにしろよぉ・・っついてけないっつーの・・!!
絶対に抜けない事を知ってる犬は、そこからが本番ってわけで、抜けないのをいいことに、ガンガンに突き上げまくって、オレの背中に涎とか垂らして、ハッハッ言いながらイク。
そのイッてる間、犬はオレの身体中をペロペロ舐めてきて、器用にオレの身体を仰向けると、そのザラついたベロで乳首を転がしてくる。
舌の動きが早いから、ホントに乳首が取れちゃうんじゃないかと思って、オレはその顔押しのけるんだけど、しっかり結合して、オレに跨ってる犬はびくともしない。
「も、やだぁっ」
犬が動くたび、その体毛がオレの身体中を刺激する。
触れる場所全てが擽られて、内股なんか、タマンナイ!!
もし、チンポが這入ってなかったら、笑い転げてHどころじゃないと思う。
だけど、コイツは前戯までは、立派なヒトの姿ので、それがまたスゲエ色っぽくてイヤんなる。
キスされて、抱き締められて、なんか抵抗出来なくなるんだよ。
で、オレもシたいって気持ちになって、イヌがオレの足を広げて。
熱い感触がして。
「イヌ・・」
って、見るとイヌは、犬になってる。
ワザとじゃねえの・・コイツ!!
「シアン、次は一緒にイこうな」
「つ・・ぎ・・?うそ、ムリ・・・ウゥ!!」
犬が、オレの中でまた出す。
身体がブルッて震える。
身体の中が擦られて熱い。
その中へまたさらに熱いモノを掛けられる。
それが上へ上へと這い上がってくる。
「苦し・・いっ早く抜いてっ抜いてっ」
これ以上、中で出されたら破けるっ
オレの悲鳴を聞いた犬が、腰をグイッと動かした。
「ンンーーーー!!」
「シアン。まだ抜けない。まだ出る」
「うっそぉぉぉ~~~!!!ああ、苦しい、よぉっイヌ、苦しいっ苦しいよぉっ中がっ熱っ・・!」
「シアン頑張れ、昨日しなかったからだ。少し量が溜まってる。シアン、頑張れ。シアン、好きだ。全部出したい。全部シアンの中で」
こ、コイツ・・・!!鬼!!
「シアン、今日七夕祭行こうぜ」
「ナンパ、ナンパ~!」
顔を上げると、キシネとタダが立っていた。
オレが苦悶してる間にHRは終っていた。
「タナバタ・・・」
「そうそうナカヒロ公園とこ」
一週間程前から公園は飾りつけられ、夜店が並んでいる。
今日がその最後で、花火も上がるらしい。
そっか・・タナバタかぁ・・・。
イヌと行きたい。
素直にそう思いついた。
「ゴメン、オレもしかしたら親戚と行くかも」
咄嗟だったとは言え、オレはアホな事を言った。
今時の高校生が、親戚って。
どんな親戚だ。
「ああ、同棲してる相手だろ、ソレ」
キシネがサラっと言った。
「ああ、・・あの背高けえオニイサンか」
タダも言った。
そして、またキシネが言う。
「そうそう、たまにセルシオ校門に横付けしてんじゃん。あのヒトだろ」
二人が全部知ってるんだぜって顔で口角を上げる。
「な、な、な、何言って・・?オレはマジ親戚と」
オレの右肩をキシネが、左肩をタダがポンポンと叩いた。
「じゃ、帰ろうぜぇ」
「おう」
ムダだった。
弁明の余地無し。
オレはたぶん顔真っ赤にして、俯いて二人の後を歩いた。
なぁ・・・こういうのって、オレ、本当ならスゲ言い訳して、釈明して、違うから、違うからって言うとこじゃないのかな・・?
言っといた方がいいんじゃないのかな・・!?
「き、キシネ、タダ!」
二人が振り向く。
「オレ、別にサ。ソイツと付き合ってるとか、エッチな事してるとか、ゼッッンゼンッそんな事ないからッあの、ただ、一緒に、な?住んでるってだけで」
「うん。わかってる。うん。な、コーラ買ってやるから。な?」
「う、うん」
それでオレはキシネに頭撫でられた。
いいこ、いいこ。
うん、オレ、完全に見透かされてる。
もう、どうしようもなく落ち込みそうだった。
だって、コイツら全部、どこまでかわかんないけど、全部知ってるって顔なんだもん!!
汗が止まらない。
誰も犬とセックスしてるなんて思わないだろうけど、男とセックスしてるとは、思われてるんだろうな・・・っどんどん顔が下がってって、そしたらタダが。
「今度紹介しろよ?シアン」
って笑った。
「・・・・うん」
オレは小さく、ほんのちょっと頷いた。
ああ、オレ穴があったら這入りたいっってヤツだ!!
教訓。
あんまり堂々と送り迎えとかしてもらっちゃダメだな。
ちょっとオレ甘えてた。
アイツ何でもいいよっていうから。
マンションに入るのも、きっと別々とかにした方がいいのかも・・・。
「シアン。痛い事されたら、オレらに言うんだぞ?」
キシネがオレの顔を覗き込んで、また頭を撫でた。
「うん・・・。大丈夫・・」
「それだけが心配だったんだよナ、オレら」
タダもオレの髪をくしゃってやる。
コイツら・・・オレを心配してくれてたんだ・・・。
って、涙出そうになったのに。
「あ、ヤル前にはジェル使ってもらえよ?」
「よっく洗ってもらってからな」
コイツら、サイアク・・・!!
で、オレはコイツらから走って逃げた。
ううっ明日からの毎日が戦争だ・・!
マンションに帰ると、イヌがシーツに包まってた。
まるで朝からずっとそのまんまで居たみたい。
ま、確かに犬ってずっと寝てる気がするけど・・・。
オオカミもそうなのかな?
「イヌー、七夕祭行こうよ」
キングサイズのベッドの上、膝立ちで近づくとイヌがムクっと起き上がった。
シーツが肩から落ちる。
「シアン、おかえり」
イヌがオレの腕を引っ張って、オレの顔を舌で舐めた。
「な、舐めるなよっ」
「シアン、今夜は一歩も外に出るな。オレと居ろ」
イヌがオレをすっぽり抱き締めた。
「え。なんで」
無理に上を向いてイヌの顔を見ようとした。
そしたら、唇をぺろって舐められて。
数回舐めた後に、イヌの舌がオレの口の中に這入ってきた。
「んー・・」
「今日はオレとずっと一緒にいろ。シアン、オレが好きだろ?」
「す、スキだ、けど・・。今日はお祭なんだよ・・?行かねーの?オレ、イヌと行きたいから、友達断ったのに」
「彦が来るんだ」
「・・・誰それ」
っていうか、イヌの知り合いみたいの、初めて聞く。
「天の川の使いだ。ここ最近姿を見せてる。オレの所へ今日、挨拶に来る」
「ふーん・・・お客さんか。って!彦星とか言うんじゃねーだろうな!?」
「・・・・」
「・・・・付き合いきれネエぞ、オレは。オレ、友達とお祭行ってこよー」
オレはイヌの腕がまきついたまま、携帯を取り出し、キシネの番号を呼び出した。
その時。
イヌの手が、それを奪うと、ポイッと部屋の壁へ投げつけた。
ガンッと、重たい音が壁と床で一回ずつ鳴った。
「て、テンメー・・!オレの携帯!!」
「今日だけはここにいろ。祭には行くな。オレから離れるな」
「ウルサイッ!オレは行くっつったら行くんだよ!!離せ!このケダモノ!!犬!!淫獣!!」
オレは滅茶苦茶に暴れて蹴って、シーツぐちゃぐちゃにして、最後。
イヌの腕に噛み付いた。
「イッ」
オレの肩に回したイヌの腕から、力が抜ける。
その隙に、オレはベッドから駆け下りて、そのまま玄関を飛び出した。
「シアン!!」
扉を閉じたのに、その呼び声が近くて、オレは慌てて階段を駆け下りた。
駆け下りてく途中で、このまま下りてったら、イヌがもしエレベーターを使ってたら鉢合わせる、と気づいて、3階の踊り場で足を止めた。
早くここから逃げたいのに、逃げられない。
焦る気持ちから、そこでウロウロしていると、後ろから声を掛けられた。
「何やってんだ?」
振り向くと、いつの間にか、日焼けした男が上の階から下りて来ていた。
背が高く、色黒で筋肉質。
髪は白っぽいような金髪で、目は鋭い吊り目。
ノースリーブのシャツに重なるように見える金色の鎖(ネックレス)。
なんか・・ガテン系・・サーファーかな・・強そう。
「や、休んでる」
「ふーん。・・・な、ヒマ?」
チャリンって音がして、見ると、両手に皮製のベルト。
そこに切れた鎖が繋がってる。
オッシャレー・・。なのか・・?
「なぁ、お祭やってんの、見に行かねえ?」
って笑った顔は、意外にも怖くなかった。
その手がオレに差し出されて、でもオレが迷ってると、男の反対の手が伸びて、オレの手を掴んで、自分の差し出してる手と繋がせた。
で、よしよしって笑ってる。
なんか、・・面白い。
携帯も壊されちゃったし。
このヒトと行っても、いっか。
本当は、少しだけ、イヌが追っかけてきてくれるの待っていたかったけど。
でも、どうせアイツは行く気なんかないんだし。
帰ったらセックスなんだろうし。
そうだ、と思って聞いてみた。
「ここに住んでる人?」
「いや、誘いに来て振られた」
「フーン。勿体無い」
って笑ったら、彼も、「だろ?」って笑った。
だけど、次の瞬間オレは真っ青になる。
「オレ、彦。お前は?」
・・彦?今、彦って言った・・?
『彦がくる』
イヌの声を思い出した。
喉がゴクリと鳴る。
イヌは、イヤな顔してた。
彦がくるって。
「名前くらい教えるもんだろ・・?なあ、シアン?」
オレは目を見開いて、彦を見た。
彦の手が、オレの目の前を覆った。
顔を大きな掌で掴まれて、オレはフッと意識を失った。
次に気がつくと、空は夜になってた。
真っ黒な視界に、幾千万の星の輝き。
そのど真ん中に淡い霧のようなものが流れている。
あ、アレ、天の川・・だ。
「目が覚めたな」
「誰・・?」
「彦さ」
その名前を聞いて、自分が何かまずい状況になっている事を自覚した。
「・・・ここ、どこ?」
辺りは見渡す限りの砂と石だらけの世界。
「オレの秘密の場所」
「あー、落ち込んだ時とか、来るやつだ」
って、出来るだけバカっぽく答えたのに。
「オンナとヤルための場所だよ」
って、彦はなんでもないように答えた。
・・オレが、今、一番聞きたくなかった台詞を、コイツ・・!
イヤな予感しかしない・・!
「帰る。帰りたい」
「まあ、待て、これから星が散る。綺麗だぞ。どれからいくか・・・お前に選ばせてやろうか?」
彦が空に霧のようにかかる星を指差した。
「・・・何のこと?」
オレは肘を捕まれ、引き止められた。
「お祭さ。年に一度だけオンナを抱く日だ。今年はお前に決めた。お前が今年のオレのオンナな?」
オンナな?って。
おい・・っ
「・・・ここ、どこ?」
「月だよ。お前達が言うとこの」
「うそ・・だろ?」
「ホント。真っ暗だろ?」
彦はにっこりと微笑んだ。
それから、素早くオレの顎を取って。
唇が。
唇に。
なんでオレ・・・抵抗出来ないんだろ・・?
彦の舌が、オレの口の中でくちゅくちゃ言ってる。
キモチいー・・。
オレ、どうしちゃったんだろう・・。
イヌじゃない相手に・・。
そうだよ・・。
イヌじゃないのに・・。
好きにさせて・・・、オレ、ヤなのに・・。
身体が・・動かない・・。
砂まみれの制服を脱がされてく。
釦が外されて、胸を肌蹴られて、彦の手がオレの乳首を摘んだ。
「ん」
その間も、彦はキスを止めない。
唾液が溢れて、目が眩んだ。
「そこまでにしとけ」
その声に、オレの身体がビクッとなった。
だって、その声は。
イヌ・・・!!
黒いスーツの前を開けて、イヌがコッチへ歩いてくる。
「マジ来やがった。人狼め」
「オレのテリトリーで随分派手に遊んでくれたな。この淫魔ヤローっ・・シアンおいで。もう大丈夫だ」
「イヌ・・・」
彦と、キスしてるとこ見られた・・?
オレ、何やってんだろ・・!!
何気持ち良くなってんだろう!?
自分がどんな顔してんのかわかんなくて、恥ずかしくてオレはイヌから顔を背けた。
「イヌ!?イヌって呼ばしてんのか?お前が!地の神様だろお前!蒼狼様だろうが!」
彦が大笑いする。
「そ、イヌだ。オレはシアンのイヌ。シアン、ゴメンな。キスされたな?コッチも触られたのか・・。悪かった、遅くなって」
イヌがオレの横に膝をついて、オレの脇に手を入れると自分の膝の上へ抱き上げた。
途端に泣きたくなった。
オレはイヌの首にしがみついた。
「月まで逃げるなんて、お前も相当ヒマだな。オレのシアンはダメだって言っただろう。可哀想に、シアン。シアン?大丈夫か?」
彦が呆れて、砂の上に寝転ぶ。
「バカバカしい。甘やかしすぎだろお前。ちょっとカワイイくらいのガキじゃねえか」
イヌの目が細くなる。
「ヤキモチか?」
イヌが、オレの髪にキスをする。
「イヌ・・っ」
彦が舌打ちした。
「何だよ、もう正気に戻ったのか。淫魔の面子丸つぶれだぜ・・」
「もし挿れてたら、お前を食い殺してたとこだ。そうすれば、どこぞの馬鹿が、お前の鎖を外す必要もなくなるな」
「誘惑に乗る方が悪いんだ」
「100年経ったら相手をしてやる。もうオレの所へ来るなよ」
「なんだよ、匿ってくれねえのかよ」
「もう潮時だろ。どんなオンナか知らないが、食ってやれ」
二人がクスクスと笑い合ってる。
それで、イヌがオレを抱き上げた。
「帰ろう。帰って、シャワーを浴びてキレイに砂を流してやる。そしたら、今日はちゃんと人の姿でシよう、シアン」
そう言って、イヌがオレのおでこにキスをした。
思わず、ギュッと目を閉じたら、涙が零れた。
「イヌ・・・っごめんっごめんねっ」
言う事、聞いてれば良かった・・っ・・イヌ・・助けに来てくれたんだよな・・?
「オレの悪友だ。もう二度と会わせないけどな。シアン、もう一度目を閉じろ。次に目を開いたら、オレ達の部屋だ」
「ん」
イヌの唇が、オレの瞼に落ちた。
オレは、目を閉じた。
目を閉じながら、身体がフワフワした物に包まれるのを感じた。
きっとイヌだ。
狼の姿に戻ったんだ。
なんだよ・・・人の姿でシよって言ったくせに・・。
そこまで思って、後はもう何も考えられなくなってた。
目が覚める。
部屋はもう明るくなってた。
あれ?・・・裸だ。
隣にはぐっすり眠るイヌの姿・・。
イヌは、ヒトの姿だった。
「・・・・・」
えーと・・?
オレも裸。
コイツも裸。
で、今は朝。
・・・・・。
寝てるうちに・・・マサカ・・ヤッたとか言わないよな・・!?
「シアン?もう朝か?よく起きられたな」
よく、オキラレタナ?
オキラレナイような事したって意味か?ソレは・・!!
「イヌーーーーーー!!!!」
テメー!!オレ何にも覚えてねえぞ!?
本当にヒト型で、シたのかよ!?・・・悔しい!!
オレはイヌの上に跨ってその胸を、グーでポコポコと叩いた。
「かわいいな、シアンは」
イヌが笑って、オレを抱き締める。
「もうカミ様ってつくとこ(祭)には行くなよ?」
イヌの恐いくらいに優しい笑顔に、オレは素直に「はい」と頷いて、イヌの腕の中に収まった。
神様なんて、一人でいい。
オレは、こいつ一人愛するだけで手一杯だもん。
「シアン、オレから離れるな。ずっとそばにいろ、シアン」
その台詞に、なぜか懐かしい気持ちになる。
胸の奥にジワリと熱いものが込み上げてきて、オレはイヌに気づかれないよう、こっそりと涙を流した。
ずっと、傍にいるよ・・オレの蒼狼様。
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