センパイ

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17、やさしい声 の続き 

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17、やさしい声 の続き
 
ーーside ワタヌキ ーー

発情じゃなく。 
欲情。 
性欲じゃなく。 
衝動。 

初めて会った時から。 
考えるより体が、モリヤ ナギを欲しいと訴えてた。 

頭の中で何度もアイツを犯してた。 
狂いそうな位キスして、突き上げて、抱き合って、ドロドロに溶け合う、そんなセックス。 
何度も繰り返されたシュミレーション(横行?)。 


「ナギ」 
袖を抜かないままのシャツ。 
つけっぱなしの電気。 
ロード中のプレステ。 
テレビからはゲームのBGM。 

オレは制服を着たままで、夢中でモリヤを突き上げてた。 

いつまでも、呼吸が収まらない。 
アキタから貰った(アヤシゲナ)ジェルは効きすぎた。 
チンポがビンビンに腫れあがって中身が弾けそうなくらいに敏感になってる。 
オレはアイツの忠告もド忘れる程、モリヤを抱く事に夢中になってた。 
あーしようこーしようなんて考えてた事はみんな吹っ飛んでた。 

とにかく、体を離して、モリヤのすぐ真横に仰向けに転がった。 
既に失神しているモリヤをこれ以上犯すわけにはいかない。 
ソレ位はわかる。 
あのジェルのせいで、体中が火照って頭までイカレそうだった。 
ゴムをつけなかったせいで、オレにまで効いてる。 
だいたい、ゴムなんて、存在自体マジで忘れてた。 
モリヤのそこが、オレを受け入れてくれるってわかったら、無我夢中だった。 

これが、セックス。 
初めて本気でシたセックス。 
体を繋ぐ快感よりも、やっとモリヤ ナギを征服できる快感で、目が熱くなった。 
オトコ同士でも、無理でもなんでも、体を繋ぎたかった。 
オスの本能がオンナを抱けって言っても、生殖本能がオンナに植えつけろって言っても、オレには関係ない。 
あの日、モリヤと出会って、惹かれて、キスして、体に触れて。 
ハッキリと自覚する。 
オレとセックスするのはコイツだ。
コイツがオレの欲望を受け止めてくれる相手なんだ。 

「ナギ」 
閉じた瞼にキスを落とす。 
そのまま、モリヤの頭を抱き寄せた。 
「なぎ好きだ」 
髪に唇を寄せて呟く。 
「なぎ、大好きだ」 
再び熱くなる目を閉じて、唇を這わせた。 
額から、鼻筋、唇に落ちて、首、胸、腹。 
伸びた腕を取って、その手首を強く吸うと、くっきりと紅い線が引かれた。 
同じようにもう片方へも、印をつける。 
「オレのものだ」 
唇で犯した全身を最後に眺めて、オレはモリヤを抱き上げた。





ーーside モリヤーー 

目が覚めるとそこは、ワタヌキの部屋で、暗いオレンジ色にオレ達は包まれていた。 
顔のすぐ横で寝息がする。 
ワタヌキはうつ伏せでオレの体にくっついて寝ている。 

うん。 
なんでオレ、目が覚めたかわかった。 
コイツ、オレのチンポ握ったまま寝てやがる! 
そこまで・・・っ 
そこまでするのか・・!? 

オレはその手をそっと外す。 
すると、パチって音がしそうな勢いでワタヌキの瞼が開いた。 
「ん・・、まだ朝じゃねぇ・・」 
再び閉じるワタヌキの瞼。 

わー、ビックリした・・。 

と、再び手はオレのそこへ伸ばされる。 
その手を掴んで止める。と、また瞼が上がった。 
「・・放せよ・・」 
「それオレの台詞。そこ触られてると気になる」 
イマイチ虚ろな瞳が至近距離で睨んでくる。 

アブナイ。アブナイヒトの目だよ、コレ。 

「セックスしたくせに」 
「ハ!?」 
「オレのもののくせに」 

せっくす? 
せっくすって、あのアレ? 
セックス? 

・・・・したかも・・。 
オレ、コイツとセックスしたかも・・! 

記憶が一気に呼び覚まされる。
カッと顔が熱くなって、一気に頭に血が昇る。 

自分が、キスさせて、フェラして、(指)挿れてって言って・・・。 
ワタヌキがナマでオレに突っ込んできて・・・。 

オレは思わず起き上がった。自分の体を点検するように撫で回す。 

どこも痛く、無い。 
別にどこも変じゃない・・。 
・・・セックスしたんだ・・・ワタヌキと。 

でも、全てが夢の中のような記憶。 

「なぎ」 
振り返ると、寝たままのワタヌキが両手を広げて呼んでいる。 
「センパイ・・」 
「も一回したい」 
「い、今!?」 
「しねーよ。・・したいって言っただけだ。モリヤ、すげーかわいかった」
無理矢理、自分の胸に抱こうとする体を引き起こして、オレは慌ててベッドを降りる。 
隅に置かれたワイシャツと下着を掴んで、急いで身に着けた。 
続けて制服も着る。 
ワタヌキが肘を付いた体勢で、ベッドの中から呆然とオレの様子を見ていた。 
オレは、震える声でやっと言う。 
「オレ、帰る」 

恥ずかしすぎる!! 
あんなの、オレじゃないっ 
あれはコイツが塗ったジェルのせいだ! 
オレはかわいくなんかない・・。 
このままここにいたら、またワタヌキにオレは・・・! 

そう思ったらここから飛び出したくなった。 
「なんで」 
ゆっくりとワタヌキがベッドから出てくる。 
「オレ、置いてく気かよ。一人で寝ろって?ウソだろ。オレ死ぬぞ」 
覇気の無い声。 
振り向くと、ぎゅっと抱きしめられた。 
「オレら、セックスしたんだから、オマエ、傍にいろよ・・」 
「センパイ・・」 
「ちゃんとセックスできただろ?オレ達。ずっと一緒にいろよ」 
「・・・・」 

なんか。 
なんか。 
その言い方って。 
・・・結婚した、みたいな、プロポーズされてるような言い方に聞こえる・・。 

ただただギュっと抱きしめてくるワタヌキが異様に、愛しく思えた。 
オレも腕を廻して、ワタヌキの体を抱きしめた。 
「レアルも録画したから、帰んなよ。」 
その一言にオレは噴出して、涙が出た。 
「うん、・・・帰んない。いいよ。も一回しても」 
「・・じゃガッコで」 
「吹きすぎ。明日・・来るからここ」 
「ここ?・・・ま、いっか。今度はベッドでちゃんと・・・」 
スースー。 
「・・・・・重い」 
ワタヌキはオレに凭れかかったまま寝息を立て始めた。 

もしかして、今のワタヌキって夢ウツツじゃなかった? 
全部、寝言の域か? 
シンジランネー・・・! 

オレは再び、ワタヌキと一緒にベッドへと這入った。





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