この世界は俺に優しくない

第一章 出会い

第4話 屋敷へ

麻袋に視界を遮られたレオは、振動で自分が何かに乗せられ移動していることを悟った。

(こんな事なら意識ないフリしとけば良かったな……って後悔してる場合じゃない、早くこの状況の打開策を考えないと！きっと仲間たちも心配してる...)

しかし、どんなに頭を悩ませても今の現状から逃げ出す方法など微塵も浮かばない。
無情にも時間だけが過ぎ去っていく...

(一か八かここから飛び降りるか？でも今の状態で飛び降りたところで助かる見込みは低い…それにこの風の流れ、、俺は獣人で体が丈夫とはいえ、この速度から飛び降りたらタダじゃ済まないな……)

そうして、レオが思案しているうちに荷馬車はスピードを落とし、無駄に飾られた大きな屋敷の前で止まった。

男A「やっと着いたな！」
男B「よし、早くアレを運ぼう」

男たちは、そういうと荷馬車の扉を開け、レオを持ち上げた。

(……っ)

男A「今更暴れんなっ！」

レオは出来うる限り身体を動かし男たちから逃れようとした。
しかし、拘束された身体は思うように動かず、あっさりと2人に抑え込まれてしまった。

男B「めんどくさい事になる前に急いで運び入れるぞ！」

抵抗も虚しく、男たちはレオを抱え、屋敷へと足早に歩き始めた。

男たちが屋敷の門に近付くとすぐに、執事と思わしき人物が声を掛けてきた。

「ようこそお越しくださいました。お待ちしておりました。旦那様の元にご案内をするように仰せつかっております。こちらへどうぞ」

そういうと門番に門を開けさせた執事は、男たちに自分の後に続くように促した。