上 下
12 / 29

第三話 二回目の犯行予告と意外な一面 (1/5)

しおりを挟む
それから一週間。土日を抜いて五日の間、私と咲歩は休み時間の度にぷっぷちゃんを連れて五年生の教室を回った。
最初は咲歩のいる三組を、次に私の四組、今度は二組。
けど、一組も、五組も、男子の顔はほとんど全部見せたはずなのに、ぷっぷちゃんは誰にも反応しなかった。

放課後、私たちは特別教室棟の廊下の隅で、次のソウサについて相談していた。
「お休みの子とかもいるしね」
「休み時間になるとすぐ教室を出ちゃう子もいますしね……」
「すれ違ったりしてるのかも」
「そうですよね……」
咲歩もぷっぷちゃんも、疲れた顔をしている……ような気がする。
だって咲歩は前髪で顔見えないし、ぷっぷちゃんに至っては赤いビーズの目が二個ついてるだけだからね。
昨夜、咲歩はぷっぷちゃんと「本当にちゃんと覚えてるのか」ってケンカしちゃったらしいんだよね。仲直りはできたって言ってたけど、二人とも今日はしょんぼりしているように思えた。
私は静かに息を吸うと、ちょっと覚悟をして、聞いてみた。
「もう、やめちゃう? 犯人探し」
「え……?」
このままずっと犯人が見つからなかったら、せっかく生まれてきたぷっぷちゃんと咲歩との関係が、もっと良くない感じになっちゃいそうで……。
最初は二人とも、あんなにお互い大好きって感じで過ごしてたのに。
「わたし、犯人探しに付き合うのは、咲歩が納得いくまでいくらでも付き合っていいと思ってるけど、二人がギスギスしちゃうのだけは、どうしても……嫌だな」
「みこちゃん……」

咲歩は、手の中で咲歩を見あげているぷっぷちゃんと、見つめ合った。
ぷっぷちゃんが「ぷっ」と小さく鳴いた。
咲歩は「そうですね」と言ってぷっぷちゃんを撫でて、二人は少し嬉しそうな顔をした。
……ような気がする。

「えっと、みこちゃん、ごめんなさい。私たち、その、もう少しだけ……」
咲歩が言いにくそうに私の手元を見る。
二人はあれだけで意見がまとまったらしい。
二人の心がちゃんと通じてる様子に、私は何だか嬉しくなる。
「うん、もうちょっと頑張ってみよっか」
私が笑って言うと、二人は「はいっ」「ぷぷっ」と元気に返事をした。
しおりを挟む

処理中です...