45 / 45
第7話 エピローグ (4/4)
しおりを挟む
私はご飯を食べてお腹っぱいになったきなこもちを少しだけ撫でると、ケースに戻して大急ぎでカタナ達に相談する。
すぐにDtDに駆けつけてくれた二人の見守る中で、私はドキドキしたままGMのラゴに相談する。
『ああー、全部のサーバを回った後で、行方不明になっちゃってたんだよね。やっぱりそこに戻ってきてたんだね。え、フニルーの姿で?』
『いや、起動キー自体はコピー取らせてもらったし、取り上げたりするつもりはないんだけどさ。うーんんんんん……。ちょっっっと相談してくるから返事は待っててね』
そんな風に言われて、私はカタナたちと交互にログインしながら夕食とお風呂を済ませる。
ラゴはちょうど私が戻ったタイミングで声をかけてきた。
『ごめん! 結構待たせちゃったね! 近いうちに、フニルーをペット化することが決定したよ!!』
たまたま三人揃っていた私たちは、驚きを浮かべて互いの顔を見た。
「ペット化……って事は、これからはきなこもちを堂々と出せるんですねっっ!?」
私の言葉にラゴが答える。
『うんうん、アップデートまで、もう少しだけ待たせちゃうけどね』
「じゃあ、俺のフニルーも……?」
『そうだね。実装次第カタナくんのアイテム欄にも入れておくよ。そのキャラでいい?』
「はいっ、このキャラにお願いしますっ!」
カタナは光の大龍事件の翌日、事情聴取の時に補填措置として三人にそれぞれ好きなペットをと言われた際に「いずれフニルーがペットにできる日が来たら、フニルーが欲しいです」と答えてラゴを困らせていた。
ちなみに、あゆはDtD内で一番手に入れにくいと言われる、可愛いゴシックドール風のペットをもらっていた。
私は、まだすぐに新しいペットを可愛がる気にはなれなくて、少し考えさせてください。と返事を延ばしていた。
『みさみさちゃんは、ペットをどうするか決めた?』
ラゴに尋ねられて迷う。
「せっかくだからボクと同じやつもらっておいたら? 開けないで売れば装備が一式揃えられるよー」
あゆに囁かれると、なるほど確かにそういう方法もあるのかとは思うけれど。
「私は、きなこもちが戻ってきてくれたのでもう十分です」
なんだかこれ以上を求めるのは欲張りな気がして、私は苦笑しつつその誘いを断った。
「えーー。無欲ーーっ、あとで後悔するよぅ?」
あゆにそう言われると、ちょっとそうかもとは思ってしまう。
『ボクの立場から転売してとは言えないんだけど、本当になんでも選んでくれていいんだよ?』
「お気持ちはありがたいんですが、私にとってきなこもち以上の子はいないので……」
答えれば、アイテム欄できなこもちのケースがカタカタ音を立てた。
私は、建物内に他に人がいない事を確認してケースを開ける。
「ぷいゆっ!!」
きなこもちは、ハートマークを出しながら私に飛びついてきた。
すべすべもちもちの体を撫でてやると、きなこもちからは音符のマークが、カタナからは羨ましそうな視線が注がれた。
「カタナも撫でていいよ。ね? きなこもち」
そう言って差し出すと、きなこもちがエヘンと胸を張るようなマークを出す。
カタナは黒髪の向こうでふっと赤い瞳を細めて、優しくきなこもちを撫でた。
「良かったな……」
その声があんまり幸せそうで、胸が詰まってしまう。
あゆは、そんな私たちをきなこもちごとぎゅうっと抱きしめて「良かったねぇぇ」と号泣のマークで言った。
「ぷいゆっ♪」
黄色いフニフニの耳を持ち上げて、きなこもちがご機嫌で応える。
にこにこのあゆと、優しく笑うカタナに負けないくらい、私も幸せいっぱいに笑った。
すぐにDtDに駆けつけてくれた二人の見守る中で、私はドキドキしたままGMのラゴに相談する。
『ああー、全部のサーバを回った後で、行方不明になっちゃってたんだよね。やっぱりそこに戻ってきてたんだね。え、フニルーの姿で?』
『いや、起動キー自体はコピー取らせてもらったし、取り上げたりするつもりはないんだけどさ。うーんんんんん……。ちょっっっと相談してくるから返事は待っててね』
そんな風に言われて、私はカタナたちと交互にログインしながら夕食とお風呂を済ませる。
ラゴはちょうど私が戻ったタイミングで声をかけてきた。
『ごめん! 結構待たせちゃったね! 近いうちに、フニルーをペット化することが決定したよ!!』
たまたま三人揃っていた私たちは、驚きを浮かべて互いの顔を見た。
「ペット化……って事は、これからはきなこもちを堂々と出せるんですねっっ!?」
私の言葉にラゴが答える。
『うんうん、アップデートまで、もう少しだけ待たせちゃうけどね』
「じゃあ、俺のフニルーも……?」
『そうだね。実装次第カタナくんのアイテム欄にも入れておくよ。そのキャラでいい?』
「はいっ、このキャラにお願いしますっ!」
カタナは光の大龍事件の翌日、事情聴取の時に補填措置として三人にそれぞれ好きなペットをと言われた際に「いずれフニルーがペットにできる日が来たら、フニルーが欲しいです」と答えてラゴを困らせていた。
ちなみに、あゆはDtD内で一番手に入れにくいと言われる、可愛いゴシックドール風のペットをもらっていた。
私は、まだすぐに新しいペットを可愛がる気にはなれなくて、少し考えさせてください。と返事を延ばしていた。
『みさみさちゃんは、ペットをどうするか決めた?』
ラゴに尋ねられて迷う。
「せっかくだからボクと同じやつもらっておいたら? 開けないで売れば装備が一式揃えられるよー」
あゆに囁かれると、なるほど確かにそういう方法もあるのかとは思うけれど。
「私は、きなこもちが戻ってきてくれたのでもう十分です」
なんだかこれ以上を求めるのは欲張りな気がして、私は苦笑しつつその誘いを断った。
「えーー。無欲ーーっ、あとで後悔するよぅ?」
あゆにそう言われると、ちょっとそうかもとは思ってしまう。
『ボクの立場から転売してとは言えないんだけど、本当になんでも選んでくれていいんだよ?』
「お気持ちはありがたいんですが、私にとってきなこもち以上の子はいないので……」
答えれば、アイテム欄できなこもちのケースがカタカタ音を立てた。
私は、建物内に他に人がいない事を確認してケースを開ける。
「ぷいゆっ!!」
きなこもちは、ハートマークを出しながら私に飛びついてきた。
すべすべもちもちの体を撫でてやると、きなこもちからは音符のマークが、カタナからは羨ましそうな視線が注がれた。
「カタナも撫でていいよ。ね? きなこもち」
そう言って差し出すと、きなこもちがエヘンと胸を張るようなマークを出す。
カタナは黒髪の向こうでふっと赤い瞳を細めて、優しくきなこもちを撫でた。
「良かったな……」
その声があんまり幸せそうで、胸が詰まってしまう。
あゆは、そんな私たちをきなこもちごとぎゅうっと抱きしめて「良かったねぇぇ」と号泣のマークで言った。
「ぷいゆっ♪」
黄色いフニフニの耳を持ち上げて、きなこもちがご機嫌で応える。
にこにこのあゆと、優しく笑うカタナに負けないくらい、私も幸せいっぱいに笑った。
1
お気に入りに追加
5
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
山姥(やまんば)
野松 彦秋
児童書・童話
小学校5年生の仲良し3人組の、テッカ(佐上哲也)、カッチ(野田克彦)、ナオケン(犬塚直哉)。
実は3人とも、同じクラスの女委員長の松本いずみに片思いをしている。
小学校の宿泊研修を楽しみにしていた4人。ある日、宿泊研修の目的地が3枚の御札の昔話が生まれた山である事が分かる。
しかも、10年前自分達の学校の先輩がその山で失踪していた事実がわかる。
行方不明者3名のうち、一人だけ帰って来た先輩がいるという事を知り、興味本位でその人に会いに行く事を思いつく3人。
3人の意中の女の子、委員長松本いずみもその計画に興味を持ち、4人はその先輩に会いに行く事にする。
それが、恐怖の夏休みの始まりであった。
山姥が実在し、4人に危険が迫る。
4人は、信頼する大人達に助けを求めるが、その結果大事な人を失う事に、状況はどんどん悪くなる。
山姥の執拗な追跡に、彼らは生き残る事が出来るのか!
ペンギン・イン・ザ・ライブラリー
深田くれと
児童書・童話
小学生のユイがペンギンとがんばるお話!
図書委員のユイは、見慣れた図書室の奥に黒い塊を見つけた。
それは別の世界を旅しているというジェンツーペンギンだった。
ペンギンが旅をする理由を知り、ユイは不思議なファンタジー世界に足を踏み入れることになる。
【完】ことうの怪物いっか ~夏休みに親子で漂流したのは怪物島!? 吸血鬼と人造人間に育てられた女の子を救出せよ! ~
丹斗大巴
児童書・童話
どきどきヒヤヒヤの夏休み!小学生とその両親が流れ着いたのは、モンスターの住む孤島!?
*☆* *☆* *☆* *☆* *☆* *☆* *☆*
夏休み、家族で出掛けた先でクルーザーが転覆し、漂流した青山親子の3人。とある島に流れ着くと、古風で顔色の悪い外国人と、大怪我を負ったという気味の悪い執事、そしてあどけない少女が住んでいた。なんと、彼らの正体は吸血鬼と、その吸血鬼に作られた人造人間! 人間の少女を救い出し、無事に島から脱出できるのか……!?
*☆* *☆* *☆* *☆* *☆* *☆* *☆*
家族のきずなと種を超えた友情の物語。
鎌倉西小学校ミステリー倶楽部
澤田慎梧
児童書・童話
【「鎌倉猫ヶ丘小ミステリー倶楽部」に改題して、アルファポリスきずな文庫より好評発売中!】
https://kizuna.alphapolis.co.jp/book/11230
【「第1回きずな児童書大賞」にて、「謎解きユニーク探偵賞」を受賞】
市立「鎌倉西小学校」には不思議な部活がある。その名も「ミステリー倶楽部」。なんでも、「学校の怪談」の正体を、鮮やかに解明してくれるのだとか……。
学校の中で怪奇現象を目撃したら、ぜひとも「ミステリー倶楽部」に相談することをオススメする。
案外、つまらない勘違いが原因かもしれないから。
……本物の「お化け」や「妖怪」が出てくる前に、相談しに行こう。
※本作品は小学校高学年以上を想定しています。作中の漢字には、ふりがなが多く振ってあります。
※本作品はフィクションです。実在の人物・団体とは一切関係ありません。
※本作品は、三人の主人公を描いた連作短編です。誰を主軸にするかで、ジャンルが少し変化します。
※カクヨムさんにも投稿しています(初出:2020年8月1日)

魔界プリンスとココロのヒミツ【完結】
小平ニコ
児童書・童話
中学一年生の稲葉加奈は吹奏楽部に所属し、優れた音楽の才能を持っているが、そのせいで一部の部員から妬まれ、冷たい態度を取られる。ショックを受け、内向的な性格になってしまった加奈は、自分の心の奥深くに抱えた悩みやコンプレックスとどう付き合っていけばいいかわからず、どんよりとした気分で毎日を過ごしていた。
そんなある日、加奈の前に突如現れたのは、魔界からやって来た王子様、ルディ。彼は加奈の父親に頼まれ、加奈の悩みを解決するために日本まで来たという。
どうして父が魔界の王子様と知り合いなのか戸惑いながらも、ルディと一緒に生活する中で、ずっと抱えていた悩みを打ち明け、中学生活の最初からつまづいてしまった自分を大きく変えるきっかけを加奈は掴む。
しかし、実はルディ自身も大きな悩みを抱えていた。魔界の次期魔王の座を、もう一人の魔王候補であるガレスと争っているのだが、温厚なルディは荒っぽいガレスと直接対決することを避けていた。そんな中、ガレスがルディを追って、人間界にやって来て……
『空気は読めないボクだけど』空気が読めず失敗続きのボクは、小六の夏休みに漫画の神様から『人の感情が漫画のように見える』能力をさずけられて……
弓屋 晶都
児童書・童話
「空気は読めないけど、ボク、漫画読むのは早い方だよ」
そんな、ちょっとのんびりやで癒し系の小学六年の少年、佐々田京也(ささだきょうや)が、音楽発表会や学習発表会で大忙しの二学期を、漫画の神様にもらった特別な力で乗り切るドタバタ爽快学園物語です。
コメディー色と恋愛色の強めなお話で、初めての彼女に振り回される親友を応援したり、主人公自身が初めての体験や感情をたくさん見つけてゆきます。
---------- あらすじ ----------
空気が読めず失敗ばかりだった主人公の京也は、小六の夏休みに漫画の神様から『人の感情が漫画のように見える』能力をさずけられる。
この能力があれば、『喋らない少女』の清音さんとも、無口な少年の内藤くんとも話しができるかも……?
(2023ポプラキミノベル小説大賞最終候補作)
ホントのキモチ!
望月くらげ
児童書・童話
中学二年生の凜の学校には人気者の双子、樹と蒼がいる。
樹は女子に、蒼は男子に大人気。凜も樹に片思いをしていた。
けれど、大人しい凜は樹に挨拶すら自分からはできずにいた。
放課後の教室で一人きりでいる樹と出会った凜は勢いから告白してしまう。
樹からの返事は「俺も好きだった」というものだった。
けれど、凜が樹だと思って告白したのは、蒼だった……!
今さら間違いだったと言えず蒼と付き合うことになるが――。
ホントのキモチを伝えることができないふたり(さんにん?)の
ドキドキもだもだ学園ラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる