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第7話 エピローグ (2/4)
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そこから、家のペットの癒し写真が送られたり、玲菜がペットは居ないけど可愛い妹がいるって写真を送ったり、アイカがうちのお兄ちゃんも結構かっこいいよって写真を送ったりしてる。
今年はずっと感染症が流行ってて、友達同士で遊びに行ったりもできないから、みんなの家の事もまだ全然知らないことばっかりなんだと、ようやく気付く。
玲菜の妹って初めて見たなぁ。玲菜によく似てる。
アイカのお兄ちゃんは髪が金色だ。バンドを組んでるらしい。ピアスがいっぱいついてる……。確かにかっこいいけど、私はカタナみたいな落ち着いてる人が好きかな。
…………ん?
待って。今、私……、何考えた……?
ポンと新しい通知が出る。
『みさきはどう思った? グループ、もう抜けたい?』
読んで、私は苦笑する。そういう流れじゃなかったよね?
私は一つ大きく深呼吸してから、文字を打つ。
『ううん。私、皆のことよく知らなかったんだなって思った。友達がいがなかったよね。ごめん。これからは、嫌なことされた時にはちゃんと嫌だって言えるようになりたい。あと、やめた方がいいよって事も、ちゃんと言えるようになりたいな』
一息に打って、一度だけ読み返して送信する。
この先どうなるかはわからないけど、もうちょっとだけ、このバラバラな五人組でいるのもいいかなと思う。
誰も何も変わらないかも知れないけど、自分の見方だけでも変われば、見える世界は変わるって事を私はもう知っているから。
今までずっと私は、一人でいるのが一番辛い事なんだと思ってた。
誰かと一緒にいられるなら、ちょっとぐらい我慢してもいいやって思ってたんだよね。
……でも、そうじゃなかった。
自分の言いたいことを我慢して、思ってもいないようなこと言って、自分にも友達にも嘘をつき続ける事は、一人でいることよりずっと辛いんだとやっと分かった。
坂口くんがいなくても、冬馬くんが毎日学校に来ていたように。
私も一人を怖がらないで、一人になる勇気を持とう。そう思った。
……結局、私は一人にはならなかったけど。
いつも自分の頭と心で考えて、自分に嘘をつかないで行動する冬馬くんのように、私も自分に嘘をつかないで生きていけるようになりたいな……。
ううん。なる。
何だか今の私なら、そうなれるような気がする。
だって私は、きなこもちを……、光の大龍を召喚した巫女だもんね。
カタナたちに本当のことが言えたみたいに。
アイカたちにも本当の事を話していけば、これからでも、私たちは本当の友達になれるのかも知れない。
二年生は、まだあと半分残ってるんだしね。
『これからもよろしく』とスタンプを送れば、『よろしく』のスタンプがしっかり四つ返ってきた。
***
翌朝、冬馬くんとの三人会話に通知が来ていた。
『Eサーバのメンテ終わったよー』
坂口くんのメッセージ送信時間は朝の四時だ。
……やっぱり、夜寝られなかったのかな。
坂口くんは、ログインしたらすぐにGMに捕まったらしい。
三人に話を聞きたいと言われて、ひとまず今夜の十九時半で約束したから二人とも都合が悪かったら教えて、とのことだった。
今日は習い事があるけど、その時間ならなんとか間に合うかな。
私は『おはよー』と『OK』のスタンプを送っておく。
朝ごはんを済ませて、部屋で着替えながらもう一度スマホを覗くと、冬馬くんも同じように返信していた。
冬馬くんの使うスタンプは、DtDの公式スタンプで、ゲーム内のリアクションマークと同じものだ。
……私もこのDtDスタンプ欲しいな……。
坂口くんが『良かったー』とホッとした様子のスタンプを送っている。
あ。そうだ。と思い出して、一応尋ねてみる。
『クラスのグループ会話。戻りたかったら私招待するから、いつでも言ってね』
今度はひまりも蹴らないと思うから。と付け加えると、二人が苦笑するようなスタンプを返す。
『いや、いいよ。俺はあそこでの会話で得るものがあまりないからな。……歩には悪い事をしたと思ってる』
あ、冬馬くんは坂口くんが一緒に蹴られたの知ってたんだ。
『ボクは気にしてないよ。あんなくだらない会話眺めるより、三人で遊んでる方がずっと楽しいしっ♪』
坂口くんって雰囲気はふんわりしてるけど、結構、言う時は言うよね……。
私もまだ朝から見てないから、未読の数字溜まってるなぁ。
家を出る前に一応見ておかないと。
『何か重要な話題が出ることがあれば、教えてもらえるか?』
冬馬君に言われて『OK』とスタンプを返す。
どこか時間の無駄のように思えてしまうクラス会話のチェックも、何かあれば二人に知らせるという役目がつけば、少しだけ必要な事に感じられた。
今年はずっと感染症が流行ってて、友達同士で遊びに行ったりもできないから、みんなの家の事もまだ全然知らないことばっかりなんだと、ようやく気付く。
玲菜の妹って初めて見たなぁ。玲菜によく似てる。
アイカのお兄ちゃんは髪が金色だ。バンドを組んでるらしい。ピアスがいっぱいついてる……。確かにかっこいいけど、私はカタナみたいな落ち着いてる人が好きかな。
…………ん?
待って。今、私……、何考えた……?
ポンと新しい通知が出る。
『みさきはどう思った? グループ、もう抜けたい?』
読んで、私は苦笑する。そういう流れじゃなかったよね?
私は一つ大きく深呼吸してから、文字を打つ。
『ううん。私、皆のことよく知らなかったんだなって思った。友達がいがなかったよね。ごめん。これからは、嫌なことされた時にはちゃんと嫌だって言えるようになりたい。あと、やめた方がいいよって事も、ちゃんと言えるようになりたいな』
一息に打って、一度だけ読み返して送信する。
この先どうなるかはわからないけど、もうちょっとだけ、このバラバラな五人組でいるのもいいかなと思う。
誰も何も変わらないかも知れないけど、自分の見方だけでも変われば、見える世界は変わるって事を私はもう知っているから。
今までずっと私は、一人でいるのが一番辛い事なんだと思ってた。
誰かと一緒にいられるなら、ちょっとぐらい我慢してもいいやって思ってたんだよね。
……でも、そうじゃなかった。
自分の言いたいことを我慢して、思ってもいないようなこと言って、自分にも友達にも嘘をつき続ける事は、一人でいることよりずっと辛いんだとやっと分かった。
坂口くんがいなくても、冬馬くんが毎日学校に来ていたように。
私も一人を怖がらないで、一人になる勇気を持とう。そう思った。
……結局、私は一人にはならなかったけど。
いつも自分の頭と心で考えて、自分に嘘をつかないで行動する冬馬くんのように、私も自分に嘘をつかないで生きていけるようになりたいな……。
ううん。なる。
何だか今の私なら、そうなれるような気がする。
だって私は、きなこもちを……、光の大龍を召喚した巫女だもんね。
カタナたちに本当のことが言えたみたいに。
アイカたちにも本当の事を話していけば、これからでも、私たちは本当の友達になれるのかも知れない。
二年生は、まだあと半分残ってるんだしね。
『これからもよろしく』とスタンプを送れば、『よろしく』のスタンプがしっかり四つ返ってきた。
***
翌朝、冬馬くんとの三人会話に通知が来ていた。
『Eサーバのメンテ終わったよー』
坂口くんのメッセージ送信時間は朝の四時だ。
……やっぱり、夜寝られなかったのかな。
坂口くんは、ログインしたらすぐにGMに捕まったらしい。
三人に話を聞きたいと言われて、ひとまず今夜の十九時半で約束したから二人とも都合が悪かったら教えて、とのことだった。
今日は習い事があるけど、その時間ならなんとか間に合うかな。
私は『おはよー』と『OK』のスタンプを送っておく。
朝ごはんを済ませて、部屋で着替えながらもう一度スマホを覗くと、冬馬くんも同じように返信していた。
冬馬くんの使うスタンプは、DtDの公式スタンプで、ゲーム内のリアクションマークと同じものだ。
……私もこのDtDスタンプ欲しいな……。
坂口くんが『良かったー』とホッとした様子のスタンプを送っている。
あ。そうだ。と思い出して、一応尋ねてみる。
『クラスのグループ会話。戻りたかったら私招待するから、いつでも言ってね』
今度はひまりも蹴らないと思うから。と付け加えると、二人が苦笑するようなスタンプを返す。
『いや、いいよ。俺はあそこでの会話で得るものがあまりないからな。……歩には悪い事をしたと思ってる』
あ、冬馬くんは坂口くんが一緒に蹴られたの知ってたんだ。
『ボクは気にしてないよ。あんなくだらない会話眺めるより、三人で遊んでる方がずっと楽しいしっ♪』
坂口くんって雰囲気はふんわりしてるけど、結構、言う時は言うよね……。
私もまだ朝から見てないから、未読の数字溜まってるなぁ。
家を出る前に一応見ておかないと。
『何か重要な話題が出ることがあれば、教えてもらえるか?』
冬馬君に言われて『OK』とスタンプを返す。
どこか時間の無駄のように思えてしまうクラス会話のチェックも、何かあれば二人に知らせるという役目がつけば、少しだけ必要な事に感じられた。
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