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第5話 いつもの学校で (3/8)
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私は、19時過ぎにログインしてきた二人に、フニルーの話より先に友達との話を打ち明けていた。
「そういう時は、そっちの友達を優先してくれたらいい」
カタナが、私の話を聞いてさらりと答えた。
「うんうん、リアルゆーせんっ」
あゆも、コクコクと可愛く頷いて同意する。
頷くたびに揺れるピンクのツインテールと黒いウサミミが可愛い……。
中身は男の子だけど。
「でも、こっちとの約束の方が先なのに……」
私がそう言うと、カタナがちょっとだけ目を細めて答える。
「来られなくなった旨を、個別メッセージに送っておいてくれたら十分だ」
「そーそー。学校のお友達、大事にしたげてねっ♪」
あゆが水色の瞳でパチンとウインクする。
「大事に……」
思わずつぶやいてしまう。
そう、私はアイカ達を大事にしてないんだ……。
私には、アイカ達よりも大事に思う友達ができてしまっていた。
それはもう、自分にも分かっていた。
「私……学校の友達より、カタナ達の方が大事かも……」
ぽつりと落としてしまった言葉に、口を押さえてハッと二人を見る。
二人はどちらも、困ったような顔をして笑った。
二人にとって、私のこんな思いは迷惑だったのかな……。
じわりと俯くと、あゆが慌てて私の手を取る。
「あっ、待って待って、落ち込まないでっ!」
あゆはそのまま私の隣に座ると、なでなでのマークを出しながら話してくれる。
「みさみさちゃんの気持ちはとっても嬉しいよ! でも、ボク達では学校の中のみさみさちゃんを守ってあげられないからね。手の届くところに居ない事が、もどかしいなって思っただけ」
「そうだな。せめて、同じ学校だったら良かったのにな」
カタナもいつものように腕組みをしたまま、そう言って黒髪を揺らした。
ああ、きっと、さっき写真をくれた友達も同じようにもどかしく思ってくれたんだ……。
そう思うと、私は心の中に温かい火が灯るようだった。
離れていても、こんな風に思ってくれる人がいる。
確かに、ここにいてくれる。
私は、アイカ達がいなくても、一人ぼっちにはならないんだ……。
「うん……。二人とも、ありがとう」
不意に、カタカタカタっとアイテムバッグから音が鳴る。
あ、そうだ。きなこもち!!
どうしよう、一度出してご飯をあげたいけど……。
フニルーの姿って、他の人に見せない方がいいのかな……。
私は今度こそ、意を決して二人に話すべく、深く息を吸った。
見れば、二人もなぜか真剣な顔になっている。
「「「フニルーのことなんだが」けど」ね」
三人の言葉が重なる。
三人で顔を見合わせると、苦笑してからそっと情報を交換した。
やはり三人とも、検索した結果フニルーはペットになっていない事を知ったと言うことだった。
「どうしたらいいのかな……」
「うーん、それがもし何かのバグなら逃がした方がいい気はするんだけど……」
私の言葉にそう答えるあゆが、カタナにギロリと睨まれる。
「ちょっとぉ、カタナが怒ってどうすんの」
あゆが可愛い顔をひきつらせて、アセアセとマークを出す。
「カタナだって、バグのせいでみさみさちゃんのデータまで壊れたら嫌でしょ?」
言われて、初めて気付いたその可能性に息を呑む。
こんなに懐いてくれてるきなこもちを手放すのは嫌だけど、私のデータが壊れてしまったら、カタナともあゆともフレンドじゃなくなって……ううん、もうDtDに入れなくなったりするのかな……。
アイテムバッグの中で、またカタカタときなこもちが騒ぐ。
私たちは他のプレイヤーがいない、人のこない民家の奥のマップへ移動して、そこできなこもちをケースから出した。
「ぷいゆっ! ぷいゆぷいゆっ! ぷいゆぷいゆぷいゆぷいゆぷいゆぷいゆっ!!」
きなこもちはケースから出た途端、私に飛び付いてきた。
汗のマークと、涙のマークを交互に出している。
「きなこもち……」
私は、そのすべすべの体を撫でる。
カタナも、普段あまり動かない細い眉を寄せてきなこもちを見つめている。
「うーん。捨てないでーって言ってるみたいに見えちゃうねぇ……」
あゆは私たちを見て、そう言った。
「GMに、連絡してみるか?」
カタナが静かに問いかける。
「それはどうかなぁ。GMさんは、バグと見れば即削除しちゃうだろうからね……」
あゆは困った風に答える。代わりにと別のアイテムをくれることはあっても、フニルーは……きなこもちは戻らないだろという見解だった。
「そうだな……」
カタナが難しそうに眉を寄せる。
私の脳裏にも、あのGMの少年が真っ赤な炎でバグを焼き尽くしていた姿が蘇る。
きなこもちがあんな風に焼かれるところなんて、絶対見たくない……。
そういえば、きなこもちは最初にGMさんに会った時も、次にGMさんに会った時も怯えていた。
でも、GMさんに怯えていたなんて言ったら、それはまるできなこもちがバグだって言ってるようで……。
「そういう時は、そっちの友達を優先してくれたらいい」
カタナが、私の話を聞いてさらりと答えた。
「うんうん、リアルゆーせんっ」
あゆも、コクコクと可愛く頷いて同意する。
頷くたびに揺れるピンクのツインテールと黒いウサミミが可愛い……。
中身は男の子だけど。
「でも、こっちとの約束の方が先なのに……」
私がそう言うと、カタナがちょっとだけ目を細めて答える。
「来られなくなった旨を、個別メッセージに送っておいてくれたら十分だ」
「そーそー。学校のお友達、大事にしたげてねっ♪」
あゆが水色の瞳でパチンとウインクする。
「大事に……」
思わずつぶやいてしまう。
そう、私はアイカ達を大事にしてないんだ……。
私には、アイカ達よりも大事に思う友達ができてしまっていた。
それはもう、自分にも分かっていた。
「私……学校の友達より、カタナ達の方が大事かも……」
ぽつりと落としてしまった言葉に、口を押さえてハッと二人を見る。
二人はどちらも、困ったような顔をして笑った。
二人にとって、私のこんな思いは迷惑だったのかな……。
じわりと俯くと、あゆが慌てて私の手を取る。
「あっ、待って待って、落ち込まないでっ!」
あゆはそのまま私の隣に座ると、なでなでのマークを出しながら話してくれる。
「みさみさちゃんの気持ちはとっても嬉しいよ! でも、ボク達では学校の中のみさみさちゃんを守ってあげられないからね。手の届くところに居ない事が、もどかしいなって思っただけ」
「そうだな。せめて、同じ学校だったら良かったのにな」
カタナもいつものように腕組みをしたまま、そう言って黒髪を揺らした。
ああ、きっと、さっき写真をくれた友達も同じようにもどかしく思ってくれたんだ……。
そう思うと、私は心の中に温かい火が灯るようだった。
離れていても、こんな風に思ってくれる人がいる。
確かに、ここにいてくれる。
私は、アイカ達がいなくても、一人ぼっちにはならないんだ……。
「うん……。二人とも、ありがとう」
不意に、カタカタカタっとアイテムバッグから音が鳴る。
あ、そうだ。きなこもち!!
どうしよう、一度出してご飯をあげたいけど……。
フニルーの姿って、他の人に見せない方がいいのかな……。
私は今度こそ、意を決して二人に話すべく、深く息を吸った。
見れば、二人もなぜか真剣な顔になっている。
「「「フニルーのことなんだが」けど」ね」
三人の言葉が重なる。
三人で顔を見合わせると、苦笑してからそっと情報を交換した。
やはり三人とも、検索した結果フニルーはペットになっていない事を知ったと言うことだった。
「どうしたらいいのかな……」
「うーん、それがもし何かのバグなら逃がした方がいい気はするんだけど……」
私の言葉にそう答えるあゆが、カタナにギロリと睨まれる。
「ちょっとぉ、カタナが怒ってどうすんの」
あゆが可愛い顔をひきつらせて、アセアセとマークを出す。
「カタナだって、バグのせいでみさみさちゃんのデータまで壊れたら嫌でしょ?」
言われて、初めて気付いたその可能性に息を呑む。
こんなに懐いてくれてるきなこもちを手放すのは嫌だけど、私のデータが壊れてしまったら、カタナともあゆともフレンドじゃなくなって……ううん、もうDtDに入れなくなったりするのかな……。
アイテムバッグの中で、またカタカタときなこもちが騒ぐ。
私たちは他のプレイヤーがいない、人のこない民家の奥のマップへ移動して、そこできなこもちをケースから出した。
「ぷいゆっ! ぷいゆぷいゆっ! ぷいゆぷいゆぷいゆぷいゆぷいゆぷいゆっ!!」
きなこもちはケースから出た途端、私に飛び付いてきた。
汗のマークと、涙のマークを交互に出している。
「きなこもち……」
私は、そのすべすべの体を撫でる。
カタナも、普段あまり動かない細い眉を寄せてきなこもちを見つめている。
「うーん。捨てないでーって言ってるみたいに見えちゃうねぇ……」
あゆは私たちを見て、そう言った。
「GMに、連絡してみるか?」
カタナが静かに問いかける。
「それはどうかなぁ。GMさんは、バグと見れば即削除しちゃうだろうからね……」
あゆは困った風に答える。代わりにと別のアイテムをくれることはあっても、フニルーは……きなこもちは戻らないだろという見解だった。
「そうだな……」
カタナが難しそうに眉を寄せる。
私の脳裏にも、あのGMの少年が真っ赤な炎でバグを焼き尽くしていた姿が蘇る。
きなこもちがあんな風に焼かれるところなんて、絶対見たくない……。
そういえば、きなこもちは最初にGMさんに会った時も、次にGMさんに会った時も怯えていた。
でも、GMさんに怯えていたなんて言ったら、それはまるできなこもちがバグだって言ってるようで……。
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