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第5話 いつもの学校で (1/8)
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今日は一日、夢の内容に引きずられてぼんやり過ごしてしまった……。
校門を出てから、ようやく忘れ物に気付いてしまったし。
「教室まで取りに戻るから、先に帰ってて」
と言えば、アイカ達は「また明日ねー」「お先ー」と手を振って帰ってしまった。
……いいんだけどね。別に。
先に帰ってって言ったのは私だし。
でも、去年の友達だったら、きっと待ってくれてた。
それに気付いてしまうと、なぜか酷く自分が惨めな気持ちになった。
友達だと思ってるのは私だけなのかな……と思いかけて、違うなと思う。
私もきっと、アイカ達の事を本当の友達だと思ってないんだろうな。
本当の事を言わないで表面上の付き合いを続けてるのは、もしかしたらみんながそうなのかも知れない。
そんなことを考えながらモタモタ靴を脱いで、教室に続く階段へと向かう。
ふと、すれ違う男子の会話が耳に入った。
「……んだけど、おかしいんだよね。フニルーはペットになってないんだ」
「どういうことだ?」
「これはボクの推測なんだけど、あのフニルーは……」
……え?
ええと、聞き間違いかも知れないけど、今フニルーって言わなかった……?
私は慌てて、のぼりかけた階段を降りて後を追う。
けれど、その男子二人はもう玄関を出てしまったのか、靴箱のあたりには誰も残っていなかった。
なんの話だったんだろう……。
さっきの人、フニルーはペットになってないって言ってた……よね?
帰ったら検索してみなきゃ……。
私は、アイカ達に置いて帰られた事なんてすっかり忘れてしまうほどに、フニルーの……きなこもちの事で頭をいっぱいにしながら家に帰った。
帰宅して、大急ぎで手を洗って、自室に向かう。
「ちょっとぉー、しっかり時間かけて手洗いしなさいねーっ!?」
背中に母の小言が届くが、気付かなかった事にした。
スマホには、先に帰っていたアイカ達のグループ会話が始まっていた。
私はその通知を開かないままに、ブラウザを開いて検索する。
『フニルー ペット DtD』
もしかしたら、ただの聞き間違いで、こんな風に検索すれば、フニルーをぺットにしてる人の写真や、ツイートがずらっと並ぶんじゃないだろうか。
そうあってほしい。
けれど、私の願いとは裏腹に、その画面には、フニルーを倒す方法やドロップアイテムの他には、ペットにしたいなとか、ペットになったらいいのにとか、そんな話しか出てこなかった。
そんな……。と、信じられないような気持ちの底に、ほんの少しだけ「やっぱり」という気持ちが残っている。
だって私はあの時、ペットを捕まえるためのアイテムなんて持ってなかったし。
そもそもあれは、私の夢だと思っていたのに……。
制服も着替えないままに部屋の真ん中で一人呆然と立ち尽くしていると、握りしめていたスマホに通知が届く。
『こんなゲーム見つけたんだけど、一緒にやってみようよーっ』
『えー、また面倒なやつじゃないのー?』
『簡単なやつだからー』
『あたしもっと可愛いやつがいいしー』
……どうしよう、誰かに相談……、した方がいいのかな……。
でもこんな事親に相談しても、ゲームのデータがおかしいなら再インストしたらって言われるだけだろうし、夢がどうとか言ったら今度は違う心配をされてしまいそうだし……。
不思議なくらい、アイカ達に相談しようという気にはならなかった。
通話アプリの、小学生の頃からの友達の名前に指を重ねかけて、やめる。
急にこんなことを相談されても、向こうだって困るだろう。
やっぱり、カタナ達に相談しよう……。
今日も夕飯の後、19時半から遊ぶ約束をしている。
時計を見上げる。
19時半はまだずっと先に思えた。
とにかく今のうちに出来ることを済ませておこうかな……。
着替えて、机の上に宿題を広げる。
今日は金曜だったので、量はそこそこあった。
精一杯気持ちを切り替えて、ノートに向かう。
けれど、机の上に置いたスマホの通知が止まらない。
盛り上がってるのに一人だけ無視してるのもまた何か言われそうで、私は渋々それを開いた。
校門を出てから、ようやく忘れ物に気付いてしまったし。
「教室まで取りに戻るから、先に帰ってて」
と言えば、アイカ達は「また明日ねー」「お先ー」と手を振って帰ってしまった。
……いいんだけどね。別に。
先に帰ってって言ったのは私だし。
でも、去年の友達だったら、きっと待ってくれてた。
それに気付いてしまうと、なぜか酷く自分が惨めな気持ちになった。
友達だと思ってるのは私だけなのかな……と思いかけて、違うなと思う。
私もきっと、アイカ達の事を本当の友達だと思ってないんだろうな。
本当の事を言わないで表面上の付き合いを続けてるのは、もしかしたらみんながそうなのかも知れない。
そんなことを考えながらモタモタ靴を脱いで、教室に続く階段へと向かう。
ふと、すれ違う男子の会話が耳に入った。
「……んだけど、おかしいんだよね。フニルーはペットになってないんだ」
「どういうことだ?」
「これはボクの推測なんだけど、あのフニルーは……」
……え?
ええと、聞き間違いかも知れないけど、今フニルーって言わなかった……?
私は慌てて、のぼりかけた階段を降りて後を追う。
けれど、その男子二人はもう玄関を出てしまったのか、靴箱のあたりには誰も残っていなかった。
なんの話だったんだろう……。
さっきの人、フニルーはペットになってないって言ってた……よね?
帰ったら検索してみなきゃ……。
私は、アイカ達に置いて帰られた事なんてすっかり忘れてしまうほどに、フニルーの……きなこもちの事で頭をいっぱいにしながら家に帰った。
帰宅して、大急ぎで手を洗って、自室に向かう。
「ちょっとぉー、しっかり時間かけて手洗いしなさいねーっ!?」
背中に母の小言が届くが、気付かなかった事にした。
スマホには、先に帰っていたアイカ達のグループ会話が始まっていた。
私はその通知を開かないままに、ブラウザを開いて検索する。
『フニルー ペット DtD』
もしかしたら、ただの聞き間違いで、こんな風に検索すれば、フニルーをぺットにしてる人の写真や、ツイートがずらっと並ぶんじゃないだろうか。
そうあってほしい。
けれど、私の願いとは裏腹に、その画面には、フニルーを倒す方法やドロップアイテムの他には、ペットにしたいなとか、ペットになったらいいのにとか、そんな話しか出てこなかった。
そんな……。と、信じられないような気持ちの底に、ほんの少しだけ「やっぱり」という気持ちが残っている。
だって私はあの時、ペットを捕まえるためのアイテムなんて持ってなかったし。
そもそもあれは、私の夢だと思っていたのに……。
制服も着替えないままに部屋の真ん中で一人呆然と立ち尽くしていると、握りしめていたスマホに通知が届く。
『こんなゲーム見つけたんだけど、一緒にやってみようよーっ』
『えー、また面倒なやつじゃないのー?』
『簡単なやつだからー』
『あたしもっと可愛いやつがいいしー』
……どうしよう、誰かに相談……、した方がいいのかな……。
でもこんな事親に相談しても、ゲームのデータがおかしいなら再インストしたらって言われるだけだろうし、夢がどうとか言ったら今度は違う心配をされてしまいそうだし……。
不思議なくらい、アイカ達に相談しようという気にはならなかった。
通話アプリの、小学生の頃からの友達の名前に指を重ねかけて、やめる。
急にこんなことを相談されても、向こうだって困るだろう。
やっぱり、カタナ達に相談しよう……。
今日も夕飯の後、19時半から遊ぶ約束をしている。
時計を見上げる。
19時半はまだずっと先に思えた。
とにかく今のうちに出来ることを済ませておこうかな……。
着替えて、机の上に宿題を広げる。
今日は金曜だったので、量はそこそこあった。
精一杯気持ちを切り替えて、ノートに向かう。
けれど、机の上に置いたスマホの通知が止まらない。
盛り上がってるのに一人だけ無視してるのもまた何か言われそうで、私は渋々それを開いた。
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