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弓屋 晶都

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第2話 赤いリボン (6/9)

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「これ、良かったらもらってくれ」
アイテムを受け渡すための取引ウィンドウの申請が出る。
なんだろう。
はてなマークを出しつつ『はい』を押すと、火属性の矢が3000本と赤いリボンが並べられた。
「え、これって……」
「今日は森で草属性の敵を叩こうと思う。あ、みさみさの都合を聞きそびれていたな。一人で先走ってしまってすまない。この後時間はあるか? 一緒に狩りに行かないか?」
「あ、うん、時間は大丈夫だと思うんだけど……、こっちの……」
「ああ、それは素早さと器用さが1ずつ上がる効果と、攻撃力に+15、防御力に+4の効果がある。見た目はさっきのリボンと同じだ」
なんかアイテムの名前がやたら長くなってるのはそういうことなんだ?
じゃなくて、これ……。
「私がもらっていいの……? 借りるんじゃなくて……?」
昨日「使ってくれ」って言われて借りた長い名前のナイフは弓に持ち替えるときに返したんだけど、今日は「もらってくれ」って言われたよね?
「俺がリボンをつけても、似合わないだろう」
そういうことじゃないんだけど、そんなに真面目な顔で返されるとついカタナがリボンをつけている姿を想像して笑ってしまう。
「ふふふ。そうだね。じゃあありがたく、もらうね……?」
ちょっと申し訳ないけど、私のために買ってきてくれたものを断る方がもっと申し訳ない気がして、私はそれを大事に受け取る。
内容確認に『はい』を押すと、それらは私のアイテム欄に入った。
早速装備してみる。
「やはり、よく似合ってるな」
私の全身を見ながらカタナが言う。
黒い長い髪に、揺れる赤い二つのリボン。
アーチャーの服にも合ってて、私は舞い上がりそうな気分になった。
「あ、ありがとう。大切にするねっ♪」
「ああ、そうしてもらえるなら、すごく嬉しい」
赤い瞳がほんの少し細くなる。
カタナの喋り方はちょっと独特な感じだけど、いつも素直でまっすぐだな……と、私は顔を赤くしながら思った。
「これ、高かったんじゃないの……?」
「気にしなくていい。所詮ゲーム内通貨だし、ゲーム内アイテムだから」
そう言われてしまえば、そうなのかなとは思うけど。
それでも友達以外に、しかも男の子に、こんな風にプレゼントを買ってもらった事って無かったから、ドキドキしてしまう。
いや、カタナも友達……なのかな?
あ、友達といえば、フレンド登録っっ。
……してもらいたい……けど……、カタナにしたら、こんな風に初心者の手伝いをするのってよくある事なのかな……。
だとしたら、そんな相手をいちいちフレンド登録したりはしない……の、かな……?

うう、でも私、このゲーム続けたくなってきちゃったし……。
それでいつか、カタナに私も何かプレゼントしたい……。
その時に連絡取れないと嫌だから、やっぱり、ここは思い切って……。

「フ、「フレンド登録してもらっていい」か?」

あれ? ハモった?
顔を上げれば、カタナもちょっと驚いたようなキョトンとした顔をしている。
私達は二人で顔を見合わせて小さく笑った。

この、強化された上に付与までついた赤いリボンがどのくらいの値段で買えるものなのかを知って、私が青くなるのはもっとずっと後のことだった。

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