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2話 歌声と言葉(7/16)
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昼休みに空さんへDMの返事を送ると、あの曲は放課後にはにゃーちゅーぶに投稿されていた。
空さんの学校もスマホが持ち込みできるんだろうか。
高校ならどの学校もスマホOKなのかな。
それとも今日は学校をお休みしてたとか?
学校が違えば、創立記念日の可能性もあるよね。
……空さんって、どんな人なのかなぁ……。
「えっ、空さんにRINEを聞いてみたい!?」
私の言葉をミモザは繰り返した。
いつもの放課後。いつもの勝手知ったるミモザの部屋で。
「今の、DMでのやり取りで十分じゃない?」
ミモザの声には不安が滲んでいる。
「そうなんだけど、会話にスタンプが使えたらいいなと思って」
RINEというのは利用者の非常に多い通話アプリで、音声通話やビデオ通話もできるし、文字チャットでは数えきれないほど沢山のスタンプ……イラストメッセージが使える。
私の言葉にミモザは「うーん」と呟いて、ゆるく握った拳を顎に当てた。
これはミモザが真剣に考えている時の仕草だ。
私と空さんとのDMログを上から下まで確認したミモザは「確かにねぇ……」と苦そうに言った。
空さんは悪い人ではないんだけど、会話が全く弾まない。
作業するための最低限必要な内容までは話してくれるけど、それだけだ。
長文感想が欲しいとまでは言わないけれど、もう少しこう、感情が垣間見えるリアクションが欲しい。
私はもっと空さんのことを知りたいし、できれば空さんと仲良くなりたいと思っているんだけど、そもそも空さんがその辺をどうしたいのかもわからない。
スタンプが使えれば、シンプルな空さんの発言からも、もうちょっとニュアンスが掴めそうな気がするんだよね。
「うーん。RINEがダメとは言わないけど……身バレしそうな情報はダメだよ? 地震だとか雷だとか夕立だとかもダメ。住んでる地域が絞られるからね?」
「えっ、そうなの!?」
うーん。そんなことまで住所特定に繋がるなんて考えてもいなかった。今度から気をつけようっと。グッと握り締めたスマホからポコッと軽い通知音が鳴る。
「あ、またコメントきてる」
「どんなの?」
ミモザは少しだけ心配そうだ。通知が来たのがこの人でよかった。
「あのすっごいテンションの人」
笑って答えれば、ミモザもホッとしたようで「見たい見たい」と私のスマホを覗き込んだ。
この人はあの曲からA4Uのファンになってくれた人みたいで、毎日いくつかずつ動画を見ては、そのひとつひとつに絵文字たっぷりのハイテンションなコメントをくれていた。
曲が公開されてから一週間。私達が歌った曲の再生回数はどんどん伸びている。
それに引っ張られるように、私たちの他の動画も新旧問わず再生数が伸びていた。
「ちょっと、あまりにあんまりなのは消したい……」とミモザが言うので、昨日まで丸三日かけて今までの投稿動画を全部整理したところだ。
ミモザはお菓子動画のパッケージの反射による写り込みまで細かくチェックして、私達が顔バレしないよう十分気遣ってくれていた。
いやあ結構映ってたね。ポテチのパッケージの裏とかそういうキラキラ面に、私達の顔が。あと食器に窓の外が映ってる動画もあって、それも編集した。
空さんの学校もスマホが持ち込みできるんだろうか。
高校ならどの学校もスマホOKなのかな。
それとも今日は学校をお休みしてたとか?
学校が違えば、創立記念日の可能性もあるよね。
……空さんって、どんな人なのかなぁ……。
「えっ、空さんにRINEを聞いてみたい!?」
私の言葉をミモザは繰り返した。
いつもの放課後。いつもの勝手知ったるミモザの部屋で。
「今の、DMでのやり取りで十分じゃない?」
ミモザの声には不安が滲んでいる。
「そうなんだけど、会話にスタンプが使えたらいいなと思って」
RINEというのは利用者の非常に多い通話アプリで、音声通話やビデオ通話もできるし、文字チャットでは数えきれないほど沢山のスタンプ……イラストメッセージが使える。
私の言葉にミモザは「うーん」と呟いて、ゆるく握った拳を顎に当てた。
これはミモザが真剣に考えている時の仕草だ。
私と空さんとのDMログを上から下まで確認したミモザは「確かにねぇ……」と苦そうに言った。
空さんは悪い人ではないんだけど、会話が全く弾まない。
作業するための最低限必要な内容までは話してくれるけど、それだけだ。
長文感想が欲しいとまでは言わないけれど、もう少しこう、感情が垣間見えるリアクションが欲しい。
私はもっと空さんのことを知りたいし、できれば空さんと仲良くなりたいと思っているんだけど、そもそも空さんがその辺をどうしたいのかもわからない。
スタンプが使えれば、シンプルな空さんの発言からも、もうちょっとニュアンスが掴めそうな気がするんだよね。
「うーん。RINEがダメとは言わないけど……身バレしそうな情報はダメだよ? 地震だとか雷だとか夕立だとかもダメ。住んでる地域が絞られるからね?」
「えっ、そうなの!?」
うーん。そんなことまで住所特定に繋がるなんて考えてもいなかった。今度から気をつけようっと。グッと握り締めたスマホからポコッと軽い通知音が鳴る。
「あ、またコメントきてる」
「どんなの?」
ミモザは少しだけ心配そうだ。通知が来たのがこの人でよかった。
「あのすっごいテンションの人」
笑って答えれば、ミモザもホッとしたようで「見たい見たい」と私のスマホを覗き込んだ。
この人はあの曲からA4Uのファンになってくれた人みたいで、毎日いくつかずつ動画を見ては、そのひとつひとつに絵文字たっぷりのハイテンションなコメントをくれていた。
曲が公開されてから一週間。私達が歌った曲の再生回数はどんどん伸びている。
それに引っ張られるように、私たちの他の動画も新旧問わず再生数が伸びていた。
「ちょっと、あまりにあんまりなのは消したい……」とミモザが言うので、昨日まで丸三日かけて今までの投稿動画を全部整理したところだ。
ミモザはお菓子動画のパッケージの反射による写り込みまで細かくチェックして、私達が顔バレしないよう十分気遣ってくれていた。
いやあ結構映ってたね。ポテチのパッケージの裏とかそういうキラキラ面に、私達の顔が。あと食器に窓の外が映ってる動画もあって、それも編集した。
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