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2話 歌声と言葉(4/16)
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「じゃあ録画するよー。いい?」
ミモザがこくんと頷くのを確認して、私はスマホの録画ボタンを押した。
「録画スタートっ」
「皆さんこんにちはー」
「こんにちは、A4Uです」
「今回は、こちらの冬季限定チョコを実食しまーすっ」
「冬季限定チョコ、心踊るよね」
「ねっ! 限定って響きがいいんだよねーっ!! 冬季限定チョコ自体は今月の頭から少しずつ出てたんだけどね」
「うん、去年と同じ商品がね」
「いよいよ肌寒くなってきて、チョコ食べたくなってきたーってとこで、これが新発売だったので、買っちゃいました!!」
「メーカーはへスレさんですねー。発売日は昨日でした。これはコンビニ限定じゃないのでスーパーとかにも置いてありそうですね」
ミモザがさらりとメーカーに発売日や販売場所を説明する。
「ここってチョコ以外のお菓子はほとんど出してないよね」
「メインは飲料じゃないかな? コーヒーで有名なブランドだよね。パッケージに散らされてる雪の結晶がキラキラしてて、冬季限定な感じで可愛い」
「箱開けてみまーす。ペリペリペリ……。中は一個ずつ個包装になってるね」
「お皿に出してみますねー」
ミモザが手早く個装を開けて白いお皿にチョコを二つ並べる。
「おおー。いい香りするーっ」
「うん、チョコの甘い香りに、ほんのりナッツの香ばしい香りもするね」
「形はみんな同じかなー」
「ドーム形で……ナッツをイメージしてるのかな? いくつか細い筋がついてるね」
「食べてみますねーっ。いただきまーすっ、あむっ」
「実食しまーす。ぱくっ」
「うーん、とろけるーー!」
「冬季限定のなめらかさだね。暑いと溶けちゃうやつ」
「だねー。あ。中からニュルッとしたのが出てきた」
「プラリネだね」
「プラナリア?」
「違う違う。えっと、プラリネって言葉にはいくつか意味があるんだけど、この場合はナッツ類にキャラメルを加えてペースト状にしたものや、それが中に入ってるチョコの事だね。ほらこれ」
ミモザは私にパッケージに書かれた『アーモンドプラリネ』という字を指し示す。
「プラリネ……。じゃあ、プラナリアって何だっけ?」
「それは切っても切っても死なずに増える、にょろっとした生き物だよ」
「ニョロッ……」
「……うん」
「ニュルッ……」
「アキちゃん、プラナリアに寄せるのやめてね? プラリネチョコ食べづらくなっちゃうよぅ」
「もう一個食べていい?」
「どうぞどうぞ。パッケージには『秘伝のダブルロースト製法』『未だかつてない香りのアーモンドプラリネチョコレート』『冬だけの口溶け』『極上の一粒』と書かれてますねー」
「これは止まらなくなる」
「中のプラリネが本当にいい香りだよね。こんがり香ばしいアーモンドとキャラメルがたまらない」
「チョコがビターで甘すぎないから、次が欲しくなっちゃうよねっ」
「ちょっとアキちゃん、私の分も残しといてね?」
「大丈夫大丈夫……、て、ごめんっ。もう二個しかない……」
「七個入りだから、二個あればいいよ」
「えー、そっか、七個入りなんだねー。このくらいの量だと、一人で食べてももうちょっと食べたかったなーってなるよね」
「そのくらいが良いんじゃないかな。次も買いたくなるでしょ?」
「うーっ。また買いたくなるーっ!」
ミモザが楽しそうに笑いながら、また一緒に食べようと言ってくれる。
ここ一週間ずっと歌の練習を頑張っていたからか、歌声のファイルを送ってホッとした後の、ミモザと食べるチョコは最高に美味しかった。
ミモザがこくんと頷くのを確認して、私はスマホの録画ボタンを押した。
「録画スタートっ」
「皆さんこんにちはー」
「こんにちは、A4Uです」
「今回は、こちらの冬季限定チョコを実食しまーすっ」
「冬季限定チョコ、心踊るよね」
「ねっ! 限定って響きがいいんだよねーっ!! 冬季限定チョコ自体は今月の頭から少しずつ出てたんだけどね」
「うん、去年と同じ商品がね」
「いよいよ肌寒くなってきて、チョコ食べたくなってきたーってとこで、これが新発売だったので、買っちゃいました!!」
「メーカーはへスレさんですねー。発売日は昨日でした。これはコンビニ限定じゃないのでスーパーとかにも置いてありそうですね」
ミモザがさらりとメーカーに発売日や販売場所を説明する。
「ここってチョコ以外のお菓子はほとんど出してないよね」
「メインは飲料じゃないかな? コーヒーで有名なブランドだよね。パッケージに散らされてる雪の結晶がキラキラしてて、冬季限定な感じで可愛い」
「箱開けてみまーす。ペリペリペリ……。中は一個ずつ個包装になってるね」
「お皿に出してみますねー」
ミモザが手早く個装を開けて白いお皿にチョコを二つ並べる。
「おおー。いい香りするーっ」
「うん、チョコの甘い香りに、ほんのりナッツの香ばしい香りもするね」
「形はみんな同じかなー」
「ドーム形で……ナッツをイメージしてるのかな? いくつか細い筋がついてるね」
「食べてみますねーっ。いただきまーすっ、あむっ」
「実食しまーす。ぱくっ」
「うーん、とろけるーー!」
「冬季限定のなめらかさだね。暑いと溶けちゃうやつ」
「だねー。あ。中からニュルッとしたのが出てきた」
「プラリネだね」
「プラナリア?」
「違う違う。えっと、プラリネって言葉にはいくつか意味があるんだけど、この場合はナッツ類にキャラメルを加えてペースト状にしたものや、それが中に入ってるチョコの事だね。ほらこれ」
ミモザは私にパッケージに書かれた『アーモンドプラリネ』という字を指し示す。
「プラリネ……。じゃあ、プラナリアって何だっけ?」
「それは切っても切っても死なずに増える、にょろっとした生き物だよ」
「ニョロッ……」
「……うん」
「ニュルッ……」
「アキちゃん、プラナリアに寄せるのやめてね? プラリネチョコ食べづらくなっちゃうよぅ」
「もう一個食べていい?」
「どうぞどうぞ。パッケージには『秘伝のダブルロースト製法』『未だかつてない香りのアーモンドプラリネチョコレート』『冬だけの口溶け』『極上の一粒』と書かれてますねー」
「これは止まらなくなる」
「中のプラリネが本当にいい香りだよね。こんがり香ばしいアーモンドとキャラメルがたまらない」
「チョコがビターで甘すぎないから、次が欲しくなっちゃうよねっ」
「ちょっとアキちゃん、私の分も残しといてね?」
「大丈夫大丈夫……、て、ごめんっ。もう二個しかない……」
「七個入りだから、二個あればいいよ」
「えー、そっか、七個入りなんだねー。このくらいの量だと、一人で食べてももうちょっと食べたかったなーってなるよね」
「そのくらいが良いんじゃないかな。次も買いたくなるでしょ?」
「うーっ。また買いたくなるーっ!」
ミモザが楽しそうに笑いながら、また一緒に食べようと言ってくれる。
ここ一週間ずっと歌の練習を頑張っていたからか、歌声のファイルを送ってホッとした後の、ミモザと食べるチョコは最高に美味しかった。
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