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スイカをかかえて、くまさんは川にやってきました。

川の水に映る自分の耳には、やっぱり似合わない白い花がついています。
みんなはどうしてこれを似合ってると思うのかな。とくまさんは不思議でなりません。

くまさんは、川岸の岩が入り組んだところに、スイカをそうっと下ろしました。
このまましばらく待てば、スイカは川の水で冷たくおいしくなっているはずです。
「しばらく待っててね」
くまさんはスイカにそう言うと、川沿いをビーバーさんのところへ向かいました。



ビーバーさんのお家に着いたとき、ビーバーさんはちょうど新しいお家を完成させたところでした。
「どうだい、くまさん。立派なもんだろう」
ビーバーさんはえっへんと胸を張っています。
「すごいじゃないか」
くまさんはポフポフと拍手をします。
できたてのビーバーさんのお家はとても立派でした。

ビーバーさんはニコニコして「くまさんも、その花似合ってるよ」と言いました。

くまさんはおどろきました。
自分では似合ってないと思うのに、みんなが似合ってると言うなんて、もしかしたらぼくの方がおかしいのかもしれない。
くまさんは少し不安になりました。

「くまさんのお家は新しくしないのかい?」
ビーバーさんが聞くので、くまさんは不安を隠して笑って答えました。
「この森全部がぼくの家のようなものだよ。ここに住むみんながぼくの家族さ」
「へえ、でっかい家だね」
ビーバーさんは楽しそうに笑いました。
「ビーバーさんもぼくの家族だよ、何かあったらいつでも相談においで」
そう言って、くまさんはビーバーさんと別れました。
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