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ある森に、くまさんがいました。

くまさんはこの森に長く住んでいて、
森で暮らすどうぶつ達の事を家族のように思っていました。

くまさんは、森のみんなが今日も元気に過ごしているか、毎日見て回ります。

さいしょに向かったのは、ウサギさんのところです。

ウサギさんの家は穴の中なので、
昨日の雨で水が入っていないかと、くまさんは心配でした。

ウサギさんは家の外でおろおろしていました。

「ウサギさん、だいじょうぶかい?」
「くまさんいいところに来てくれたわ。家の中に水がたまって大変なの」

くまさんは大きな手を穴に突っ込んで、
ざんぶざんぶと水をかき出してあげました。

「ありがとうくまさん、本当に助かったわ」
「このくらいお安い御用だよ。困ったことがあれば、いつでも声をかけて」

ウサギさんはお礼に、白い小さなお花をくれました。
「耳につけてあげるわ」とウサギさんは言いました。
「ぼくにはきっと似合わないよ」
くまさんは言いましたが、ウサギさんは
「そんなことないわ、きっと似合うと思う」
とにこにこしています。
仕方なく、くまさんはお花をつけてもらうまで、かがんでじっとしていました。
「とっても似合うわ、くまさん」
ウサギさんに笑顔で言われて、くまさんはそうだといいなと思いました。



次にくまさんが向かったのは、ねずみくんのところです。
ねずみくんはリスさんのとなりの家に住んでいます。

「ねずみくん。いるかい?」
くまさんはねずみくんの家の前で声をかけましたが、
ねずみくんはリスさんの家から出てきました。
「こっちだよ、くまさん」
ねずみくんとリスさんはとても仲良しなのです。

「やあ、元気そうだね。リスさんは元気にしてるかい?」
「ええ、おかげさまで元気になったわ」
と、リスさんも出てきました。
リスさんはこの間まで風邪で寝込んでいたのです。
「くまさんのくれた薬はすごくよく効いたよ」
看病をしていたねずみくんが言いました。
「いつもありがとう、くまさん」
リスさんも言いました。
「いいよ、困ったときはお互い様だからね」
くまさんが帰ろうとすると、リスさんが言いました。
「くまさん、そのお花、とても可愛いわね」
くまさんは、少しうれしくなりました。
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