92 / 94
第四章 守護鳥の夢
黒いコスモス
しおりを挟む
オゼ
いや、何で俺は死なない? それはきっと—―
神様と俺の間に、アオチで言うところのタンチョウモドキがいた。
金色のナイフは鳥を貫通し、確かに俺の胸に届いている。死なないのは鳥と繋がっているからか? でも何で……。
その時、鳥が神様に向かって静かに言った。
「知っていましたか。私にあなたの攻撃はきかないんですよ」
神様がはっと顔を上げた。
「お前、まさか僕の血が入っているの……? どうして……」
「世間知らずな神様ですね。あなたが壊れた身体を海辺で修復しているのは鳥ならみんな知っています。そして、その時に流れる血を吸って咲く、黒いコスモスのことも。その花を直接身体に入れることで、どんな傷でも治ると言われています。わたしもそれを期待して一か八かで黒いコスモスを胸に詰めた。結果はそれ以上でしたがね。あなたの血は今、わたしの心臓から彼に入って、彼を永遠に生かし続けます」
タンチョウモドキが長い首をくるりと俺の方にまわした。
「あなた、似ているんです。わたしを助けた少年に。神様の血をあなたの心臓に分けました」
それだけ言って、自分に刺さったナイフごと神様を押し倒した。
突然、足元が揺らいでよろける。
「移動が始まりました。神様さえもう止められない。あなた方はとまり石の中に居れば大丈夫です」
監視鳥の冷静な声が響いた。
そうだ、アオチは、オオミはどこだ? マモルは?
無言ちゃん? ウルウ? みんなどこに行ったんだ?
いや、何で俺は死なない? それはきっと—―
神様と俺の間に、アオチで言うところのタンチョウモドキがいた。
金色のナイフは鳥を貫通し、確かに俺の胸に届いている。死なないのは鳥と繋がっているからか? でも何で……。
その時、鳥が神様に向かって静かに言った。
「知っていましたか。私にあなたの攻撃はきかないんですよ」
神様がはっと顔を上げた。
「お前、まさか僕の血が入っているの……? どうして……」
「世間知らずな神様ですね。あなたが壊れた身体を海辺で修復しているのは鳥ならみんな知っています。そして、その時に流れる血を吸って咲く、黒いコスモスのことも。その花を直接身体に入れることで、どんな傷でも治ると言われています。わたしもそれを期待して一か八かで黒いコスモスを胸に詰めた。結果はそれ以上でしたがね。あなたの血は今、わたしの心臓から彼に入って、彼を永遠に生かし続けます」
タンチョウモドキが長い首をくるりと俺の方にまわした。
「あなた、似ているんです。わたしを助けた少年に。神様の血をあなたの心臓に分けました」
それだけ言って、自分に刺さったナイフごと神様を押し倒した。
突然、足元が揺らいでよろける。
「移動が始まりました。神様さえもう止められない。あなた方はとまり石の中に居れば大丈夫です」
監視鳥の冷静な声が響いた。
そうだ、アオチは、オオミはどこだ? マモルは?
無言ちゃん? ウルウ? みんなどこに行ったんだ?
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
新しい人生インストールしませんか?
阿々 亜
ライト文芸
鈴村春樹と山内由衣は幼馴染で、現在高校3年の受験生である。
春樹は由衣と同じ大学に合格したら、由衣に告白するつもりだったのだが、由衣は合格し、春樹は不合格になってしまう。
由衣に見放され、立ち尽くす春樹の前に奥田健太郎という謎の男が現れる。
奥田はNew Lifeという会社の研究開発部の部長で、人格を抜き出して他人の体にインストールすることで、新しい人生を歩めると持ちかける。
半信半疑ながらも自暴自棄になっていた春樹は奥田の誘いに乗り契約してしまう。
そして、春樹は新しい人生を歩むことになるのだが、春樹に用意されたのは思ってもみない人物の人生だった……
婚約者の形見としてもらった日記帳が気持ち悪い
七辻ゆゆ
ファンタジー
好きでもないが政略として婚約していた王子が亡くなり、王妃に押し付けられるように形見の日記帳を受け取ったルアニッチェ。
その内容はルアニッチェに執着する気持ちの悪いもので、手元から離そうとするのに、何度も戻ってきてしまう。そんなとき、王子の愛人だった女性が訪ねてきて、王子の形見が欲しいと言う。
(※ストーリーはホラーですが、異世界要素があるものはカテゴリエラーになるとのことなので、ファンタジーカテゴリにしています)
下げ渡された婚約者
相生紗季
ファンタジー
マグナリード王家第三王子のアルフレッドは、優秀な兄と姉のおかげで、政務に干渉することなく気ままに過ごしていた。
しかしある日、第一王子である兄が言った。
「ルイーザとの婚約を破棄する」
愛する人を見つけた兄は、政治のために決められた許嫁との婚約を破棄したいらしい。
「あのルイーザが受け入れたのか?」
「代わりの婿を用意するならという条件付きで」
「代わり?」
「お前だ、アルフレッド!」
おさがりの婚約者なんて聞いてない!
しかもルイーザは誰もが畏れる冷酷な侯爵令嬢。
アルフレッドが怯えながらもルイーザのもとへと訪ねると、彼女は氷のような瞳から――涙をこぼした。
「あいつは、僕たちのことなんかどうでもいいんだ」
「ふたりで見返そう――あいつから王位を奪うんだ」
女子力の高い僕は異世界でお菓子屋さんになりました
初昔 茶ノ介
ファンタジー
昔から低身長、童顔、お料理上手、家がお菓子屋さん、etc.と女子力満載の高校2年の冬樹 幸(ふゆき ゆき)は男子なのに周りからのヒロインのような扱いに日々悩んでいた。
ある日、学校の帰りに道に悩んでいるおばあさんを助けると、そのおばあさんはただのおばあさんではなく女神様だった。
冗談半分で言ったことを叶えると言い出し、目が覚めた先は見覚えのない森の中で…。
のんびり書いていきたいと思います。
よければ感想等お願いします。
女豹の恩讐『死闘!兄と妹。禁断のシュートマッチ』
コバひろ
大衆娯楽
前作 “雌蛇の罠『異性異種格闘技戦』男と女、宿命のシュートマッチ”
(全20話)の続編。
https://www.alphapolis.co.jp/novel/329235482/129667563/episode/6150211
男子キックボクサーを倒したNOZOMIのその後は?
そんな女子格闘家NOZOMIに敗れ命まで落とした父の仇を討つべく、兄と娘の青春、家族愛。
格闘技を通して、ジェンダーフリー、ジェンダーレスとは?を描きたいと思います。
【5】言わぬが花とは言うけれど【完結】
ホズミロザスケ
ライト文芸
高校一年生の佐野悠太(さの ゆうた)はある日初めてできた彼女・岸野深雪(きしの みゆき)に突然「距離を置こう」と言われてしまう。
理由がわからないまま、別れるかもしれない瀬戸際に立たされているそんな時、姉の真綾(まあや)に彼氏が出来、彼を家に招きたいという話になり……。
「いずれ、キミに繋がる物語」シリーズ五作目(登場する人物が共通しています)。単品でも問題なく読んでいただけます。
※当作品は「カクヨム」「小説家になろう」にも同時掲載しております。(過去に「エブリスタ」にも掲載)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる