鳥に追われる

白木

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第四章 守護鳥の夢

黒いコスモス

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オゼ


 いや、何で俺は死なない? それはきっと—―

 神様と俺の間に、アオチで言うところのタンチョウモドキがいた。

 金色のナイフは鳥を貫通し、確かに俺の胸に届いている。死なないのは鳥と繋がっているからか? でも何で……。

 その時、鳥が神様に向かって静かに言った。

「知っていましたか。私にあなたの攻撃はきかないんですよ」

 神様がはっと顔を上げた。

「お前、まさか僕の血が入っているの……? どうして……」

「世間知らずな神様ですね。あなたが壊れた身体を海辺で修復しているのは鳥ならみんな知っています。そして、その時に流れる血を吸って咲く、黒いコスモスのことも。その花を直接身体に入れることで、どんな傷でも治ると言われています。わたしもそれを期待して一か八かで黒いコスモスを胸に詰めた。結果はそれ以上でしたがね。あなたの血は今、わたしの心臓から彼に入って、彼を永遠に生かし続けます」

 タンチョウモドキが長い首をくるりと俺の方にまわした。

「あなた、似ているんです。わたしを助けた少年に。神様の血をあなたの心臓に分けました」

 それだけ言って、自分に刺さったナイフごと神様を押し倒した。


 突然、足元が揺らいでよろける。

「移動が始まりました。神様さえもう止められない。あなた方はとまり石の中に居れば大丈夫です」

 監視鳥の冷静な声が響いた。

 そうだ、アオチは、オオミはどこだ? マモルは?

 無言ちゃん? ウルウ? みんなどこに行ったんだ?

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