85 / 94
第四章 守護鳥の夢
最後のサイレン
しおりを挟む
オオミ
また、あのサイレンが鳴り響いた。
「うるっ」
ウルウがどこから聞こえてくるとも知らないその音を追って、きょろきょろ辺りを見回している。
あの、癒しのウルウが死ぬ? まだ生まれたばかりなのに? 何も悪いことをしてないのに?
「本体の無言ちゃんが、残って欲しいと望んでも、ですか」
そんなのダメだ――。そしてウルウも気になるが、僕はアオチさんとオゼさんのそばに居なくちゃ……
ん? ローヌさんの様子がおかしい。サイレンの音に真剣に聞き入っている。その時、心臓を喰う鳥が頭上を飛ぶ影を感じた。
「これは移動のサイレンではありません!」
「僕も初めて聞くサイレンだ」
ローヌさんが回収人さんに駆け寄る。
本当か? 僕にはさっきと同じサイレンにしか聴こえない。
「アオチさん、オゼさん」
不安になって直ぐ後ろに居る二人を見た。
「どこが……違うんだろうな」
「何が始まるんだ」
二人ともそれぞれ不安気に呟いた。
その時、まだ鳴りやまないサイレンの違いが、僕にもわかった。
「この音、この石の中からしていませんか?」
アオチさんとオゼさんが顔を見合わせてから、宮殿みたいな心臓を見上げた。
そうだ、さっきまでの二回はとまり石の外から響いていた。今は僕らのいる石の内側が、もっと言えば監視鳥の心臓が震えて音を出しているんだ。
「神様がここに来るんじゃないでしょうか」
数メートル先の回収人さんを庇うようにローヌさんが警戒して周囲を見回している。
「ウルウ! お花の中に入っちゃだめ!」
突然、初めて聞くマモルくんの叫び声がサイレンを引き裂いた。
また、あのサイレンが鳴り響いた。
「うるっ」
ウルウがどこから聞こえてくるとも知らないその音を追って、きょろきょろ辺りを見回している。
あの、癒しのウルウが死ぬ? まだ生まれたばかりなのに? 何も悪いことをしてないのに?
「本体の無言ちゃんが、残って欲しいと望んでも、ですか」
そんなのダメだ――。そしてウルウも気になるが、僕はアオチさんとオゼさんのそばに居なくちゃ……
ん? ローヌさんの様子がおかしい。サイレンの音に真剣に聞き入っている。その時、心臓を喰う鳥が頭上を飛ぶ影を感じた。
「これは移動のサイレンではありません!」
「僕も初めて聞くサイレンだ」
ローヌさんが回収人さんに駆け寄る。
本当か? 僕にはさっきと同じサイレンにしか聴こえない。
「アオチさん、オゼさん」
不安になって直ぐ後ろに居る二人を見た。
「どこが……違うんだろうな」
「何が始まるんだ」
二人ともそれぞれ不安気に呟いた。
その時、まだ鳴りやまないサイレンの違いが、僕にもわかった。
「この音、この石の中からしていませんか?」
アオチさんとオゼさんが顔を見合わせてから、宮殿みたいな心臓を見上げた。
そうだ、さっきまでの二回はとまり石の外から響いていた。今は僕らのいる石の内側が、もっと言えば監視鳥の心臓が震えて音を出しているんだ。
「神様がここに来るんじゃないでしょうか」
数メートル先の回収人さんを庇うようにローヌさんが警戒して周囲を見回している。
「ウルウ! お花の中に入っちゃだめ!」
突然、初めて聞くマモルくんの叫び声がサイレンを引き裂いた。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ガイアセイバーズ spin-off -T大理学部生の波乱-
独楽 悠
青春
優秀な若い頭脳が集う都内の旧帝大へ、新入生として足を踏み入れた川崎 諒。
国内最高峰の大学に入学したものの、目的も展望もあまり描けておらずモチベーションが冷めていたが、入学式で式場中の注目を集める美青年・髙城 蒼矢と鮮烈な出会いをする。
席が隣のよしみで言葉を交わす機会を得たが、それだけに留まらず、同じく意気投合した沖本 啓介をはじめクラスメイトの理学部生たちも巻き込んで、目立ち過ぎる蒼矢にまつわるひと騒動に巻き込まれていく――
およそ1年半前の大学入学当初、蒼矢と川崎&沖本との出会いを、川崎視点で追った話。
※大学生の日常ものです。ヒーロー要素、ファンタジー要素はありません。
◆更新日時・間隔…2023/7/28から、20:40に毎日更新(第2話以降は1ページずつ更新)
◆注意事項
・ナンバリング作品群『ガイアセイバーズ』のスピンオフ作品になります。
時系列はメインストーリーから1年半ほど過去の話になります。
・作品群『ガイアセイバーズ』のいち作品となりますが、メインテーマであるヒーロー要素,ファンタジー要素はありません。また、他作品との関連性はほぼありません。
他作からの予備知識が無くても今作単体でお楽しみ頂けますが、他ナンバリング作品へお目通し頂けていますとより詳細な背景をご理頂いた上でお読み頂けます。
・年齢制限指定はありません。他作品はあらかた年齢制限有ですので、お読みの際はご注意下さい。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/light_novel.png?id=7e51c3283133586a6f12)
僕の目の前の魔法少女がつかまえられません!
兵藤晴佳
ライト文芸
「ああ、君、魔法使いだったんだっけ?」というのが結構当たり前になっている日本で、その割合が他所より多い所に引っ越してきた佐々四十三(さっさ しとみ)17歳。
ところ変われば品も水も変わるもので、魔法使いたちとの付き合い方もちょっと違う。
不思議な力を持っているけど、デリケートにできていて、しかも妙にプライドが高い人々は、独自の文化と学校生活を持っていた。
魔法高校と普通高校の間には、見えない溝がある。それを埋めようと努力する人々もいるというのに、表に出てこない人々の心ない行動は、危機のレベルをどんどん上げていく……。
(『小説家になろう』様『魔法少女が学園探偵の相棒になります!』、『カクヨム』様の同名小説との重複掲載です)
君が大地(フィールド)に立てるなら〜白血病患者の為に、ドナーの思いを〜
長岡更紗
ライト文芸
独身の頃、なんとなくやってみた骨髄のドナー登録。
それから六年。結婚して所帯を持った今、適合通知がやってくる。
骨髄を提供する気満々の主人公晃と、晃の体を心配して反対する妻の美乃梨。
ドナー登録ってどんなのだろう?
ドナーってどんなことをするんだろう?
どんなリスクがあるんだろう?
少しでも興味がある方は、是非、覗いてみてください。
小説家になろうにも投稿予定です。
独裁者・武田信玄
いずもカリーシ
歴史・時代
歴史の本とは別の視点で武田信玄という人間を描きます!
平和な時代に、戦争の素人が娯楽[エンターテイメント]の一貫で歴史の本を書いたことで、歴史はただ暗記するだけの詰まらないものと化してしまいました。
『事実は小説よりも奇なり』
この言葉の通り、事実の方が好奇心をそそるものであるのに……
歴史の本が単純で薄い内容であるせいで、フィクションの方が面白く、深い内容になっていることが残念でなりません。
過去の出来事ではありますが、独裁国家が民主国家を数で上回り、戦争が相次いで起こる『現代』だからこそ、この歴史物語はどこかに通じるものがあるかもしれません。
【第壱章 独裁者への階段】 国を一つにできない弱く愚かな支配者は、必ず滅ぶのが戦国乱世の習い
【第弐章 川中島合戦】 戦争の勝利に必要な条件は第一に補給、第二に地形
【第参章 戦いの黒幕】 人の持つ欲を煽って争いの種を撒き、愚かな者を操って戦争へと発展させる武器商人
【第肆章 織田信長の愛娘】 人間の生きる価値は、誰かの役に立つ生き方のみにこそある
【最終章 西上作戦】 人々を一つにするには、敵が絶対に必要である
この小説は『大罪人の娘』を補完するものでもあります。
(前編が執筆終了していますが、後編の執筆に向けて修正中です)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/horror.png?id=d742d2f035dd0b8efefe)
伏線回収の夏
影山姫子
ミステリー
ある年の夏。俺は15年ぶりにT県N市にある古い屋敷を訪れた。某大学の芸術学部でクラスメイトだった岡滝利奈の招きだった。かつての同級生の不審死。消えた犯人。屋敷のアトリエにナイフで刻まれた無数のXの傷。利奈はそのなぞを、ミステリー作家であるこの俺に推理してほしいというのだ。俺、利奈、桐山優也、十文字省吾、新山亜沙美、須藤真利亜の六人は、大学時代にこの屋敷で共に芸術の創作に打ち込んだ仲間だった。グループの中に犯人はいるのか? 脳裏によみがえる青春時代の熱気、裏切り、そして別れ。懐かしくも苦い思い出をたどりながら事件の真相に近づく俺に、衝撃のラストが待ち受けていた。
《あなたはすべての伏線を回収することができますか?》
よくできた"妻"でして
真鳥カノ
ライト文芸
ある日突然、妻が亡くなった。
単身赴任先で妻の訃報を聞いた主人公は、帰り着いた我が家で、妻の重大な秘密と遭遇する。
久しぶりに我が家に戻った主人公を待ち受けていたものとは……!?
※こちらの作品はエブリスタにも掲載しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる