319 / 331
第四章 鳥像の門
嫉妬の影4
しおりを挟む
お前たちは知らないかも知れなが、ふかふかが人間の世界で探索を始めたのはシロキが鏡の地獄の空を固定するより前だ。
行き来をしていないとは言え、地獄とはつながっているので、大体起きていることはわかるが、人間の世界はそうはいかない。
いつも役割から戻ってきたシロキの様子や、たまにわたしへ引き渡される銀や金の魂の記憶から今の地上を知る。
そしてもう一つの重要な情報源が、鏡の地獄から送られてくるナイトに浄化された魂だ。
あの人間の世界に戻ることを拒絶していたふかふかが、わたしのために降りるのだ。
この子たちはナイトが浄化しきれなかった闇の部位。わたしがあの時、焦ってかき集めてしまったから。未だに、いやこれからもずっと、その影の身体に恐怖と怯えを抱え続ける。
せめて、この子たちが今まで出来なかったことをさせてあげたい。
「わたしのために消えてはだめだよ」
そう言って、鳥の門の方へ送り出した。
あの時は本当に知らなかったんだ。
まさか人間の身体の中にわたしの神様の心臓が隠されているなんて。それに、ナイトが骨を人間の神様に預けていたなんて――。
ふかふかも地上に降りたばかりの時はただウロウロしていた。
しばらくしてから、神様の心臓より先に骨の気配を感じたようだ。ふかふかではなく、わたしが預けた骨の方が反応した。
ふかふかを通してそれを見た時は驚いた。ナイトがいたからだ。
――ナイトがまだ骨を持っているのか? 確かにカドの融合が完成するまで、あれは必要だった。でもその後、蜘蛛を助けた男の魂と神様の心臓と一緒に人間の世界へ還したと思っていたのだ。まだ持ち歩いていたとは。
そして次にふかふかから感じたのは甘い、人間が恋心と呼ぶ種類の歓喜だった。
「どいつもこいつも……」
思わず口に出していた。
わたしの愛しいものはみんなナイトにこの感情を抱いてしまう。
まさかふかふかまで……
久しく忘れていた嫉妬心が煽られる。
一度芽生えた感情は消えたりはしない。その時改めて思い知った。
この話を始めて聞く、例えば若い悪魔などは、これを誰の何の物語だと思うだろう。
誰を中心に置くかによってそれは全く違ってくる。カドにとってはもしかしたら自我の目覚めの物語なのかも知れないし、シロキにとっては贖罪の物語かも知れない。
とにかく、わたしにとっては愛の物語なのは確かだ。
「どうしてわたしを選んでくれないんだ……」
そう声に出ていた。あの蜘蛛を助けた男だって、わたしとナイトが似ていると言ったのに、直後に全然違うと矛盾したことを言ってわたしを混乱させた。
わたしにはあと何が足りなくて、何が余計なんだ? 誰か教えてくれ。
行き来をしていないとは言え、地獄とはつながっているので、大体起きていることはわかるが、人間の世界はそうはいかない。
いつも役割から戻ってきたシロキの様子や、たまにわたしへ引き渡される銀や金の魂の記憶から今の地上を知る。
そしてもう一つの重要な情報源が、鏡の地獄から送られてくるナイトに浄化された魂だ。
あの人間の世界に戻ることを拒絶していたふかふかが、わたしのために降りるのだ。
この子たちはナイトが浄化しきれなかった闇の部位。わたしがあの時、焦ってかき集めてしまったから。未だに、いやこれからもずっと、その影の身体に恐怖と怯えを抱え続ける。
せめて、この子たちが今まで出来なかったことをさせてあげたい。
「わたしのために消えてはだめだよ」
そう言って、鳥の門の方へ送り出した。
あの時は本当に知らなかったんだ。
まさか人間の身体の中にわたしの神様の心臓が隠されているなんて。それに、ナイトが骨を人間の神様に預けていたなんて――。
ふかふかも地上に降りたばかりの時はただウロウロしていた。
しばらくしてから、神様の心臓より先に骨の気配を感じたようだ。ふかふかではなく、わたしが預けた骨の方が反応した。
ふかふかを通してそれを見た時は驚いた。ナイトがいたからだ。
――ナイトがまだ骨を持っているのか? 確かにカドの融合が完成するまで、あれは必要だった。でもその後、蜘蛛を助けた男の魂と神様の心臓と一緒に人間の世界へ還したと思っていたのだ。まだ持ち歩いていたとは。
そして次にふかふかから感じたのは甘い、人間が恋心と呼ぶ種類の歓喜だった。
「どいつもこいつも……」
思わず口に出していた。
わたしの愛しいものはみんなナイトにこの感情を抱いてしまう。
まさかふかふかまで……
久しく忘れていた嫉妬心が煽られる。
一度芽生えた感情は消えたりはしない。その時改めて思い知った。
この話を始めて聞く、例えば若い悪魔などは、これを誰の何の物語だと思うだろう。
誰を中心に置くかによってそれは全く違ってくる。カドにとってはもしかしたら自我の目覚めの物語なのかも知れないし、シロキにとっては贖罪の物語かも知れない。
とにかく、わたしにとっては愛の物語なのは確かだ。
「どうしてわたしを選んでくれないんだ……」
そう声に出ていた。あの蜘蛛を助けた男だって、わたしとナイトが似ていると言ったのに、直後に全然違うと矛盾したことを言ってわたしを混乱させた。
わたしにはあと何が足りなくて、何が余計なんだ? 誰か教えてくれ。
0
お気に入りに追加
16
あなたにおすすめの小説

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活
天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――

ウルティメイド〜クビになった『元』究極メイドは、素材があれば何でも作れるクラフト系スキルで商売をして生計を立てていく〜
西館亮太
ファンタジー
「お前は今日でクビだ。」
主に突然そう宣告された究極と称されるメイドの『アミナ』。
生まれてこの方、主人の世話しかした事の無かった彼女はクビを言い渡された後、自分を陥れたメイドに魔物の巣食う島に転送されてしまう。
その大陸は、街の外に出れば魔物に襲われる危険性を伴う非常に危険な土地だった。
だがそのまま死ぬ訳にもいかず、彼女は己の必要のないスキルだと思い込んでいた、素材と知識とイメージがあればどんな物でも作れる『究極創造』を使い、『物作り屋』として冒険者や街の住人相手に商売することにした。
しかし街に到着するなり、外の世界を知らない彼女のコミュ障が露呈したり、意外と知らない事もあったりと、悩みながら自身は究極なんかでは無かったと自覚する。
そこから始まる、依頼者達とのいざこざや、素材収集の中で起こる騒動に彼女は次々と巻き込まれていく事になる。
これは、彼女が本当の究極になるまでのお話である。
※かなり冗長です。
説明口調も多いのでそれを加味した上でお楽しみ頂けたら幸いです

【書籍化進行中】魔法のトランクと異世界暮らし
猫野美羽
ファンタジー
※書籍化進行中です。
曾祖母の遺産を相続した海堂凛々(かいどうりり)は原因不明の虚弱体質に苦しめられていることもあり、しばらくは遺産として譲り受けた別荘で療養することに。
おとぎ話に出てくる魔女の家のような可愛らしい洋館で、凛々は曾祖母からの秘密の遺産を受け取った。
それは異世界への扉の鍵と魔法のトランク。
異世界の住人だった曾祖母の血を濃く引いた彼女だけが、魔法の道具の相続人だった。
異世界、たまに日本暮らしの楽しい二拠点生活が始まる──
◆◆◆
ほのぼのスローライフなお話です。
のんびりと生活拠点を整えたり、美味しいご飯を食べたり、お金を稼いでみたり、異世界旅を楽しむ物語。
※カクヨムでも掲載予定です。

調子に乗りすぎて処刑されてしまった悪役貴族のやり直し自制生活 〜ただし自制できるとは言っていない〜
EAT
ファンタジー
「どうしてこうなった?」
優れた血統、高貴な家柄、天賦の才能────生まれときから勝ち組の人生により調子に乗りまくっていた侯爵家嫡男クレイム・ブラッドレイは殺された。
傍から見ればそれは当然の報いであり、殺されて当然な悪逆非道の限りを彼は尽くしてきた。しかし、彼はなぜ自分が殺されなければならないのか理解できなかった。そして、死ぬ間際にてその答えにたどり着く。簡単な話だ………信頼し、友と思っていた人間に騙されていたのである。
そうして誰もにも助けてもらえずに彼は一生を終えた。意識が薄れゆく最中でクレイムは思う。「願うことならば今度の人生は平穏に過ごしたい」と「決して調子に乗らず、謙虚に慎ましく穏やかな自制生活を送ろう」と。
次に目が覚めればまた新しい人生が始まると思っていたクレイムであったが、目覚めてみればそれは10年前の少年時代であった。
最初はどういうことか理解が追いつかなかったが、また同じ未来を繰り返すのかと絶望さえしたが、同時にそれはクレイムにとって悪い話ではなかった。「同じ轍は踏まない。今度は全てを投げ出して平穏なスローライフを送るんだ!」と目標を定め、もう一度人生をやり直すことを決意する。
しかし、運命がそれを許さない。
一度目の人生では考えられないほどの苦難と試練が真人間へと更生したクレイムに次々と降りかかる。果たしてクレイムは本当にのんびり平穏なスローライフを遅れるのだろうか?
※他サイトにも掲載中

あの日、さようならと言って微笑んだ彼女を僕は一生忘れることはないだろう
まるまる⭐️
恋愛
僕に向かって微笑みながら「さようなら」と告げた彼女は、そのままゆっくりと自身の体重を後ろへと移動し、バルコニーから落ちていった‥
*****
僕と彼女は幼い頃からの婚約者だった。
僕は彼女がずっと、僕を支えるために努力してくれていたのを知っていたのに‥

転生チートは家族のために~ユニークスキルで、快適な異世界生活を送りたい!~
りーさん
ファンタジー
ある日、異世界に転生したルイ。
前世では、両親が共働きの鍵っ子だったため、寂しい思いをしていたが、今世は優しい家族に囲まれた。
そんな家族と異世界でも楽しく過ごすために、ユニークスキルをいろいろと便利に使っていたら、様々なトラブルに巻き込まれていく。
「家族といたいからほっといてよ!」
※スキルを本格的に使い出すのは二章からです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる