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第四章 鳥像の門
命の再成2
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つい、この男に全てを話してしまいたくなった。そのわたしの弱さが始まりだったのだ。
調子にのって、大切に育てていた自殺者の魂の鳥を見せてしまった。
「空を飛びたい」と願っていた魂へ、使いのわたしが唯一できることだった。
それは残酷に映ったのだろか。確かに作成途中のものは鳥に限らず、神様も悪魔も生々しいものだが、見慣れているわたしの感覚が麻痺していたのだろうか。
そして、男がわたしの宝物、神様の骨と心臓を持って走り出した時は心底慌てた。
宝物を抱えて軽やかに走り出す男を必死で追うが、足が上手く運べない。空間を引き寄せようと思うのに、男の意志の力に跳ね返される。羽があれば良かったのに。ここにわたしの神様がいたら、こんな不格好な走り方さえ「かわいい」と笑ってくれただろうか。
「お願い、わたしの神様を返して」
心の中でそれだけを繰り返しながら進んだが、男が鏡の空間への扉を破り、飛び降りるのを止めるには、到底間に合わなかった。
しばらくは男のことも鏡の空間のことも頭になく、ただ神様の形見を失ったことで、心の中までこの空間のように真っ白で空っぽになって座り込んでいた。
極楽が大きく揺れ、我に返った。鏡の門で何かあったのか? あの男、何をしたんだ。
男が割った部分を避け、鏡の門への扉から下を覗き込んだ。
「なんで……」
カドが鏡に呑まれていた。助けに行くべきなのだろう、でも身体が動かなかった。
――戻りたいのかい? そう心で語りかけた。
鏡の隅でいつも控えめに佇んでいた、あの子を思い出した。
本当は出てきたくなんてなかったのか――。
わたしがシロキにも使いを与えたくて、無理やり鏡の中から引き出し、身体を与えてしまった。
だから、その後、シロキが自分の身体をカドに与えた時には驚いた。
願いが映せるあいつがどうしてそんなことを、と戸惑った。しかし良く考えて納得した。
最近わたしが造った炎の悪魔だ。シロキと対をなす悪魔、やっとわたしのところに昇ってきてくれた。あの悪魔に会わせるためだ。
周囲に本心を隠しておけるだけ成長したことに驚いた。
自分で促しておいて、実際二人が出会うと嫉妬を隠し切れない辺りはわたしの良く知るシロキで微笑ましかった。
調子にのって、大切に育てていた自殺者の魂の鳥を見せてしまった。
「空を飛びたい」と願っていた魂へ、使いのわたしが唯一できることだった。
それは残酷に映ったのだろか。確かに作成途中のものは鳥に限らず、神様も悪魔も生々しいものだが、見慣れているわたしの感覚が麻痺していたのだろうか。
そして、男がわたしの宝物、神様の骨と心臓を持って走り出した時は心底慌てた。
宝物を抱えて軽やかに走り出す男を必死で追うが、足が上手く運べない。空間を引き寄せようと思うのに、男の意志の力に跳ね返される。羽があれば良かったのに。ここにわたしの神様がいたら、こんな不格好な走り方さえ「かわいい」と笑ってくれただろうか。
「お願い、わたしの神様を返して」
心の中でそれだけを繰り返しながら進んだが、男が鏡の空間への扉を破り、飛び降りるのを止めるには、到底間に合わなかった。
しばらくは男のことも鏡の空間のことも頭になく、ただ神様の形見を失ったことで、心の中までこの空間のように真っ白で空っぽになって座り込んでいた。
極楽が大きく揺れ、我に返った。鏡の門で何かあったのか? あの男、何をしたんだ。
男が割った部分を避け、鏡の門への扉から下を覗き込んだ。
「なんで……」
カドが鏡に呑まれていた。助けに行くべきなのだろう、でも身体が動かなかった。
――戻りたいのかい? そう心で語りかけた。
鏡の隅でいつも控えめに佇んでいた、あの子を思い出した。
本当は出てきたくなんてなかったのか――。
わたしがシロキにも使いを与えたくて、無理やり鏡の中から引き出し、身体を与えてしまった。
だから、その後、シロキが自分の身体をカドに与えた時には驚いた。
願いが映せるあいつがどうしてそんなことを、と戸惑った。しかし良く考えて納得した。
最近わたしが造った炎の悪魔だ。シロキと対をなす悪魔、やっとわたしのところに昇ってきてくれた。あの悪魔に会わせるためだ。
周囲に本心を隠しておけるだけ成長したことに驚いた。
自分で促しておいて、実際二人が出会うと嫉妬を隠し切れない辺りはわたしの良く知るシロキで微笑ましかった。
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