奇跡の神様

白木

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第四章 鳥像の門

命の再成1

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 シロキとカドとナイトを作り終え、鏡の世界が完成した。

 月の神様に「これからはシロキに魂の運搬をさせるから」と伝えた時は悲し気な表情をされて、気まずかった。

「シロキに会っていきませんか? あの子はわたしの神様に良く似て――」

「やめておきます。本当は物凄く会いたいけど、何ていうか、自然に出会いたいんです」

 何となくその気持ちがわかって頷いた。

「わかりました。あの子の行先は気ままですから、いつ二人が出会うかわかりませんが、その日は必ずきます」

 

 シロキはわたしが想像した以上に自分の役割を全うすることに熱心だった。

 しばらくすると、シロキの運んでくる魂に浄化の必要がない金色や銀色のものが、極まれに混じるようになった。

 そのどれもが、それぞれに美しかったが、シロキやナイトのような、金と銀の割合で測る美しさではなく、完全にどちらかの色に傾いていた。

 シロキの魂は白銀だが、光の当たり具合によって金色に見えることもあるし、ナイトの魂はわたしの神様を魅了した金色だが、時々銀色の炎を揺らめかせる。

 とにかく、シロキから渡されたその魂を使い、わたしは神様と悪魔を造ることに没頭し始めた。

 悪魔はわたしがふさわしいと思う地獄へ、神様は時の流れの中でより人間に身近な救いの存在として地上に降ろした。

 完成した神様が、門を失い二十三時間以上経過すると土地に呑まれる特性は、この頃のわたしも知らなかった。

 こうして、こつこつ続けていればいつかは「生きたい」が「死にたい」に勝って、わたしの神様は蘇る。そして、天空に広がる鳥の門もまた持ち主の魂の中へ還るんだ。

 わたしはその日まで、何にだって耐える。

 こうしてどんどん地獄は完成されていったけれど、ナイトはずっと鏡の地獄で独りだった。最初は嫉妬で監視いたけれど、だんだん本気でかわいそうになっていった。

 いつも真っ白な雪の上に静かに腰を下ろし、澄んだ目で凍った湖を眺め、音楽のように銀色の息を吐く。

 そして、浄化の度に救えなかった魂を、群れとしてではなく、その一つ一つを思い出して美しい水鳥を生み出していた。

 ナイトの優しさが具現化した鳥、こいつにはこういう能力があるのか、その時はそう思い込んでいた。

 こいつにも仲間を造ってやりたい、と思っていたが、自殺者の魂を浄化できる器の魂はなかなか現れなかった。

 そして、いつも泣きそうな心を閉じ込めているナイトは不謹慎だが益々魅力的になっていった。シロキがいくら愛情を注いでも、巻き込みたくないナイトに拒まれ落ち込む、という悪循環も起きていた。

 そして、待ちに待ったあの男が現れたのだ。

 金色に爆ぜる中に銀の炎を見た時、表情が無いとからかわれる自分の目の周りが熱くなった。

 その男はナイトと同じ魂なのに、性格は真逆で、快活で裏表のない憎めないやつだった。

 わたしの神様が、あの時見た男がこっちだったらどうなっていただろう。


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