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第四章 鳥像の門
ずっと一緒に4
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その子が作成される過程を僕はずっと見ていた。見ていたと言うより感じていた。
作成者――僕がこの頃からそう呼んでいた彼が、青いガラス玉に銀色の炎を浮かべた時からずっと自分の使いを感じてきた。
作成者の許可も得ず、ガラス玉を片時も離さず胸の中に抱いていた。
「お前、鳥みたいだね。卵を温めているみたいだ」
作成者が優しく言って、寂しそうに笑った。
ああ、この人はいつも僕の腕の中で眠っていたから、寝場所を失くしてしまったんだ。
そう思うと僕の心の奥もつんっと痛くなって、彼を引き寄せてしまう。
「あなたもこっちに来て」
二人を胸に抱くとさすがに僕が苦しいけれど、二人とも良く寝るので呼吸を感じているだけで気持ち良い。
僕も一緒に寝たいのに、目を閉じても同じ世界に行くことが出来なくて、少し寂しくなって、そしてその後にそんな自分を責める。
僕の記憶にぼんやりある神様、作成者がたまに口にする「わたしの神様」に僕は近づかなくちゃ。
「誰よりも神様らしくなろう」
そう呟いて成長していく僕の使いと、僕を造った人の温もりに包まれている時間が好きだった。
作成者はたまに青い液体の中に手を入れては、僕の使いの形状を整えていた。
「お前が生れたばかりの頃に似せようと思うんだ」
「うん」
また覚えてもいないのに返事をしてしまった。
「お前が生れたばかりの頃はそれはかわいかった。あれがずっとそのままお前のそばにいるんだ、恵まれていると思わないか」
「……思う」
ああ、また。でも作成者がそう言いながら、悲しく笑うので、また強く言ってしまう。
「思うよ」
作成者――僕がこの頃からそう呼んでいた彼が、青いガラス玉に銀色の炎を浮かべた時からずっと自分の使いを感じてきた。
作成者の許可も得ず、ガラス玉を片時も離さず胸の中に抱いていた。
「お前、鳥みたいだね。卵を温めているみたいだ」
作成者が優しく言って、寂しそうに笑った。
ああ、この人はいつも僕の腕の中で眠っていたから、寝場所を失くしてしまったんだ。
そう思うと僕の心の奥もつんっと痛くなって、彼を引き寄せてしまう。
「あなたもこっちに来て」
二人を胸に抱くとさすがに僕が苦しいけれど、二人とも良く寝るので呼吸を感じているだけで気持ち良い。
僕も一緒に寝たいのに、目を閉じても同じ世界に行くことが出来なくて、少し寂しくなって、そしてその後にそんな自分を責める。
僕の記憶にぼんやりある神様、作成者がたまに口にする「わたしの神様」に僕は近づかなくちゃ。
「誰よりも神様らしくなろう」
そう呟いて成長していく僕の使いと、僕を造った人の温もりに包まれている時間が好きだった。
作成者はたまに青い液体の中に手を入れては、僕の使いの形状を整えていた。
「お前が生れたばかりの頃に似せようと思うんだ」
「うん」
また覚えてもいないのに返事をしてしまった。
「お前が生れたばかりの頃はそれはかわいかった。あれがずっとそのままお前のそばにいるんだ、恵まれていると思わないか」
「……思う」
ああ、また。でも作成者がそう言いながら、悲しく笑うので、また強く言ってしまう。
「思うよ」
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