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第四章 鳥像の門
反転する咎2
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夜風が暗闇を動かして、男の笑顔が見えた。
「助かります。大きいのでソリに乗せようと思ったのですが、はみ出してしまうから、浜辺まで運べる自信がありませんでした」
「うん……それに君、上手くすれば残りの九枚の鏡も回収できるかも知れないよ」
「え?」
「あの鏡は元々十枚で一つの立方体を造っていたから、一面でも生命の神様の元へ戻ったら、他の九枚も呼び戻せるかも知れない」
「あれは一面って呼ぶような形ではないですよ。それより、やっぱり他の九個の鏡のある場所でも同じような事が起こっているのですか」
夜の水面のような目を不安そうに揺らして男が尋ねる。
「――そうだね。他の土地の人間は君たちよりずっと弱くてね……あの鏡はたくさんの人間に自分を殺させながら、移動し続けているよ。あ、不思議に思った? わたしも一応神様だから、ここに滞在していても、世界の様子は心に直接見えているからね」
「――なんで、生命の神様はそんなものを造ったんでしょうか。さっきの鳥が話してくれたのは、自殺する人間と心を通わせて、それを止めたいという事だったじゃないですか。現実は真逆だ。そんなにわたし達が憎いのでしょうか」
「憎いなんてことは決してないと思うよ。君たちのことを、文字通り自分の一部と考えているよ。あの鏡は君たちを信じているからこそ造ったんじゃんじゃない? 絶対に自分を見つけてくれると強く信じている」
「そんな信頼、わたしは要りません」
男が出会ってから初めて感情的に言ったので、思わず固まってしまう。
無言で考え込む男にロンが不安気に鼻を鳴らしてすり寄った。
「ごめん、ロン……大丈夫だよ。神様、少し鏡の様子を見ていきませんか」
「助かります。大きいのでソリに乗せようと思ったのですが、はみ出してしまうから、浜辺まで運べる自信がありませんでした」
「うん……それに君、上手くすれば残りの九枚の鏡も回収できるかも知れないよ」
「え?」
「あの鏡は元々十枚で一つの立方体を造っていたから、一面でも生命の神様の元へ戻ったら、他の九枚も呼び戻せるかも知れない」
「あれは一面って呼ぶような形ではないですよ。それより、やっぱり他の九個の鏡のある場所でも同じような事が起こっているのですか」
夜の水面のような目を不安そうに揺らして男が尋ねる。
「――そうだね。他の土地の人間は君たちよりずっと弱くてね……あの鏡はたくさんの人間に自分を殺させながら、移動し続けているよ。あ、不思議に思った? わたしも一応神様だから、ここに滞在していても、世界の様子は心に直接見えているからね」
「――なんで、生命の神様はそんなものを造ったんでしょうか。さっきの鳥が話してくれたのは、自殺する人間と心を通わせて、それを止めたいという事だったじゃないですか。現実は真逆だ。そんなにわたし達が憎いのでしょうか」
「憎いなんてことは決してないと思うよ。君たちのことを、文字通り自分の一部と考えているよ。あの鏡は君たちを信じているからこそ造ったんじゃんじゃない? 絶対に自分を見つけてくれると強く信じている」
「そんな信頼、わたしは要りません」
男が出会ってから初めて感情的に言ったので、思わず固まってしまう。
無言で考え込む男にロンが不安気に鼻を鳴らしてすり寄った。
「ごめん、ロン……大丈夫だよ。神様、少し鏡の様子を見ていきませんか」
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