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第四章 鳥像の門
望んでいた命2
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夜が更けてもわたしの神様は心がどこかに行ったままで、時々誰もいない崖を見上げては悲しそうな顔をしていた。
勇気を振り絞って、わたしは神様に尋ねた。
「……なにを思っているんですか」
「ごめん」
なんで謝るんだろう。神様が悪いわけがないのに。
「さっき崖にいた人間のことを想像していた」
ああ、やっぱり。
「どんな想像ですか」
「お前、口数が少ないね。怒っているんだね。お前に嫌われるくらいなら諦めるよ」
「……諦める、と言われても何も聞いてないです。わたしがあなたを嫌いになるなんて有り得ません。あなたがあの人間に奪われないか不安で仕方ないのです。わたしを置いて行ってしまうんじゃないかと」
「僕はどこにも行かないよ。消えるまで、それに消えてからもお前と一緒だ。お前はあの人間の命の色を見たかい?」
良かった、普段のわたしの神様の顔に戻っている。
「命の色ですか? いいえ、観察する前に去ってしまいましたから」
「金色だったんだ」
命の色……金色なんて見たことがない。
「それはどういうことです?」
「浄化の必要がないということだよ。つまり、完璧な命ということだ」
大きな月が揺れたような気がしましたが、わたしの神様は夢見心地で気がついていないようでした。
「そんな命があるんですか? その命はあなたの元に戻ってくるのですか? それとも……」
「そんなに興奮しないで。あ、さっきまで興奮して我を忘れていたのは僕のほうだったね。僕はずっと浄化の必要のない命を待っていたんだ。あの命が僕の元に戻って来たら、僕は本当の意味で無敵だよ。ずっと求めていた完全になるんだ。最近は修復に時間がかかってお前を心配させているのが本当に辛かったけど、もうそんな事はなくなる。それには――僕の命に金色の魂を同化させる」
勇気を振り絞って、わたしは神様に尋ねた。
「……なにを思っているんですか」
「ごめん」
なんで謝るんだろう。神様が悪いわけがないのに。
「さっき崖にいた人間のことを想像していた」
ああ、やっぱり。
「どんな想像ですか」
「お前、口数が少ないね。怒っているんだね。お前に嫌われるくらいなら諦めるよ」
「……諦める、と言われても何も聞いてないです。わたしがあなたを嫌いになるなんて有り得ません。あなたがあの人間に奪われないか不安で仕方ないのです。わたしを置いて行ってしまうんじゃないかと」
「僕はどこにも行かないよ。消えるまで、それに消えてからもお前と一緒だ。お前はあの人間の命の色を見たかい?」
良かった、普段のわたしの神様の顔に戻っている。
「命の色ですか? いいえ、観察する前に去ってしまいましたから」
「金色だったんだ」
命の色……金色なんて見たことがない。
「それはどういうことです?」
「浄化の必要がないということだよ。つまり、完璧な命ということだ」
大きな月が揺れたような気がしましたが、わたしの神様は夢見心地で気がついていないようでした。
「そんな命があるんですか? その命はあなたの元に戻ってくるのですか? それとも……」
「そんなに興奮しないで。あ、さっきまで興奮して我を忘れていたのは僕のほうだったね。僕はずっと浄化の必要のない命を待っていたんだ。あの命が僕の元に戻って来たら、僕は本当の意味で無敵だよ。ずっと求めていた完全になるんだ。最近は修復に時間がかかってお前を心配させているのが本当に辛かったけど、もうそんな事はなくなる。それには――僕の命に金色の魂を同化させる」
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