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第四章 鳥像の門
わたしの神様1
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――良かった、無事に修復してくれた。
最近、修復に時間がかかって、本当に心配だ。いっそ、もう命を放出するのを止めてくれ、とすがりたくなる気持ちを必死で抑えている。
海から水浸しで陸に上がる様子を空から確認し、一安心する。
――わたしの生命の神様。
本体の神様の疲労がじんわりと伝わって来て、わたしもそっと岩場に降りた。
「あなたも疲れたでしょう」
そこにはわたしの神様を同じように心配し、見守っていた月の神様がいた。
月の神様は大好きだ。いつもわたしに優しい。
「さあ、羽を休めて」
わたしはほっとして崩れるように羽を畳んだ。
「あなたの翼は本当に美しいですね」
「あなたの使いの毛皮の方が美しいですよ」
本心からそう言った。あの狐の銀色が風になびいているのを見るのが大好きだった。
「最近、わたしの神様が放った命が、戻って来てくれないのです。自分の身体を削って、きれいな空に散らした命がです。わたしもとても寂しいです」
月の神様がわたしの羽に指を這わせた。
「僕も心配しています。生命の神様は僕の親友ですから。あの鏡が役目を果たしてくれるといいですね」
「わたしの神様はとても心がきれいなので、一度放ってしまった命を信じ過ぎないか心配です。わたしは夜も眠れず空を飛び続けています。こんな時、わたしの使いとしての姿が鳥であって良かったと思うんです。夜の風を痛いほど浴びると、怖いことを忘れます」
月の神様の前で、わたしは本当に素直になれる。何度も世界を壊してきた神様、わたしも消える時にはこの神様に壊されたい。
わたしの神様が消えてしまう前に。
――良かった、無事に修復してくれた。
最近、修復に時間がかかって、本当に心配だ。いっそ、もう命を放出するのを止めてくれ、とすがりたくなる気持ちを必死で抑えている。
海から水浸しで陸に上がる様子を空から確認し、一安心する。
――わたしの生命の神様。
本体の神様の疲労がじんわりと伝わって来て、わたしもそっと岩場に降りた。
「あなたも疲れたでしょう」
そこにはわたしの神様を同じように心配し、見守っていた月の神様がいた。
月の神様は大好きだ。いつもわたしに優しい。
「さあ、羽を休めて」
わたしはほっとして崩れるように羽を畳んだ。
「あなたの翼は本当に美しいですね」
「あなたの使いの毛皮の方が美しいですよ」
本心からそう言った。あの狐の銀色が風になびいているのを見るのが大好きだった。
「最近、わたしの神様が放った命が、戻って来てくれないのです。自分の身体を削って、きれいな空に散らした命がです。わたしもとても寂しいです」
月の神様がわたしの羽に指を這わせた。
「僕も心配しています。生命の神様は僕の親友ですから。あの鏡が役目を果たしてくれるといいですね」
「わたしの神様はとても心がきれいなので、一度放ってしまった命を信じ過ぎないか心配です。わたしは夜も眠れず空を飛び続けています。こんな時、わたしの使いとしての姿が鳥であって良かったと思うんです。夜の風を痛いほど浴びると、怖いことを忘れます」
月の神様の前で、わたしは本当に素直になれる。何度も世界を壊してきた神様、わたしも消える時にはこの神様に壊されたい。
わたしの神様が消えてしまう前に。
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