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第四章 鳥像の門
神様の使い3
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その時、門全体が大きく揺れた。
シロキさんが立ち上がる。
「うるさいな、僕はカドともっとふっ付いていたいのに」
そして歌うように言った。
「カド、極楽と押し合うよ」
――何だこの音。
雷が上空に向かって落ちている。その度に金切り声のような音が鏡に反響し、空間が震える。
そうか、これは天に怒りをぶつける音。
怒りは全面の鏡に反射し、膨れ上がっては極楽へ続く天井へ吸い込まれていく。
上空に溜っていた赤い魂が逃げるように周囲に散った。紫と赤と白と金と銀と目まぐるしく踊る色に眩暈がする。
「大丈夫か」
いつの間にか隣でアドバンドが支えてくれていた。手が大きくて力強い。
「ありがとう」
これから起る事はわかっている。雷の神様の力を爆発させて、極楽を押し崩しながら上昇するんだ。
でも、極楽だって地獄すら潰すつもりで落ちてくる。俺の願いは一つ、カドが壊れないように、そう強く念じた。
視線を感じると、シロキさんが俺を見て笑っていた。俺に初めて見せる、優しい神様の笑顔だ。
「君はただ、僕を信じて」
一瞬の雷の光に照らされた姿が優雅だ。
この怒りの光と音を発散している雷の神様はどんな様子だろう。改めて目を凝らすと、思った通り、そよ風すら感じるほど穏やかな顔をしている。
やっぱりやっている事と表情が全くかみ合わない。
呆然と見つめる俺に雷の神様が言う。
「あれを神様たちの怒りだと思っているのか?」
「違うのか」
「君は勘違いをしているよ。見たままだ、あれは神様たちの鼓舞」
「鼓舞?」
「神様は弱い方の味方をしがちだからね。今、迷っているんじゃないか、どっちの味方をするか」
身体が浮く感じがした。鏡の門と激しく押し合っていた極楽が、競り負けて力を抜いたのだ。
それでも容赦なく、カドは――鏡の門は上昇し続ける。
その時だった、天井から雷も凌ぐ強い光が差し、極楽への扉が開いたのがわかった。
シロキさんが立ち上がる。
「うるさいな、僕はカドともっとふっ付いていたいのに」
そして歌うように言った。
「カド、極楽と押し合うよ」
――何だこの音。
雷が上空に向かって落ちている。その度に金切り声のような音が鏡に反響し、空間が震える。
そうか、これは天に怒りをぶつける音。
怒りは全面の鏡に反射し、膨れ上がっては極楽へ続く天井へ吸い込まれていく。
上空に溜っていた赤い魂が逃げるように周囲に散った。紫と赤と白と金と銀と目まぐるしく踊る色に眩暈がする。
「大丈夫か」
いつの間にか隣でアドバンドが支えてくれていた。手が大きくて力強い。
「ありがとう」
これから起る事はわかっている。雷の神様の力を爆発させて、極楽を押し崩しながら上昇するんだ。
でも、極楽だって地獄すら潰すつもりで落ちてくる。俺の願いは一つ、カドが壊れないように、そう強く念じた。
視線を感じると、シロキさんが俺を見て笑っていた。俺に初めて見せる、優しい神様の笑顔だ。
「君はただ、僕を信じて」
一瞬の雷の光に照らされた姿が優雅だ。
この怒りの光と音を発散している雷の神様はどんな様子だろう。改めて目を凝らすと、思った通り、そよ風すら感じるほど穏やかな顔をしている。
やっぱりやっている事と表情が全くかみ合わない。
呆然と見つめる俺に雷の神様が言う。
「あれを神様たちの怒りだと思っているのか?」
「違うのか」
「君は勘違いをしているよ。見たままだ、あれは神様たちの鼓舞」
「鼓舞?」
「神様は弱い方の味方をしがちだからね。今、迷っているんじゃないか、どっちの味方をするか」
身体が浮く感じがした。鏡の門と激しく押し合っていた極楽が、競り負けて力を抜いたのだ。
それでも容赦なく、カドは――鏡の門は上昇し続ける。
その時だった、天井から雷も凌ぐ強い光が差し、極楽への扉が開いたのがわかった。
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