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第四章 鳥像の門
雷の縛り1
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雷の神様
神様たちの叫びで空が割れた。増幅する感情的な声が光と音になって空中を照らしている。
わたしの使いがくねくねと身体に巻きついてきた。今、見上げる空に走っている稲妻に良く似たその子は、わたしの肩まで上がって来ると、きれいな緑色の目を光らせた。人間の中には「蛇は嫌い」と言うものも多いが、わたしの使いはこんなに美しいし、そもそも蛇ではない。
わたしの意志に関係なく、これから雷の門が開く。
わたしが空間を超えて門を動かすには神様たちの強い感情の揺れが必要だ。
それがわたしの縛りだ。
最後に移動したのはシロキさんの使いが門と融合した後だった。
鏡の神様の使いの苦しみは、全ての神様の心を深くえぐっていた。地上に届くほどの苦痛だったこともあるが、他にも理由がある。
神様の使い同士は魂が通う。気持ちが伝わる、というより、文字通り、魂を行き来きして感情を共にする。あの時はわたしの使いも酷く動揺し、わたしの首に巻きついて離れなかった。
必死でなだめているわたしを知らぬ人が見かけたら、絞殺されかけていると思っただろう。
他の神様も、使いを通して鏡の神様の門に何が起こっているの知った。
最初、その苦しみも直ぐに治まるものだと皆考えていた。
それが、一週間、一ヶ月と続くうち「何故、極楽は鏡の神様の使いを修復してやらないのか」という苛立ちが世界中から湧き上がってきた。
他の神様は勘違いしているかも知れないが、あの時の移動はわたし個人の強い感情の乱れだけで行った。
本人が全て忘れていた様だったので、改めて言ったことはないけれど、わたしはずっと昔からシロキさんを支えてきた。
シロキさんが作成されるずっと前から。そして鏡の神様になってからも。欠片から出来ているシロキさんが力を上手く使えず、門の移動に手こずっていたので、「縛り」という事で納得させて熱量を貸した。
本当はシロキさんに最初から縛りなんてない。あると信じさせていた方が、雷と共に見守れて、わたしは安心だった。
シロキさんの使い、あのカドと言う子はもしかしたらわたしのおせっかいに気がついていたかも知れない。いつもそんな目でわたしを見ていた。
神様たちの叫びで空が割れた。増幅する感情的な声が光と音になって空中を照らしている。
わたしの使いがくねくねと身体に巻きついてきた。今、見上げる空に走っている稲妻に良く似たその子は、わたしの肩まで上がって来ると、きれいな緑色の目を光らせた。人間の中には「蛇は嫌い」と言うものも多いが、わたしの使いはこんなに美しいし、そもそも蛇ではない。
わたしの意志に関係なく、これから雷の門が開く。
わたしが空間を超えて門を動かすには神様たちの強い感情の揺れが必要だ。
それがわたしの縛りだ。
最後に移動したのはシロキさんの使いが門と融合した後だった。
鏡の神様の使いの苦しみは、全ての神様の心を深くえぐっていた。地上に届くほどの苦痛だったこともあるが、他にも理由がある。
神様の使い同士は魂が通う。気持ちが伝わる、というより、文字通り、魂を行き来きして感情を共にする。あの時はわたしの使いも酷く動揺し、わたしの首に巻きついて離れなかった。
必死でなだめているわたしを知らぬ人が見かけたら、絞殺されかけていると思っただろう。
他の神様も、使いを通して鏡の神様の門に何が起こっているの知った。
最初、その苦しみも直ぐに治まるものだと皆考えていた。
それが、一週間、一ヶ月と続くうち「何故、極楽は鏡の神様の使いを修復してやらないのか」という苛立ちが世界中から湧き上がってきた。
他の神様は勘違いしているかも知れないが、あの時の移動はわたし個人の強い感情の乱れだけで行った。
本人が全て忘れていた様だったので、改めて言ったことはないけれど、わたしはずっと昔からシロキさんを支えてきた。
シロキさんが作成されるずっと前から。そして鏡の神様になってからも。欠片から出来ているシロキさんが力を上手く使えず、門の移動に手こずっていたので、「縛り」という事で納得させて熱量を貸した。
本当はシロキさんに最初から縛りなんてない。あると信じさせていた方が、雷と共に見守れて、わたしは安心だった。
シロキさんの使い、あのカドと言う子はもしかしたらわたしのおせっかいに気がついていたかも知れない。いつもそんな目でわたしを見ていた。
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